札幌からの帰り、青森で列車が止まってしまった。  
 日本列島を縦断した台風の影響で架線が切れ、列車が動けなくなってしまったのだ。  
 復旧は明日になるという。台風は去りつつあるというのに、僕は東京に帰れなくなった。  
(仕方がない、妙子に頼んで泊めてもらうか……)  
 公衆電話は長蛇の列だったが、ようやく空いた一台でなじみの番号を押す。  
『はい、安達酒店です』  
「妙子? 僕だよ、わかる?」  
『あ、わかるよ。どうしたのいきなり?』  
「うん、いま青森なんだ」  
『えぇ! ホントに?』  
 電話の向こうで明らかに弾んだ声に変わる。  
 僕は事情を話して妙子の家に一泊させてもらうことにした。  
 
 電話では何度も話していたが、妙子の家を訪ねるのは久し振りだった。  
 いつ来ても懐かしい。心が落ち着くのを僕は感じていた。  
 
 妙子の家はおじさんもおばさんも町内会の旅行で留守だった。  
 弟も修学旅行で留守だという。  
「台風の晩にあたし一人でしょ? 心細かったんだぁ」  
 ほっとした様子で妙子が言う。  
「でもいいの? 今晩は僕と二人っきりになるんだよ?」  
「なんで? 何か困ることでもあるの?」  
 天真爛漫といった感じで妙子が聞く。  
 妙子が気にしないなら僕は構わない。変に気を回すのはよそう。  
 
「ね、ご飯食べた?」  
「駅弁だけどね」  
「今あったかいお味噌汁作るからちょっと待ってて」  
 そう言うと妙子は台所に立った。  
 程なくしていい匂いが漂ってくる。  
 ……僕は妙子の心づくしのもてなしを受けた。  
 
 風呂をもらってくつろいでいると、妙子が  
「あたしも入ってくるね」  
 そう言ってウインクした。  
 今の、どういう意味だ……?  
 
「ふぅー、気持ちよかったぁ」  
 パジャマをまとった風呂上りの妙子からは石鹸の匂いがした。艶やかな洗い髪が妙に色っぽい。  
(妙子のやつ、いつの間にこんなに女っぽくなってたんだ?)  
 旅先だったためここ何日もオナニーしていない。僕は溜まっていた。  
 それだからというわけではないが、今日の妙子はとってもきれいだと思った。  
 鼓動が早くなった。  
 そんな僕の動揺をよそに、  
「ね、一緒に寝ようか……」  
 そう言って顔を近づけてくる。  
 ……僕の中で何かが弾けた。  
「妙子……」  
 僕は妙子を抱きしめた。  
 
 日本各地の女の子と時間をやりくりして会っている僕はそのうちの何人かと経験していた。  
 札幌でほのかを落とすつもりだったが、彼女の男性恐怖はまだ拭えていなかった。  
 そのためほのかと結ばれることはできなかった。だから何日も女性を抱いていなかった。  
 性の欲求が大きくなる。妙子に射精したい! 妙子の膣中に精液をぶちまけたい!  
 
 妙子のあごに手をかけ、顔を少し上向けると唇を合わせた。  
 最初は軽く、少しずつ強く唇を押し当てる。  
 あごに当てていた手を耳たぶに移動させる。そして軽くくすぐるように刺激する。  
 同時に口を少しだけ開き、固く閉ざされている妙子の唇を舌先で舐めてみた。  
 僕のやろうとしていることが伝わったのか、妙子の唇から力が抜けた。  
 それでもなお閉ざされた妙子の唇を解きほぐそうと静かに唇の周りを攻める。  
 ゆっくりと円を描くように、そして時折ついばむように吸う。  
 たっぷりと時間をかけた愛撫に妙子の唇が開く。それを確認した僕はゆっくりと舌を送り込んだ。  
 
 警戒するように奥で縮こまっていた妙子の舌に優しく舌先を触れさせる。  
びくっ  
 妙子の体が痙攣するように震えた。  
 僕は安心させるように抱きしめると、もう一度舌を触れさせ、そっと絡めた。  
「くふぅ……」  
 のどの奥で甘い吐息を洩らして妙子がうめく。  
(嫌がってはいない)  
 舌を離すと、続けて上あごを舐める。数を数えるように歯列をくすぐる。  
 僕の舌は妙子の中で縦横に動いた。  
 
 最初はおっかなびっくりといった感じだった妙子の舌が、僕を求めて伸ばされてくる。  
 じっくりと舌を絡ませる。  
 舌の裏を僕の舌が這いまわったとき、妙子は体を硬直させた。  
「……ん…あく…ん、んん……ん……」  
 頬に当たる妙子の鼻息がくすぐったい。呼吸が激しくなったようだ。  
 心地よい妙子の吐息を感じながら僕はさらに攻め立てた。  
 舌を攻める。唇を甘噛みする。唾液を吸う。  
 立っていられなくなったのか、妙子は僕に身を預けてぐったりしている。  
 それでも僕は妙子を攻めることをやめなかった。  
 キスだけでイカせる! そのつもりで舌を使った。  
 
「んんっっっ!」  
 突然妙子の体に力が入った。そしてしばらく硬直が続き、静かに力が抜けた。  
(イッたのか?)  
 ある種の満足感と征服感とで僕は唇を離した。  
 妙子は焦点の合わない瞳で僕を見つめている。  
 気が付くと二人とも息が荒い。僕たちは何も言えず、ただ見つめあっていた。  
 
「あたし……初めてなんだ」  
 しばらく経って落ち着いた妙子が、耳まで赤く染めて言った。  
「そうなんだ。わかった、優しくするからね」  
 安心させるようにささやく。  
「経験……あるの?」  
 沈んだ調子の声。  
「まぁね」  
「やっぱり…東京の……かわいい女の子?」  
「………」  
 僕はそれには答えなかった。  
「……そっか」  
 妙子は悲しそうな顔をしたが、すぐに目を閉じた。  
 
 後ろから抱きかかえ首筋にキスをする。  
 そのままパジャマの胸の上から両手で愛撫した。  
 布地から乳首の突起が浮き出ている。静かに撫で、時々生地の上から軽くつまむ。  
 指の腹で転がしたり、乳房を揉んだりするうちに乳首が固く尖ってくる。  
 突起を指先で軽く弾いた。  
「んんっ!」  
 妙子が艶を帯びた声を上げる。  
(感じているのか?)  
 人差し指と中指にはさみ、こするような刺激を加える。  
 そうしながらうなじに息を吹きかけ、耳たぶを唇で噛む。  
 興奮したのか、妙子の首筋から立ちのぼる甘い香りが強くなった。  
 
 パジャマのボタンを外すと両手を中に忍ばせた。  
 妙子はブラを付けていなかった。  
「あ……もう寝るだけだから」  
 僕が何も聞いていないのに妙子が答える。  
「よかった。手間が省けた」  
 笑いながら言う僕のセリフに妙子がまた赤くなった。  
 
 僕は直接ふたつのふくらみを撫でまわした。  
(あれ? 左の方が少し大きい?)  
 微妙な違いだが、布地の上からではわからなかったそれを直接触ることによって指先が感知した。  
「妙子、自分で触ってるの?」  
 そう耳元でささやいた瞬間、妙子が首筋まで真っ赤に染まった。  
「妙子?」  
 重ねて聞く。  
こっくり  
 妙子が小さくうなずいた。  
 
(やっぱり恥ずかしいのかな?)  
「僕もオナニーしてるよ。それも妙子のことを思って」  
 妙子の羞恥心を和らげようと思って言った僕の言葉。  
「!」  
 それに反応して僕の顔を見ようと首をねじる。  
 僕はすかさず唇を合わせると、もう一度静かに胸をまさぐった。  
「んんっ……」  
 のどを鳴らして妙子があえぐ。  
 僕が唇を離すと、二人の間に銀の糸がかかった。  
 
 妙子の肩を抱きこちらを向かせる。  
 今度は正面から胸を攻めた。  
「妙子の胸、とってもきれいだ……」  
「やだぁ……」  
 頬を染め、だが満更でもなさそうな妙子。  
 
 左手で腰を抱き、右手の指で桜色の突起を挟むようにつまむ。  
「はぁ! …うぅ、そこはぁ……」  
 乳房を付け根から優しく揉むように盛り上げると舌先で突起を転がすようにする。  
 そうして周りを舐めるように口に含んだ。  
 妙子はピクピクと反応し、声を殺すように左手の指を唇で挟んだ。  
 
 乳首を指で軽く押し込む。軽く弾く。つまんだまま指先でこすり合わせる……。  
 それらの合い間に乳輪を指先でなぞってみる。  
「あぁ、くぅん……んんッ! はぁ…ぅぅ……」  
 妙子の口からは絶え間なく快楽のうめきが漏れる。  
 その声を聞きながら僕は布団にひざをついた。  
 そうして倒れこむように横たえると体勢を変えてキスをした。  
 
 片手を胸から股間へと移し、パジャマのズボンに手を入れる。  
 ……湿り気を帯びた熱気が手のひらに伝わった。  
 手のひらで太ももをさするように撫でまわすと、そのたびに妙子の両足が悶え動く。  
「あぁっ……んんっ……」  
 しばらくすべすべしたその感触を楽しむと、僕は手を妙子の恥ずかしい部分に移動させた。  
 クロッチに手を伸ばすとそこはすでに湿っていた。  
 布の上から小陰唇をなぶる。  
 しとどに濡れたそこは布の感触ではなく、その部分の形がわかるほどだった。  
 僕の指に合わせて形を変える柔らかな肉襞や割れ目に沿うように優しく指を動かす。  
「あっ、そこはっ! うぅ……・ダメ…ダメよ!」  
 妙子の声を無視して僕は愛撫を続けた。  
 
 恥丘に手のひらをかぶせ、全体に圧を加えながら振動させる。  
「ぃゃ……ぁっ…んっ! あんっ…くぅん」  
 妙子の吐息が激しくなり、小さな声であえぐ。  
 オナニーしているだけあって妙子は感度がいい。  
(性の絶頂を知っているなら処女でもそんなに苦労しないな……)  
 前に抱いた処女のことを思い出す。あの時は苦労したっけ……。  
 
 僕はクロッチをずらしてその部分を直接触った。  
 温かく湿った柔らかい肉のひだを指先でこねるようにかき回す。  
 あとからあとから粘液が湧き出し指にからみつく。  
 あたりにくちゅくちゅと濡れたいやらしい音が響いていた。  
 
 僕は薄い茂みを分けると割れ目に中指を添え、静かに沈みこませた。  
 奥までは入れずに柔らかな感触を指先で楽しむ。  
 指先に感じる妙子の女の部分からは、僕を中に中にと引き込むような蠕動が伝わった。  
 少しずつ指を前後させる。  
 妙子の膣は僕の指を締め付け、快感を欲するかのようにうごめいた。  
 
 誰にも見せたことのない恥ずかしい部分をなぶられ、妙子は声を押し殺して  
「んっ…んっ……やんっ…ふ…ぅん……いやぁ……」  
 と鳴く。  
「イヤなの? やめる?」  
「ん……やだぁ…もっとぉ……」  
 涙目で妙子が懇願する。  
 それを見た途端、勃起がまた一段と硬度を増した。  
 
 僕はショーツを脱がそうといったん手を離した。  
「え……」  
 なぜやめるの? とでも言いたげな妙子の声。  
「もっと気持ちよくしてあげるからね」  
 僕はそう答えるとショーツに指をかけた。  
 妙子が腰を浮かせて協力してくれる。  
 ショーツを剥ぎ取ると僕は妙子の股間に手を置いた。  
 サラサラとした陰毛が指先に気持ちいい。  
 そっと溝を割って指を入れると、さっきよりもグッショリと濡れていた。  
 愛液をまぶしてクリトリスを愛撫する。  
 
 妙子の股間に移動すると両膝を持って股間を広げ、中心に口づけた。  
 石鹸の匂いとともにかすかな塩気を感じる。  
 小陰唇をつまんで開くとクリトリスを尖らせた舌先でいじくる。  
 さらに唇で小陰唇を咥えながら穴に沿って一周する。  
「あッ、うんッ……だめっ……んんっ」  
 快楽の声を上げる妙子を見ているうち、僕の心にさらに強い欲望の火が灯った。  
 
 妙子の痴態を目の当たりにし、僕の股間はすでに猛り立っていた。  
 ズボンの中で窮屈そうにしている怒張を解き放そうと、僕はベルトに手をかけた。  
 それを妙子がぼんやりと見ている。  
(妙子は処女だって言ったな。見るのも初めてなのか?)  
 聞こうかと思ったがやめにした。代わりにトランクスごと引き下ろす。  
「!」  
 妙子が息を飲むのが聞こえた。  
「見るの……初めて?」  
「弟のは見たことあるけど、こんなになってなかった……」  
 少し青ざめた面持ちで、だけど食い入るように勃起を見つめる妙子。  
「触ってごらん」  
 僕は妙子の手を取ると勃起に導いた。  
 

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