「……立ち入ったことをお伺いしますが……」
「何でしょうか?」
いつもの様に僕の体を拭きながら綾崎さんが云い難そうに切り出した。
「……昨日の女の子は……○○さんの、その……恋人、なのでしょうか?」
「……は?」
そんな事を尋ねられるとは思ってもいなかった僕は間の抜けた返事をしてしまった。
「……だから……昨日のあの方と○○さんはお付き合いされているのですか、と聞いているのです」
「……い、いや……あの……」
ほのか……の事だよな?
何と答えて良いものやら、言葉を選んでいるうちに綾崎さんの方は勝手にそうだと決め付けて話を続けた。
「あなたのプライベートな事に口を差し挟むつもりはありませんが、その……あのような行為は病院内
では慎んで頂かなくては……その……困ります」
綾崎さんは視線をそらしたまま、俯きながら頬を真っ赤に染めてその言葉を口にした。
……昨日、ほのかに手コキしてもらった事に違いない。綾崎さんに何処かから見られていたようだ。
僕も恥ずかしさのあまり、頭に血が上ってしまった。
「……ほ、他の患者さんにも示しがつきませんし……そ、それに……」
「ご、ごめんなさい……すみません……」
僕は消え入るような声で誤るしかなかった。
「……私も看護婦ですから……その、男の人が……た、溜まると辛い、というのは理解しているつもりです……」
綾崎さんは下に向けていた顔を上げて、僕の顔をまじまじと見つめた。
(……やっぱり綺麗だなあ……綾崎さん……)
「……で、ですから……もしもお辛いようでしたら……私に言ってくだされば……そ、その、お手伝い、させて
頂きますっ」
綾崎さんに見とれていた僕は、一瞬彼女が何を言っているのか理解出来なかった。
「……え?……ええ〜っ??」
綾崎さんは自分の口から出た言葉にいたたまれくなってしまったのか、また顔を背けてしまった。
「……こ、今晩は私が宿直です……ですから……ナースコールを鳴らしていただければ……」
「……あ、あの……それはどういう……」
「しっ、失礼しますっ!!」
呆気に取られた僕は、ただ後ろも見ずに慌てて個室を後にする綾崎さんの背中を見送る事しか出来なかった……
(中略)
「うっ……あ、綾崎さん……もう、もう駄目だっ……」
綾崎さんは咥えていた僕のペニスから口を離して、こちらに恥じらいの眼差しを向けながらこう言った。
「綾崎さんだなんて他人行儀な呼び方は嫌です……静音って呼んでください……」