「…え? …本当に?」  
 思わず聞き返してしまった。  
「…うん…いいよ…。なんでも言うこときいたげる!」  
 そう言うと、るりかは恥ずかしそうにうつむいた。  
「さっき、もうひとつプレゼントがあるって言ってたでしょ? それが、これ」  
 そういえば、さっき入ったレストランでそんなこと言ってたっけ…。  
 僕たちはバレンタインデート中だった。映画、食事、ゲームセンターと僕たちのお約束コースを回り、今ホテルで二人きりだ。  
 るりかがそれを言い出したのは、互いにシャワーを浴び、さあこれから、というときのこと。  
「ほ、本当に何でも?」  
「もう…しつこい…」  
 もちろんしてもらいたいことは山ほどある。したいこともある。なにしろHを覚えたてでこれまで無我夢中だった僕たちは、ようやく余裕が出てきたところ。あんなことやこんなこと。本当に気持ちがいいのかな…と、いろいろ試したかった。  
「あ、もしかして…るりかも…」  
「な、なによう! いーでしょ、なんだって! …プレゼントいらないの?!」  
「あぁ! ゴメンゴメン、いります! 欲しいです!」  
「ウンウン、正直でよろしい。…で、どうしたらいい?」  
「…あ、じゃあ…舐めて欲しいかな…」  
「うん……」  
 やったぁ! …ようやく夢のひとつが叶った(我ながらちっちゃい夢だ)。  
 
 るりかは、僕をベッドの端に座らせると、僕の両脚の間にひざまずき、僕のモノに手をかける。  
「……」  
「…どうかした?」  
「いつも、これが私の中に入ってるんだよね……なんて…」  
「…るりか…」  
「じゃ、いくね!」  
 意を決したように、小さな口を開け、僕のモノを頬張る。  
 るりかの口腔は暖かく柔らかで、得も言われぬ快感が僕の中を走った。彼女は、ぎこちないながらも、舌を絡ませしゃぶりあげる。時々、軽く八重歯が当たるが、この刺激がまたなんとも言えない。  
「どう? 気持ち良い?」  
 とばかりにるりかが、こちらを見上げて、目で訴えている。僕は軽く微笑み、  
「気持ち良いよ…」  
 とささやき、彼女の髪を撫でる。  
「良かった」  
 と、目で返事をする。  
 根元から舐めあげる。裏側を刺激する。先端をくすぐる。…き、気持ちいい…。気をつけてないとすぐに果ててしまいそうだ。  
「…何か、るりか…やたら巧くない?」  
 と、少し気をそらそうと僕はるりかに言った。  
「そう? えへへ…うれしい…。自主トレのお陰かな?」  
 僕のモノから口を離し、るりかが答える。だが指は離れない。上下にもてあそぶようにゆっくり動かしている。それがまた快感を誘う。  
「…じ、自主トレ?」  
「うん。兄貴のおかず本見て、イメージトレーニング。たぶん、こういうのして欲しいんじゃないかな〜って思って…」  
「お、お兄さんは…それ知ってるの?」  
「やだ! 知ってるわけないでしょ、ナイショで見たんだから…」  
「あはは…そう…」  
 お兄さん…不憫だ…。  
 
「えへへ…もっとしたげるね…」  
 再びるりかが僕のモノにしゃぶりつく。今度は先程までより少し激しい。るりかの頭が僕の股間で激しく上下する。  
ぢゅぽぢゅぽぢゅぽ…  
 るりかの唾液で濡れそぼった僕のモノが音をたてる。  
「んふ…んふ…んふぅ…」  
 るりかの激しい息づかいが重なる。  
「…だ、だめだよ…で…ちゃう…」  
 るりかの頭を押さえながら僕はうめいた。…ヤバイ…ほんとにでちゃうって…。  
「…あ…うっくっ…」  
ドクッ…ビクッ…ビクッ…  
 僕はるりかの頭を押さえたまま彼女の口腔に精を放出してしまった。  
「んふ…んん!!」  
 一瞬驚いたるりかだったが、  
コクン…  
 …あ、飲んじゃった…。  
「けほっ…けほっ…」  
 むせてるし…。  
「るりか、大丈夫?」  
「う…うん…大丈夫…何かノドにひっかかっちゃって、むせちゃった…ごめんね」  
「そんな無理しなくても…」  
「いいの、私がそうしてあげたかったんだから…それでいいの」  
「るりか…」  
 そんなるりかがたまらなくいとおしくなった僕は、思わず彼女を抱き寄せ、口づけた。  
「あ!」と、るりか。  
「どうしたの?」  
 すると、るりかは僕の方の口元を指さし、  
「…間接ちん○ん…」  
 あ。  
 
 るりかを四つん這いにし、後ろから彼女の秘部に唇を這わせる。今度は僕が彼女を気持ち良くさせる番だ。  
「…なんかこの格好恥ずかしい…」  
 そういえば、後ろからしたことなかったっけ…。  
「大丈夫、気持ちよくしてあげるから…」  
 我ながら、何が大丈夫なのかよくわからない。  
「でも…あっ…あぁん…」  
 すでに彼女の愛液で潤っている秘唇を指で押しひろげ、舌を挿し込み舐めあげる。  
ぴちゃ…ぴちゃ…  
 いやらしい粘着質の音が響く。  
「あふっ…あっ…あぁん…」  
 唇を押しつけ吸いあげる。  
ちゅう…ちゅう…ちゅう…  
「んあぅ…あぁ…あぁ…あぅん…あぁん!」  
 軽く痙攣すると、快感に上体の力が抜けたのか、るりかはベッドにつっ伏した。  
「どうしたの、るりか? ちゃんと四つん這いになってないとダメじゃない…」  
 僕って、Sの気があるのかな? これだけ可愛い反応してくれると、少しイジメたくなってくる。  
「…も、もう…ダメ…」  
「何がダメなの?」  
「…お願い…もう…我慢できないの…」  
「どうしたの? 聞こえないよ」  
「…欲しいの…お願い…」  
 
 消え入りそうな声でつぶやく。もちろん聞こえているのだが、少しイジワルしてみる。  
 僕は身体を起こし、彼女の背中からおおいかぶさるようにして、彼女の顔に自分の顔を近づける。  
「聞こえないよ、るりか。…どうして欲しいの?」  
「……入れて…欲しい…」  
「ん? 何が欲しいの? もっと大きな声でないと聞こえないよ」  
「…あ、あなたのおちん○んを…私の中に入れて欲しいの!」  
 真っ赤になり顔をそむけるるりか。  
「うん。よく言えたね、るりか。可愛いよ」  
 髪を撫でる。  
「じゃ、いくよ」  
 僕は上体を起こし、彼女の腰に手をかける。  
「…え? このまま? ヤダ…恥ずかし…んあっ」  
 僕は彼女の抗議を(わざと)無視し、僕のモノを彼女の中に押し込んだ。  
「あっ…あっ…あうっ…あうぅ…」  
 彼女の腰を固定し前後に動かす。いつもと少し違う感覚…あ、先がなにかに当たってる。  
「あん…あ…お、奥にぃ…あ、あた…ってる…あ…なんか…変…」  
「気持ち…いい?」  
「…う、うん………いい…」  
 すでに彼女はとろんとした悦楽の表情を浮かべている。僕は腰にあてがっていた手を、片方は僕の動きにあわせて揺れる彼女の胸へ、もう片方を結合部分へと這わせる。  
ふにふにふにふに…  
 胸を揉む。  
「んぁ…あん…あ…あ…」  
くりくりくりくり…  
 結合部近くで充血している突起を刺激する。  
「んはぅ!…くふぅ…ぅん…」  
 
 可愛い反応。そしてその度に彼女の膣内は僕のモノを締めつける。  
きゅっきゅっ…  
「うっ…も、もう…僕もうそろそろ…」  
「わ、私も…もう…ダメ…何か…き、来そう…」  
「じゃ、いくよ…」  
「ヤ、ヤダ…前…から…このままは…嫌…」  
 最後は正常位でというるりかに、僕は少し乱暴に彼女の髪をつかみ、こちらを向かせると、意地悪く言った。  
「ダメ…このまま…なんでも言うこときくって言ったの誰だっけ?」  
「で、でもぉ…あぁ…や…あ…あぁん…」  
 いやがるるりかを無視して、僕は腰の動きを速める。  
ぢゅぷぢゅぷぢゅぷ  
「あん…あ…あっ…あっ…あっ…」  
ぢゅぷぢゅぷぢゅぷぢゅぷ  
「あ!…あうっ!…あっ!…あっ!…あんんっ!…はぁぁん!!」  
 彼女の声がひときわ高くなり、びくんと痙攣する。僕もその声にあわせて彼女の膣内に精を放出した。  
 
「…気持ち良かった?」  
 余韻のなか、るりかがきいた。  
「うん、とっても…。ありがとう、最高のバレンタインプレゼントだったよ」  
「良かった…私も気持ち良かったし…」  
 最後のほうはよくきこえなかった。  
「ね、ホワイトデーのお返し、期待していい?」  
「え? いいよ…あ、もしかして『同じの』が欲しい?」  
「やだ! そんなの…」  
 恥ずかしがってる恥ずかしがってる…。  
「…じゃ、今度はお返しに僕がるりかの言うこときいてあげるね」  
「ホント?」  
「もちろん」  
 一ヶ月後、僕は後悔することになる。  
 
 一ヶ月後、ホワイトデー。  
「…あ、あのさ…これ何?」  
 お決まりのコースのデートの後のホテル内。僕は両手足を縛られていた。  
「何でも言うこときいてくれるって、言ったでしょ?」  
「あ、いや…そうだけど…これは…って、その格好は何!?」  
「何って、これがOLさんに見える? 女王様よ、じょ・お・う・さ・ま」  
 黒いボディスーツ、網タイツ、手には鞭まで…。  
「一回でいいから、やってみたかったのよね…」  
「一回って…や、やめようよ、るりか…」  
「るりかじゃない…女王様とお呼び!」  
ビシッイ!  
 鞭の音が響く。  
「ひぃぃぃ〜〜、た、助けてぇ〜」  
「ダ〜メ、何でも言うこときくって言ったの誰だっけ?」  
 
 
           おわり  
 

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