「う……ん……ここは?」  
  美由紀が目覚めたのは、見知らぬ場所だった。  
  薄暗く、空気の湿った場所だった。窓はなく、唯一の灯は古臭い笠付きの裸電球ひとつだけ。わだかまる闇を全て追い払うためには、それはあまりにも心もとなかった。  
  奇妙な、落ち着かない香りが満ちている。体の芯が妙に熱い。  
 「おや、目覚めたようだね、お嬢ちゃん」  
  声のかけられた方を振り向こうとして、体をいましめる縄の存在に気づいた。背中に回された両手首が全く動かない。  
 「な、なに?」  
  あわてて身を揺さぶるが、しっかりとかけまわされた縄がゆるむはずなどない。見れば手描き友禅の繊細な絵柄が彩る胸元に、麻縄が幾重にも巻きついていた。  
 「なに? なんなの? 私、どうなってるの?」  
  狼狽しきった美由紀は、わけもわからず叫び出す。ふだんは落ち着いたしっかり者と評される美由紀だが、こんな異常事態において我を失わずにいられるはずなどあるわけがない。  
 「お嬢ちゃんはね、攫われて閉じ込められたのさ」  
  ふたたび男の声がかけられる。  
  ハッと視線をそちらに移すと、太い木を組んだ格子の向こうにゴマ塩頭の中年男の姿が目に入る。どこかで見た顔だ。  
  眼鏡の奥で、聡明さに輝く眼が細められた。記憶を探っているのだ。細められた眼が開く。  
 「あなたは……」  
 「ようやく思い出したかい」  
  それはたしかに先ほど乗ったタクシーの運転手だった。  
 「なぜ、こんなことを」  
 「お嬢ちゃんが可愛かったからさ」  
 「……お金なら、父がきっと出してくれます」  
  美由紀の家は、金沢でも知られた老舗の呉服問屋だ。したがって、それなりの資産もある。  
 「悪いが、わしが欲しいのはお嬢ちゃんそのものなんだよ」  
  そう言ってにやりと笑う。人の好さそうな相貌が一変して、好色な相が剥きだしになった。  
 
 「ひいっ」  
  男の欲望を、いきなり無垢な処女の身に叩きつけられ、美由紀は言葉を失った。  
 「八十平さん、あんまり脅かしちゃあ、可哀相じゃありませんか」  
  澄みわたった声が、薄暗い空間に響いた。  
 「千鶴様。いや、でもこのお嬢さんがあんまり可愛いもんだから、つい……」  
  ぽりぽりと頭を掻くがっちりした男の姿の影から、瀟洒な人影が別れ出た。  
  若く、美しい女だった。  
  ほっそりとした眉。きれの長い目。筋の通った鼻梁。薄く引き締まった真紅の唇。そして、切り揃えられた長い黒髪。  
 「ひっ」  
  ふたたび美由紀が息を飲む。  
  闇に浮かぶが如き白い面貌は、作り物のように整い、やはり作り物めいた美しい黒髪に縁どられていた。人と言うより闇が産んだ妖かしのように感じられる、そんな美しさだ。  
 「まあ、私を見て驚くなんて、失礼ね」  
  千鶴と呼ばれた女がすねる。  
  ひどく藹たけて見えた表情が、とたんにあどけなさに取って代わられた。  
 「ははは。千鶴様が美しすぎるからですよ」  
  八十平と呼ばれたゴマ塩頭が苦笑を浮かべる。こちらも、恐ろしげな好色さが霧消して、人の好さ丸出しといった風情になる。  
 「それにしても、真面目そうなお嬢さんね、八十平さんの好みにぴったり」  
 「へっへっ、千鶴お嬢様にはかないませんな」  
 「か、帰してっ!」  
 「ごめんなさいね。しばらくは帰してあげられないの」  
  本当にすまなそうに言う。  
 「そ、そんな……」  
  がちゃり、と音がして、ごつい格子の一部が開き、ぬう、と八十平のいかつい体が中に入ってきた。  
 
 「な、なにを……」  
 「お嬢ちゃんみたいな可愛い娘を虜にしたら、男のすることなどひとつしかない」  
 「や、やめてください。お、お金だったら……」  
 「ふふ、いいかい、お嬢ちゃんにはお金になんか替えられない価値があるんだよ」  
 「い、いやあっ。それだけはいやあっ」  
  首を振りながら叫びちらし、不自由な身でいざるようにずり下がる美由紀。八十平はあえてゆっくりと近づいてゆく。  
 「あ、ああ……寄らないで……来ちゃいやッ」  
  だか、すぐに壁に行き当たり、美由紀はまさに進退きわまってしまう。  
 「ふふ」  
  ほくそえみながら、八十平がたくましい両腕に美由紀の肢体を抱きとる。  
 「いやあっ。お願い、かんにんしてッ」  
  叫び、身悶える美由紀。だが、かよわい女の、それもいましめられた身での抵抗などなにほどのものでもない。  
  それはぴちぴちとした生きのよさを示して、釣り上げた八十平を悦にいらせるだけの物でしかない。すぐに美由紀の体は八十平のあぐらの上に抱きとられてしまう。  
 「さて、それじゃあそろそろ本格的にお嬢ちゃんを頂くとするかな」  
  怯えさせるようにわざわざ声をかけてから、八十平は膝に乗せあげた美由紀の肢体を、ぐっ、と力をこめて抱きしめる。  
 「ひいっ」  
  好きでもない中年男の腕の中に抱きすくめられた美由紀は、もう生きた心地もしなかった。腰の下に熱く高まった男を感じさせられるのが、男を知らぬ清らかな身をさらにすくませる。  
  八十平がそのまま襟足へと顔を寄せる。  
 「いかが? 八十平さん」  
  いつのまにか寄ってきた千鶴が声をかける。  
 「へへ、生娘の匂いがしますな」  
  陰湿な座敷牢に満ちた奇妙な香の香りに混じって、甘酸っぱさをふくんだ健康的な汗の香が立ち昇っていた。  
 
 「よかったわね、お嬢さん、いい匂いだそうよ」  
 「いやあッ」  
  体臭を嗅がれ、耳元でそれを評された恥辱に美由紀が呻く。たとえどんなに誉められようと、自分の匂いについてあからさまに語られるなど、恥辱以外のなにものでもない。  
  この妖しげな美女は、同じ女としてその恥辱を十分わかっていながら自分の屈辱を煽り立てる言葉を口にしているのだと、美由紀は直感的にさとっていた。  
 (いじわるな人……)  
  そう思いはするものの、奇妙な無邪気さを漂わせるこの女性は、不思議と憎しみの心を湧かせない。  
 「お嬢さん、お名前は?」  
  小首をかしげて、黒く耀く瞳で見つめながらたずねてくる。  
 「美由紀、保坂美由紀というそうです」  
  口をつぐんだままの美由紀に代わって八十平が答えた。  
 「そう、美由紀ちゃん。とってもお似合いの名前ね」  
  そう言って小さく笑みを浮かべる、その様がひどく艶っぽい。  
 「さて、そろそろ隠しているものを見せてもらおうかな」  
  八十平の手が縄に締めあげられた友禅の打ち合わせへとかかる。  
 「いや、いやッ」  
  必死で叫び、身をよじるが、あっというまに両の襟に手がかけられる。  
 「ああっ」  
  グイ、とばかりにかきひろげられた。  
 「まあ」  
  千鶴が感嘆の声をあげる。  
 「ほう」  
  八十平もまた同様だ。  
 
  職人が丹精こめて描いた友禅地の合間からまろびでた乳ぶさは、予想を超えた量感にみなぎっていた。白いレースのお洒落なブラジャーの中に、若さをたたえた肉がみっしりと詰まっている。  
  かけまわされた縄と、絹地の襟足の締めつけとに根を締め上げられて、本来の量感を増してしまっているのだ。  
  さらに鎖骨を浮かせた首すじや、くつろげられた襟足が引っかかったままの肩口が、薄く華奢なつくりなだけに、なおさらそれがきわだって見える。  
 「これはまたずいぶんと立派なおっぱいだ」  
 「やめてえッ。は、恥ずかしい……」  
  人によっては誇りになるであろう立派な乳ぶさは、生真面目な美由紀にとっては恥辱の源でしかなかった。  
  みっともないとまでは思わなかったが、大きすぎる乳ぶさは自分の肉体の中でも最も恥ずかしい部分として美由紀自身の内で意識されてきたのだ。  
 「ふふ、真面目そうに見えるけど、体はとってもいやらしいのね」  
 「……」  
  ずばりとコンプレックスを指摘され、美由紀は真っ赤になって黙りこむ。  
 「あ、ああッ……やめてッ……かんにんしてッ……」  
  だが、黙りこんでいる余裕はなかった。すぐさま八十平の手が、ブラジャーの上からその感触を確かめ始めていた。  
 「いかが? 八十平さん」  
 「いやあ、見事なもんですなあ。ほら、手にあまるとはこのことです」  
  言いながら両の乳ぶさをわしづかみにして見せる。なるほど柔らかい肉のかたまりが広げられた指の間からこぼれている。  
 「くうッ……」  
  美由紀はあまりの屈辱に、唇をかみ締めるばかりだ。  
 「これはさっそく直に調べて見ませんと……」  
  そう言いつつポケットの中から小さなナイフを取り出す。パチンと刃を立ると、いったん美由紀の目にそれを示す。  
 
 「動くなよ。肌を傷つけちまうからな」  
  そして、おもむろに、くっきりと谷間を描く、胸の谷間に刃をくぐらせる。小さくとも鋭い刃先が、二つのブラカップのつながりを、アッサリと切り離す。とたんに内側の圧力によって、はじけるように左右に分かれる。  
 「いやあッ」  
  叫ぶ美由紀。だが、恥ずかしがって身をゆするたびに大きな乳ぶさをふるふると揺らしてしまい、好色な男女の目を楽しませてしまう結果を招く。  
  それは、二人をともに魅入らせるだけの乳ぶさだった。  
  磁器のような肌の白さといい、繻子のような肌目の細やかさといい、そしてポッチリ桜色の乳首といい、まさに処女の初々しさを体現した乳ぶさであった。  
  しかも、それが男の手にあまらんばかりに若さをパンパンに詰めたその量感を漲らせいるのだ。さしもの二人ががしばし責めの手を休んで見惚れてしまうのも無理はなかった。  
  だが、いつまでもそれだけですむはずなどない。すぐにごつい両手が柔らかい肉をつかみしめ、思う様ねぶり始める。  
  それは子供が粘土遊びをするようなものだった。手にあまるほどの柔肉を、気の向くままにひねり、変形させる。それが血の通った人の肉であることなど、全く意に介さないと言うような扱いだった。  
  八十平はただ夢中になってその柔らかい肉の感触を楽しんだ。  
  見る以上に、触ってこねまわす感触が素晴らしい乳ぶさであった。ただ手の中で弄ぶことそのものがひどく心地よいのだ。  
 「ふふ。もう夢中ね、八十平さん」  
 「や、これは……お恥ずかしい。つい夢中になりました。心底柔らかいのに、張りがあって手応えもある。こうしているだけでも至福ですな」  
  そう言いながらも両手は休むことなく乳ぶさの感触を味わっている。すっかりご満悦の八十平とは対照的に、美由紀は眼鏡のかげの大きな瞳からはらはらと涙をこぼしていた。  
 (ごめんなさい……)  
  声にも出さず、美由紀は謝っていた。  
 
  今こそはっきりとわかる。自分はあの東京から来る少年に恋しているのだと。「こんな男に触られるくらいなら」とっさに脳裏に浮かんだ姿は、まさしくあの少年の物に他ならなかった。  
  だが、もう遅い。恥ずかしいほどに豊かに実った乳ぶさは、中年男のあらけない手に蹂躙されてしまった。もちろん、それだけで済むはずもない、きっと純潔もこの男に奪われてしまうのだ。  
 「あら、どうしたの? 好きな人のことでも思い出したのかしら」  
  千鶴の勘は相変わらず鋭い。ずばりと指摘され、一瞬美由紀の面貌に狼狽の色が浮かび、指摘の正しさを伝えてしまう。  
 「心配することはないわ。大丈夫、そのうちお家にも帰してあげる。その人にもまた会えるわ」  
  にっこりと微笑む。同性である美由紀ですらとろけてしまいそうな、そんな笑みだ。  
 「それにね、初めては慣れた人にしてもらうのが一番いいのよ。たっぷりと感じられる体にしてあげますからね」  
  だが、その笑みはそのままに、すぐさまそんなことを言って怯えさせる。あきらかに、この美しい女性はなにかがズレていた。どこかが壊れている。  
  むしろ、自分を抱きすくめている男の方が、単純な獣欲にもとずいていると思われる分、常識的な気すらした。  
 「あのね、こう見えて八十平さんは女の子の扱いはとってもお上手なのよ。きっと美由紀ちゃんもすぐ気持ちよくしてもらえるわよ。ね、八十平さん?」  
 「もちろんですよ、お嬢様」  
  そう答えるや否や、八十平の手付きが変わる。ただ蹂躙して弄んでいた手が、感覚を呼び覚ます丁寧な愛撫になってゆく。  
  感じたくなどなかった。もしこんな男の手に感じてしまったら、きっと自分が許せなくなると美由紀は思った。もう二度とあの少年に顔向けできなくなると思った。  
  だが、八十平の手は千鶴が言ったように巧みに動いた。  
  さわさわと撫でさすり、ゆるゆると揉みこむ。緩急自在に変化して、敏感な柔肌を微妙に刺激してくる。胸の奥に火が灯り、少しづつ熱がこもりだした気がする。  
  狭い部屋に満たされた奇妙な香りが、なおいっそう狂おしい気持ちにさせる。  
  美由紀は知らなかったが、この地下牢に焚きこめられている香は、嗅ぐものに性欲の更新と性感の増大をもたらす鬼川家に古くから伝わる淫香なのだ。  
 
 「はあ、はあ」  
  いつしか美由紀の息が荒くなっていた。淫香の効果か、八十平の巧みな愛撫ゆえか、体の底に灯った火が、ますます熱く燃えはじめていた。  
 「ねえ、八十平さん、片方私に貸してくれない?」  
  見ているだけでは手持ちぶさたなのか、千鶴がねだる。  
 「どうぞとうぞ、お嬢様」  
  自分の体がまるで物でもあるかのようなそのやりとりが美由紀の心を傷つけるが、頭の芯がボウと霞みはじめていて、なんだかどうでもいいことのようにも思えだす。  
 「ああっ」  
  甘い声をあげてしまった。  
  八十平のゴツゴツとした手とは対照的な、千鶴の繊手の優しい感覚が、本当に気持ちよかったのだ。  
  美由紀のからだに取りつく男女が、言葉を出さず、視線のみを見交わしてほくそえんだ。だが、美由紀には、そんな二人を省みるゆとりはもう残されていない。  
 「ヒッ」  
  息を飲んだ美由紀は、グッと背すじを反り上がらせた。はからずもおもちゃにされている胸を突きだし、八十平に深く体をあずけた格好になる。  
 (な、なんなの……?)  
  美由紀は自分の身に何が起きたかわからなかった。もてあそばれる乳ぶさにピリッと鋭い電流が走った。それが彼女の知覚の全てだった。  
  実は八十平が、柔らかな肉の頂きでいつしかツンとしこり立った乳首をちょっぴりひねってみたのだった。  
 「大きいのは鈍いのが多いんだが、お嬢ちゃんのは違うようだな」  
  耳元で息を吐きかけるようにして囁かれる。  
 「感じやすいのは、女の子にとって幸せなことなのよ」  
  千鶴はそう言って、唇を先ほどとは反対側の乳首へと近づける。  
 「くッ」  
  軽くくちづけられた美由紀の体がふたたび反る。  
 「うッ、うッ、くうッ……ヒイーッ」  
  かさにかかって敏感な蕾を責めはじめた二人によって、美由紀の体が羞ずかしく躍る。  
 
 「や、やめて……いや……ああッ」  
  秀でた額に汗を浮かべながら、ただ首を振って与えられる刺激に翻弄されるばかりの美由紀。  
 「さて、そろそろいちばん肝心な場所を見せてもらおうか」  
  そう言いながらあぐらの上から美由紀を抱き下ろし、下半身の方へと移動する。  
  美由紀はこれまでの軽い責めだけで、はあはあと息を荒げて先端の桜色を唾に濡れ光らせた乳ぶさをふるふる揺することしか出来なくなっていた。  
  そんな風情の美由紀の上半身に、千鶴が添い寝するように覆い被さる。  
 「可愛いわ、美由紀ちゃん」  
  そして、がっくりと力を失った首に腕を差し入れてかきいだき、あらく息を吐く唇にくちづけする。  
 (ああ、そんな……)  
  初めてのくちづけだった。こんなことならあの犀川のほとりであの少年にキスをせがめばよかったと思った。雰囲気は盛りあがっていたのに、彼女の潔癖さが土壇場でそれを拒ませたのだ。  
  だが、意に染まぬ初めてのくちづけは甘かった。美しい年上の女性の唾液は甘く、舌は柔らかく、ただひたすらに美由紀の内に切ないものを呼び起こす。  
  荒い息を吸い取られ、口の中を探られた。甘い唾液をトロリと流しこまれ、縮こまった舌を絡めとられた。  
  だが、下半身に起こった違和感が、美しい同性とのくちづけにうっとりとなっていた美由紀を現実に引き戻した。  
  腰回りにとりついた八十平が、腰の打ち合わせを大きくくつろげて彼女の下半身を剥き出しにしていたのだ。気づいたときにはもう彼女の下半身は腰回りまですっかりゴマ塩頭の中年男の視線に晒していた。  
 「む……ああッ、いやッ、見ないでッ」  
  あわてて重なり合っていた唇をふりほどいて叫ぶ。  
 「ふふ、いい腰つきだ。おっぱいと一緒で思ってた以上にむっちりしてる」  
  あからさまな指摘が美由紀の羞恥を煽る。だが、繊細な筆致で描かれた藤の花びらの合間からからこぼれる絖白い下半身は、たしかに八十平の言葉通りにむちっとした若々しい肉で張りつめていた。  
 
 「いやッ、いやッ」  
 「さあて、お股の具合はどうなってるかな」  
 「ひいッ……いやッ、かんにんしてッ」  
  股を割られる感覚に必死で抵抗するが、すでに感じ初めて力の抜けている少女の抵抗をガッチリした中年男が意に介すはずもない。あっけなく膝を割られ、股の奥まで外気の侵入を許してしまう。  
 「ああッ」  
  内腿に風の流れを感じさせられ、その心細さに美由紀が声を搾る。彼女の最も恥ずかしい部分を守る物は、残すところ薄い和装用のパンティの白布一枚のみだ。むきだしにされたその中心部に、縦長のシミが出来ていた。  
 「千鶴お嬢様、この娘、濡れてますよ」  
 「あら、本当に」  
 「いやッ、恥ずかしい」  
 「ああ、ほんとに恥ずかしいな。男を知らない生娘のくせに、お乳を揉まれただけでお股を濡らしちゃうんだものなあ」  
  美由紀の羞恥を煽ろうと、八十平がなじる。  
 「ああッ」  
  羞らいに火照った顔を手で隠そうとしても、後ろ手にいましめられた身とあってはそれもかなわず、ただくなくなと首を振ることしかできない。  
 「おませさんなのね、美由紀ちゃん」  
  さらに耳元で千鶴が囁いて追い打ちをかける。美由紀は力無く首を打ち振り、ただ顔を真っ赤に染めるばかりだ。  
 「あッ、そ、そこはッ」  
  ついに言葉だけではなく、確かな感触を羞じらいの中心に感じた美由紀が声を上げた。  
 「いやッ、触っらないでッ」  
  なぞりあげられることで、彼女自身もそこが羞ずかしくも湿っていることをいやもおうもなく知らされる。かすかに響く湿った音が、さらに羞ずかしさを高める。  
 (なんでこんなに……)  
  自分の体が信じられなかった。見知らぬ男女に乳ぶさをもてあそばれて、股間を湿らせてしまうような、そんな淫らな体だったなどとは思いたくなかった。  
 
 「ああッ、とらないでッ」  
  ついにパンティのゴムに八十平の手がかかる。必死になって身をよじっても、薄っぺらいパンティはあっさりととお尻からめくられ、膝のあたりでちぢこまる。そのまま足袋の足先から抜きとられてしまった。  
  手の中でちぢこまるものを鼻先へともっていった八十平は、ひとしきり息を大きく吸ってみる。  
  処女の香りがした。甘酸っぱいその香りに思わず目が細まる。これから自分によって処女を失う少女の、これが名残の香りであった。八十平は貴重な記念品をポケットへと潜ませた。  
 「さて、それじゃあ可愛い××××がよく見えるようにしようかね」  
  美由紀の体を見おろしながら、八十平は新たに手にした縄をしごいた。  
  今ですら後ろ手にがんじがらめにくくしあげられているというのに、さらにくくられると知った美由紀は、泣き叫びなが暴れだす。  
  だが、そんな生贄の少女の抵抗は、むしろ八十平の嗜虐心をあおるばかりだ。にやにやとした笑みを浮かべながらバタつく脚をとらえると、膝を深く折った形にそれぞれの脚を固定してしまう。  
  続いて背後にまわって上体を起こしてやり、太腿とふくらはぎをともに巻き上げた縄尻を手繰る。すると、膝を屈した下肢が背後に向かって引かれ、胸へと押しつけられ、膝を外にして開いてゆく。  
  自分のとらされようとしている格好のおぞましさに気づいた美由紀は、声の限りに泣き叫び足袋に包まれた爪先を蹴りたて腰をよじり顔を振りたてた。だが、そんなことで縄を引き絞る男の力に抵抗することはできない。  
  遂に縄がけされた太腿を、乳ぶさに触れんばかりに引き絞られ縄留めされて、魂も失せんばかりの呻きを絞り出した。  
 
  美由紀の股はすっかり開ききってMの字を描き、外気に触れたことのない股のあわいをあからさまに曝していた。  
  麻縄によって強制された姿勢に突き出したよう格好になっているそこは、肉付きの良い太腿に押されて恥ずかしい肉の丘の盛りあがりがさらに誇張されたように見える。  
  こらえきれぬ羞恥に爪先が曲げられたり伸ばされたりするたびに、固定されて動けない内腿の筋肉にも力がこもって鼠蹊部をひくひくとうごめかせる。  
  それとともに淡々と芽生えた柔らかな絹草がふるふるとそよぎ、ひとすじ綺麗にとおった縦割れがうっすら開いて、繊細なたたなわりがおののく様を見せていた。  
  美由紀の体は心ならずも薄暗い地下牢で花開かされることとなった。豊かに実った乳ぶさと太腿を曝しあげられ、その中心部では雌蕊が馥郁たる蜜の香りを立ち昇らせていた。  
薄暗い中にも真っ白に咲いた肉の花は、それにまとわりつく絹地の藤の花よりもより一層蟲惑的であった。  
  それはたしかに美しい一輪の花といえたが、その当人にとっては地獄でしかない。花も羞じらう年頃の少女が、無遠慮な中年男の目に無垢のいのちをさらけ出しているのだ。美由紀が魂を絞るような泣き声を洩らしているのも無理からぬことであった。  
  だが、八十平にとっては、無垢な少女が見も世もない屈辱の果てに絞り出す、この涙こそが宝なのだ。いくら見ても見飽きぬ眺めなのだ。たえだえに流れる少女のすすり泣きも、耳に心地よい調べであった。  
  八十平は仰向けに広がっている美由紀の股と向きあって腰を据えた。こわれものにでも触れるように、内股を撫でる。  
 「ああ……」  
  ブルッと美由紀が身ぶるいする。豊かな感性と想像力とが、今は彼女にわざわいした。これから自分の身に加えられる凌辱が脳裏に浮かび、恐怖を高める。その恐ろしさに綺麗に切り揃えられた髪を薄縁によじりつけるように頭を振りたてた。  
 「もう、やめて……」  
  次第に腿の付け根へと近づいてゆく手の動きに、声が脅えて引き痙った。  
 「いやッ……いやですッ……」  
  美由紀は切羽詰った泣き声を張り上げた。  
 
  だが、必死の哀訴が聞き入れられることはなかった。  
  八十平は固唾を呑みながら、両手を透きとおるような処女の内腿へと這わせ、その付け根へと下げてゆく。下げるにつれて、鼠蹊部の痙るような悶えが激しくなり、泣き声がうわずった。  
  今、八十平の眼下に、おそらく自分の眼で確認されたことすらないであろう処女地が拡がっていた。肉付き豊かな腰つきに反して、そこはまさに処女地と呼ぶにふさわしい光景だった。  
  ホッカリと盛りあがった丘は、すんなりと伸びた繊毛にかろうじて覆われている。まばらなそれが左右にわかれたその中を、まっすぐな縦割れがひとすじ通っている。  
  かすかに開いた縦割れの中からは、初々しいサーモンピンクの花びらがわずかにはみ出している。  
  透明感のある花びらが合わさるその上方では、莢の影からさらに淡い色合いの小さな尖りが覗け、さらに下方へと視線を移せば、縦割れの終わるその奥に、菫色のもうひとつの花すらもうかがえる。すべての羞恥をさらした、残るくまとてない完全な開帳であった。  
  百戦錬磨の八十平をして思わずひととき手を止めさせるほどに、美由紀のそこのたたずまいは清らかだった。  
  そうしてただ視線によって炙られただけで、消え入りたげな忍び泣きが流れ、かぼそい絹草が揺れ、花びらのたたなわりが震え、蕾が息づく。  
  そんな愛らしいおとめのいのちが、踏みにじられる恐れにすくんでかすかに喘ぐその様が、八十平の興奮をいやがうえにもそそり上げる。  
 「素直な生え方をしているね。いかにも真面目なお嬢ちゃんらしい」  
  ふっくりした丘を手のひらにくるむようにして、絹草のそよぎを確かめる。  
 「ひひッ」  
  ついにいのちの中心に触れられた美由紀は、おそろしさのあまりに泣き声すらも引き痙らせてしまう。身を固くして反りあがる美由紀の耳元で、やわらかい声が囁いた。  
 
 「大丈夫。体の力を抜くのよ。すぐにいい気持ちにしてあげるから」  
  いつのまにか背後にまわっていた千鶴だった。そっと抱きあげると、ぷつぷつと鳥肌を浮かべた乳ぶさに手を伸ばす。豊かな乳肌をやわやわとなでさすり、耳元や首すじに優しく口づける。  
 「ああッ、んッ……」  
  淫香に昂ぶらされた体は、美しい同性による優しい愛撫に反応し、甘い快感を得てしまう。唇を漏れる泣き声にも、甘いものが入り混じる。  
  同時に八十平も動き始める。そっと縦割れの両側に指を置き、慎重に力を加える。かすかな湿りにまみれた繊細な花びらがゆっくりと開き、おとめの秘密をを男の欲望の視線に饗してしまう。  
  ついに体の内側にまで外気を感じた美由紀がああっと声を上げて身をゆすった。眼鏡の奥でぎゅっと閉じられ、目の端からはらりと涙が流れ落ちる。  
  透けるようなピンクの花びらがそそり立ち、その奥をかすかに覗かせる。より鮮やかに透けて見える血の色が、八十平の血をもたぎらせる。  
  興奮に駆られた指先にさらに力がこもると、かすかに光る糸を引きながらぬめった花びらが大きく割れ、奥のくぼみを灯の元にさらけだす。  
  おびえ羞じらって消えも入りたげにおののく小さな肉の口が見えた。もう一段奥には口を開けた淡い色の膜が張られているのも見える。間違いなくそれは処女膜だった。  
  八十平はゴクリと喉を鳴らした。何人もの女をこの座敷牢で弄んできたが、処女にありつくのはこれがはじめてなのだ。  
  もうこの世に生娘などいないのかと諦めかけていた矢先である。すっかり大人の豊かな体つきながら、美由紀のそこはまさに男が夢見る処女のいのちそのものであった。  
  ようやくめぐり逢えたと言う気持ちも含めて、八十平にとっては何にも勝る宝物だと思えた。  
 「綺麗な××××しているね。お嬢ちゃんの育ちのよさ、心根のまっすぐさがソックリここに出ているよ」  
  自分でも見たことのない場所を誉められても、美由紀にはなんの感慨も抱けない。ただ恐ろしさに腹を波打たせ、羞ずかしさに肌を桜色に染めるばかりだ。だが、そうやって下腹をうごめかせる様こそが八十平にとっての眼福だった。  
 
 「自分ではしないの?」  
  千鶴が訊く。  
  美由紀はあわててかぶりを振る。  
 「好きな殿方がおられるのでしょう? その方を想ってしたりしないの?」  
  さらに問い詰められた美由紀の顔に、さあっと紅色が散る。  
  したわけではない。したわけではないが、しようとしたことならばある。そう、あの少年を想って。  
  だが、結局実行に移すことはなかった。そうすることで想いが汚されるような気がしたからだ。そう考えてしまっただけでもしばらく自己嫌悪でへこんでしまったくらいだ。だから、一層強くかぶりを振った。  
 「あら、じゃあ自分でもそこに触ったことがないのね」  
  訊くともなしに洩らした千鶴のそんな言葉に必死でうなづいて見せる。  
 「おやおや、今時珍しいお嬢さんだ。ここはひとつ腕によりをかけて女の悦びを教えて上げなくてはいけませんな」  
  誰も触れたことのない清らかな処女地をこれから無理やり汚し尽くせる悦びに、八十平の血は今にも湧きかえりそうだ。まるで覚えたての頃のように湧き立つ血に内心苦笑しつつ、両手でくつろげた部分へと面を伏せてゆく。  
 「ヒイーッ……い、いやあッ……」  
  魂切るような悲鳴が響き、腰が躍り、白い喉が反った。後ろから抱きかかえる千鶴の腕の中で、美由紀は悲鳴をあげのたうちまわる。  
  八十平の舌が花びらを這っていた。にじみ始めた蜜をこそぐようにして繊細な部分をなぞってゆく。  
 かわりにつばきをタラタラ流して濡らしながら、処女の蜜の味と香りを堪能する。  
 (これはたまらん)  
  薄く繊細な花びら、たたみこまれたとろけんばかりに柔らかい襞、立ち昇る百合の花にも似た匂い、そして舌先にかすかに感じる甘酸っぱい蜜の味。  
 (まだまだ足りんな。もっとだ)  
  美味な蜜をさらに絞り取ろうと、舌先をさらに深く抉り込ませ重なり合った襞をかきわけ、奥から頂点へと向かって舌を跳ね上げて、襞の集まる先にある小さなしこりを軽く撫でる。  
 
 「ヒッ」  
  ビクンッと腰が痙り、全身が反る。シャワーのしぶきが直接当たっただけでもビクリとなる所だ。そんなおそろしいまでに感じ易い部分に直接触れられたのである。  
 「やめ……」  
  その部分の感覚を全く知らない美由紀がおびえるのも無理はない。だが、やめてと告げることすら許されなかった。  
 「ひあッ」  
  今度は反りあがったことで突き出された乳ぶさの先端を千鶴の細い指がつまんだのだ。そのまま白い指の間でこりこりと弄ばれる。そのたびにぴりぴりとした電気のような感覚が胸の奥へと走ってゆく。  
  二人がかりの巧みな愛撫に翻弄され、美由紀はもう言葉を吐くことすらかなわない。かぼそい泣き声をもらしながら脾腹をあえがせ、いましめられた体をくなくなとゆさぶるばかりだ。  
 「気持ちいいのね、美由紀ちゃん。とっても可愛いわよ」  
  囁きかけながら、そのまま耳たぶを軽く噛む。噛まれた痛みは最早痛みではなく、かすかな快感として感じられる。  
 「ここ、気持ちいいんだろう?」  
  今度は八十平がチュウと吸い上げる。  
 「ヒイーッ……う、うんッ……」  
  悲鳴とともに腰をグンと突き上げ、生々しい呻きを噴きこぼす。  
 (こいつはすごい)  
  過敏なまでの反応に舌を巻きながら、さらに中身を搾り出すようにして固い苞を剥き上げた。  
 「あ、なにをしてるの、いや」  
  下半身に異様な感覚を覚えた美由紀がおびえた声を出す。莢に隠れていてさえ感じすぎる部分がついに直接外気にさらされたのだ。  
  かすかに紅を透かせた小さな肉真珠が姿を現す。うっすらと恥垢にまみれてツンとチーズのような匂いをさせている。だが、それすらも八十平にとっては処女の証しとして興奮を高める材料でしかなかった。  
  貴重な珍味を味わうように、そっと唇で押しつつみ、舌で舐めまわした。  
 
 「あ……いや……ああッ……」  
  感覚の中心を産まれてはじめて直に刺激され、美由紀はその異様な感覚にどうしようもなく舌足らずの声を放ち、足袋の爪先をキュウと捩る。  
  八十平は跳ね躍る腰を押さえつけながら、ヒクヒクおののくものを心ゆくまでしゃぶり、口いっぱいに拡がったチーズの匂いを呑み込んだ。それはまさに乙女のみが持つ天上の珍味であった。  
  酸っぱいような刺激的なその味が、すっかりなくなるまで夢中で舐め取った。顔を離してみると、小さな尖りにまとわりついていた白っぽいものはすっかりなくなっていた。  
  その芯には先ほどよりも濃く血の色を透かせて真珠のようにつやつやと耀き、フルフルとおののいている。さきほどよりもひとまわり大きくなって反りかえっていた。  
 「まあ、可愛いらしいおさね。それにとっても綺麗」  
  肩ごしに覗き込んだ千鶴が感嘆の声をあげる。  
 「おまけにひどく敏感でして」  
  言って八十平は息をふうっと吹きかける。  
 「ひんッ」  
  たったそれだけでもビクリと体を震わせてしまう。  
  だが、あがる悲鳴は弱々しく、腰の動きもおびえると言うよりは、むしろむずかるような動きを見せていた。  
 「いいのよ、感じて。我慢してはだめ。女は可愛がられれば気持ちよくなるものなのよ」  
  そういいながらねっとりと乳ぶさを揉みほぐす。やさしくこねまわされる白いふくらみには、もうぷつぷつと粒だった鳥肌はない。ただしっとりと汗に濡れ、千鶴の繊手にまとわりついてゆく。  
  それを見て、八十平もふたたび顔を伏せ、今度こそ美由紀を追いつめるべく、とろとろと蜜をあふれさせ始めた部分へと唇を寄せていった。  
  美由紀は真っ白な光りにすっぽりくるまれ、目がくらんだようになっている。どこになにをされているかすら判断がつかない。  
 
  ひっくり返され、かきくつろげられ、羞恥の極みをさらした姿にいましめられ、羞じらいに気死したようになった心に、強烈な未体験の刺激がねじ込まれた。乳ぶさから、股間から、次々と送り込まれるえもいえぬ感覚に翻弄され、我を失った。  
  意識がうわずり、思考がとりとめなくなってしまう。体は本人の意志を離れて、体の中心を貫く電気のような刺激に自動的に反応を返してしまう。  
 (ど、どうなっちゃうの?)  
  自慰すら知らぬ身に、二人がかりの愛撫はあまりに刺激が強すぎた。ボウ、と霞みがかかったようになってゆく意識を、頭をゆさぶり続けてつなぎとめるのが精一杯だ。  
 (だめ、だめよ……感じちゃだめ……)  
  自らを叱咤するものの、唇を漏れる声も悲鳴ではなく羞ずかしい歔き声になってしまう。鼻にかかるその声が羞ずかしくて、唇をかみ締めてこらえようとするけれど、千鶴の、そして八十平の愛撫のなんと優しいことか。  
つい乗せあげられて気持ちが上ずり、歔きたくなってしまう。  
 「はあ、はあ……」  
  大きく喘ぐそのたびに、胸が波立ち、内側からせくりあがってくる何かによってパンパンに張り詰めてゆく。  
  ただでさえ羞ずかしいほどに大きい乳ぶさがさらに膨れあがるような感じがする。そこをやわやわと揉みほぐされると、うっとりとなってしまう。そこでツンととがってしまった頂きをつままれると、全身をビクリと引き痙らせてしまう。  
 「どう、美由紀ちゃん、気持ちいいでしょう。乳首もおさねもピンピンになってるわよ」  
 (羞ずかしいこと、言わないで……)  
  そう思っても、言葉にならない。ついに、うッ、うッ、と声を殺して歔きだした。  
 「そうそう、気持ちがいいときは、そうやって可愛く歔いていればいいの。そうすればもっと気持ちよくしてもらえるのよ」  
  思いは八十平も同じである。  
  羞じらいに体をもじつかせながらも、こらえきれずに洩らされる薄紙を顫わすような歔き声に、さらに血を滾らせた八十平は、肉のとがりを吸い上げ、襞を丹念にまさぐった。  
 
  舌をうごめかせるたびに、奥からトロトロと熱いものが絞り出されてくる。無垢な体がはじめて洩らす蜜は、サラリとした感じで百合の花のような香りがした。わずかな酸味を覚えるその蜜を八十平はチュウチュウと音を立てながら夢中になって啜った。  
  もう両手でくつろげている必要もなくなった。  
  つつましく閉じていた縦割れは、充血してポッテリと外側にめくれ、折りたたまれていた襞も拡がって中心部にポッカリと口を開いている。  
  そのさらに奥からは透明な蜜がトロトロとあふれだして、そこら一帯はもちろん、小さくすぼまった蕾までをもテラテラと濡れ光らせている。その眺めに年甲斐もなくはやり立ちそうになる八十平だが、そこをグッとこらえる。  
 「さて、まずは一度女の悦びってものを教えてやるよ」  
  そう言って、乳ぶさをあやす千鶴へと目配せをする。それを受けた千鶴は、白く整った美貌を小さく縦に振り、なんともいえない艶冶な微笑を返してきた。  
 「さあ、気持ちよくなりましょうね」  
  そう耳元に囁いてから、桜色に染まった耳たぶを軽く噛む。  
  ひッ、と息を呑んで身を捩ったところで両の乳首を転がされると、アッ、アッ、と愛らしい悲鳴を小さくあげながら体をくねらせ始める。  
  秀でた額に汗を浮かべて桜色に上気させ、眼鏡のレンズの向こうで眼を糸のように細めながら長い睫毛を顫わせ、半開きの唇をわななかせている。そんなどうしようもなく感じてしまっている美由紀の表情が、八十平を有頂天にする。  
  千鶴の愛撫に腰が跳ねたところで、ふたたび責めを加えだす。  
  たまらず溢れさせている蜜を追うように、蟻の戸渡りへと舌を這わせる。その下でおびえるようにヒクリヒクリとうごめいている可愛らしいアヌスのくぼみにとがらせた舌の先を触れさせた。  
 「ヒッ」  
  また腰が跳ねた。  
 「いやッ……そんな、汚いとこ……」  
  悲鳴とともに蕾が小さく縮まり、また爆ぜるようにせり出した。おののきひくつくそこを八十平の舌がくすぐるように円を描いてなぞり、ふたたびせり出したところを見図らって中心をツンツンと小突く。百合の花の匂いがにわかに強まり、歔き声もあからさまになる。  
 
 「こわがることはないわ、お尻もとっても気持ちいいんだから」  
  千鶴の言葉に応えるように、八十平の責めがアヌスへと集中し始める。予想もしていなかった部分への刺激は、確かに快感となって美由紀を翻弄した。  
  あらぬ場所に口吻を受けているという汚辱感と共に、腰の底から得体の知れないものが背骨を通って伸び上がってくる。そして、アッ、アッ、といった小さな悲鳴となって口からとびだす。  
 (な、なんで気持ちいいの……)  
  そんな場所をいじられているのに、その感覚がはっきりと心地よいことがたまらなく羞ずかしい。  
  舌先から伝わるうごめきの様子、そして噴きこぼされる悲鳴の調子、そんなものから美由紀の体がすっかり追いつめられていることを八十平は感じた。  
  もうあたりは自分が吐きかけたつばきと美由紀が我知らず絞り出した蜜とで汚れ切り、とても処女のものとは思えないありさまを呈している。芽はとがり切り、色濃く染まった花びらは開ききって蜜にまみれ、蕾すらふっくりと盛り上がっている。  
 (そろそろ気をやらせてみるか)  
  いま一度面を伏せた八十平は、今度こそ美由紀を追いつめるべく舌をさしのべた。ううむ、と生臭い呻きをもらして美由紀の体が反る。唇でくるんだ肉芽を吸い上げ、こぼれ出る蜜をすくった指先で奥の蕾をゆるゆると揉みほぐす。  
  八十平の意図を察して千鶴も美由紀を追い立て始める。細い指先を埋めるように乳ぶさへと食い込ませ、突き立った頂点を容赦なく爪先でこそぎたてる。すっかり火のついた体は、そんな荒々しい愛撫ですら快楽として受け入れてしまう。  
 「やめて……ゆるして……」  
  顫える声で訴えるが、語尾は歔き声となってかすれてしまう。歔きながらたまらず腰をゆする。むずかるようにゆれるその腰に合わせ、八十平がテクニックを凝らした。たちまち腰の動きが淫らなリズムを刻みはじめる。  
 「ああッ……ダメッ……だめになっちゃう……」  
  なにがだめになるのかはわからない。ただ、今の自分が壊されてゆくことだけは確かだ。それがこわい。だが、心がどれほどおびえても、すっかりはずみのついた体はもう後戻りは効かない。まっしぐらに見知らぬ場所に向かって突き進んでゆく。  
 「あ、いや……あ……」  
  反り返りながらズリ上がり、千鶴の腕の中深くへと身を預ける。  
 
  八十平の舌先に激しい慄えが伝わってくる。それにあわせて舌を使うたび、あふれかえった熱湯がピチャピチャ音を立てている。慄えはついに腰全体にまで広がると、ブルッと引き痙るように跳ねて八十平の顔に押しつけられる。  
 「う、うんッ……」  
  いきむような声がのけ反った喉から絞り出された。引き痙りはついに全身におよんだ。びくびくとなまなましく痙攣を繰り返すその体は、取らされた姿勢もあいまって実験用の蛙を思わせた。そして、こと切れたようにグッタリと弛緩する。  
 「いったのね。気持ち、よかったでしょう」  
  そう言いながら、千鶴は逆しまに反り返った顔を両手ではさみ、接吻した。力なく唇をあずけながら美由紀はシクシク泣き出した。薄暗い部屋に哀しい泣き声が響く。だが、虜囚の身には感傷に浸る余裕など与えられなかった。  
 「さて、それじゃあそろそろ行くかね」  
  美由紀がほとしばらせたものでべったりと汚した口元を拭いながら、八十平が立ちあがる。またたくまに着ているものをぬいで素っ裸になってしまう。  
 「どうだね、わしのものは?」  
  そう言って中年太りで出っ張った腹の下で、ここばかりは若者に負けないほどの勢いでそそり立った物を自慢げにしごいて見せる。  
 「あ……あ……」  
  恐ろしさに声も出ない美由紀は、力なく首を振るばかりだ。眼鏡の奥の瞳はカッと見開いて、取りつかれたように凶悪な肉の凶器を見つめたままだ。恐ろしすぎて視線をそらすことすらできない。  
 「すごいでしょ、八十平さんの」  
  耳元で千鶴が囁く。そして白い指先がM字開脚の中心へと下りて、たった今悦びを極めさせられてしまった場所のあたりで遊び出す。  
 「あれがこれから美由紀ちゃんのここに入るのよ」  
 「だめッ、そんなの、絶対無理です」  
 「無理じゃないわ。女の子の体ってそういう風にできているものなの」  
 
  美由紀も理屈ではそのことを理解してはいたが、目の前に突きつけられた凶器の迫力は、そんな知識など軽く吹き飛ばしてしまうほどの威圧感を持っていた。  
  そんなものが自分の中に収まるなど、とうていあり得ることとは思えなかった。汚辱感よりむしろ恐怖がまさっていた。汚されるというより、壊されるという実感があった。  
 「いやッ。怖いの……お願いです、許してください」  
  だが、そんな処女の脅えこそが八十平のような男の欲望をかきたててしまうことなど、生真面目な美由紀にとってはそれこそ想像の埒外であったろう。  
 「あッ、あッ、ああッ」  
  もはや言葉にならないひきった悲鳴をあげるしかなくなった美由紀に、反り返った昂ぶりを自らつかんだ八十平が迫り、覆い被さった。必死によじりたてられる腰を上から押さえつけ、湿りを帯びた柔襞に握りしめたものをこすりつける。  
 「ひいッ」  
  ひきつった悲鳴を上げ、涙を流す美由紀。  
 「もっと鳴いてごらん」  
  そう言いながら八十平は、秘口の中心に先端をあてがうなり、やみくもに腰を押しつけていった。  
 「い、いた……いたいッ」  
  処女をむりやり引き裂かれたつらさに、キリキリと唇を噛みしめた美由紀の全身がずり上がろうとする。体内への侵入者から逃れようとする、処女の本能的な動きだった。  
  だが、千鶴に両肩を羽交い締めするように抱きとめられていては、おそるべき肉の凶器から、一寸たりとも逃げることはかなわなかった。  
 「いたいッ……さ、裂けちゃいます」  
 「そうさ、ほら、裂けるぞ」  
  宣言するのと同時に、八十平がむんと腰に力を込めた。処女のあかしがあっというまに押し開かれ、はちきれんばかりに男のものをくわえこまされているういういしい秘肉から、サーと鮮血がほとばしり、麻縄に固縛された白い内腿に散り咲いた。  
 
  美由紀は体を裂かれた痛苦と、純潔を汚された汚辱とに、なかば失神したような状態におちいっていた。  
  見開かれた瞳は涙をあふれさせながらも、眼鏡の向こうのどこにも焦点が合っていないようだ。がっくり首は折れ、白い喉が天を仰いでいる。力なく開かれた唇からは重い呻きが絞り出されている。  
 「哀しいわね、女の子って。血を流さなくては一人前の女になれないんですもの」  
  そんな美由紀の様子を間近に見ながら、千鶴がぽつんとつぶやいた。  
  あわあわとした繊毛のあわいから、はじけたように咲いた肉の花の中心部に、八十平の野太いものがキッチリと埋まっているのがハッキリと見てとれた。押しひしがれて血にまみれた花びらが、おののき震えているのが痛ましい。  
 「でも、これでもう一人前だよ、お嬢ちゃん。ほら、お嬢ちゃんのものがしっかりワシのものを咥えこんでる」  
  そんなことを言われても、美由紀につながらされた部分を正視など出来るはずがない。ただかぼそい首をのけぞらせながら、ひッ、ひッ、としゃくりあげるだけだ。  
 「どうだい、初めて男のものをくわえた感想は」  
  訊くほうも答えを求めているわけではない。いや、言葉などよりも、ちょっと動くたびに漏れる苦しげな呻きや、理知的な顔貌に浮かぶ苦悶の表情こそがその問いに対する雄弁な答えとなっていた。  
 「つらいのね、美由紀ちゃん。せめて千鶴が優しくして上げるわね」  
  そっと囁きながら、耳たぶを軽く噛む。そのまま舌先で耳裏をくすぐり、徐々に首筋へと下りてゆく。両手のひらは、ふっくりと張った乳ぶさをたふたふと優しく押し揉み、細い指先はしこり切ったその頂きをくりくりとあやす。  
女にしか出来ない優しく甘い刺激が美由紀の上半身を走る。  
 「ああッ……」  
  つい甘い呻きをもらしてしまう。体の中心部に打ち込まれたものの違和感はそのままなのに、苦痛と共に快感もはっきりと感じとれる。身を裂く痛みと身をとろかす快感と、相反する感覚を同時に与えられて美由紀の感覚はすっかり混乱をきたしてしまった。  
 
  八十平は挿入を果たしたあと、しばらく動き出さずにいた。むりやり動かして苦悶の表情を眺めようかとも思ったが、千鶴が愛撫を加えはじめたのを見て、この新鮮な獲物をじっくりと味わうことにしたのだ。  
  八十平にとっても処女ははじめての経験であるのだから、たしかにここは急くべきではなかった。  
 「ああッ、やめて……そんな……あン……」  
  千鶴の巧みな愛撫に美由紀の声が少しづつ甘いものになってゆく。それと同時に、乾ききってすくみあがった肉も緊張を解いてゆく。  
  つばきを指にとった八十平は、そそけだった肉花の頂点の苞にそっと触れた。最も敏感な場所への刺激に、小さく悲鳴を上げて身をよじった美由紀だが、中心部を貫いた物がその動きを許さなかった。  
ただじっと与えられる刺激を甘受しながら、腹をふいごのように喘がせるばかりだ。  
  乳ぶさをあやす千鶴に調子を合わせて核を優しくなぶる。たっぷりつばきをまといつかせた指先で、苞を剥いては戻し、ときおり直に肉真珠に触れてやる。そのたびにピクリと秘肉が反応して、おのれの分身をつかみ締めてくるのがたまらない。  
 「そこは……だめ……」  
 「だめなもんか。お露がだんだんにじんできたし、中もほかほかしてきたよ」  
 「いやあッ、言わないで。だめ、だめです」  
  いやいやと首を振り必死に否定する美由紀。だが、その頑強な否定こそが八十平の言葉が真実であることを示している。  
  がんじがらめに縛り上げられ、むりやり男をねじ込まれたのだ。こんな状況で悦びを感じてしまったら二度と顔向けが出来なくなる。  
  誰に? あの東京から来た少年にだ。  
  もう二度と会えないかもしれないけれど、それでも自分の心の中に棲む少年に顔向けできなくなると思った。それは絶対にいやだった。  
 「そろそろいいかな」  
  八十平が言った。  
 
  二人がかりの愛撫に、固かった処女の肉もすっかりとまではいかないものの、だいぶとろけ出していた。充分スムーズに動ける程度にはなじんできている。  
 「いや、動かないで。こわいッ」  
 「ほんとに可愛いなあ」  
  言うなり、動いた。  
 「だ、だめ……ヒイッ」  
  いつしかうるみだしたとはいえ、そこには立った今傷つけられた傷口でもあるのだ。そこをこすり上げられるのだからたまらない。ふたたび体の芯から疼痛が全身を満たし始める。  
  一方、千鶴もただそれを傍観してなどいなかった。片手で乳首を転がし、もう一方の手を降ろして押しひしがれて苞から飛び出してしまった核をくりくりと弄る。それをみて八十平も、もう一方の乳ぶさに顔を伏せ、尖りきった乳首を唇に加えた。  
  再び苦痛と快楽が交錯する。ともに初めて知る強過ぎる感覚が、うねりからんで体を満たす。  
 「はッ、はッ、はッ」  
  突き上げと共に、短く息をもらす。  
  八十平のストロークが大きくなった。ついに彼自身も辛抱がたまらなくなったのだ。  
  今や八十平は手練手管をわきまえた中年男ではなく、はやりたつ若者のような気分になっていた。量感と弾力を兼ね備えた若い肉を、ただ欲望のままに蹂躙しようとしていた。  
  先端が稚い子宮をおびやかすほど深く突きあげる。ずたずたに引き裂いた処女膜をさらにこすりあげ、すりつぶし、にじみだした蜜をこれでもかと攪拌する。  
  豪奢な衣装と共にくくりあげられた肉が躍らされる。痛みと快楽の渦潮に捻り上げられる。  
  そしてついに穢れを知らなかった子宮が、男の熱い粘液にまみれる時が来た。  
 「うおっ」  
  一声吠えた八十平が思いっきり腰を押しつける。そうやって先端で子宮を押し上げるようにしながら一気に放った。  
 
 「ヒイーッ」  
  体内を貫くものがビクビクと跳ねたのを感じた美由紀は、魂切るような悲鳴をあげた。優雅な弧を描く眉はきつく寄せられ、黒々とした瞳は涙に濡れて見開かれ、つつましやかな朱唇は大きく開けられて悲鳴を吐く。  
  まじめな優等生であった少女が、文字通り腹の底から汚されたその哀切の表情を見ながら、八十平はなおもしたたかに放った。  
 (さようなら……)  
  たぶんもうここを出ることはない。自分はこうして死ぬまで汚されつづけるんだと思った。もう彼に逢うこともないだろう。そして、もはや心のうちに彼を思いだす資格すら失ったと思った。  
  自らの心のうちに棲む少年に対する訣別の言葉と共に、美由紀の意識は深い深い闇の底へと堕ちていった。  
 

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