「みんなどうしちゃったんだよ! 今日の演奏はなんだぁ?」  
 怒気を含んだ声が楽屋に響く。  
 ここは福岡にあるライブハウス『黒猫』。終演後の反省会でバンドリーダーの松岡千恵は激昂していた。  
 彼女たちのバンド『サウザンブラック』は今日のライブで何度も演奏ミスをしたのだ。  
 それは観客には気付かれない程度の些細なものだったが、千恵にはとうてい許容できないものだった。  
「あんな簡単なフレーズ間違えるなんて、いつものみんならしくないじゃないか! とくに拓郎のベース!」  
 名指しされた少年、大滝拓郎の顔がこわばる。  
 彼には演奏に集中できない理由があったのだ。だがそれを千恵は知らない。  
「なんか心ここに非ずって感じだったぞ。何か気になることがあるならあたしには言ってくれよ」  
 だが少年はその言葉に口を閉ざし、うつむいて床を見つめるだけだった。  
「なぁ千恵、拓郎も反省してるみたいだからさぁ、今日はその程度にしといてやれよ」  
 サブリーダーである井上隆がそう言って千恵をなだめにかかる。  
 隆にそう言われ、千恵も冷静になってくればさすがに言い過ぎたと思い直す。  
「わかったよ、あたしもちょっと興奮しすぎたみたい。でも、こんなことはもうなしだからな!」  
 そう言ってその話題は終わりとなった。  
 もともとハッキリした性格の千恵は過ぎたことをいつまでも根に持つタイプではない。  
 メンバーにほっとした空気が流れる。  
「それじゃあ簡単に次回の打ち合わせするね」  
 そのままいつもの反省会へと話題は移っていった。  
 
「じゃあ次のライブは来月30日ってことで。それまでに慎吾は3回ぐらいスタジオ押さえといてくれよな」  
 打ち合わせも終わり、メンバーたちは帰り支度を始める。  
「姉ちゃん、俺ちょっと用事あってさ、バイク借りていい?」  
 千恵の弟の慎吾がそう言ってキーを借りにくる。  
「電気消すぞぉ。忘れ物ないよな」  
 尾崎裕一が言いながらスイッチのほうに歩いていく。  
「あ、裕一、ちょっと待ってくれよ」  
 そう言いながら隆が千恵のそばで声を落とした。  
「今日はホントに悪かったよ。……なぁ千恵、それとは別に話があるんだけどさぁ」  
「なんだい?」  
「いや、ちょっと個人的に聞いてもらいたいことでさぁ……。できれば二人っきりで」  
 いつにない真剣な様子の隆に千恵は小首をかしげた。  
「おい慎吾、お前用事あるんだろ? あたしは隆と話してくから。ほらよ」  
 そう声をかけてキーを投げる。それを見て裕一と拓郎のドアに向かった。  
「じゃあ俺らは先行くから」  
「お疲れ」  
 口々にそう言うと彼らは出て行った。  
 
 部屋には千恵と隆が残される。  
「さてと……隆、あたしなんかで力になれるのか?」  
 千恵が聞くと隆はさびしげな目で言葉を継いだ。  
「千恵じゃないとダメなんだ。他じゃ代わりにならない」  
「……うん」  
 そう言いかけたとき、帰ったと思った裕一と拓郎が戻ってきた。  
「あれ? 忘れ物?」  
 振り向いて声をかけた千恵が後ろから羽交い絞めされる。隆だった。  
「なっ! なにすんだよぉ!」  
「なにって……千恵も子供じゃないんだからわかるんじゃないの?」  
 裕一が残忍な目つきでそう言った  
「……え」  
 千恵の顔から血の気が引いた。  
 
「こ、こんなことしてただで済むと思ってるのか?」  
「さぁな」  
 後ろから千恵を押さえる隆が感情のこもっていない口調で言う。  
 そして素早く近寄った裕一が暴れる千恵の足をおさえて抱え込んだ。  
 そのまま足を持ち上げると千恵の体は簡単にソファに押し倒されてしまった。  
「し、慎吾は?」  
 これは計画的に行なわれている。そう判断した千恵が聞いた。  
 弟も一枚噛んでいるのでは? それが怖かったのだ。  
「慎吾にバレたら計画がおじゃんだからな。帰ってくれて助かったよ」  
 慎吾は用事があるといった。彼が家に帰るまでここで行なわれることが発覚することはないだろう。  
 それがわかったとき、千恵の心を絶望が支配した。  
 
「いやだ! いやだよぉ!!」  
 両手両足を男たちに押さえられ、千恵がどんなにあがこうが体は自由にならなかった。  
 もともとそれほど大柄ではない千恵がどんなに渾身の力で暴れても、狂気を孕んだ男たちをはね飛ばすことなど不可能だったのだ。  
「叫んだって誰も来ねぇよ」  
 オーナーであるマスターの信頼を得ている千恵たちのバンドは鍵を預かっていた。  
 終演後は彼らだけで後片付けをし、戸締りをすることまで任されている。  
 ……それが災いした。  
 
 髪をまとめていたリボンが男たちによってほどかれる。  
 そしてそれは千恵の両手首を背中の後ろに縛り上げ、体の自由を奪っていった。  
 
「拓郎がお前のこと好きなの知ってたか?」  
 東京にいる「彼」に思いを寄せる千恵は、他のメンバーの慕情に気が付いていなかった。  
 いや、むしろ気付かないようにしていたというほうが正解だろう。  
 千恵はプロからスカウトされていた。  
 引き抜きたいという申し出に、明確な返事こそしていなかったものの彼女の心は揺れていた。  
 その一件を千恵はメンバーに伏せた。心が決まるまで、誰にも伝える気はなかったからだ。  
 だが偶然その話を聞いてしまった隆からメンバーに話が伝わっていた。  
 ……千恵がいなくなる前に拓郎に思いを遂げさせてやりたい。それがこの凶行の発端だった。  
 
 縛られた両腕、そして両足が男たちによって押さえつけられる。  
 屈強な男たちの力に18歳の少女が太刀打ちできるわけもなかった。  
 高校生離れしたグラマラスな肢体が男たちの情欲をあおる。  
 セーターを盛り上げている胸元、対照的にくびれたウエスト、ふくよかな腰つき。  
 
 両腕を縛られて自由がきかない千恵の下着がジーンズごと引き下ろされる。  
 セーターがまくり上げられ、白いブラジャーに覆われた胸が男たちにさらされる。  
「ほら、拓郎、いいぞ」  
「あ、ああ……」  
 拓郎はそう言うとカチャカチャとベルトを外し、下着ごと下ろす。  
 股間には赤黒く充血した陰茎がすでにそそり立っていた。  
「た、拓郎……やめてよ、ねぇ……あたし初めてなんだよぉ……」  
 千恵の声が震える。  
「よかったな拓郎、千恵の処女もらえるなんてよ」  
 男たちが歓声を上げた。  
 
 処女の彼女にとり、初めて見る「肉の凶器」は恐怖の感情すら覚えさせていた。  
「千恵……」  
 拓郎が千恵の股間に這いより、ひざをついた状態で千恵に体をかぶせた。  
 そのまま千恵の唇を奪おうと拓郎が顔を近づける。  
 必死に顔をそむけてよける千恵だが、拓郎は頬を両手ではさむとその唇にむしゃぶりついた。  
 いきなり唇をふさがれ、息苦しさに千恵はうめいた。  
 
 ぽってりと肉厚で性欲をそそる美少女の唇をふさぎ、拓郎はいきなり舌先を口中に挿しこんだ。  
 ぬるっと湿って生温い舌先が口腔に侵入してきて這いまわる。  
「うむぅ……」  
 千恵が息苦しさにうめく。生臭さが鼻腔をつき、好きでもない男のおぞましい舌先がぬるぬると口腔を這いまわる。  
(ううっ、気持ち悪い……)  
 眉をしかめて千恵は耐えた。これがファーストキスだった。  
 
 普通の18歳の少女ならばそんな経験はとうに済ましていたかもしれない。  
 しかし東京の「彼」を想い、いつかその「彼」にと思っていた千恵にとり、メンバーに自由を奪われての初体験は屈辱でしかなかった。  
(こんなことならあいつとキスしとけばよかった……)  
 
 「彼」は千恵に逢うために何度も福岡を訪れていた。  
 デートと呼ぶには稚拙な時間を二人は過ごしていた。そこで千恵は「彼」とキスしかけたことがあったのだ。  
 お互いに照れてしまい、二人の唇が重なることはなかった。……千恵はそれを後悔した。  
 
 舌先を絡めとられて口中に吸いこまれ、チュウチュウと下品な音をたてて吸いつくされている自分が情けない。  
 くやしさと悲しさで千恵の頬に涙が伝った。  
 拓郎はそんな千恵の心も知らず、初めての経験に舞い上がっていた。  
 飽きるほど舌をしゃぶりたててから、千恵の舌の上にトロトロと唾液を送りこむ。  
「うむっ! ぐッ!」  
 嫌悪感から千恵が顔をしかめる。  
 しかし、ぴったりと唇をふさがれている千恵はそれを吐き出すこともできず、息苦しさから泣く泣く汚濁の液体を飲み下した。  
 ……ごくごくと悲しげにのどが鳴る。  
 
 唇を合わせたまま、拓郎がブラに包まれた胸のふくらみに手を伸ばす。  
 千恵の上半身がピクッと震える。  
 双の隆起を揉みしだく拓郎の手に、布越しとはいえやわらかで弾力のある手触りが返ってきた。  
「んぐッ、むむっ!」  
 のどの奥でうめく千恵に構わず、拓郎の手がブラジャーにかかる。  
 乱暴にたくし上げられたブラからたわわな白い乳房が顔をのぞかせた。  
 高校生とは思えないほどふっくらと丸みを帯び、つんと上向いた形の良い乳房だった。  
 
「すげぇ……」  
 まわりで見ていた少年たちから感嘆の声が上がる。  
 まじまじと覗きこんだ裕一ののどがごくっと鳴る。  
「卑猥でスケベっぽいオッパイだな。千恵ちゃんもしかして経験豊富?」  
「そうそう。処女ってのウソじゃない?」  
 「彼」との交際は『付き合っている』とは呼べないほどのものだ。  
 そんな女に見られたことに千恵のプライドは傷ついた。  
「んぐっ! むぐぅ……」  
 男たちの下卑た言葉に千恵は抗議するようにうめく。  
 しかしその言葉は拓郎の唇にふさがれ、誰にも届くことはなかった。  
 
 意に染まない愛撫にもかかわらず、千恵の乳暈の中に埋もれていた薄桃色の乳首がピンと頭をもたげてきた。  
 そしてその変化は初めての経験にただ胸をまさぐるだけだった拓郎にも伝わった。  
「……え?」  
 唇を離し、拓郎が驚いた顔をする。  
「どうした拓郎?」  
「胸が……」  
「あぁ? あははは、千恵ちゃん気持ちいいの? 乳首立ってるよ?」  
 裕一が小ばかにしたように笑う。  
「き、気持ちいいわけないだろ!」  
 犯されながら感じていることに千恵は戸惑いと同時に自身への腹立たしさを感じていた。  
 それが激しい口調となって男たちにぶつけられる。  
「拓郎、お前のもみ方、気持ちいいってよ。もっと揉んでやれよ」  
 その言葉に自信を持ったのか、拓郎の指に熱がこもった。  
 指の間にはさんだ乳首を揉みながら、指の腹で乳頭を転がすようになでまわす。  
「や、やめろぉ……」  
 千恵は力なく訴えるが、拓郎の指は止まらなかった。  
 
 拓郎の愛撫はつたないながら、長く続けられるうちに千恵の体には変化が表れてきた。  
 乳房を揉まれ、乳首をもてあそばれているうちに少しずつ体の芯が火照って熱くなってきたのである。  
 それどころかじんわりとした快感も湧きあがって来る。千恵はそんな自分をもてあましていた。  
 突然訪れた体の変化をいぶかしんでもいた。  
 ……こんなひどい目にあっているというのに。  
 
「千恵ぇ……」  
 熱に浮かされたように拓郎がつぶやき、そのまま薄紅に染まる乳首を口に含んだ。  
「あっ!」  
 千恵の体がピクッと震える。  
 乳頭に舌先を這わせて舐めまわし、唇ではさみつけて転がしてから、チュウチュウと下卑た音を立てて吸いつく。  
「や、やだ……やめてよぉ……」  
 だが抵抗を口にする千恵の言葉に、わずかに艶が混じっているのを男たちは聞き逃さなかった。  
「千恵ちゃんえっちな声出してるじゃん」  
 裕一の言葉に千恵の顔が朱を差したように色づく。  
(どうして、どうしてこんな……)  
 後ろ手に縛られて拘束され、セーターとブラジャーをまくりあげられて乳房を揉まれ、乳首まで吸いたてられている。  
 こんな屈辱を受けながら、体を熱くし快感を覚えている自分に千恵は戸惑っていた。  
 
「千恵ってさぁ、もしかして淫乱?」  
「隆、お前は失礼なやつだなぁ。せめて好色って言ってやれよ」  
 千恵の痴態を眺めて男たちが笑いあう。  
「拓郎、おっぱいはもういいってさ。マンコで感じさせてくれって言ってるぜ」  
「! ……な、そんなこと!」  
 
 拓郎が極限まで勃起した怒張を千恵の股間に押し当てた。  
ぐぐっ!  
 男を迎え入れる準備も整っていない千恵の膣口に肉棒がねじ込まれる。処女の血が散る。  
「ひぎぃっ!」  
 身が切り裂かれるような痛みに千恵ののどから悲痛な声があがった。  
 
「千恵……千恵……」  
 千恵に恋慕の情を抱いていた少年は、何度も彼女の名を呼びながら肉棒を突き立てた。  
「あぁっ……出そう……」  
 恍惚とした表情を浮かべた少年がそうつぶやいたとき、千恵は全身で抵抗し絶叫した。  
「な、膣中はやめろォォォォ!!」  
「我慢できない……」  
「きょ、今日はダメっ! ダメなのぉっ!」  
「はははは……『今日は』ってことは今度は膣中でいいんだ」  
「おい拓郎、またヤらせてくれるってよ」  
 まわりで見ていた少年たちが千恵の言葉尻をとらえて囃し立てる。  
「おい千恵、膣中で出さなきゃまたヤらしてくれるんだろ?」  
「ヤらせるから……ヤらせるから膣中はやめてぇぇぇ!」  
「だってよ。おい拓郎、今日は勘弁してやれ」  
 そう言いながら隆が拓郎の体を抱きかかえると大きく後ろに引いた。  
「うぅっっっ!」  
 直後、拓郎は大きく身震いすると千恵の下腹部から胸のあたりにまで大量の白濁をぶちまけた。  
「うっ! 千恵っ! ううっっ!」  
 身を震わせ、少年は何度も千恵に精をまき散らした。  
 
「おいおい拓郎、いくらなんでも早すぎだぞ?」  
「あんまり早いと千恵ちゃんに嫌われちゃうよ?」  
「だから中洲のソープ行っとけっつったのになぁ」  
 口々に笑いながら千恵の体に飛び散った拓郎の精液を拭いていく。  
「今度は俺たちも気持ちよくさせてよ、千・恵・ちゃん」  
 千恵の顔から血の気が引いた。  
 
「こ、こんなことして……ただで済むと思ってるのかぁっ!」  
「うるせぇんだよっ!」  
 恐ろしい形相で千恵の足の間に裕一が割って入った。  
「や、やめてよぉ……」  
 途端に弱々しい声で千恵が訴える。だが裕一はそれを無視した。  
 
 千恵の秘裂に裕一の猛り狂ったモノが押し当てられた。  
 だが、ぴったりと閉じた秘裂はまるでくっついているかのように開かず、亀頭にグイグイと圧迫されてくぼむだけだった。  
「なんだよ千恵ちゃん、もうバージンじゃないってのにまだ固そうだねぇ」  
 裕一が下卑た笑いを洩らす。  
「い、いや……」  
 力なく首を振る千恵だが、さらに亀頭を押し付けられると全身をばたつかせて抵抗した。  
 強引に、だが柔らかくその足首をつかんだ裕一の手が千恵の反抗を押さえ込む。  
 同時に隆の手が千恵の腰をしっかりとつかんだ。そして  
「千恵、あんまり抵抗すると痛い思いするのはお前だぞ」  
 顔を覗きこむようにして言い放つ。  
「っ! ………」  
 その言葉に体が硬直する。  
 
 下半身を固定された千恵の秘所に裕一のモノの先端が正確に押し当てられた。  
 そして、逃げ場を失った千恵の淫裂の中心にあく奥へと続く穴に亀頭がもぐりこむ。  
「ぃっ!」  
 歯を食いしばって息を詰まらせる千恵。その膣にギチギチと音を立て裕一の先端が入っていく。  
 
「くッ! う! ううううぅぅぅっっ!」  
 千恵は全身の動きを止め、痛みをこらえる。  
「きついぜ……」  
 裕一は半分ほど埋めたまま、千恵の股間の突起に指を伸ばす。  
「んむっ!」  
 敏感な部分をこすり上げられ、千恵の媚肉がわずかにゆるんだ。  
 その瞬間を見逃さず、裕一は一気に根元までペニスを千恵に突き立てていった。  
 
「う゛ッ! うあ! あ゛あ゛っっ」  
 息を詰まらせたように途切れた悲鳴を上げる千恵。  
 目を見開き、酸素を求めるように口がパクパクとわななく。  
「どうだ? 全部入ったぞ千恵?」  
 恍惚とした表情で裕一が言った。それは千恵に尋ねるというより、自分の気持ちを口にしただけのようだった。  
 
「かはッ! は! あ゛う!」  
 あまりに痛みに悶絶する千恵は、答えることはおろかしゃべることすらできないようだった。  
 男につかまれている両足の筋肉がピンッと張りつめ、痙攣を起こして小刻みに震える。  
「へへっ、あの千恵がこんなになるなんてなぁ!」  
 裕一はそんな千恵にかまわず、わめくように言いながら激しく腰を律動させた。  
 
「ぐぐぅっ! んむ…むッ! んん!」  
 お腹の中で焼けた杭が動き回るような激痛が千恵を襲う。  
 先ほどの拓郎のセックスよりも痛みは強烈だった。上半身をよじらせ、なんとか逃げようとする。  
「ほらっ、感じるか? 感じるか千恵?」  
 千恵は裕一の声など耳に届かないといった感じで苦悶の表情を浮かべて嗚咽する。  
「もっと気持ちよくさせてやるよ」  
 そう言うと裕一はさらに激しく腰を振った。  
 
 乱暴な動きに千恵の膣が裂傷を負う。  
 足の付け根にある裕一をくわえ込んだ陰裂からの再びの出血は千恵の太ももを伝った。  
 そのまま白いシーツを血に染める。  
「あ? 千恵ちゃんまた処女になったの?」  
 笑いながら裕一が腰を突きたてる。  
「ぐうッ! ぐ! ううっ!」  
 裕一が荒々しく腰を振るたびに、飛び散った血はシーツに赤い斑点を刻んでいった。  
 
 体を引き裂かれるような内側からの痛みに千恵はあえいだ。それでも悲鳴は上げなかった。  
 こんな状況でも、なおも男たちに抵抗しようというのか、悲鳴が、涙が出そうになるのを懸命にこらえていた。  
「ううッ……うぐぅッ!」  
 左右に大きく首を振る千恵。黒髪は振り乱れ、ソファの上に扇状に広がっていく。  
 乱れた髪は頬に張りつき、唇にまで伸びる毛先を噛みしめる。  
(こ、こんな……こんな男に! うッ! うぐ!)  
 歯ぎしりをする千恵の心を、目の前の男たちに好きなようにされる悔しさと怒りが覆い尽くした。  
 
 裕一が叩きつけるように抽迭するうち、千恵の内粘膜はより傷つけられ、出血は激しさを増した。  
「お? なんかすべりが良くなってきたぞ。千恵、濡れてきたんじゃねえの?」  
 そう言うと、裕一は千恵の腰を抱え込み、肉壺の中をかき混ぜるように夢中で前後させた。  
「へへ、ガンガン行くからな」  
 
「う゛ッ! く! は……かはッ、は! ぐうぅ!」  
 千恵の体を考えない無茶な行為は千恵に大きな負担を与えた。  
 呼吸もままならず、乾いた声で苦痛の声を上げる千恵。  
 裕一がぶつけるように腰を打ちつけるたび、伝わる衝撃で千恵の腹は脈打ち、乳房は大きく跳ね上がった。  
 そしてその反動で乳房が戻るころには、すでに次の衝撃で千恵の腰が震えた。  
 ……終わりの見えない責め苦。  
 
 千恵が与える快感に、裕一はむさぼるように大きくペニスを抜き差しした。  
「はぁ、はぁ……そろそろ……イキそうだ……」  
 裕一は目に興奮の色をたたえながら腰を押し付け、荒い息で千恵に告げた。  
(イク?)  
 だが千恵はその言葉の意味を解さなかった。怪訝な表情すら浮かべる。  
「待ってろよ……はぁ、今…うっ、中で……んっ! 出して…やるからな……」  
「……ひっ!」  
 みるみる青ざめる千恵の顔。目を見開き、恐怖で身体中が震える。  
 
「や、やだ……お願い、やめて……」  
 拒絶の言葉をさえぎるように裕一が腰を振るペースを上げた。  
 そして裕一が絶頂に達しようとしたその時……。  
 
「裕一、そろそろ代われ」  
 隆が声をかけた。  
「お、おいっ……もう……イキそうなのに……」  
「あとで出させてやるよ。いいから代われ」  
 押しのけるようにして、隆が裕一から千恵を奪い取る。  
「出す前にオレにも楽しませろよ。お前が出したあとの穴に入れさせる気か?」  
 そう言いながら千恵の体を押さえつける。  
「うっ!」  
 千恵がくぐもった声を出す。隆は振り向くと、  
「お前にはもう一個の穴やるからよ」  
 裕一に笑いかけた。  
「しょうがねぇなあ……早く済ませろよ」  
 二人のやり取りの間に動かない体を引きずって千恵が逃げようとした。  
 と、その体を隆の手が乱暴に転がした。  
 
 うつ伏せになった千恵の腰に隆の手がかかる。  
 そうしておいて、痛々しく腫れあがり赤い液体にまみれた花弁に勃起をあてがう。  
「くぅぅ……ッ!」  
 再び襲い来る衝撃に備え、千恵は無意識に身構えた。  
 だが、その予想に反して隆はゆっくりと行動した。  
「オンナの子ってのは優しく扱ってやらないとね、千恵ちゃん」  
 そう言いながら、まだ血でぬめる秘壺の中にゆっくりと、ゆっくりとこわばりが侵入してくる。  
「ぅっ……」  
 身をよじらせ、それでも逃げようと千恵が身悶える。  
 隆はその肩を押さえて固定すると、静かにペニスを根元まで収めた。  
 
 じわじわと引き裂かれていく感覚が、途切れることのない激痛となって千恵の脳髄をしびれさせる。  
「ぐっ、う! うくッ! うっ、ぅぅぅぅ……うううぅぅぅ!」  
「ほぉら、入った…ぜ」  
「う…ぐ……ッ、はぁ、はぁ」  
 隆の言葉に応えることもできず、千恵は荒い呼吸をくり返した。  
 その様子に薄ら笑いを浮かべると、隆は差し入れた肉棒を入れたときよりもさらにゆっくりとした動きで引き戻しはじめた。  
 先ほどの激しい摩擦のせいで、触れるだけで激痛が走るほど腫れあがった媚肉が今度はズルズルと引き出される。  
「ひぎッ! ぎ! う゛あぁぁぁ!」  
 ソファに顔を伏せるようにして千恵は長い苦悶の叫びを上げた。  
「へっへっへ」  
 笑みを浮かべながら隆が腰を埋め込んでいく。  
 同時に、中に溜まった血が押し出され、じわじわと湧き出すように結合部のすき間からこぼれて太ももを伝う。  
「はぁはぁ…ぐッ! あぁ……は、ぐぅ……う! うぅ!」  
 さらにゆっくりと、だが止まることなく隆が腰を前後させる。  
 その遅い動きがより残酷に千恵の全身を責めさいなみ続けた。  
 
 何度目のときだろうか、隆が腰を引ききったところで裕一を振り返った。  
「どうだ? お前の時と違って歓んでるだろ?」  
「よ、歓んでなんか……」  
 隆の言葉に痛みを上回る怒りがこみ上げた千恵は、顔を真っ赤にさせて背後を振り返った。  
 ……と、その肉壺の中に隆のモノがズブリッともぐりこんだ。  
「ぐウっ!」  
「なんだ、そんなに気持ちいいのか……んじゃぁこんなのはどうだ?」  
 言いながら隆は腰にひねりを加え、千恵の膣中を左右に広げるようにしてペニスを押し込んだ。  
 
「ぃぃ痛いぃぃぃっっ!」  
 ついに耐え切れなくなった千恵が、正直な声を上げて首をのけぞらした。  
「はははは」  
 千恵の叫びを聞いた隆は満足そうな笑みを浮かべて腰の動きを止めた。  
 同時に千恵が力なくソファに倒れこむ。  
「はぁ、はぁ、はぁ……」  
 だらしなくソファに身を預ける千恵は荒い息をくり返してはビクビクと身を震わせた。  
 その体の上に覆いかぶさるようにすると、隆は耳元でわざとらしく問いかけた。  
「どうした? 痛かったのか? 痛いんならそう言わないと、オレ気付かなかったよ」  
「くっ! こ、これだったらさっきのほうがまだましだよ」  
 肩越しに顔を振り向かせ、千恵が隆をにらみつけた。  
「なんだ? もしかして激しいほうがよかった?」  
 そんな千恵の態度をまったく意に介さない調子で隆が聞いた。  
「……な」  
 にやついた顔で隆はうろたえる千恵のお尻を再び抱え上げた。  
「激しいのがいいなら、最初から言えばいいのに……よっ!」  
 
ぐんっ!  
 言葉と同時に勢いよく肉棒がねじ込まれた。  
「うぐウっ!」  
 千恵の体が大きく揺れた。秘壺を突き抜かれ、息を詰まらせる。  
 間髪いれず、隆は腰を戻すと二撃目をくり出した。  
「がはっ!」  
 悶絶する千恵。  
 隆は千恵の尻肉に爪を立ててがっちりと捕まえると、ガンガン激しく腰を打ち付けた。  
「あ゛ッ! はァ、はァ! う゛! うぅっ、ぐ! う゛あ゛ぁぁっ!」  
 荒々しい衝撃に千恵の体が大きく揺れる。  
 体を支えようにも腕を後ろ手に縛られている千恵の顔がソファに突っ伏す。  
 
 隆はさらに動きを早めて千恵を突きまくる。  
 その衝撃のすべてを受け止める千恵の頬が上下にゆがんだ。  
「くっ、う゛……うぅッ!」  
 耐えられずになんとか逃げようと手を前に伸ばした千恵の肩を隆がつかみ引き寄せる。  
「うあっ!」  
 再び千恵の膣に隆の勃起が深々と埋没した。  
 呼吸もできず、短い悲鳴を上げる千恵。  
 
 その様子を見、隆は満足そうに微笑むとゆっくりと腰を引いた。  
 そして抜けきる直前までいくと動きを止め、大きく息をついた。  
「う〜ん……やっぱりオレは激しいの好きじゃないなぁ………」  
「ふっ……は、はぁ、はぁ……はぁぁぁ…」  
 嵐が収まり、安堵の吐息が千恵の口から洩れた。だが次の瞬間……。  
ずんっ!  
 隆が一気に腰を叩きつけた。  
「ぐぅああああぁぁぁ!」  
 強い衝撃はその一度だけだった。隆は再びゆっくりと膣中を前後する。  
 中をかき回すように静かに腰を回し、また奥深くまで沈みこませる。  
 ……ゆっくりとしたくどいような動き。そして時に強く、隆は緩急をつけて千恵を突いた。  
 
「も、もう……終わ…りに、して……」  
 千恵の目に涙が光る。  
「あ? なんだって?」  
「だ、誰にも…っ、言わないからっ……もう勘弁して……お願」  
「バカ言ってんなよ、第一まだ俺は出してないぜ。隆もだろ?」  
 裕一が千恵の言葉をさえぎる。  
「なぁ隆、そろそろ俺もいいだろ?」  
 そして隆に問いかけた。  
「待たせたな、いいぜ」  
「おぉ、やっとかよ〜」  
 裕一がそれまでの不満げな顔を一変させて千恵たちに近付いた。  
 
「よっと……」  
 乱暴にペニスを千恵から引き抜くと、隆は今度は千恵を上にかつぎ上げた。  
「うぐッ!」  
 体に力が入らず、隆のするがままに千恵は再び、今度は下から挿入された。  
 そのまま隆は千恵の尻肉をつかむと、左右に割るように広げた。  
 裕一に見せびらかすように菊座があらわにされる。  
「な、なに…を?」  
 恐怖におののいた千恵の声。  
 
「ちょ…な、何をする気なんだよ!」  
 震える千恵の声に隆が笑う。  
「ここまでされてわかんない? 千恵ってもうちょっと頭いいと思ったんだけどなぁ………」  
「何って……ここに入れる気なんですけど?」  
 裕一が隆の言葉を引き継いで笑う。  
 言葉と同時に、裕一の先端が千恵の茶褐色のすぼまりに当てられる。  
「ば…や、やめろっ! やめてくれぇ!」  
 想像もしていなかった場所が蹂躙されようとしている。千恵が色を失う。  
「な、なぁ…じょ、冗談だろ? 隆ぃ! 裕一ぃ!」  
 唇を震わせてうろたえた千恵が、逃げようとしてあわてて腰を振る。  
「くッ! う、うあ!」  
 その刹那、下から貫かれている部分に激痛が走り千恵の動きが止まる。  
 
「どこにも逃げられないよ、千恵ちゃん」  
 隆が千恵の腕を押さえる。裕一は笑いながら千恵の鮮血をすくって肉棒になすりつける。  
 先ほどの行為で血に染まった裕一の剛直は、その表面に乾いた血がこびりついていた。  
 その上から新たに純潔だった証を塗りまぶしていく裕一。  
「遠慮はしないからね、千恵」  
 裕一は両手の親指で尻肉を開いた。そのまま腰をせり出す。  
 だが強靭な圧力が裕一を拒んだ。  
 
「嘘だろっ! 裕一、本気じゃないよな? やめてくれるよな?」  
 男の欲望にすぼまりをこじ開けられようとしながら、最後の希望で千恵が叫ぶ。  
 しかし、じわじわと菊門が広がる感覚に裕一の本気を知り、千恵は驚愕した。  
 迫り来る欲棒から逃げようとする千恵だが、二人の男の腕に押さえられ、奥まで挿入されたペニスに動くことができない。  
 その間にも真っ赤に染まった肉棒が千恵の狭い穴を限界まで押し広げ、ついに亀頭がもぐりこんだ。  
 
 一番張った部分がもぐりこみながら、どこよりも強い締めつけをみせる尻穴のせいで裕一は最後まで貫けないでいた。  
「ぐ、ぐうぅぅぅ!」  
 身を切られる激痛と、これまで味わったことのない違和感に千恵の額に脂汗がにじむ。  
「半分まで入ったぞ」  
 裕一が弾んだ声が後ろからする。  
「お前もそういうの好きだよなぁ」  
 半ばあきれたような隆の声がそれに答える。そのままため息混じりに千恵を突き上げた。  
 
「ひぐぁッ!」  
 意識をお尻に集中していた千恵にとって、その律動は予想外だった。  
 突然の攻めに腰がビクリと蠢動する。  
「お? いいねぇ今の締めつけ。千恵ちゃんもいい仕事するねぇ」  
 うれしそうな声を隆が上げる。  
 最後まで貫けないことに業を煮やしたか、裕一は体重をかけるようにしてのしかかり、肛門に肉棒を差し入れていく。  
 上の裕一の体重がかかり、下の隆の肉棒が膣に深々と突き刺さる。  
 隆は先ほどの突き上げで千恵の膣が締まったことに味をしめたのか、周期的に腰をびくつかせた。  
 
 肛門を引き裂くように掘り進んだ肉棒が、ついに3分の2ほどうずまる。  
「へへへ。どうだ千恵、もうすぐだぞ?」  
「はぁ、はぁ、はぁ……」  
 もはや声も出せなくなった千恵の口からはあえぎだけが洩れていた。  
「千恵ちゃんはうれしくって言葉にもなりませんってさ」  
 定期的に腰を突きたてながら隆が笑った。  
 大きく肩で息をしている千恵とは対照的に、二人の男は嬉々として行為を続けていた。  
 
 千恵の長く黒い髪は噴きだす脂汗を吸い取り、つややかな光沢を放っていた。  
 と、裕一が手を伸ばし、その髪をつかんだ。  
 そのまま髪を引っぱり上げると同時に、裕一は一気に腰を打ちつけた。  
 腸の奥まで貫かれ、千恵が絶叫した。  
「うあぁぁぁぁぁ!!」  
 体を震わせのけぞる千恵。……絶叫が途絶えると、その体が隆の胸板に崩れ落ちた。  
 
「寝てんじゃねえよ、起きろ千恵!」  
 裕一が髪を引っ張って千恵の体を引き起こす。  
「ううぅぅぅぅ……」  
 意識が飛んでいるのか、千恵はうめくだけで反応がない。  
「しょうがねえ、二人で同時に突いてみるか?」  
「よし」  
 言葉とともに男たちが千恵の中に肉棒を突き立てた。  
 
「うぐぁぁぁっ!」  
 冷水を浴びせられたかのようにビクンッと体を震わせ、千恵が身を起こした。  
 ……前と後ろの穴に深々と刺さった痛みが千恵の意識を現実に引き戻していた。  
「今夜は寝かせないよ、千恵」  
 そう言ってケラケラ笑う隆。  
「奥まで入ったのわかる?」  
 勝ち誇ったように言う裕一。  
「オレたちの攻めが甘かったから寝ちゃったんだよね」  
「ち、違……」  
 隆の言葉に青ざめた顔で千恵は必死に首を振った。語尾がかすれ、よく聞き取れない。  
「寝てられないように、もっと激しくしてくれってよ隆」  
「あ…あう……」  
 凍てついた表情で千恵が硬直した。  
 
 裕一が千恵の尻肉をつかむと激しく腰を振り出した。  
 侵入しようとする異物に括約筋が収縮して抵抗する。それに逆らい、裕一のモノが往復する。  
「ぐッ! ぐッ! ンうッ!」  
 下からは千恵の腰をつかんだ隆が一拍遅れて肉棒を跳ね回らせる。  
「う゛あッ! あッ! あ! ああぅっ!」  
 前の穴からペニスが引き抜かれると後ろの穴に差し込まれ、後ろから抜かれると前に突き刺さる。  
 黒髪によって際立たせられた千恵の白い肌。その白い肉を割ってどす黒い肉棒がふたつ出入りをくり返す。  
 男たちはふたつの穴を奥までえぐり取るようにして交互にこすりたてた。  
 
(こんな…こんなにつらいことはもうたくさん……)  
 泣きたくなる気持ちで千恵の心はいっぱいだった。気絶してしまえばどれほど楽だったろう。  
 だが内臓がかき回されるような痛みに千恵はそれさえ許されなかった。  
 千恵を犯し、男たちは欲望のまま動きつづけた。  
 
「はぁ、はぁ、はぐゥ! う゛あ…あう!」  
 流す涙すらなくなった千恵が苦痛の声を洩らす。  
「あぁ、イキそうだ……」  
 余裕のなくなった裕一の声がした。  
「今度こそ膣中でたっぷりと出してやるからな」  
 苦しそうな息で隆も告げた。  
「うぐぅ…ああぁぁ……な、膣中には出さないって言ったろ!」  
 遠のきそうな意識で千恵が叫ぶ。  
「拓郎は、な」  
「そ、そんな……」  
「はぁ、はぁ……イ、イク…ぞ……うおおぉぉぉ!」  
 次の瞬間、獣のうなり声のような咆哮とともに裕一の動きが止まった。  
 裕一がビクビクと腰を震わせながら千恵の腸内へと欲望の塊を吐き出した。  
「かはっ! は…は、うぅぅーー」  
 精液が腸の中にあふれ返る不気味さに耐えるように千恵は両のこぶしを強く握りしめた。  
 ……握ったこぶしから血の気が引き、白く変色していく。  
 二度、三度……。裕一が断続的に腸内に欲望を注ぎ込む。  
 満足したのか、裕一が大きく息をついたのを感じた千恵は疲れきったように隆に倒れこんだ。  
 
 が、  
「オ、オレもイクぞ……うっっ!」  
 隆が短いうめき声を上げて体を硬直させた。  
 そのまま体を小刻みに震わせ、目を閉じて千恵の膣内に射精する。  
「ぐぅっっ!」  
 再び千恵の体がビクッと跳ね上がる。  
 目を見開き、口をパクパクさせたまま、体の奥に熱い粘液がぶちまけられるのを耐えていた。  
 
「も、もう俺も我慢できない!」  
 千恵たちの嬌宴を見ていた拓郎が大きく張りつめたモノをしごきながら千恵に近付いた。  
 そして千恵の顔のそばに赤黒い亀頭を持ってきた瞬間、その先端から白濁がほとばしった。  
びゅるっ! っびゅっ! どびゅっ!………  
 発射された粘液は千恵の頬にあたり、髪を濡らし、唇にかかった。  
 異臭を放ち、頬からあごに垂れ、ふくよかな胸に落ちる精液を、千恵はただぼんやりと見ていた。  
 
 今度こそ完全に脱力して、千恵は隆の上に倒れこんだ。  
 直腸の中のぬくもりと、膣から垂れる生あたたかい感触、顔にかけられた体液の嫌悪感にもう出ないと思っていた涙がこぼれた。  
「く…うう……うぅぅ」  
 千恵は声を殺して泣いた。  
 
 ……汚されてしまった。  
 いつの日か「彼」に捧げようと思っていた純潔が、信頼していたメンバーに散らされてしまった。  
 千恵は泣いた。  
 男に対する怒り。友人に裏切られた心の痛み。人生の絶望感……。  
 それぞれが心の中を渦巻き、頭が真っ白に、そして意識が遠のいていく。  
「どうだ? 中で出してもらった感想は?」  
 ……千恵の耳に男たちの声は聞こえなかった。  
 消えゆく意識の中、ただ「彼」に対する謝罪の気持ちだけが千恵の心に残されていた。  
 
              おわり  
 

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