「ねえ若菜ちゃん、何だかだるくて起きられないんだ。食事させてくれないかなあ?」  
 若菜が夕食を運んでいくと、大倉らいたが甘えるような声で言った。  
 綾崎若菜は二十一歳。西新宿にある総合病院の看護婦である。  
 「嘘ばっかり、本当は食べさせてもらいたいだけなんでしょ?」  
 いつものことなので、若菜もくすくす笑いながららいたの膝の上に夕食をお盆ごと置いた。らいたは仕方なく半身起こして箸を手に取った。  
 「はは、バレたか。でもほんと、若菜ちゃんみたいに可愛い子に食べさせてもらったらすぐ元気になれるのにな。特に口移しなんかだったらさ」  
 「とっくに元気なくせに」  
 「一口でいいからさあ、口移しで食べさせてくれないかなあ」  
 らいたは少しでも若菜に長く居てもらいたくて、よく回る舌で何かと話しかけてきた。しかも話題は若菜の肉体に関する、かなり際どいものばかりだった。  
 初体験はいつだったかとか、恋人は居るのか、オナニーはしているか、パンティの色は、患者としたことはあるかとか、およそセックス以外には関心はないような男だった。  
 大倉らいたは二十八歳、独身でかなりハンサムだった。しかしプレイボーイ風で、女性の見舞い客は多いが本命は居らず、殆ど恋人というよりセックスフレンドばかりのようだった。  
 面会時間中はこの個室で見舞いの女の子とイチャついているし、面会時間を過ぎると今度は看護婦に声をかけてくる。  
 単に話し相手が欲しいのではなく、本気でやりたがっているのだった。中でも赴任したての若菜が彼の気に入ったようだ。  
 らいたはもう完全な健康体だった。ただ生来の怠け癖と会社の弱みにつけ込んで、ズルズルと居続けて遊んでいる入院ゴロである。  
 勤めていた自動車工場内の二階の鉄柵が折れ、彼は機械の中に転落した。施設の安全管理がなされていなかったということで会社が全面的な賠償と保障をした。  
 
 全身打撲と骨折で全治六カ月の重傷、しかしらいたは後遺症も傷も残らず完治した。それなのにもう八カ月近く、つまり若菜がこの病院に入る前から居て、今なおノンビリと過ごしているのであった。  
 担当医が退院を促すと、またどこが痛いの気分が悪いのと言って延び延びにするのである。まあ今は比較的病室も空いているし、手のかかる患者ではないので、病院側も放っている状態だった。  
 しかし気さくな二枚目だし、どんなブス看護婦にも一級品のお世辞を言うため、看護婦たちには案外人気があった。  
 そして表面上は誰も本気で相手にしていない風を装っているが、中にはらいたと肉体関係を持った看護婦もきっといるに違いないと若菜は思っていた。  
 まあ、いてもいなくても若菜には関係ないし、らいたのことも憎めない人とは思うが別に好みではなく、特にどうという意識もしたことはなかった。  
 そんなある夜、たまたま若菜が一人夜勤で外科病棟に居るとき、らいたの部屋のブザーが鳴った。  
 若菜はすぐに詰め所を出てらいたの部屋に行った。  
 「ううううう」  
 薄暗い部屋でらいたが身体をくの字に曲げて悶え、苦しげに呻いていた。  
 「どうしたの? 大倉さん、おなか痛いの?」  
 若菜はびっくりして灯りをつけ、らいたの毛布をはぎ取った。  
 するとらいたはパジャマのズボンの口から勃起した陰茎を出して、いつかにんまりと笑っていた。  
 「これが大きくなって、苦しくてしようがないの。何とかして」  
 「まあ呆れた」  
 若菜は溜息をつき、メッと睨みつけた。そして無視して帰ろうとすると、らいたが若菜の手首を掴んだ。  
 「何するの。おいたすると婦長さんに言いつけるわよ」  
 「ま、待って。好きなんだ。今夜は君が当直と知って呼んだんだ。若菜ちゃんと思うと僕の胸は張り裂けそうに辛くなるんだ。どうか一度だけ願いを叶えて」  
 
 らいたは力を緩めず、顔だけは神妙にして訴えかけた。  
 「誰にでもそう言うんでしょう?」  
 「ち、違う。本気なんだ。君のためなら何でもする。君が望むなら僕は何時間でも君のクリトリスを舐め続けるだろう」  
 「そんなことされたら腫れちゃうわ」  
 しかしらいたは諦めず、力ずくで若菜を抱え込み、くるりとベッドの上で上下入れ替わってギュッと唇を押し当ててきた。  
 「あう………!」  
 舌の侵入を拒もうと若菜は歯るが、さすがに手慣れた感じで、もうらいたの手が白衣の裾をまくり上げ、パンティの中に潜り込んでいちばん敏感な突起を捕えていた。  
 たちまち若菜の身体からぐんにゃりと力が抜けていった。もともとイヤらしいことが嫌いではないし、感じやすく濡れやすい体質である。  
 若菜はいつか前歯を開いてらいたの舌を迎え入れ、舌をからめて激しく吸いはじめていた。  
 らいたの指はツボを心得たようにクリトリスを這い回り、たちまち若菜はじんわりと濡れはじめてしまった。指の動きも愛液にヌラヌラと滑らかになっていった。  
 若菜は快感に負けまいと、懸命に顔を曲げてようやく唇を離した。  
 「ダメ………、やめて、お願い………」  
 「だって、もうこんなに濡れてきたじゃないか」  
 「そうじゃないの。ここではダメ。両側とも患者さんがいて聞こえるといけないから」  
 「そうか、よしよし、じゃいいところがある。一緒に来て」  
 らいたは若菜を離してベッドから立ち上がり、若菜を起こしてやった。  
 そして一緒に病室を出て、しんとした廊下を歩きはじめた。若菜はズリ下がったパンティを直しながら、先に立って気がせくように進むらいたを急いで追った。  
 「若菜ちゃんの匂いがする」  
 らいたは振り返って言い、指をクンクン嗅いだ。  
 
 階段を降りて一緒に行き、各科の診察室のほうへすたすた歩いていった。長く病院に居るらいたは、若菜なんかよりずっと病院の構造や内情にも詳しいようだった。  
 やがて二人は産婦人科の診察室のドアの前に立った。  
 「さあここだ。ここなら大丈夫」  
 「だって、ここは………。こ、困るわ、もし見つかったら、あたし………」  
 尻込みをする若菜を、らいたはさっさとドアを開けて中に押し入れてしまった。そしてこの部屋がいかに安全であるか、とくとくと説明した。病室のある階ではないし、一階とはいえ病院の入口からはいちばん離れている。  
 この並びはすべて夜は人の来ない部屋ばかりだし、救急指定だが今夜は産婦人科担当は夜勤ではなく、だから仮に産婦人科の患者が来ても他の病院へ廻される。  
「そして、この部屋には面白いものがいっぱいある」  
 らいたは言いながら、部屋の灯りはつけずに診察台脇のライトだけつけた。本当に何から何までよく知っている男だった。  
 若菜だって、産婦人科にかかったことはないし、診察室も形ばかり覗いた程度でしかなかった。そういえば様々な器具をじっくり見るなど久しぶりだったし、それらは淫靡を通り越して薄気味悪くさえ思えた。  
 「さあ、今夜は患者と看護婦の立場を逆にして楽しもうよ」  
 らいたがパジャマを脱ぎながら言った。  
 若菜が戸惑っているうち、らいたはたちまち全裸になってリノリウムの床を素足でペタペタ進み、検診台の角度を確かめた。  
 そして若菜に近づき、白衣のボタンを外しはじめた。胸元を大きくくつろげてブラジャーのフロントホックを外し、さらにしゃがみ込んでパンティをズリ降ろして足首から抜き取った。  
 「じゃ、ここに寝てごらん。僕が君の可愛いおまんこを見てあげるから」  
 「ああん、何だかこわいわ………」  
 若菜はとうとう婦人科の検診台に乗せられてしまった。革張りだが着衣のままなので冷たくはない。  
 
 背もたれは歯医者の椅子よりもやや仰向けに近く、尻を乗せるところが大きく内側にえぐれて、ワレメもアヌスも丸見えになるよう作られていた。  
 「さ、ここに脚を乗せるんだ」  
 らいたが言い、若菜の脚を片方ずつ持ち上げてバンドで器具に固定し、若菜は大股開きになってしまった。白衣の裾がめくれて、その中心にライトが当てられる。  
 「ああ………、恥ずかしい」  
 「恥ずかしくないさ。とっても綺麗だよ」  
 らいたは言いつつ若菜に屈み込み、再びねっとりと唇を重ねてきた。  
 「うん………」  
 若菜はらいたの舌を吸いながら、眉をひそめて呻いた。彼の指がまた、無防備なワレメに触れてきたからだ。  
 らいたの指は微妙なタッチで小陰唇を撫ぜ、クリトリスを小刻みに圧迫してきた。すぐに濡れてきて、溢れる愛液に指がクチャクチャと鳴った。固定されて足を閉じられないのがもどかしく、それが一層若菜を感じさせた。  
 やがてらいたは唇を離し、そのまま若菜の首筋を舌で伝いながら胸の谷間まで這い降りてきた。そして片方の乳首にチュッと吸いついた。  
 「あっ………!」  
 若菜は検診台の上でビクッと震えた。台はさすがに丈夫にできていて、激しく悶えてもミシリともいわない。  
 らいたは若菜の乳首を交互に吸って舌で弾き、次第に上気して色づく肌の温もりと、悩ましく甘ったるい体臭をゆっくり味わった。  
 唾液に濡れた乳首はヌメヌメとピンクに色づき、つんと硬くなって震えていた。やがてらいたは顔を上げ、診察用の椅子に腰掛けて若菜の両脚の間に身を進めた。  
 さすがに検診台はよく出来ていると思う。これならどんな恥じらいの処女でも余すところなく秘所が丸見えだし、それにいじりやすい。しかも診察には関係ないが、この形がもっとも舐めやすく挿入もしやすいのである。  
 
 ライトに照らされて、黒々とした恥毛がツヤツヤと光沢を放っている。そして大陰唇が大きく張りだし、その中で小陰唇が濃いピンク色で愛液にヌメつきながらヒクヒク収縮していた。  
 ぽつんとしたクリトリスが、やや大きめのシワシワの包皮から顔を覗かせ、男性の亀頭の小型そのものに小さなキノコ型をして勃起していた。  
 らいたは指を当てて小陰唇を広げた。  
 「あう………」  
 若菜が小さく呻いてピクンと内腿を閉じようとした。  
 愛液にヌメり、開くとき微かにピチャッと音がした。ヌルヌルと濡れそぼつピンクの肉が見え、膣口が艶めかしく息づいていた。そしてほのかに甘酸っぱいようなぬるい匂いがゆらめいた。  
 二十歳の汗と残尿と恥垢のミックスされた、欲情をそそる体臭だった。  
 「若菜ちゃんのおまんこ、いい匂いがする………」  
 らいたは囁きかけて、ことさらに顔を寄せてクンクン鼻を鳴らした。  
 「ああっ、いや、言わないで、恥ずかしい………」  
 若菜は固定された脚をうねうね蠢かせて喘いだ。  
 もう深夜の産婦人科室の薄気味悪さはかき消え、若菜は淫靡な快感だけに没頭していた。らいたの息を羞恥の中心に感じ、ヌラヌラと滑って開き直す指の感触に、じっとしていられないほど呼吸が弾み身体が悶えた。  
 「さあ、おまんこ舐めてって言ってごらん」  
 「あうん………、お、おまんこ舐めて………、ああっ………!」  
 若菜は羞恥に悶えながら言い、腰をくねらせた。やがてらいたが舌を伸ばして顔を寄せ、艶々と色づくクリトリスをチロリと舐め上げた。  
 「あうっ………!」  
 若菜の身体が、電気に痺れたようにビクッと跳ね上がった。らいたは決して自分の欲望にのめり込まず、意地悪く焦らして反応を楽しんだ。  
 「もっと舐めてほしいかい。だったら口に出して言いなさい」  
 「ああん、いじわる! あ、あたしのために何でもするって言った癖にぃ………」  
 「早く言うんだ。ヌレヌレのおまんこの方が正直だよ」  
 らいたは指でくねくねクリトリスをいじり廻した。  
 
 「ああっ、な、舐めて、奥まで、ワレメの中全部ベロベロ舐めて、食べちゃって!」  
 若菜はもうどこで何をしているかもわからず、狂ったように身悶えながら口走った。らいたは満足げに頷き、ようやく本格的にクンニリングスをはじめた。  
 「ヒッ………!」  
 クリトリスに強く吸いつかれて若菜がのけ反った。らいたは芳しい恥毛に鼻を埋めながら、舌を小刻みに左右に蠢かせてクリトリスを舐め続けた。  
 そして大きく口を開けてクリトリスごとぷっくりとした恥丘の脹らみに吸いつき、唇をモグモグさせた。  
 「あ………、ああっ………!」  
 若菜が喘ぎ、愛液は後から後から溢れ続けた。らいたは舌を伸ばしてネットリとした愛液を掬い取り、ヒクつく小陰唇の内側に舌を這い廻らせた。濡れた粘膜はピッタリ吸いついてくるようで、何やら別個の生き物のようだった。  
 らいたは小陰唇を唇に挟み、巻き込むようにチュッと吸った。そして膣に舌を潜り込ませ複雑に入り組む細かな襞を舐め廻した。  
 舌が少し疲れてきて、らいたは顔を上げた。そして指の愛撫に切り替え、タップリと愛液をまといつかせてから、手のひらを上に向けて中指を膣にヌルヌル押し込んでいった。  
 「あうう………、もっと、強くぅ………」  
 若菜がむずかるように甘ったるい鼻声で言った。  
 見上げると若菜の顔はすっかり上気して桜色に染まり、乱れた髪が汗で貼りつき、看護婦の帽子をつけているだけに一層艶めかしく見えた。  
 らいたは中指を根元まで入れ、ツブツブのある天井をこするように動かし、いちばん奥の子宮頸部もコリコリと愛撫した。若菜は喘ぎ続け、汗ばんだ肌を悩ましくくねらせた。愛液は温泉のように溢れ続けてらいたの指をネトネトにした。  
 らいたは指を中でねじり、手のひらを下に向けた。そしてワレメの下に屈み込んで、左手で尻の双丘を拡げ、羞すかしげにぽつんと閉じているアヌスを観察した。  
 
 鼻を寄せると微かに汗の匂いに混じって生々しい刺激臭がする。  
 「お尻の穴舐めてほしい?」  
 「な、舐めて………、奥まで………」  
 若菜は熱っぽい視線をふらふらさせながら、粘つくような声で答えた。  
 らいたは膣に入れた指をグネグネ蠢かせながら、若菜のアヌスに舌を這わせた。ザラつくような襞の感触があり、さらに奥へねじ込むとヌルッとした舌触りがあった。  
 不思議なもので、ほのかに消毒液の匂いの沁みついた白衣を着ていると、アヌスに匂いがあってもベタつくような感触があっても、まったく不潔感が感じられなかった。むしろ味も匂いも、この上なく可愛らしく思えるのだった。  
 らいたはアヌスを舐め廻し、唇を押しつけてチュパチュパ音を立てて吸った。若菜のアヌスが切なげにキュッキュッと収縮し、それに合わせて膣もヒクついて指を断続的に締めつけてきた。  
 やがてらいたは膣に入れた指をゆっくりと引き抜いた。  
 「く………、あう………」  
 若菜が顔をのけ反らして声を上げた。ヌルッと指が完全に抜けると、膣がもの足りなげに収縮を繰り返した。らいたは愛液にタップリとヌメったその指を、若菜のアヌスにズブズブと挿入していった。  
 「あ、あん………、いやぁん………、そんなとこ入れないでぇ………」  
 若菜が呻き、アヌスが拒むようにキュッと締まった。  
 膣以上の締めつけの中へ、らいたは強引に根元まで押し込んでしまった。しかし指の先端が入れば、後は比較的スムーズに咥え込まれてしまった。中はベタつき、膣ほど滑らかには動けなかった。  
 それでもらいたはグネグネ奥で蠢かせながら、新たな愛液にすっかりヌメヌメになっているワレメを舐めてやった。そしてらいたは、ようやく顔を上げて、アヌスからも指を抜いてやった。  
 「あうう………、お尻が、変な感じ………」  
 排泄と同じ感覚がある僅かに力むように顔をしかめ、アヌスをモグモグさせながら指を押し出してきた。  
 
 スポンと抜けるとやや突き出たアヌスはまたキュッと締まって引っ込み、スネたようにそのおちょぼ口を閉じた。指の爪の先が僅かに曇って生々しい匂いをさせていた。らいたはその指を若菜の鼻先に突きつけてやった。  
 「やんっ………!」  
 若菜が夢から醒めたようにビクンと身じろぎ、さっと顔をそむけた。  
 「おいおい、自分の匂いじゃないか。それにこの匂いのするところを僕は舐めてやったんだぜ」  
 らいたはニヤニヤ笑って言いながら、その指を若菜の唇に押し込んでやった。  
 「アウ………、ムグ………」  
 若菜は眉をひそめて懸命に歯を食いしばるが、らいたは唾液にヌメつく唇にこすりつけて指を清めてしまった。  
 「なんて、ひどい人………」  
 ようやく指が離れて、若菜はナジるようにらいたを睨んだ。  
 「さあ、今度は君が舐めてくれる番だ」  
 らいたは言い、検診台の背もたれの角度をさらに押し下げた。  
 「あん、こわい………!」  
 水平よりもさらに少し下がって、若菜の顔が逆さまになった。  
 らいたは若菜の顔の方に廻り、立ったまま腰を突き出した。ちょうど、陰茎が若菜の唇の位置になる。医療の検診台というより、セックスのプレイのために作られたようなものだった。  
 特に、らいたのような男には、その機能は十二分に発揮されるようだ。らいたはいきなり陰茎を含ませず、尻の肉を拡げて上から跨ぐようにして、まずアヌスを若菜の唇に押し当ててやった。  
 「ク………、ウム………」  
 若菜が呻いて、熱い息がらいたの股間を心地よくくすぐる。  
 「さあ、舐めてごらん。僕がしてやったように………」  
 らいたは催眠術でもかけるような声で囁き、若菜はチロチロと舌を這わせはじめた。おずおずとした舌の動きも、次第にグネグネと大胆になってきた。  
 らいたは股間をズラして、次に陰嚢をしゃぶらせた。  
 
 プレイボーイで女の扱いに慣れているらいたは、若菜が淫ら好きで何でも言うことをきく性格だと見抜いていた。清純な処女相手なら、また別のやり方もあるが、若菜のような女は少々強引にしたほうが悦ぶのだった。  
 若菜の舌が陰嚢を舐め廻し、大きく口を開いてすっぽりと全体を含んだ。顔がやや逆さになっているため、苦しげな息がしきりにらいたの股間に吹きつけられた。若菜は身体がズリ落ちないよう必死に、腕載せを両手で握りしめていた。  
 やがてらいたは腰を引き、若菜にようやく亀頭を舐めさせはじめた。  
 若菜は乳首でも吸うように先端をくわえて、激しく吸いはじめた。彼女の鼻に陰嚢がのたりともたれかかって、下で湿り気ある熱い息が蘢った。  
 らいたは逆さフェラチオをさせながら両手を伸ばし、白衣からこぼれている若菜の両の乳房を掴んで揉みしだいてやった。  
 「アウ………、ウウッ………!」  
 含みながら若菜が身をくねらせ、反射的にチュッと強くらいた自身に吸いついた。らいたは次第に深く挿入し、陰茎全体を若菜の生温かい唾液にねっとりとヌメらせた。  
 のけ反るように顔を逆さにしているため、唇から喉の奥までが一直線になり、亀頭の先端が軟らかい粘膜やノドチンコに触れるまでヌルヌルッと容易に入った。  
 「アグッ………!」  
 喉の粘膜を突かれて若菜が呻き、小泡の多い唾液をグジュグジュと大量に分泌して唇の端からもタラタラと溢れさせた。  
 らいたは構わず、まるで正常位でセックスしているように若菜の口でズポズポと陰茎を律動させた。若菜も呻きながら、歯を当てないように唇で包むようにして、陰茎が侵入してくるタイミングに合わせて巧みに舌を当ててきた。  
 ようやくらいたは昇りつめる前に陰茎を抜いた。若菜の頭に血が下がって苦しげだし、溢れた愛液も呑み込めなくなっているからだ。もとよりらいたはフェラで昇りつめる気はない。挿入して射精するのが好きなのだ。  
 
 いや、女に不自由していないのだから、今は絶頂そのものより過程を長く楽しむことに専念していた。彼にとってセックスとは深刻な欲望や愛情の表現ではなく、遊戯やスポーツに近いものだった。  
 らいたは若菜の背もたれを元どおり、水平よりやや起こした角度に戻してやった。  
 「は、早く入れて………、もういや………」  
 若菜が喘ぎながら、待ちきれないように言った。  
 「よしよし、おまんこしてほしいかい?」  
 「おまんこして………」  
 若菜は視線もふらふらと夢見心地のようだった。らいたは若菜の股間に屈み込んで、愛液の溢れ具合いを確かめるようにペロリと舐め、すぐに身を起こして腰を突き出した。  
 若菜の唾液に濡れた陰茎に手を添えて陰唇にあてがい、ゆっくりと押し進めた。膣が押し拡がり、やんわりと丸く亀頭をくわえこんでくる。中は温かく、ヌメリのある柔肉の感触が最高だった。  
 らいたはそのままズブズブと奥まで挿入していった。  
 「あううっ………!」  
 検診台の上で若菜がビクンとのけ反り、らいたは肌を重ねていった。  
 若菜が大股開きのため、結合はいちばん深いところまで達した。らいたはゆっくりとピストン運動をはじめる。その動きも単調ではなく、小刻みに律動するかと思うと抜ける寸前まで引いて一気に押し込み、一定のリズムを取らなかった。  
 「あっ………! く、乱暴にして………」  
 若菜が焦れるように悶え、下からガクガク腰を揺すってきた。すっかりらいたのペースに巻き込まれ、今にも先に昇りつめそうになっている。  
 やがて次第に動きが早くなり、陰茎が熱い肉のヌカルミを突きまくった。  
 「あうーっ………! いく………」  
 若菜が激しくのけ反って喘ぎ、ガクンガクンと身体を痙攣させた。  
 膣が断続的に収縮し、愛液が大量に溢れて陰茎を心地よく刺激した。ほぼ同時にらいたもようやく昇りつめた。激しい快感に陰茎は脈打、らいたは息を詰めて若菜の中に勢いよく射精した。  
 
 絶頂を過ぎ、ゆるやかに下降しながらもらいたはズブズブと律動を続け、膣と陰茎の間からザーメンが押し出されてくる頃、ようやく力を抜いて動きを止めた。  
 若菜はハアハア息を弾ませて喘ぎ、らいたがゆっくり引き抜きにかかるとまたビクッと敏感に震えた。  
 らいたは若菜をそのままにティッシュを探し、机の上に見つけて、ヌメった陰茎を拭いた。そして若菜の股間に戻り、彼女のビショビショになった膣のまわりや陰唇の内側を念入りに拭ってやった。  
 「また、やらしてくれる?」  
 らいたは訊きながら、若菜の固定した足首を外してやった。しかしまだ若菜は正体をなくして息を弾ませ、涙ぐんだ虚ろな眼でらいたを力なく見上げるだけだった。  
 らいたは彼女の脚を降ろしてやり、はだけたブラジャーと白衣の胸元を直してやった。そして手を取って立たせ、脱がせたパンティを渡してやった。  
 若菜はらいたに支えられながらヨロヨロとパンティをはき、ようやく髪の乱れやこすれた口紅を直す余裕を取り戻した。らいたは、自分らがこの部屋に入り込んだ痕跡を残してないか注意深く見回し、やがて二人で診察室を出た。  
 若菜は廊下を歩くときも膝がガクガクして、今にもヘタリ込みそうになるのを必死でこらえた。  
 「じゃ、次の夜勤のとき、またあの部屋でね」  
 らいたが言い、若菜は別れて詰め所に戻った。  
 
 次の夜勤は三日後だった。  
 あれから何度からいたの部屋に食事を運んだりしているが、若菜はそのたびに胸がドキドキ高鳴った。らいたの意味ありげな目配せに接しても、たちまちじんわりと濡れてきそうになってしまう。  
 若菜はまるでセックス観が変わってしまった。それまで女のオルガスムスなんて、多分に精神的な自己満足や演技による暗示的な陶酔だけだと思っていたのだが、二十一歳にして激しい本当のオルガスムスを知ってしまったのだ。  
 
あのときの快感は、自分ではどうしようもない嵐か津波のような感覚だった。全身が痙攣して宙に舞うような気がして、愛液がまるで男性の射精の迸りのように脈打つのが自分でわかったのだ。  
 若菜は本当にセックスを知ったような気がした。絶頂のあのときを思い出すだけでクタクタと身体中から力が抜けていくようになるのだ。  
 そして、愛情などとは全然別の感情だが、自分が日勤でいる間、他の看護婦もあの産婦人科の診察台で絶頂感を得ているのではないかと思うと、嫉妬に似た苛立ちがチリチリと湧き上がってくるのを感じた。  
 その日夜勤だった看護婦をそれとなく観察もしたが、勿論何の素振りも感じられなかった。やがて夜、若菜がそわそわと落ち着きがなくなる頃、らいたの呼び出しのブザーが鳴った。  
 若菜は急いで廊下に出て、前もって打ち合わせたとおり一人で一階の産婦人科診察室に行った。一緒にいるところを見られるといけないというらいたの配慮だった。  
 「やあ」  
 薄暗い部屋の中ではもうらいたが待っていた。  
 若菜ももう期待にパンティの奥が熱くなり濡れかかっていた。  
 「もうヤル気充分だね? じゃ、またパンティ脱いでそこへ坐って」  
 「ああん、何だか、身体がフワフワするみたい−−」  
 若菜は甘えて縋りつくような声を出した。そして自分で白衣の裾をまくり上げてパンティを脱ぎ、検診台に坐ってから白衣のボタンとブラを外して、チラと恥じらうようにらいたを見てから乳房を出した。  
 「今夜はね、ちょっと奥のほうまで見てみたいんだ」  
 らいたが内視の器具を検診台の脇に運んできた。  
 そして若菜の両足を開いて台に固定した。  
 「そんなもの、勝手にいじったりしちゃダメよ」  
 「大丈夫だって。使用済み器具のトレイに置いとけば。それに産婦人科医の友だちがいて、使い方ぐらい知ってるんだ」  
 らいたは言いつつ椅子を引き寄せて坐り、若菜の股間に屈み込んだ。パジャマ姿だが、医者のポーズが堂に入っていた。  
 それでもすることはただのプレイボーイだ。らいたは顔を寄せて若菜の性臭を嗅ぎ、じんわり濡れはじめている陰唇を指で開いた。  
 
 クリトリスはもう包皮を押し上げるように勃起し、ワレメの内側全体がヌメヌメと妖しい光沢を放っていた。らいたは膣からクリトリスまでをベロリと舐め上げた。  
 「ああっ………!」  
 若菜がワレメをヒクヒクさせて喘いだ。トロリとした愛液が舌にまつわりつき、恥毛に蘢る生ぬるい匂いがゆらめいた。らいたは指で陰唇を押し拡げながら柔肉を舐め続け、クリトリスに吸いついた。  
 さらに下へ顔をズラして、ムッチリと尻のワレメを拡げてアヌスもチロチロと舌でくすぐってやった。しかし今日はこのプレイのため気を遣って清潔にしてあり、何の生々しい匂いもベタつきもなかった。  
 「あう、いやん、くすぐらないで、もっと強くして。ああん………!」  
 若菜がクネクネともがく。愛液のほうは前よりずっと多く、早くもワレメの内側全体を彩り、今にもアヌスのほうにまで滴りそうになっていた。らいたは溢れる愛液をすすり、すぐに顔を上げた。  
 若菜が不満そうに内腿を震わせた。それを見たらいたが金属の器具を手に取る。クスコと呼ばれるクチバシに似た膣鏡である。  
 彼はクスコ全体にチューブ入りのゼリーを塗りつけた。そして若菜の陰唇を開いて膣口にあてがい、ゆっくりと挿入していった。  
 「ああっ………、冷たいわ………」  
 若菜がかすれた声で言う。緊張と期待に肌が色づき、白い内腿にうっすらと静脈が透けていた。やがてクスコは奥まで押し込まれた。らいたがネジを回してギリギリと内部を拡げていった。そして中に向けてペンライトをつけた。  
 「よく見えるよ。いちばん奥まで」  
 らいたが囁き、さらにネジを回して全開にしていった。  
 「あうう………、いた………、それ以上拡げないで………」  
 若菜が汗ばんで上気した顔をのけ反らせて言った。溢れる愛液と熱気に、銀色に光るクスコの表面が曇りがちになった。  
 ライトを当てて見るとクスコに押し拡げられて粘膜がピンと張りつめていた。中もヌメヌメと光るピンク色で、艶めかしい襞がヒクヒク息づいていた。  
 
 そしていちばん奥の天井に、ぷっくりとした栗の実ほどの子宮頸部が覗いていた。男を悦ばせ、やがて人間が生まれてくる穴は、何とも神秘的な蠢きと色合いに満ちていた。  
 らいたはクスコの間に指を入れて、ヌメヌメしている内側の粘膜に触れてみた。  
 「くっ………」  
 若菜が息を呑んで身を強張らせた。クスコが中で開いて張りつめた分敏感になっているのだろう。粘膜は愛液にヌルヌルしていた。クスコが触れていない部分が内側にこんもりと膨らんで、柔襞が肉の震えに合わせて蠢いていた。  
 外側の陰唇はすっかり充血してぽってりと熱を持ち、やがてらいたはネジを戻してクスコを閉じてやった。そしてまたゆっくりと膣から引き抜いてやる。  
 「あうっ、中が、からっぽになってくみたい………」  
 若菜が荒い息とともに呟き、アヌスをヒクつかせながら下腹に力を入れていた。  
 閉じられたクチバシがようやくヌルッと膣から抜けた。粘液がツツーと糸を引き、タラーリと滴って切れた。クスコの表面はヌラヌラで、金属が若菜の体温をまといつかせて湯気が立ち昇るようだった。  
 「さあ、もうひとつの穴の奥も見てやろうね」  
 らいたはクスコを置いて言い、今度は肛門鏡を手に取りゼリーを塗りはじめた。肛門鏡はクスコと同じような形だが、少し小振りで細目である。  
 らいたはあてがう前にもう一度顔を寄せ、若菜のアヌスを念入りに舐めて唾液にヌメらせてやった。アヌスの、可憐な蕾のようなピンクの襞が不安におののくようにヒクヒク震えていた。  
 「ああん、そんなの、お尻の穴に入れないで………」  
 「すぐ済むからね、力を入れないで口で息して」  
 らいたは左手の拇指と人差し指でアヌスを拡げた。ちょっぴりアヌスの肉が盛り上がってやや濃いピンクの粘膜がヌメヌメと覗いていた。その小さな穴に、らいたは肛門鏡の先端を当ててプスリと浅く差し込んだ。  
 「くうっ………!」  
 
 「ダメダメ、力を抜いて………」  
 らいたは膣よりずっと注意深く、少しずつゆっくりと挿入していった。  
 アヌスの襞が張りつめ、裂けそうになるほど表面が血の気を失くしてツヤツヤと光沢を放った。それでも唾液とゼリーのヌメリに、少しずつ、ズブズブと肛門鏡を呑み込んでいった。  
 「あ………、あ………」  
 若菜は口を開いたまま肛門鏡が数ミリ入るごとに喘ぎ、その上の陰唇までわななかせた。やがて五センチほど入れて挿入をやめ、らいたは中をギリギリと開きはじめた。  
 アヌスは、入口は狭いが内部は膣より容易に拡がるようだった。考えてみれば膣以上に毎日、しかも幼いときから収縮をさせ続け、時にはペニスより太いものを出すことだってあるのだ。  
 ライトを当てると、膣の内部とはまた違った感じで襞が蠢いていた。  
 そして鼻を押し当てると、いかにアヌスの表面を清潔に洗っていても、内部は潤滑油のゼリーの匂いに混じって生々しい刺激臭が蘢っていた。  
 「いや、もういいでしょ? 穴が、裂けちゃいそう………」  
 若菜が腰を小刻みに震わせて言った。  
 「よしよし、充分見たからもういいや」  
 らいたはネジを緩めて、肛門鏡を内部で閉じた。閉めるときは肉を挟まないよう注意しなければいけない。そして抜くときも、膣と違いいきなり抜いたりねじったりしてはいけないのだ。  
 「さあ、そっと少しずつ引っ張るから、自分の力で出すようにきばってごらん」  
 らいたがゆっくり引っ張りながら言うと、若菜は下腹に力を入れはじめた。  
 膣のように自然に濡れてこないから、中のベタつきが異物に吸いついて、無理に引き出すと爛れてしまうこともある。それに自分で力んで出すほうが身体にもアヌスにも良いのである。  
 「うんっ………、い、いじわる………。こんなのいやっ………」  
 息を詰めながら若菜がナジり、それでもアヌスはモグモグと蠢いて少しずつ肛門鏡を排出してきた。入っていた部分が内圧に押し出され、らいたも引いてスポンと抜いた。  
 
 銀色の金属の表面は曇り、あちこち黄褐色の付着があった。アヌスはキュッと閉じたがレモンの先のように少し突き出て震え、ゆっくりと元へ戻っていった。  
 らいたは器具を置いて屈み込み、また新たな愛液の溢れるワレメを舐めてやった。  
 「いやあん、今度あたしするぅ。お尻に入れてやるから」  
 若菜は固定された脚をばたばたさせて、むずかる子供のように言った。  
 「おいおい、看護婦なんだからそんなこといくらでも他の患者に出来るじゃないか」  
 らいたは顔を上げて立ち上がり、また背もたれを倒した。  
 「今夜はどこがいい? 口の中で出そうか、それともアヌスに入れようか?」  
 「いやっ、わかってるくせに。おまんこじゃなきゃダメ」  
 若菜は上気した顔を仰向けにさせていやいやをした。  
 「よし、じゃキツイのをしてあげるから、その前におしゃぶりだ」  
 らいたは検診台の横に立って、フルートでも吹かせるように若菜の唇に陰茎を横から当てた。  
 若菜は口を開いて舌を這わせ、顔を振ってらいたの陰茎を根元から先端まで舐めはじめた。特に尿道口の下の敏感な出っ張りは念入りにしゃぶり、さらに言われる前から顔をねじまげて陰嚢を含んだ。  
 らいたはくわえさせながら移動して、若菜の真上にきて、また口の中に深々と挿入しピストン運動をはじめた。陰茎が若菜の口腔でムクムクと勃起し、やがて最大限の大きさになった。  
 若菜の唇がカリ首を丸く締めつけて亀頭に吸いつき、舌先がチロチロと尿道に這い廻り、果ては中に潜り込ませようとクチュクチュさせて滲むカウパー腺液を掬い取るように舐めた。  
 ようやくらいたは陰茎を引き抜いた。そして若菜の固定した両足を外して一旦起こし、ほぼ水平になっている台に四つん這いに載せた。  
 若菜が亀の子のように手足を縮める。裾をまくり上げると、そこもちょうどらいたが立った高さに若菜のワレメがあった。  
 
 らいたは陰茎を突き出して近づき、若菜の股の奥の恥毛の方からアヌスの上の尻のワレメの途切れるあたりまでを、先端で縦に何往復かこすってやった。  
 そして陰唇に集中的にこすりはじめ、若菜の尻がクネクネと待ちきれなくなった頃、ようやく膣にあてがい急角度にズンと突き入れてやった。  
 「あうっ………! すごい………」  
 白衣の背がキュッと反り返って、若菜が激しく喘いだ。クスコほど硬くないが、もっと太く熱い肉棒が膣のいちばん奥まで埋め込まれた。  
 らいたは充分すぎるほどヌメリを帯びた柔肉の中で、快感に陰茎をヒクつかせた。暫くじっとして温もりと感触を味わってから、ゆっくりと動きはじめた。  
 濡れた粘膜がクチャクチャ音を立て、らいたは奥で円を描くように腰をくねらせた。そしてパンパンに張った豊かな尻の肉を、ムッチリと両手でわし掴みにした。  
 「ああん………、お願い、乱暴に突きまくってぇ………!」  
 若菜も腰をユサユサ前後させながら喘ぎ、バターでも塗ったように内腿まで溢れた愛液でベットリと濡らした。  
 らいたも若菜の動きに合わせて、次第に前後運動に変えた。  
 揺れる陰嚢が若菜のクリトリスあたりにピタピタ当たり、押し込むたびらいたの下腹が若菜の弾力ある尻のワレメに押しつけられて、吸盤のように吸いつきガバガバ音を立てた。  
 らいたは尻の肉を掴んでいた手を離し、若菜の背にもたれかかって両脇から手を入れ両の乳房を掴んだ。  
 「くうっ、気持ち、いいっ………!」  
 若菜がのけ反り、らいたの鼻先にうなじが当たって汗の匂いと髪の香りが甘く香った。らいたは徐々に高まりはじめ、律動を速めた。  
 「あっあっ、すごい、いきそう、いく………!」  
 若菜の喘ぎが急激にせわしくかん高くなった。そして激しく膣が収縮し、速い息遣いとともに全身を波打たせた。もう自分でも止められぬ勢いで絶頂の坂を昇りはじめたようだった。  
 らいたもほぼ同時に快感の電撃に貫かれた。陰茎を激しく震わせて、若菜の熱い肉の奥へとしたたかに放出する。  
 
 若菜のうなじに顔を埋めたまま、らいたは肛門を引き締め何度も脈打った。若菜は喘ぎながら何度も何度も身を反らせ、膣を締めつけて狂ったように悶えた。  
 ようやくらいたは律動を止め、若菜の背に体重を預けたまま快感の余韻のなかで呼吸を整えた。そして身を起こして陰茎を引き抜く。若菜のネットリとした蜜がらいたの陰嚢や内腿までも濡らしていた。  
 若菜は俯せのまま死んだようにグッタリとして、呼吸だけハアハアとせわしく繰り返し、白衣の背をいつまでもうねらせていた。  
 らいたはティッシュで陰茎と若菜のワレメを拭い、身繕いして使った器具をトレイに入れた。若菜ものろのろと身を起こして検診台に坐り、まだ息が整わずにいた。  
 らいたが若菜のパンティをはかせてやり、ブラと白衣の乱れを直してやった。そして肩に手を廻し、ピッタリと唇を重ねてやる。  
 「うん………」  
 若菜が鼻を鳴らして歯を開き、ねっとりと舌をからめてきた。らいたの唾液で喉を潤して、やがてまだまだ満足したりないように、ちぎれるほどらいたの舌に吸いついてきた。  
 らいたは本当に舌を引き抜かれる気がして、ようやく口を離した。若菜が切なげに、生暖かく甘ったるい吐息をついた。  
 「実はね、明日でとうとう退院することになっちゃったんだ。会社の連中がさ、毎日入れ替わりたち替わり拝むように頼むもんでさ」  
 らいたが若菜を検診台から立たせながら言った。  
 「え? そうなの………」  
 絶頂後の脱力感のなかで、若菜はさして感動もなく答えた。  
 「なんだい、冷たいんだな。で、退院してからも会ってくれるかい?」  
 「いいわ。休みの日に連絡しましょう」  
 ぼんやりとしたまま言った。らいたとなら会ってもいいと思うし、しかし逆に彼がそう言わなかったとしたら、自分から会ってほしいとは言わなかったと思う。  
 
 そう、若菜には自分の快感が最優先であったし、これからは誰とセックスしてもめくるめく絶頂感が得られるような気がするのだ。やがて二人は灯りを消して、診察室を出た。そして二階へと歩きはじめる。  
 「ね、ひとつ教えて。この病院の看護婦は、あたしで何人め?」  
 「なんだい、案外嫉妬深いのかい? 本当に君一人だけだよ」  
 らいたは苦笑しながらも、適当にナルシズムをくすぐられて満足のようだった。  
 勿論若菜は嫉妬で訊いたのではない。ふと検診台のプレイを他の看護婦になぞらえて空想してみただけだ。女のオルガスムスがどんなものなのか、客観的に見てみたいような気がしたのだ。  
 若菜は女の快感のことしか興味が湧かないのかもしれなかった。  
 翌朝、若菜は夜勤を終えて寮に戻り、らいたは昼間のうちに会社の友人や多くの女の子の手伝いで退院していった。当然、夕方若菜が出勤したときにはらいたはおらず、別にそれでも若菜は寂しいとも何とも思わなかった。  
 「ねえ、聞いた? 誰かが産婦人科の診察室でイヤらしいことしてたんだって」  
 同僚看護婦が好奇心丸出しの顔で若菜に話かけてきた。  
 「クスコや肛門鏡が汚れてたんだって。誰と誰かしら。多分きのうの夕方から今朝九時までの間よ」  
 「へえ、あたし夜勤だったけど、あんなほうまで行かないから気がつかなかったわ」  
 若菜は答えながら心の中でくすくす笑っていた。らいたは退院前夜だから、後のことなどどうでもよくて器具を使いっぱなしにしたのだろう。  
 夜勤看護婦は全病棟に何人もいるし、医者と女性患者の線も珍しくないので、自分が疑われることはないだろう。だいいち若菜は同僚の間では、オク手でおとなしく恥ずかしがりやのネンネに思われているのである。  
 結局それ以後、らいたからの連絡はまったく無かった。いや、それ以前に若菜のほうが完全にらいたのことなど忘れてしまっていたのである。………  
完  
 

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