「りゅーんりゅーんりゅーんりゅーん………」  
 ここは仙台にある永倉えみるの家。その自室からなにやら怪しげな呪文が聞こえてくる。  
「アソコの毛はここにあるし、処女の経血も用意した。あとはぁ……」  
 傍らには黒魔術の本。それも中高生向けに易しく書かれた簡略版ではなく、原語の本格的なものだった。  
「よしっ! これでダーリンにえみりゅんの想いが通じるりゅんっ! 明日は東京に行くぞ〜〜」  
 そう言って立ち上がったえみるの手には手作りのバレンタインチョコレートが握られていた。  
 
ピンポーン  
 翌日、ダーリンと呼ばれるえみるの思い人の家の呼び鈴が鳴った。  
 
       ×       ×       ×       ×       ×       ×  
 
 家族が留守がちな我が家では、その日も僕が一人で留守番をしていた。  
「はぁい」  
 こんな時間に誰だろう? と、いぶかしく思いながら僕はドアを開けた。  
「ダーリ〜ン、来ちゃったりゅ〜ん!」  
「え、えみる?」  
 突然胸に飛び込んできたのは付き合ってそろそろ半年になる僕の恋人、えみるだった。  
 えみるに押されてよろけたがそれでも何とか踏みとどまり、押し倒されるのだけは防ぐ。  
 
「えっ? 僕にバレンタインチョコ渡すためだけにわざわざ仙台から?」  
「ダーリンに会えるならどこだって行くよぉ」  
 そう言いながら僕の腕を取ってニコニコと答えるえみる。  
「ね、ね、食べて食べて!」  
「あ、ありがとう……じゃあいただくね」  
 何を期待してか、目をキラキラさせて僕を見るえみるの前で一つを口に放り込んだ。  
 ……それを飲み込んだ直後、僕は意識が遠くなるのを感じた。  
 
「!」  
 気がつく。どうやら自分のベッドに寝ているようだ。  
 さっきのことを思い出そうとする。……えみるのチョコレートを食べたあとの記憶がない。  
 えみるのくれたチョコに何か入っていたのか?  
 
 あたりを見回す。えみるが僕を見ている。同時にのどがカラカラに渇いていることに気がついた。  
 体が言うことを利かない。それ以上に体全体が燃えるように熱い。  
 そして熱は下半身のその部分に集中してくる。どうしようもないほど性の衝動が高まる。  
「えみる……何を入れた。ウッ!……」  
 スウェットの下でパンパンに張りつめたペニスが痛いほどだ。そこにさらに血液が流れ込む……。  
「黒魔術が本当に効いたみたいだりゅん。ちょっと意外……」  
 隠しようがないほど大きくふくらんだスウェットの前を見ながらえみるが言った。  
「な、なんでこんなことを……」  
「えみりゅんをダーリンのものにしてもらうんだよ……えみりゅんの初めて、ダーリンにあげるね」  
 恥ずかしそうにそう言いながら服を脱いでいくえみる。  
 えみるは大好きだし、いつかはこうなりたいと思っていた。……でも何か違う。そう思って言う。  
「え、えみる! こういうのレイプって言うんだぞっ!」  
「ブブー。日本の刑法の規定では男性に対する強姦罪は成立しないりゅん!」  
「え? そうなの?」  
 自分の立場も忘れ、素直に聞いてしまう。  
「うん。それを言うなら強制わいせつだよ?」  
「そ、そーゆーことじゃなくってぇ!!」  
 
 裸になったえみるがあどけない笑顔で僕に近付く。そうしてスウェットのズボンが下着と一緒に脱がされる。  
 現われた勃起をえみるはたおやかな指で握ると、そっと上下になでさすった。  
「ううっ!」  
 下半身から立ちのぼる快感に思わずうめく。  
「すっごく固い……ダーリン、気持ちいい?」  
 熱に浮かされたように上気した顔でえみるが尋ねた。  
「えみる……気持ちいいけど……どうしてこんなこと知ってるの?」  
「えみりゅんだってもう大人だよ? 学校でえっちな話だってするんだから……」  
 言いながら勃起をしごく指を速めてくる。  
 もう僕の目はえみるの下腹部の淡い茂みに釘付けになっていた。あの奥の隠された部分が見たい!  
「あっ、また固くなった……」  
 うれしそうに微笑むえみるによってさらにトレーナーも脱がされ、僕は全裸となってしまった。  
「ダーリン……」  
 そしてえみるが潤んだ瞳で僕を見上げた。  
 
 えみるの手が僕の胸にかかり、えみるの吐息が僕の頬にかかった。  
「ダーリン……ダーリンもえみりゅんのものだよ……ね?」  
 そうつぶやくと、えみるは体をさらに寄せ、僕に唇を重ねてきた。同時に腕を首に回してくる。  
 と、さっきまで動かなかったはずなのに、何かに支配されるように体が勝手に動いた。  
 僕は自分の意思とは無関係にえみるの唇に舌を差し入れていた。  
「んっ……」  
 それに応えるようにえみるが舌を絡めてくる。  
 さらに僕の手はえみるの胸に引き寄せられるようにして乳房を捉えた。  
 そんなに大きくはないけど、僕の手のひらにあつらえたかのようにすっぽりと納まる。  
 その弾力に富むふくらみをなでまわし、先端に指が触れるとえみるはビクッと体を震わせた。  
 
 えみるが唇を離す。そしてそのまま首筋に舌を這わせると、胸に降りていく。  
 僕の手はえみるの乳房をまさぐる。空いている手は背中から腰、お尻へとなでるように移動していく。  
 そうしている間にえみるの唇が僕の乳首を捉えた。  
 チロチロと舌先で丹念に転がし、時には歯を立てる愛撫に異様なまでに興奮が高まる。  
(お、男の乳首が……こ、こんなに感じるなんて……)  
 ……股間のモノがますます硬度を増した気がした。  
 
 胸を攻められながら、僕の手はえみるの股間に伸びようとしていた。  
 でもそれより先にえみるが体を下にずらしていく。  
 胸を舐めまわしていた舌は脇腹を通って下腹部に近付いていく。  
(ま、まさか、口で!)  
 想像したとおりだった。えみるの口は僕を咥えこもうとしていた。  
 
 いきなり口に含むより先に、ねっとりとした舌が亀頭をねぶった。  
 一旦口を離すと、次に顔を横にして舌先で茎を根元まで舐め下ろす。  
 それを何回かくり返すとまた先端に戻り、今度は裏すじをこそぐようにねぶり下りていく。  
 そのまま袋まで到達すると、唇ではさみ、舌で睾丸を転がすように愛撫する。  
「ぐっ……んむっ!」  
 僕の口からは絶え間なく快楽の声が洩れていた。  
 初めてのフェラチオ。興奮はいやがうえにも高まる。  
 
 それからえみるは大きく口を開き、すっぽりと肉茎にかぶせた。  
 舌を縦横に動かしながら、ゆっくりと僕のペニスを飲み込んでいく。  
 ……とうとう根元までえみるの口に収まった。  
 自分で言うのもなんだけど、結構大きいと思っていたのに、それをえみるは難なく咥えている。  
 そうしながらも口の中では舌が絶えず動き回り、僕の性感を高めていく。  
 
 そのまましばらくそうしていたえみるが、不意に頭を上下させはじめた。  
 最初はゆっくりと小さく動かされる。  
 えみるの小さな唇から僕の淫茎が出入りしているのはとても淫靡な眺めだった。  
 ……少しずつ振幅が大きくなっていく。  
 亀頭だけが咥えられた状態。根元まで口の中にある状態。それらがくり返される。  
 そんな動きの中でもえみるは相変わらず舌を使って茎全体を愛撫していた。  
 動くたびにえみるの口から発せられる淫らな水音に僕はどんどん高まっていった。  
 
 僕を咥えたまま、えみるの両手が胸に伸びてきた。  
 そうして両方の乳首にたどり着くと軽く爪を立てて引っかくように転がした。  
 それがなんともいえないほど気持ちいい。  
 股間と胸の両方を攻められ、僕は限界が近付くのを感じていた。  
「え、えみる……で、出ちゃう……」  
 えみるは僕を見上げると、  
『いいよ、出して』  
 声にならない声でそう言った。  
 ……それがきっかけになった。  
「イ、イクっ!」  
 
びゅくっ! ずびゅっ! びゅるっ!………  
 欲望の粘液がえみるの口を穢して射ち出される。  
「むぐっ、んんっ、むっ……」  
 のどの奥をしたたかに叩く白濁液にえみるがむせる。  
 それでもえみるは口を離さなかった。  
 僕の精液を小さな口いっぱいに受け止め、射精が終わるまでじっと耐えていた。  
 
 放出がやむ。  
 えみるは頬をすぼませて尿道に残った精液を吸い取るとようやく顔を上げた。  
 そうして天を仰ぐ。  
こくん  
 細いのどが上下した。……嚥下したんだ。  
「えみる!」  
 あまりの快感に放心状態だった僕がそれに気付いて声をかけると、  
「ダーリン、気持ちよかった?」  
 唇に垂れた白濁を拭いながらえみるが顔を向けた。  
「う、うん。すごくよかった……それよりえみる、今、僕の……」  
「ダーリンのなら平気だよ……」  
 そう言ってはにかんだ笑顔を見せた。  
 
 普段なら射精したら小さくなるペニスがまったく衰えていなかった。  
 黒魔術とやらの影響なのか、それとも過度の興奮のせいなのかはわからない。  
 股間のモノは、まだ射精したりないとでもいうようにビクビクと僕の意思に反して脈打っていた。  
 
「ダーリン……」  
 えみるが頬を染めて僕を呼んだ。  
「なぁに?」  
「あのね……ダーリンをイカせたら…えみりゅんも興奮しちゃったの……えみりゅんにもしてくれる?」  
 そう言って僕の手を自分の股間に導いた。  
「えみる……」  
 名前を呼びながら僕はえみるに口付けた。……すぐに二人の舌が絡みあった。  
 さっきまで体は自分の意思と無関係に動いていたはずだった。  
 なのに、術の効果が切れたのかいつのまにか僕は自分の意思でえみるを攻めていた。  
 
 唇を離す。  
 そのまま顔を移動させ、耳、首筋、うなじ、肩、胸へと舌を這わせていく。  
「ダーリぃン……」  
 艶めいた声でえみるが鳴く。  
 
 雑誌や悪友との猥談で得た知識が、頭の中をものすごい速さで駆け巡る。  
 それらを思い出しながら、えみるの股間に当てた右手に意識を集中する。  
 淡い恥毛に覆われたふっくらとした丘に手のひらを乗せ、中指を亀裂に向けて伸ばしていく。  
 ……すでにソコは充分すぎるほど潤っていた。  
 ひだの間に湧く粘液を指先に絡め、指の腹で小さな突起を円を描くようになでさする。  
 爪の固い部分で叩くように当てたり、ちょっと引っかくようにこすってみる。  
 そのたびにえみるが  
「あ、あ、んん……」  
 小さな声で快感を訴える。  
 その声をもっと聞きたい。  
 僕はより積極的にえみるに愛撫を加えていった。  
 
 右手は股間で動かしたまま、僕は左手を胸に滑らせた。  
 そんなには大きくないけど、張りのある両方の乳房を交互に攻める。  
 指先でつまむようにして揉み、手のひらで乳首を肌に押し込むように圧を加える。  
 そうするうち、いつしかえみるの乳房の張りが増し、先端の突起が固く尖っていった。  
 ……そこに顔を寄せる。  
「あん、いや……」  
 えみるの声と同時に体がピクンッと震える。  
「えみる?」  
 顔を見るが瞳を閉じ、眉間にしわを寄せて小さく吐息を洩らしている。  
(本当にイヤなら抵抗するよな……)  
 そう思い、僕は構わずに乳首を口に含むと軽く歯を立ててみた。  
「んんっ!」  
 ビクビクと小さな痙攣を起こしえみるが身じろぎする。  
(嫌がってはいないよな……)  
 続けて唇に乳首をはさみ、しごくようにこすりたてる。  
 同時に舌でねぶりあげ、押し込み、弾くように転がす。  
 唇を付けたまま吸い、乳房のふもとから頂に向かって舐めまわす。  
「ダ、ダーリンっ! んんっ!」  
 なまめかしい声でえみるが僕を呼ぶ。  
 
 さっきえみるがしてくれたように、僕もえみるのオンナの部分を舐めようと体を下にずらした。  
 少し開いた足の間にひざを入れ、そのまま体を持っていく。  
 そうしておいておへそから脇腹へ伝ってきた舌で恥丘をなでさすった。  
 
 陰毛が口に入るのも気にせず、陰阜に鼻を押し付けて思いっきり匂いをかぐ。  
「は、恥ずかしいよぉ……」  
 えみるの声が聞こえたが止まらない。  
 女性らしい甘い香りの中に、どことなくオスの本能を刺激する淫猥な香気が薫る。  
ビクンッ!  
 力がみなぎったままの陰茎が打ち震えた。  
 
 えみるのひざの裏に手を当て、太ももを立てていく。  
 そのまま大きく足を開かせると、腕で抱えるようにして閉じられないように固定する。  
 そこから腕を胸に伸ばし、ふくよかな双球と、その先端の小さな蕾をくじった。  
 そうしておいて顔を陰部に近づけると、馥郁としたメスの香りが僕を包み込んだ。  
「そ、そんなに見たらいやだよぉ〜」  
 泣きそうな声が聞こえたが聞き流した。  
 何かに衝き動かされるようにそのまま顔を押し付ける。  
 
「えみるっ!」  
 顔全体を押し付け、舐めまわし、匂いをかぐ。  
 クリトリスにむしゃぶりつくとそのまま舌でこね上げた。  
「ひぐぅ!」  
 僕が舐め上げるたび、えみるの陰裂からは淫汁がこんこんと湧きだす。  
 それをすくい、音を立ててすすり、飲み込む。  
「ダ、ダーリン、恥ずかしいぃ〜……そんなことしちゃヤダよぉ〜」  
 自分の股間から響く淫らな音がえみるの羞恥をあおるのか、涙の混じった声で僕に訴える。  
「えみるがしてくれって言ったんだよ……」  
 そう言いながら、胸と女性器のふたつを僕は強弱をつけてまさぐりつづけた。  
 
 さらに僕の舌はえみるのお尻のすぼまりのほうにも這いまわる。  
「あ、あ、あ、い、いやっ……そこは、そこだけはいやっ!」  
 これまでで一番強い拒絶の声がえみるの口から洩れる。  
(えみる、本当に嫌がってる?)  
 一瞬ためらう。  
「ダーリンっ、どんなことされてもいいから、そこだけはやめてっ!」  
 えみるが懇願する。……本当にイヤなんだ。  
「わかった。ごめんね」  
 そう謝ると、僕は膣に目標を移した。  
 
 胸をなぶっていた右手を股間に移動させ、ゆっくりとえみるの肉ひだをなぞった。  
 左右のひだを指先でつまみ、こすり合わせたり引っ張ったりする。  
「うぅんっ……あんっ!」  
 気持ちよさそうな声がえみるから洩れる。  
 それを確認すると、僕は指をそっと膣にもぐり込ませてみた。  
 
「んくっ……」  
 かすかな吐息とともにえみるの体がこわばる。  
「えみる?」  
「へ、平気……続けて……」  
 僕の目を見てえみるがうなずく。  
「……うん」  
 そう答えると、静かに指の出し入れを始めた。  
 
 くちゅくちゅと濡れた音を立て指が前後する。  
 えみるの中から出てくる指はヌラヌラといやらしく光り、粘液にまみれていた。  
 僕は指を動かしながら舌と唇でクリを攻め立てた。  
「あふっ、んんっ……んぁ、ん……」  
 艶を帯びたえみるの嬌声がだんだん追いつめられた感じに変わっていく。  
 指を動かす速さを上げると、えみるの体全体が震えてきた。  
「ダ、ダーリン……お願い、入れて……今日平気な日だから…このまま……」  
 ……ついにえみるが僕を求めた。  
 
 体をそっとずらす。  
 そうしてさっきから痛いほど勃起している肉茎を膣口にあてがう。  
「いくよ」  
「……うん」  
 えみるがうなずくのを確認してからそっと腰を送り込んだ。  
ずりゅっ、ずりゅっ……  
 僕が沈み込むたび、水をかけたようにたっぷりと潤ったえみるの膣が卑猥な音を立てた。  
 
「うっ!」  
 膣壁が男性器にまとわりつく。そのあまりの快感に思わず声が出た。  
「ダーリン、気持ちいい?」  
「うん。すごい……こんなに気持ちいいなんて……えみるは? えみるは痛くない?」  
「平気だよ。ダーリンと一つになれて、えみりゅんすっごくうれしいよ」  
 だけどえみるの顔は苦痛に歪んでいるように僕には見えた。  
 
 処女を喪ったばかりのえみるを優しく扱いたい……。  
 そう思うのに勝手に腰が動いてしまう。えみるの中をかき混ぜるように激しく突きたてる。  
「あ、あ、あ、あ……」  
 僕の動きに合わせてえみるが苦悶の声を上げる。  
 強弱や突くペースを変え、僕は何度もえみるの中を前後させた。  
 そのたびにえみるの声が大きくなる。  
 
 えみるの肩に手をかけ、そっと体を起こす。  
 ベッドの上に座るように向かい合って僕たちは交わりつづけた。  
 僕の首に腕を回し、すがりつくようにえみるが腰を振る。  
 そのたびに二人のつながっている場所からぐちょぐちょと淫らな音が立つ。  
「ダーリン……」  
 泣きそうな顔でえみるが僕を見る。  
「えみる……」  
「ダーリン……大好きだよぉ」  
 そのままえみるが僕に体重を預けてきた。  
 
 押し倒されるようにベッドに倒れる。えみるは僕の胸に手をつき、自分の体を支える。  
「こっちのほうが楽かな……」  
 そうして小さくつぶやく。  
「やっぱり痛かったんだ……えみる、ごめん……」  
「平気だよ。だってえみりゅんが望んでしたことだもん……ダーリン、大好き!」  
 そう言いながらえみるが唇を合わせてきた。  
 
「ダーリン……ダーリぃン」  
 何度も名前が呼ばれる。  
 えみるは僕が深く食い込まないように調節しながら自分のペースで腰を上下させる。  
 僕は下からえみるの腰を支える。  
 そうして二人は行為を続けた。  
 
 二人がつながっているところがよく見える。  
 えみるの中を抜き差しするペニスは血に濡れていた。……処女の血。えみるの初めて。  
 それを見た僕の心に幸福感と罪悪感とが交錯する。……僕はえみるの人生に責任を取れるのだろうか?  
「ダーリン……気持ちいい?」  
 僕にまたがっているえみるが問いかける。  
 絶頂の予感が腰の奥にこみ上げてきていた。もういつ射精してもおかしくないほど昂ぶっている。  
「うん……すごくいい。出ちゃいそう……」  
 そのことをえみるに告げた。  
「イキたくなったら……イッてもいいからね」  
 えみるがぎこちなく微笑んだ。  
 その笑顔を見た瞬間、まるで落雷を受けたかのように背すじを歓喜の電流が流れた。  
「えみるっ……っっっ!」  
 一瞬呼吸が止まった気がした。  
びゅくっ! っびゅびゅっ! どぴゅっ!………  
 直後、激しい衝撃に貫かれ、僕は射精していた。  
びゅっ! びゅるっ! ずびゅっ!………  
 さらに何度も白濁の粘液が射ち出される。  
「あぁぁっ!」  
 精液がしぼり取られるような甘美な感覚に思わず悦楽の声を洩らし、僕はえみるに精を放ちつづけた。  
 
 
「どうしたの? えみりゅんがあんなことしたからダーリン怒ってるの?」  
 無言になってしまった僕におそるおそるといった感じでえみるが聞いた。  
「……怒ってる」  
 硬い表情で突っ放すように告げる。  
「ご、ごめんなさい……でもえみりゅんはダーリンのものになりたかったの、ホントだよ!」  
 そんな僕の態度にあわてたようにえみるが続ける。  
「ダーリン付き合って半年も経つのにえみりゅんに全然なんにもしてくれないんだもん」  
 その言葉には僕は返事をしなかった。  
「ダーリンお願い! 謝るからえみりゅんのこと嫌いにならないで!」  
「ヘンな術なんか使ってほしくなかった。そんなことしなくたって、僕はえみるとえっちしたかったんだから……」  
 言いながらえみるに笑顔を向けた。  
「えみるとえっちなこと、ずっとしたかったのに、勇気がなくてできなかった僕が悪いんだ。ごめんね、えみる」  
 それを聞いたえみるの顔にみるみる生気がよみがえる。  
「ダ、ダーリン……大好きだりゅんっ!」  
 つながったままえみるが僕に抱きつく。  
 僕たちは結ばれた体勢のままだった。  
 
「えみる太った? 重いよ?」  
 ほんとはそんなこと全然思ってないのにわざと意地悪く言う。  
「ぶぅー、ダーリンのいじわるぅ!」  
 頬をふくらませてえみるが言う。  
 そう言いながらも僕の言葉を気にしてか僕の上から降りようと身を起こす。  
 僕はその腕を取ると  
「う・そ。ちっとも重くなんかないよ。……えみる大好きだよ。もっとずっとこうしていよ、ね?」  
 そのまま抱き寄せた。  
「ダ、ダーリン……うんっ!」  
 こぼれんばかりの笑顔になったえみるが僕にしがみついてきた。  
 
 
           おわり  
 

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