晶と同棲  
 
 
 日本を縦断して行なわれた晶のツアーがようやく終わった。  
 その終了を待って一緒に暮らす約束になっていた僕たちは、晶のお父さんが用意してくれたマンションに引っ越しを始めた。  
 といっても家具も調度も新しいのを揃えてあるし、什器もすべて調えられている。  
 身一つで移動するだけだから、その晩には新居の新しいベッドで眠ることができるんだ。  
 
「あっきっらっ、エッチしよっ!」  
 湯上がりにストレッチをしていた晶にベッドの中から呼びかける。  
「いやよ、ツアーが終わったばっかりで疲れてるんだからダメ」  
 そう言うなり自分のベッドに潜り込むと晶は目を閉じた。  
「ねぇ〜晶ぁ〜そんなつれないこと言うなよ……ね、ね、エッチしよっ!」  
 すぐに応じるのははしたないと思われる。晶のそんなもったいぶったポーズだと思っている僕はしつこく誘う。  
 晶に会えない間、この日のことを夢に見るほど焦がれてきたんだ。晶と絶対にエッチするぞ!  
 ところがそんな僕に晶が冷たく言った。  
「そんなに溜まってるんならフーゾクでもなんでも行ってきたらいいじゃない」  
「……え?」  
「私はあなたの性欲処理の道具じゃないのよ。いい加減にしてよっ!」  
 ……本気で怒ってる?  
「晶だってエッチしたいんじゃないの? 最後にしたの3ヶ月も前……」  
 最後まで言い終わる前に晶の平手が僕の頬に炸裂した。  
「バカっ、サイテー! もうあなたの顔なんか見たくないわ、大っキライ! 出てって!」  
 激昂した晶に僕はマンションを追い出された。  
 こうして晶との同棲生活は一日で終わった……。  
 
         おわり  
 

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