今日も明日香とデートだ。  
 いつものことだけど、明日香が情報誌を見てチェックしたおすすめスポットを巡る。  
「次から次に新しいスポットができちゃってて〜。追っかけるほうの身にもなってってカンジだよね!」  
 そんなことを言いながら、それがちっともイヤそうじゃない。むしろ楽しくて仕方がないといった感じだ。  
 元町でアイスを食べたり、中華街の小物屋さんを見たり、伊勢佐木町のブティックを覗いたり。  
 朝から元気いっぱいの明日香は疲れも見せずにあっちこっちを精力的に見て回る。  
 僕はそれに付いていくのだけで精一杯だ。  
 ……明日香の新スポット探訪が一段落したのは日が傾きはじめたころだった。  
 
「ねぇねぇ、行ってみたいところがあるんだぁ」  
 明日香が言いにくそうにしながら僕を見る。  
「いいよ。今度はどんなところ?」  
 さすがに疲労を覚えはじめた僕が答える。  
「う〜ん……変な意味じゃないからね。抵抗あるなら行かなくていいんだよ?」  
「だからどこ?」  
「……ブティックホテル」  
「……は?」  
 我ながらマヌケな声が出た。  
「インテリアがおしゃれなんだって。あと最新のゲームも置いてあるっていうし……」  
 雑誌で写真を見たが、自分の目で見ないと納得できない明日香はきちんと確認したいらしい。  
 女一人じゃ入れないし、一緒に行ってくれる友人も清華にはいない。素性のわからない男となんか絶対にお断り。  
 そんなわけでずっと気になっていながら実現していなかったそうだ。  
 それらのことをまるで言い訳をするかのように明日香が説明する。  
 僕たちは先月やっとキスしただけで、もちろん体の関係なんかない。  
 そりゃあ僕だって若い健康な男だし、明日香とえっちする妄想で毎日オナニーしてるけど……。  
 まだ早いっていうか、段階踏んでないし、いきなりじゃ心の準備ができてないよ……。  
「ダメ? 入るだけ。それ以上は私が絶対にしないしさせないから!」  
 すがるような眼差しで明日香が僕を見た。  
 入るだけ。セックスするかどうかはまた別の問題。それに明日香は今より深い関係になるつもりはまったくないみたいだし。  
「……うん。いいよ」  
 少し複雑な思いで答える。  
「ありがとう!」  
 
 ホテル街に来た。  
 ここまで来て明日香も怖じ気づいたのか急に無口になった。足も止まる。  
 僕たちは明日香が見たいと言ったホテルの前で黙って立っていた。  
 ホテルの前で立ち止まっている僕たちを、別のホテルに入るカップルが怪訝そうな顔で見ていく。  
 それに気付いた僕は言った。  
「明日香、こんなところに突っ立ってるのおかしいよ。戻ろう?」  
(やっぱり順序が必要だよな。あせることないし今日は帰ろう。明日香のこと、大切にしたいし)  
「あ……うん」  
 明日香の返事を聞き、振り向いて一歩を踏み出そうとした僕の袖が引っぱられた。  
「どうしたの明日香?」  
「ねぇ、私たちも入らない?」  
「……え?」  
 とっさに言葉が出てこなかった。  
 そのまま固まっていると、  
「行こう」  
 そう言って明日香は僕の腕を取ったままホテルの玄関をくぐっていった。  
 
 中に入るとフロントがあった。  
 それを見た僕は心を決めた。自分から率先してフロントに声をかける。  
「すいません」  
「休憩ですか?」  
「は、はい……」  
 低いところに窓がついていて、中の人と直接顔を合わせなくて済むようになっている。  
 それでも明日香は僕の後ろに隠れるようにしている。  
(自分から入ったのに……)  
 そんな明日香がおかしく、またかわいらしくもあった。  
「お部屋は2階の205号室です」  
 カギを受け取ると階段を上って部屋に向かう。僕たちは手をつないだまま、無言で歩いていた。  
 緊張でのどがカラカラだ。何度もつばを飲み込もうとするけれど、口の中が乾ききってうまくいかなかった。  
 
 部屋に入る。  
 壁のスイッチを押すと明かりが点いた。  
「明るい……」  
 びっくりしたような明日香の声。  
 セックスするための空間。そんなイメージからもっと薄暗い部屋を想像していた僕も驚く。  
「ねぇねぇ、見て見て、天井が鏡だよ」  
 いつものペースを取り戻したのか、明日香が弾んだ声で言う。  
 言われて見てみると、天井のほか、一方の壁も鏡張りになっていた。  
「うっわぁー、カラオケも付いてる!」  
 部屋の中を観察しては、明日香はそのたびに大きな声で感想を述べていく。  
 雰囲気に圧倒されていた僕とは対照的に、明日香は初めて見る場所を楽しんでいるようだった。  
「あっれぇ〜、このベッド回らないよぉ!」  
 ベッドに腹ばいになって枕元のスイッチをいじるたび照明が明度を変える。  
「あ、明日香……あんまり変なとこ触るなよ……」  
「ねぇねぇ、回転ベッドってウソなの?」  
 無邪気に僕に問いかける明日香。  
「僕が知ってるわけないだろ?」  
「う〜ん、これはホテルのランクも要チェックだなぁ。次は別のところに行かないと……」  
 一人ごちながら明日香はバスルームに向かった。  
「お風呂おっきいぃ!」  
 明日香の大声につられ、僕も後ろから覗き込む。  
「おぉっ!」  
 広いバスルーム、大きなバスタブ。……二人で入ることを前提とした造りなのだろう。  
 噂に聞くソープランドってこんな感じなのかな?  
 
 もともと部屋はそれほど大きいわけではない。  
 しばらくしてすべてを見終わると僕たちに再び沈黙が訪れた。  
 当初の目的は達成した。だからあとは帰るだけだった。  
 だけど僕はそれを言い出さなかった。……明日香とセックスしたい気はある。だけど……。  
「明日香……」  
 名前を呼ぶ。  
「う、うん……」  
 明日香は僕と目を合わせようとしない。  
「帰ろうか。こんなところにずっといたら、僕、変な気持ちになっちゃうから」  
「変な気持ちって?」  
「……え?」  
「私とえっちしたくなっちゃうってこと?」  
「………」  
 僕はそれに答えることができなかった。  
「いいよ、えっちしても」  
 一瞬明日香の言った意味が理解できなかった。  
「え?」  
「だから……えっちしてもいいよ」  
 そう言うと明日香は服を脱ぎはじめた。  
 
 明日香はブラとショーツになるとベッドの上に畳まれていたバスタオルを取った。  
「シャワー、浴びてくるね」  
 そして浴室に行った。  
 しばらくするとシャワーの音が聞こえてくる。  
 昨日まで、いや、ついさっきまでこんなことになるなんて思ってもいなかった。  
 僕はベッドに腰をかけ、思いがけない展開になったことに戸惑っていた。  
 夢を見ているんじゃないか?  
 そう思って頬をつねってみる。……痛い。  
 いま明日香とホテルにいる。これから二人はセックスする。……まだ信じられなかった。  
 心臓が激しく脈打っている。  
 だけど、頭が混乱しているのか、そんな状況にありながら気持ちだけは妙に冷静だった。  
 
 どれだけ経ったろう? シャワーの音が止まった。  
ガチャッ  
 ドアの開く音がして明日香が出てきた。  
 明日香はバスタオルを巻いていたが、それは胸から股間をようやく隠す程度の小ささだった。  
ごくり  
 思わず生唾を飲み込み、のどが鳴った。  
「あ、あんまり見ないで……」  
 頬を染めて明日香が言った。  
「ご、ごめん」  
 あわてて後ろを向いた僕の背に  
「お風呂にはお湯入れてないから。シャワーしか使わなかったから」  
 明日香の声がした。  
「う、うん」  
 なるべく明日香のほうを見ないようにしながらバスルームに向かう。  
 ドアを開けると小さな脱衣スペースがあった。見ると明日香のブラとショーツが置いてあった。  
 それを見た途端、急にムクムクと股間に力がみなぎりはじめた。今日はじめての勃起だった。  
 明日香の下着を手に取りたい誘惑を振り払うように服を脱ぐ。そして浴室に入る。  
 シャワーをぬるめに出すと、昂ぶった気持ちを鎮めようとそれを頭から浴びせた。  
 そうしながら深呼吸をくり返すとようやく落ち着いてきた。  
(そうだ、体洗わなくちゃ……清潔にしとかないと明日香に失礼だよな)  
 セックスする決心をし、あたりを見渡すとボディソープのボトルが目についた。  
 それを手のひらで泡立て、体になすりつけていく。股間はとくに念入りに……。  
 出掛けにシャワーは浴びてきているけど、今日一日歩き回って汗もかいている。  
 そう思って勃起を握ると丹念に洗っていった。  
 ……興奮しきっていたのか? こするように洗ううち性感がどんどん高まっていく。  
 これから明日香と結ばれる。明日香に射精する。明日香の中で精液を……。  
 手が止まらなかった。明日香がいるのに、どうして自分で。そんな思いがよぎった。  
 だけど手が止まらない。腰の奥から快感が湧きあがる。  
「っっ!」  
 快楽の限界を迎え白濁が射ち出された。タイルに飛び散り、シャワーのお湯に流されていく。  
「はぁ、はぁ、はぁ………」  
 大きく息をついてそれを見ながら、僕は明日香の笑顔を思い浮かべていた。  
 
 もう一度股間を洗い清め、全身に熱いシャワーを浴びてから浴室のドアを開けた。  
(あ、バスタオル持って来んの忘れた……)  
 ドアを開けたところでそう思ったが、脱衣所には新しいバスタオルが置いてあった。  
 代わりに明日香の下着が消えている。  
(明日香が持ってきてくれたんだ……。まさか明日香、僕がオナニーしたの気付いてないよな?)  
 体を拭ってバスタオルを腰に巻く。  
 小柄な明日香の胸から股間までをようやく隠す大きさのタオルだけど、男の裸体には充分だ。  
(いよいよ明日香と……)  
 そう思ったら、たったいま射精したばかりなのにペニスに血液が流れ込みはじめた。  
 バスタオルの前が不自然なほど突っ張る。  
 なんとか勃起を鎮めようとしたが、意識すればするほど大きくなる。  
 僕はあきらめるとベッドルームに続くドアを開けた。  
 
 部屋は明かりがだいぶ落とされ、明日香はベッドに肩まで潜り込んでいた。  
「ねぇ、勃起……してる?」  
 僕の腰のあたりを見ながら明日香が聞く。  
「う、うん」  
 見れば分かる。隠しても無駄だと思って素直にうなずく。  
「見たいな……」  
「え?」  
「勃起したおちんちん」  
 そういう単語を明日香が口にしたことがたまらなく僕をドキドキさせた。  
 こんなにかわいい子が、こんなにエッチな言葉を……。  
「見せて…くれる?」  
 そんなことを考えていて黙ってしまった僕に明日香が再び尋ねた。  
「は、恥ずかしいよ……」  
 これからセックスするというのに、急に恥ずかしさが増して言葉を濁す。  
「だって私のも見せるんだよ?」  
 そう言って明日香が目元を染めた。  
 
「明日香は男の裸、見たことあるの?」  
「うん。でも子供のときにお父さんと一緒にお風呂入ったときだけだよ」  
「明日香初めてなんだ」  
「そうだよ。……違うと思ってた?」  
 悲しそうな顔で明日香が答える。  
 まずい。そんなつもりは全然ないのに明日香を傷つけた?  
「そうじゃなくて……僕も初めてだから……」  
 とりなすように答えた僕に、明日香は、  
「ねぇ、私のこと……好き?」  
 僕の目を見ながら聞いた。  
「もちろん! 明日香以外の女の子なんて考えられない。目に入らない」  
「……だったら許してあげるね」  
 そう言って明日香が微笑んだ。  
「ねぇ、立ってないでこっちにおいでよ」  
 明日香に促されるようにベッドに近付く。僕がそばに寄ると、  
「見せて……あげるね」  
 そう言うと、明日香はベッドから抜け出て立ち上がった。  
「あ……」  
 思わず声が出た。  
 ベッドの中で明日香は裸だったようだ。僕の前に美しい裸身があらわになる。  
 自然と乳房と股間の淡い翳りとに僕の視線が往復する。  
「あ……」  
 遠慮のない僕の視線にさらされ、明日香は反射的に胸を隠そうとした。  
 手が途中まで動いたけど、思い直したのかそのまま下に下ろす。  
「きれいだ、明日香……」  
 普通の高校生男子として、僕も悪友たちとビデオや雑誌で女性のヌードは何度か見ていた。  
 もちろん、選ばれ、磨きぬかれたモデルたちの裸は美しかった。  
 ところが、そんな彼女たちなんかよりも明日香の裸は何倍も、何十倍も魅力的だった。  
 まぶしい。そう形容していいほどの素敵な裸だった。  
「すごくきれいだよ、明日香」  
 もう一度、心からの賛辞を僕は述べた。  
 
「ありがとう……明日香ね、きれいって言われたの初めてだよ」  
「うそ?」  
 驚いた。街でスカウトされてもおかしくない明日香だ。てっきり何度も言われてると思ってた。  
「ほんと。かわいいって言われたことなら何度かあるけど、きれいって言われたのは初めて。うれしい……」  
 耳まで真っ赤に染め、はにかんだ笑顔の明日香が答えた。  
「あなたの裸も見たいな……」  
「あ……うん」  
 明日香が勇気を出して僕に裸を見せてくれた。僕にはそれに答える義務がある。  
 そう思った僕は腰に巻いたタオルをはいだ。  
「!」  
 声にならない悲鳴が聞こえた。明日香が息を飲んだ音だった。  
 口元に手を当て、僕の剛直を凝視する明日香。  
「大きい……」  
 言ってから、あわてたように視線を泳がせる。僕と目が合った明日香はますます赤くなった。  
「ふ、普通だと思うよ……みんなもこれぐらいの大きさだし……」  
 ちょっとだけ自尊心をくすぐられ、上ずった声で返事する。  
「他の男の人の見たことあるの?」  
 不信感をにじませた明日香の声。誤解されてる?  
「違うよ。修学旅行とかで一緒に風呂入るだろ? そのとき見たんだよ」  
 笑いながら訂正する僕に明日香がほっとため息をついた。  
「ねぇ明日香、もしかして僕がホモだと思った?」  
 
 明日香が再び勃起に視線を向けた。  
 今度はじっくりと観察している。知らないものは放っておけない性格の明日香らしいと思った。  
「そんなに珍しい?」  
 なんだかうれしくなった僕が聞くと、  
「うん。だって初めてなんだもん」  
 言いながら視線をはずそうとしない。  
「お父さんとお風呂入ってたんでしょ?」  
「男の人がこんなになってるの見るのは初めてだよ。興奮するとこうなるんでしょ?」  
「うん」  
「お父さんこんなになってなかったもん。だってさぁ、娘に興奮してたらヤバくない?」  
「そうだね、あははは。……そうだ明日香、さわってみる?」  
 僕の提案に  
「……いいの?」  
 真剣な表情で明日香が聞き返す。  
「いいよ」  
「じゃあちょっとだけ」  
 そう言いながら明日香がおそるおそるといった感じで手を伸ばしてきた。  
 
 明日香の指先が亀頭に触れる。  
ビクンッ!  
 それに反応して勃起が身震いした。  
「きゃっ!」  
 あわてて手を引っ込める。  
 そんな明日香の姿に精神的な優位に立った僕は  
「もう一回さわってごらん」  
 そう声をかけた。  
「だ、大丈夫? 急にビクッてしたけどなんともないの?」  
「気持ちいいと勝手に動いちゃうんだよ。もちろん自分の意思で動かすこともできるけど。ほら」  
 言いながら何度か勃起をビクビクと上下させる。  
「不思議ぃ〜」  
 目を輝かせた明日香がひざまずき、今度は勃起の中ほどを握った。  
「熱い……それに固い」  
 たおやかな指を勃起に巻きつけたまま明日香が言う。  
「もっと強く握っても大丈夫だよ。っていうか、強く握ってもらったほうが気持ちいい」  
「そ、そうなの?」  
 そう言いながら、  
ぎゅっ  
 明日香の手のひらに力が増した。  
 
 処女を教育している気がして、なんだか面映ゆい。それに一度射精しているため次の絶頂までゆとりがある。  
 僕は明日香に次の指示を出してみた。  
「握ったまま手を前後させてみて」  
「こ、こう?」  
 ぎこちない仕草で明日香の手が前後する。  
「皮だけが動くだろ?」  
「……うん」  
「あと先っぽのふくらんだところ、亀頭っていうんだけどここもさわってみて」  
 明日香が勃起をしごいたまま、左手で亀頭を揉むようにさわってきた。  
「ここは柔らかい……」  
 言いながら、両方の手で僕のモノをいじくりまわす。  
「それと先端の割れ目のところ、ここも気持ちいいんだ」  
 それを聞いた明日香が親指の腹でなぞりあげた。  
「うぅっ!」  
 あまりの快感に僕がうめくと、  
「ご、ごめん!」  
 そう言って明日香はあわてて動きを止めた。  
「ち、違う。痛いんじゃなくて気持ちいいの。安心して……」  
「そ、そうなの?」  
「うん。大事なところだけど、結構強く扱っても平気だよ」  
 自分の経験に照らして明日香に力の具合を教える。  
 それを聞いた明日香はもう一度勃起をまさぐりはじめる。  
 それからは、僕が苦悶の声をあげても痛みじゃないと知っているために手を止めなかった。  
 僕も女の子にさわってもらうのがうれしくて、明日香の好きにさせた。  
 明日香は興味津々といった感じで性器全体をいじっている。  
 天を突く肉棒の角度を変えて下を向けてみたり、袋を持ち上げてみたりする。  
 袋の中に二つ入っていることを確認すると  
「ホントにふたつ入ってるぅ〜」  
 そう言ってうれしそうに笑った。  
 袋の皮がどこまで伸びるか引っ張られたときは黙ってたけど、玉を強く握られたときはさすがに悲鳴を上げてしまった。  
 
「明日香、今度は僕にもさわらせて」  
 そう言うと、僕は明日香の胸に手を伸ばした。  
「……うん」  
 明日香は僕が触りやすいように立ち上がった。  
「やわらかい……」  
 素直な感想が口をついた。  
「あなたも初めてなの?」  
「そう言っただろ? もっとも赤んぼのときは別にしてね」  
「そうだよね、うふふ……でもうれしいな、明日香があなたの初めてで」  
「僕も明日香の初めての相手になれて光栄だよ」  
 そう言いながら僕は明日香の胸をゆっくりとなでまわしていた。  
「私の胸って小さいよね?」  
 しばらくそうしていると、申し訳なさそうに明日香が言った。  
「そ、そうかな?」  
 女の子の胸なんてさわったこともない。  
 たしかに小ぶりだとは思うけど、それが平均と比べてどうなのかなんてわからない。  
「あ〜あ、こんな小さいんじゃグラビアアイドルにはなれないなぁ……」  
「明日香はテレビタレントになるのが目標なんだろ?」  
「そうだよ。じゃなかったらスーパーモデル。でももっと大きくないとモデルはなぁ……」  
「も、揉むと大きくなるって言うよ」  
 下心ありありの発言に声が裏返った。  
「あぁっ! いやらしいこと考えたでしょ!」  
「ち、違うよ!」  
「どうだか……でもいいよ。あなたにだったら揉まれても」  
 
 明日香は目を閉じて僕のなすがままになっている。  
 さっきまでおもちゃにしていたペニスも握ったまま手が止まっている。  
 僕は自分の手のなかで自在に形を変える乳房の感触に酔いしれていた。  
 そうして明日香に握られたまま胸を攻めつづけた。  
 乳頭を指の腹で軽く押し込む。指先で転がす。爪の先で弾く。手のひら全体で押す。  
 乳房を下から捧げ持つようにして小指と薬指を使って圧を加える。  
 そうこうするうち、乳房全体が張って来て、先端の蕾がコリッと尖ってきた。  
「固くなった?」  
 信じられない変化に思わず声が出た。  
「だって……も、もまれるの気持ちいいから……」  
「気持ちいいと乳首って固くなるの?」  
 知らなかった。  
 興奮すると女性器が濡れるというのは聞いていたけど、胸も状態が変わるのか?  
「おちんちんとおんなじだよ……知らなかった?」  
「うん。乳首が固くなるのは初めて知った。……明日香も自分でさわったりするの?」  
「……え? ……う、うん。ときどき。……男の子だってするんでしょ?」  
「あ、うん。やってる……」  
 ひょんな事から二人してオナニーを告白することになってしまった。  
「毎日?」  
「……うん」  
 答えてから急に恥ずかしくなる。  
「どんなこと考えてするの?」  
「……え?」  
 深い意味はないんだろうけど、明日香の質問に僕は答えを躊躇した。  
 だって、明日香のことを思って、なんて言えそうもない。  
「明日香のこと?」  
「! ……うん。ごめん」  
「いいよ。明日香もそうだから」  
「ほんと?」  
 思わず声が弾む。明日香は僕を思って……。  
「……あんまり聞かないでよね」  
 そう言うと明日香は真っ赤になってうつむいてしまった。  
 
「そ、そろそろしようか……」  
 間が持てなくなって言った僕の言葉に、明日香は  
「『する』ってなんかエッチだよね……」  
 そう答えながらベッドに腰を下ろした。そして  
「初めて同士はうまくいかないって言うよね」  
 僕を見上げながら心配そうに言った。  
 
 ベッドの上に向かいあって座る。  
「明日香……」  
 名前を呼びながらそっと抱き寄せる。そのまま体を倒していく。  
 明日香を横たわらせると、  
「好きだよ」  
 ささやいたあとで唇を重ねた。  
「ん……」  
 のどの奥で小さく鳴いた明日香が僕の背中に腕を回すとしがみついてくる。  
 僕は舌を伸ばすと固く閉ざされた明日香の唇をなぞった。  
 そこで何度か動かしていると少しずつ明日香の唇から力が抜ける。そこに舌をねじ込む。  
 次いで歯列を数えるように舌先でねぶる。歯だけではなく、歯茎も舐めまわす。  
 その僕の舌に明日香の舌が触れた。と、次の瞬間それらが絡みあった。  
 強く吸いあいながら舌を自在にうごめかし、唾液をすすりあう。  
 上あごや舌の裏、歯の裏といった感じやすい部分も丹念に愛撫する。  
 キスをしたのはまだ数えるほどだった。それでも僕たちはこんな理性がしびれるほどのキスをくり返した。  
 
 キスをしたまま僕は右手を明日香の股間に伸ばした。  
 僕の手の動きに気付いたらしく、明日香は協力するように足を少し広げてくれる。  
 指先が恥毛を捉える。そのまま手を進めて股間に手を差し込む。  
 一瞬、明日香はビクッと身を震わせて舌の動きを止めたけど、僕を拒まずに身を任せている。  
 熱く、ヌルヌルした液体が指先にまとわりついてきた。  
「濡れてる……」  
 唇を離すと、僕は明日香に言う。  
「……うん」  
 泣きそうな顔で明日香が答える。  
「気持ちいいと濡れるんだよね?」  
 それに明日香は答えず、ただ  
こくん  
 とうなずいただけだった。  
「もっと気持ちよくしてあげる。どうすればいいか教えて……」  
 明日香の耳元でささやく。  
「あのね……クリをね……」  
 顔を見せないようにか、僕の肩に額を押し当てて明日香がつぶやく。  
 そんな明日香が愛しくてたまらない。  
「明日香……」  
 そっと名前を呼んで、僕は明日香の股間で指を動かしつづけた。  
 そうしながら頭の中で保健の教科書のイラストを思い浮かべる。  
 簡略化された図ながら、何よりも正確な女性器の位置関係の図解が載っていたはずだ。  
 記憶のとおりに何度か指を前後させるうち、コリコリした小さな突起を指が探りあてた。  
「ひぁっ!」  
 そこに触れると、明日香はまるで電気が走ったかのように小さく痙攣する。  
(ここがクリトリスだ……その下に……あった、膣口)  
 思っていたよりも下のほうにある。それが最初の印象だった。  
 そのあたりをなでまわす。少しだけ指を入れてみる。そうして小刻みに振動させてみる。  
「んんっ、あんっ……ひっ」  
 自分の体内に侵入しようとする感覚に違和を覚えるのか、明日香がむずかるように鳴く。  
 まわりのひだを指先でつまみながら、こんこんと湧きだす液体をすくってクリにまぶす。  
 そうしておいて指の腹でもむようにクリを回しながら転がす。  
 
「あぁっ、はぁっ! んんっ……」  
 僕の愛撫に明日香が短い悲鳴を上げ、うめく。  
(感じてる! 明日香を感じさせてる!)  
 何かに憑かれたように僕は明日香の性器をまさぐりつづけた。  
「ひむっ! んんんっっ!」  
 突然明日香が僕の首にしがみついた。そうして腰をぐっと前に突き出す恰好になる。  
 ……そのままゆっくりと力が抜けた。  
 
「はぁ、はぁ、はぁ……」  
 大きく息をついて横たわる明日香の額には汗で濡れた前髪が張り付いている。  
 ……それがなんとなく淫靡に思えた。  
「明日香、イッちゃったの?」  
 僕の問いかけに、明日香は  
「……うん」  
 小さく答えた。  
 明日香をイカせた満足感と興奮とで胸が苦しくなるほど僕も昂ぶっていた。  
「明日香……」  
 そんな気持ちが声に含まれていたのか、  
「いいよ、来て……」  
 潤んだ瞳で明日香が言った。  
「うん」  
 大きく開かれた明日香の足の間に身を移す。目の前には初めて見る女性器があった。  
 部屋の照明はそれほど明るいわけじゃない。  
 でも目が暗さに慣れたこともあるんだろうけど、明日香のそこの複雑な形状が大体分かる。  
 ヌラヌラといやらしく光る肉のひだや、ふっくらと丸みを帯びた女性の部分が見て取れる。  
 僕はさっき指で確認しておいた膣口にもう一度さわった。そしてそこに勃起を近づけていく。  
 指で位置を確かめ、それと入れ替わるように先端を入り口にあてがう。  
「行くよ、明日香」  
「うん、いいよ」  
 返事を確認してからゆっくりと腰を押し出した。  
 
ぬるんっ  
 処女の強靭な抵抗のせいか、ペニスは膣に埋没することなく陰唇に沿って逃げた。  
「あっ」  
 小さくあせる。  
「も、もう一回行くね」  
 そう声をかけ、再度試みる。  
「う、うん……」  
 破瓜の痛みへの恐怖なのか、不安そうな明日香の声。  
 そしてそれを紛らすためなのか、僕の首に両腕を巻きつけてしがみつく。  
 二人の体が密着し、明日香の体温が僕に流れ込んだ。  
 今度は肉茎を手で固定して外れないようにする。  
 そうしておいてから  
ぐっ  
 腰を突き出した。  
 
「あああぁぁっ!」  
 のけぞるように明日香が絶叫する。  
 剛直が半分ほど明日香の中に埋まっていた。  
(きつい……痛いほどだ……)  
 ペニス全体がまわりから締めつけられる。しかも固定されている。  
 それ以上は押し込むことも抜くこともできなかった。  
「明日香、平気?」  
「お、終わったぁ?」  
 涙の混じった声で明日香が聞く。  
「まだ。……ゴメン、もうちょっとかかる」  
 風呂場でオナニーなんかしたせいで、射精まではもう少しかかりそうだった。  
「……うん」  
 必死に痛みに耐えている明日香のために、僕は少しでも早く射精しようとした。  
 でもそのためには明日香の中で動かなくちゃならない。  
「明日香、動くからね。痛かったら言ってね」  
 そう声をかけ、少しずつ腰を前後させた。  
 
「ひぐっ! ひぁっ、ああぁっ!」  
 せまい肉穴を勃起がこすりたてる。  
 そのたびにもう入らないと思っていた明日香の中に肉棒が潜り込んでいく。  
 ……そしてとうとう、一番奥までおさまった。  
 
 侵入してきた異物を排除しようとするかのように、明日香の膣は僕を押し出そうとする。  
 奥のほうから搾られるように伝わる蠕動が僕に快感をもたらす。  
 だけどそれは明日香の体に大きな負担を強いている行為だった。  
「明日香、全部入ったよ」  
「……うん」  
「痛い?」  
「……ちょっと」  
 ウソだ。明日香の様子を見るかぎり、この痛みが『ちょっと』なんてもののはずがない。  
「やっぱりやめるね」  
 そう言って明日香から身を離そうとした僕の背中が明日香によって抱きとめられる。  
 同時に腰に明日香の足が巻きつく。  
「いや。やめちゃイヤ!」  
「だって明日香、痛いんだろ?」  
「最初は痛いんだから仕方ないよ……明日香、あなたのものになりたいの! お願い!」  
 そこまで僕のことを思ってくれている明日香に胸が熱くなった。  
 胸の中に明日香に対する気持ちがどんどんふくらんでいき、僕は明日香にキスをした。  
 ただ唇を合わせただけのキス。それなのに、性感がどこまでも高まっていく。  
(あ、イク……)  
 急に訪れた射精感に僕は明日香を強く抱きしめた。  
 その次の瞬間、  
びゅっ! びゅるっ! どぴゅっ!…………  
 ペニス全体が破裂しそうな快感とともに、精液が勢いよく射ち出された。  
 
「はぁ、はぁ、はぁ……」  
 射精の余韻と快感に僕は大きく息をつく。  
「終わったの?」  
 そんな僕の様子に、組み敷かれたままの明日香が聞いた。  
「うん。終わった……」  
「気持ち…よかった?」  
「うん、すごくよかった。こんなに気持ちいいの、初めて……」  
 まだ整わない息で答える。  
「よかった……」  
 本当にうれしそうに明日香が言った。  
 そして僕にキスをした。  
 舌をからませ、唇を甘噛みし、唇をこすり合わせる濃厚なキス。  
 僕もそれに応え、明日香の舌を軽く噛んだり歯列をなぞったりしてお互いを感じさせていく。  
 そんなキスを続けるうち、明日香の膣で力を失っていた陰茎が再び硬直を始めた。  
「ん……」  
 それに気付いたらしく、明日香の舌の動きが止まった。  
 唇を離す。  
「また…勃っちゃった?」  
 目元を染め、明日香が言った。  
「ごめん……」  
「いいの、明日香に感じてくれてるんでしょ? ね、もう一回して?」  
「いいの明日香? 苦しくない?」  
 さっきの明日香の苦悶の様子を見ているとやめたほうがいいように思う。  
 そう思って言ったのだが、明日香は  
「いっぱいえっちしないと慣れないじゃん」  
 そう言ってまた僕に口付けてきた。  
 
 完全に勃起した。  
 膣の締めつけは相変わらずの強さに思えたけど、精液が潤滑剤になったのかさっきよりはきつくなかった。  
 なるべく痛みを与えないように注意してゆっくりと明日香の中を前後させる。  
 明日香は時折眉根を寄せるけど、僕の顔を見ながら幸せそうな笑顔を見せている。  
「ね、ねぇ……」  
 ためらいがちな明日香の声。  
「ごめん、痛かった?」  
 あわてて動きを止める。  
「あ、そうじゃなくて……上」  
「上?」  
 そう言われて、思いっきり首を反らせた。  
「……あ」  
 僕たちがセックスしている姿が天井の鏡に映っていた。  
 大きく足を広げている明日香。そこに覆いかぶさっている僕。  
 そういえば、と思い出し、右の壁を見た。  
(やっぱり……)  
 そこにも僕が明日香にのしかかっている姿が映し出されている。  
「私たちえっちしてるんだよ。なんか恥ずかしいよね」  
 羞恥の表情を浮かべて明日香が言う。  
「そ、そうだね」  
 自分たちの営みを客観的に見るのはなんとも気恥ずかしかった。  
 それでも、仰向けになっている明日香に比べたら横さえ見なければいい僕は気が楽だった。  
 
「明日香が上になる?」  
「そ、そんなのイヤだよ!  
 強い調子で否定する。  
「じゃあ明日香は目つぶってればいいから」  
「そんなことしたらあなたの顔が見えないじゃん」  
「だったら鏡が気にならなくなるぐらいセックスに没頭する」  
「……言ってて恥ずかしくない?」  
 あきれたような明日香の声。  
「……恥ずかしい」  
「だけどぉ、なんか興奮する……」  
 そう言って明日香は再度天井に目を向けた。  
 
 僕も再び明日香の中を堪能することにした。  
 見ないようにしていても、ついつい横の鏡に目が行ってしまう。  
(明日香に言われるまで気付かなかった。明日香も終わったことで冷静になったのかな?)  
 そんなことを考えながら明日香の中で前後させる。  
(たしかに興奮する……)  
 自分たちのセックスする姿。大好きな明日香とのセックス。裸の明日香。明日香のぬくもり……。  
 途端に射精感が押し寄せた。さっき出したばっかりだというのに、急速に高まっていく。  
 非日常の行為が神経を昂ぶらせているのか、性感の頂がぐんぐん近付く。  
 それでも腰が止まらない。  
 自分の意思とは無関係に、勝手に快楽をむさぼって明日香を貫いている。  
 そんな僕の状態が伝わったのか、明日香の膣がこれまでと違う絶妙な動きを見せた。  
(ダメだ……我慢できない)  
 明日香に腰を押し付けた。  
 根元まで深く挿入し、そこで腰を回すようにして恥骨をすり合わせる。  
 ……二、三度そうしただけで絶頂はあっけなく訪れた。  
びゅびゅっ! びゅくっ! ずびゅっ!…………  
 目の前が真っ白になった。  
 強烈な快感とともに腰の奥から熱いものが飛び出していく。  
 気が遠くなりそうな悦楽の中で、僕は3回目とは思えないほど長く射精を続けた。  
 
「出たの?」  
 慈愛をたたえたような明日香の声に我に返る。  
「あ、うん……ごめん、イッちゃった」  
「もうっ! なんで謝るの? あなたが気持ちよくなってくれれば私はうれしいんだからね」  
 怒ったような明日香の声にあわてて言葉を継ぐ。  
「でも明日香イッてないだろ?」  
「……明日香も一回イッたよ……私たち初めてだったけど…うまくいったね」  
 赤くなった明日香はそう言いながら僕から視線を逸らした。  
 と、その目が一点で止まる。  
「? どうしたの明日香?」  
「もうこんな時間」  
「え?」  
 言われて僕も時計を見る。  
 だけど明日香の門限まであと一時間ちょっとある。  
 ここから明日香の家まで30分はかからないはずだし……。  
「シャワー浴びないといけないし、髪だって乾かさなきゃ」  
「そうか」  
 言いながら明日香の上からどく。  
 すっかり力を失ったペニスは僕の精液と明日香の破瓜の血とでまだらに染まっていた。  
 ふと明日香の股間を見る。  
 膣口から僕の射ち出した白濁が垂れ、シーツにしみを作っている。  
 そのしみはわずかに朱が混じっていた。明日香の処女の血……。  
「ありがとう明日香」  
「え? 何が?」  
「明日香の初めて、僕にくれて」  
 万感の思いが胸にこみあげ、かすかに涙ぐみながら言った僕に、  
「……うん」  
 明日香もしんみりと答えた。  
 
「明日香」  
 そう声をかけて立たせるために手を取る。  
「うん」  
 立ち上がった明日香がわずかによろけた。  
「大丈夫?」  
「うん、ちょっと力が入らなかっただけ。……あ」  
「どうした?」  
「……垂れてきちゃった」  
 そう言って枕元のティッシュを何枚か抜くと股間にあてがった。  
「あ……」  
 その意味を理解し、僕は顔が熱くなったのを感じた。  
 見るともなしに見ていると、明日香は膣の中に指を入れて精液をかきだしている。  
「まだなんか足の間にはさまってるみたい……ヤダ、見ないで……」  
 明日香の声にあわてて横を向く。  
「中で出しちゃって平気かな?」  
 激情に駆られ、本能だけで突き進んでしまったことを今さらながら後悔する。  
「う〜ん……たしか今日は平気なはず。あ、そういえばさっき見たんだっけ」  
「何を?」  
「これ」  
 そう言って明日香が枕元の正方形の小さなものを手に取った。  
「それ何?」  
「アレだよ、アレ」  
「ん? ああ、コンドームか……」  
「あるの分かってたんだから使えばよかったよね」  
 僕は気がつかなかったけど、明日香はいろいろ観察していたときに見つけていたのだろう。  
 明日香は安全日だって言うけど、計算が狂うことだってある。あるなら使えばよかった。  
「ねぇ、3回も出したけど疲れてない?」  
 処理を終えて明日香が言った。  
「大丈夫。だけどいつもは3回もしな……なんで3回って知ってるの?」  
「お風呂で自分でしてたでしょ?」  
 そう言って明日香はいたずらっぽく笑った。  
 
「ねぇ、『退室の際はフロントにご一報ください』って書いてあるよ」  
 シャワーを浴び、髪を整え、服を着終えた明日香が言った。  
「そうなの?」  
 その声に明日香を見ると、電話のそばで僕を見ている。  
 近寄って見てみると、たしかに電話の横にそう書いてある。  
「電話すればいいのかなぁ?」  
「そうみたいね」  
 僕は受話器を取ると指定された番号を押した。  
 ほどなくして  
『はい、フロントです』  
 中年の女性の声がした。最初にお金を払ったときの人みたいだった。  
「終わりました。これから帰ります」  
『……カギはかけずにお出になってください』  
 一瞬の間のあと、電話の向こうで事務的な声がした。  
 
 電話を終わると、明日香が  
「『終わりました』ってのはなしだよ。いかにも『えっちしました』って感じで恥ずかしいじゃん」  
 そう言って僕を軽くにらんだ。  
「あ……そういえばそんなこと言っちゃった気がする。そうか、『帰ります』だけでいいんだ……」  
「もぅっ!」  
 言いながらも、明日香は僕の左腕に両手を絡めてきた。  
「今度は言い間違えないでね」  
「うん……あれ? ってことは、またエッチしてもいいの?」  
「今度はあなたの精液が出るところ、見たいな」  
 明日香は恥ずかしそうにそう言うと、僕の頬にキスをした。  
 
 
            おわり  
 

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