見慣れない天井を見つめながら、僕は妙子への思いを巡らせていた。  
(やっぱり、怒ってるよなぁ…)  
無理もない。「見ないで」と言われたのに振り返り、妙子の裸を見てしまったのだから。  
さっき声を掛けた時の素っ気ない態度からして、やっぱり怒ってるんだと思う。  
……しかも、僕の脳裏にはその裸身が焼き付いて離れない。  
水を浴びて艶々と光る白い肌。形の良い柔らかそうな胸。少し薄い恥毛。  
思い出すだけで、僕の下半身は少し勃起して来る。  
(まったく…我ながら情けない)  
結局、妙子をそんな風に見ているのは事実なのだ。  
そんな僕の破廉恥な思いを妙子に見透かされてしまっているかも……。  
 
(やっぱり、ちゃんと妙子に謝らないと)  
僕はそう結論を出し、布団から這い出した。  
今ならまだ起きてるかも知れない。  
 
廊下の電気は全て消されていた。僕はゆっくりと暗闇に目を慣らしてから、妙子の部屋に向かった。  
 
「……あれ?」  
妙子の部屋のドアがほんの少し開いている。おそらくはスタンド程度の小さな明かりなのだろうが、この暗闇ではそれでも目立つ。  
(良かった、まだ起きてるかも)  
 
段々部屋に近づくにつれ、何やら声が聞こえて来た。  
『…ん……ぁ……んっ…』  
確かに妙子の声だが、いつもと違うような気がする。  
僕は不思議に思いつつ、ドアの所に辿り着いた。その隙間から、そっと中を覗き込んだ。  
 
『……あっ……や…はぁん…っ…』  
僕は一瞬我が目を疑った。  
薄暗い部屋の中、ベッドの上の妙子が切ない声を上げていたのだ。  
(ま……まさか妙子が…オナニー…してるのか?)  
想像だにしなかった状況に僕は固まってしまう。  
 
僕は、まるで金縛りに掛かったかの様にそのまま妙子の痴態から目を逸らす事が出来ない。  
『あ……いい……いい…よぉ……』  
暗くて顔は見えないが、妙子が段々高まっているのがその声から判る。  
(た…妙子……)  
僕は自分の欲望が膨れ上がるのを感じた。下着の中で僕のモノが見る見る勃起してゆく。  
 
やがて薄明かりの中、自慰に耽る妙子がゆっくりと脚を開いていった。ベッドの位置の関係で、丁度ドアから覗き込んでいる僕に向けて股を開く格好になる。  
『あぁ……や……やだぁ……そん…なぁ……あんっ……はぁ……ッ…』  
布地越しの指が淫らに動いて僕を挑発する。  
ぐちゅ…ぐちゅぐちゅ…ぐちゅ……。  
妙子の陰部から淫らな水音が響く。  
……駄目だ、我慢出来ない……。  
僕はズボンを下ろし、自らに手を伸ばした。  
 
『や……何か…くる…っ……きちゃう…の…おっ』  
(妙子…妙子…ッ…)  
妙子の嬌声に合わせるように僕の快感も昂ぶる。  
『…も……ダメ…ぇッ…ダメッ……だ……ダメェ………ッ……!』  
僕は自らを扱く速度を早めた。  
(妙子…っ……僕もッ)  
 
『あっ…あっ……あぁぁぁぁんッ!!』  
(うッ!!)  
妙子が果てると同時に、僕も達した。床に白濁した精液が飛び散る。  
 
(しまった……!)  
自らの行為に今更焦る。僕は慌ててズボンを上げて、この場から立ち去ろうとした。  
だが、足がもつれてバランスを崩し後ろに躓く。  
――ガタンッ!  
 
「えっ……?」  
妙子の短い声。そして足音が近付き、ドアが開かれた……。  
「えっ……どう…して…?」  
開いたパジャマの前を押さえた妙子と僕の目が合う。  
 
(次回、本番編に入ります)  
 

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