夏休みになって妙子が僕の下宿に泊まり始めて三日間が過ぎていた。  
初日の夜は結局四回も妙子と愛し合い、最後にはお互いに力尽きて眠ってしまった。…目覚めた次の日、妙子は昼過ぎまで起き上がる事も出来なかったそうだ。  
 
夏休みとは言え、一人暮らしの身ではバイトは欠かせない。僕は二日目の朝にはヘトヘトの体を引きずり、眠ったままの妙子を残してバイト先へ向かった。帰って来た時に、妙子が夕食を用意して出迎えてくれたのは正直涙が出そうな程嬉しかった。  
 
「じゃ、今日は少し帰りが遅くなるから先にご飯食べてて」  
「うん、わかった」  
「あと、暇だったらその辺の本とかビデオとか見てていいからね」  
「うん」  
「じゃ、行ってくるね」  
「…あ、ちょっと待って」  
妙子の言葉に振り返る僕。すると妙子は僕の両頬に両手を添え、軽く口づけてきた。  
「…行ってらっしゃい」  
少し頬を赤らめ、妙子が僕を送り出してくれた。  
 
 
(今日は疲れたな…)  
僕はバイトを終えて家路を急いだ。妙子を一人残しているのはちょっと心配だ。自然と足が早くなる。  
 
「ただいま〜!」  
部屋のチャイムを鳴らし、待ちきれずに自分の鍵で扉を開けて中へ入る。  
「えっ……?…あっ、おっ…お帰り…っ……わっ…」  
バタバタ、とした音と共に聞こえてきた妙子の声は慌てた調子だ。  
「ど…どうしたの妙子!?」  
僕はビックリして妙子の声のした方へ早足で向かう。  
 
「あっ……!?」  
僕は部屋に入って、すぐにその状況を理解した。  
片手にビデオのリモコンを持って目を丸くした妙子。中にテープが入って停止状態になったビデオデッキ。そして僕の机の上には見慣れたレンタルビデオ屋の貸し出し袋。  
しまった……!確かこないだ借りてきたのは、AV一本だけだ。それを忘れてそのまま置いて出掛けてしまったんだ。それで、暇をつぶそうと妙子がその袋に気付いて、それで、その中身がAVだってバレて、それでそれを再生してて…。  
僕は順序良く現状を理解して、そして非常にピンチに陥った事に気が付いた。  
 
僕らは二人して黙り込んだまま俯いている。  
……気まずい。  
何か言わなくちゃ…。でも何をどう言い訳したら良いやら…。  
頭の中でグルグルと考えが回っている僕より先に、妙子が口を開いた。  
「あ……ゴメンね、勝手に中身見ちゃって、その、だって…」  
「ご、ゴメン妙子!」  
僕は思わず頭を下げた。  
「えっ、でも…男の子なんだから当たり前……なんだよね……」  
妙子の方をチラリと覗き見た。別に怒ってる訳ではないみたいだ。  
「……こういうの、よく見てるの?」  
「…………たまに」  
…思いっきり嘘だ。最近じゃ返却に行く度に次のを借りてきてる方が多い。  
そして、再び二人とも黙り込んでしまう。  
 
「………こういう事……したいの……?」  
妙子がもじもじとしながら尋ねてきた。  
「……え……いや、その…」  
……言えない。まさか、このビデオを妙子に置き換えて見ていたなんて。思わず手に汗が滲む。  
「……………したの?」  
「え?」  
あまりに小さな声で聞き取れず、僕は妙子に向き直った。  
「………これ見て……一人で、したの…?」  
妙子は耳まで真っ赤だ。そして、その顔で僕の目を見つめてる。  
「………うん…」  
妙子のその目に、僕は正直に白状してしまった。僕たちは互いの顔を見つめ合って言葉を失う。  
 
………永遠とも思える沈黙の後、妙子がポツリと言った。  
「……じゃ…じゃあ……ホントに…しても、いいよ」  
 
「……へ?」  
僕は間抜けな声を出してしまった。  
妙子は静かに立ち上がり、上着のボタンを外して静かに脱ぎ始めた。そのまま続いてジーンズに手を掛けてファスナーを下ろすと、ストンと下に落ちる。  
僕は茫然とその様に見惚れてしまう。  
妙子は両手を後ろに回してブラのホックを外し、その肌に滑らせる。そして残された薄い水色のショーツも自ら脱いでいく。  
生まれたままの姿になった妙子が四つん這いで、座り込んだ僕に歩み寄った。  
 
「ねぇ……お願い…早く、私にも……あんな風に……して………」  
妙子が思わず後退りした僕の脚の間に手を伸ばし、膨張を始めた股間に触れる。  
「……もう……大きくなってる………」  
右手でベルトを外しながらも左手は優しく僕を撫でる妙子に、僕はそのまま下着ごとズボンを下ろされた。反り勃った分身が露にされる。  
「……じゃ…ビデオの女の人みたいに、舐めてあげるね」  
妙子は愛おしそうに僕のモノをいじり始めた。裏筋に舌を這わせて、右手の指で僕を弄ぶ。  
 
「……うッ」  
思わず声が洩れる。  
妙子は先端をちろちろと舐めて刺激した後、大きく口を開いて僕を咥える。  
可愛らしい口一杯に僕のモノを頬張り、ぬちゅぬちゅと音を立てて懸命にフェラを続ける妙子の姿に僕は更に自分自身を膨張させていく。  
「……ね……きもちいい……?」  
上目遣いで妙子が尋ねてきた。AVを見ながら何度も妄想したこの状況。油断すると、すぐにでも射精してしまいそうになる。  
「た…妙子………僕…」  
「……ヤだ……」  
妙子は僕の言葉を遮り、小さな声で呟く。  
「……他の女の人で…するなんて、ヤだよ……」  
僕の顔を見上げた妙子の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。  
「そりゃあ、いつも一緒にいられないんだから、仕方ないのかも知れないけど……でもイヤ、私以外の人の事考えてするなんて…」  
…僕はバカだ。妙子をこんな風に泣かせて…。  
「違うんだ、妙子ッ」  
妙子の両肩を抱いて僕は事実を告げた。  
「確かにその…こういうビデオでしてるのは本当だけど、いつも…妙子としてるのを想像して…抜いてるんだ…」  
何ともみっともない告白だが、事実だからしょうがない。  
「あ………」  
妙子は目を丸くして涙をポロポロと流す。これまた怒ってはいないみたいだ。  
「だって……妙子以外の子とHしたいなんて思わない…だから、その……」  
 
「……………じゃあ」  
妙子が僕の首に腕を回して来た。そして顔が見えない位置に頭を持ってきて、耳元で囁いた。  
「……実際に、私とした時の事ですればいいよね……?」  
僕はその言葉の意味と、耳をくすぐる妙子の息の温もりに全身が震えた。  
「……でも、今までものすごくHな想像してたんだよ……」  
「……いいよ…」  
「妙子の事、もっと色々したいんだよ…?」  
「…あなたになら……いいよ…」  
妙子は優しい口調で僕の欲求を受け入れる。  
「…妙子…」  
僕は妙子に口づけ、そのまま自分の舌を妙子の舌に絡み付かせる。  
「……んんっ…ん…っ…」  
妙子もその舌を動かしてくれた。僕たちは互いを求めて口内を貪り合い、暫くして唇を離す。つう…と二人の口元から糸を引いた。  
「さっきのビデオ…」  
妙子が呟く。  
「あれも私で想像したの?」  
「あ……うん…」  
その内容はソフトな縛り有り、コスプレH有りと我ながら趣味が伺える物だ。  
「じゃ、じゃあ……ホントに…してあげるね……」  
妙子は背中を向け、両手首を交差させた。ゴクッ、と僕は唾を飲み込み意を決する。  
 
僕は学校の制服のネクタイで妙子の両手を後ろ手に縛り上げた。  
「……じゃあ…脚を開いて」  
「…は…はい…」  
妙子はゆっくりと両脚を開く。薄い恥毛の向こうはぬめぬめと濡れた蕾がヒクヒクしている。  
「……妙子…じゃあ…おねだりして」  
 
「………お願い……私の…ここに……あなたの…お……お……」  
妙子は真っ赤になって言葉を詰まらせる。  
「…駄目」  
僕は一言で妙子を急かす。  
「………あなたの……おちんちん、入れて…下さい」  
そう言うだけで妙子の淫部からは愛液が滲んでくる。  
「ちゃんと言って」  
「……私…の……お…おま…んこに……あなたの…おちんちんを…入れて……かき回して下さ…い…」  
妙子の瞳は恥ずかしさに潤んでいた。  
 
「…あっ……あんっ…はぁん…ああっ…」  
「う…締まる…ッ…!」  
妙子の膣はいつもより強く僕のモノを締め付ける。  
「妙子……いい…っ」  
「…わ…私も……すごく……きもちいいよぉ…っ…」妙子があられも無い言葉で喘ぐ。  
僕らはお互いに向かい合いながら、座位で腰を振って快感を求め合った。  
ふと僕は足元に転がるビデオのリモコンを手にして、再生ボタンを押した。さっきまで妙子が盗み見ていたAVが途中からテレビに映し出される。  
 
『はぁんッ……ご…ご主人様……もっと…もっと掻き回してェ……ッ!』  
メイド服から両胸をはだけさせた女優が、バックで責められながら男優におねだりをしていた。  
 
「妙子は、僕のモノなんだよね?」  
「…ぁん…っ……はい…」  
「じゃあ……何でも僕の言う事をきけるよね…?」  
「…は…ぁっ……は…いっ」  
妙子は喘ぎながら絶え絶えに返事をする。  
「それじゃあ、今から僕の事は…『ご主人様』と呼ぶんだ………いいね」  
「……あッ……そん…な…ぁ……あん…恥ずかし…いよぉ…っ」  
妙子の恥じらう仕草に、ますます僕は欲望を昂ぶらせた。  
「……今夜だけだから」  
僕は妙子の耳元でそう囁いて、耳たぶを少し咬む。  
「あッ…!………う…ん……わかった……からぁ………ご……ご主人様ぁ……」  
妙子は僕に言われるまま、従順にそう呼んだ。  
 
後ろ手に縛られた妙子を犯し、しかもご主人様などと呼ばせている。そんな妄想の世界でしかありえなかった事を本当にしている。  
僕は少し理性が飛んでいるのに気付いたが、敢えてそのままこの行為に身を委ねる事にした。  
「どう…僕のは…」  
わざと卑猥な質問を投げ掛ける。  
「はい……いい…です…ご主人様の…おちんちん…気持ちいいで…す……っ…」  
妙子もそれを受け入れ、はしたない言葉を発する。  
「…妙子……縛られるの、気持ちいいんだね……」  
「…はい…っ……あぁ……もっと……妙子を…イジメて…下さ…い……」  
口元を涎で濡らした妙子の表情は、今まで見た事ない程に淫らで悩ましいものになっていた。  
 
「ご主人様…ぁ……早く……下さ…い…っ……妙子の中…に…熱いのを…いっぱい…出して…下さい…ッ」  
妙子は絶頂を迎える寸前であった。正直僕も同じだ。  
「で……出るっ…妙子…中に出すよ……」  
「ああッ……私…っ……イクぅ…ご主人様の…あん……おちんちんで……イッちゃう…っ……!」  
妙子の膣内がキュウッと僕を締め付け、僕はそのまま妙子の中に注ぎ込んだ。  
「――うッ!!」  
どぷどぷっ!  
「あっあっあッアッ……はぁあああああーんッ!!」  
妙子も僕を咥えたままで果てた……。  
 
 
「………平気なの?…中で出しちゃったけど……」  
妙子の腕の拘束を解きながら僕は尋ねた。流れとは言え、初めて妙子の中で射精した事に今更少しドギマギする。  
「うん……一応安全日だし……それに」  
妙子は悪戯っぽい笑顔で僕を見つめた。  
「……ご主人様には、逆らえないから……ね」  
……その台詞に、僕の肉棒は再びムクムクと硬くなってゆく。  
「…………じゃあ…もう一回しようか……」  
僕は妙子の手を取り、その勃起した自身へと導いた。  
「………はい、入れて下さい……ご主人様……」  
妙子が優しく僕のモノを撫でて頬を染めた。  
「……私で、いっぱい…感じて………妙子は、ご主人様のものだから…」  
 
 
 
終わり。  
 

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