「ごめんねぇ、すっかり手伝わせちゃって」  
 お好み焼きを次々と焼きながら、夏穂が本当に済まなそうに詫びる。  
「僕こそごめん。ほとんど力になれてないみたいだし……」  
 僕は夏休みを利用して大阪に遊びに来ていた。  
 始発の『のぞみ』で来て終電で帰る強行軍。それでも12時間近くは一緒にいられる。  
 いつもは夕方からお店に出る夏穂も、その日は無理を言って休みにしてもらっていた。  
 だからずっと夏穂とデートしていられるはずだった。  
 ……だけど。  
 
 昼過ぎ、お店の仕込みをしていたおばあさんが転んで腰を打ったそうだ。  
 検査の結果、どこにも異常はなかったらしい。  
 それはよかったんだけど、念のため病院で一晩様子を見ることになった。  
 そのためにおたふくは夏穂一人で切り盛りすることになってしまった。  
 最初は二号店を閉めてご両親が手伝うつもりだったらしい。  
 一日ぐらいは店を休んでも。そう夏穂も思ったそうだ。  
 だけど、それを切り出した夏穂におばあさんの雷が落ちた。  
「待っててくれるお客さんがいるから、何があっても店を開けろ!」  
 おばあさんの命令とあっては誰にも逆らえない。  
 それで夏穂は店を開けたんだけど、案の定目が回るほどの忙しさだった。  
 当然僕も手伝った。だけど僕には夏穂みたいに上手にお好み焼きを焼くことは出来ない。  
 それでもテーブルを片付けたり、配膳したり、洗い物ぐらいならできる。  
 結局デートはおたふくの手伝いに変わってしまった。  
 それでも僕は夏穂と一緒にいられるのが楽しかったし、力になれるのがうれしかった。  
 
 この春休み、夏穂から手紙をもらった。そして7年ぶりの再会。  
 最初は恋愛感情なんてなかった。  
 懐かしさから何度も連絡を取り、生来の旅好きで大阪を訪れるたびに会っていただけだ。  
 でも、そうこうするうちに夏穂の存在が僕の中でどんどん大きくなっていったんだ。  
 きちんと告白したわけじゃない。もちろんされたわけでもない。  
 だけども僕は夏穂が好きだ。付き合いたいって思っている。恋人に……なりたい。  
 ……夏穂だって僕を嫌ってはいないと思う。  
 だけど本心はわからない。ただの友達の一人に過ぎないのかもしれない。  
 何度か告白しようと思った。でも結局、それは未だに果たされていない。  
 一方的な思い込みかもしれない僕の気持ちを告げて、夏穂と友達でいられなくなるのが怖かったんだ。  
 
 店はいつも5時に開けるそうだ。そしてこの日も定刻どおりに開店だ。  
 驚いたことに、最初のお客さんが来てからあとは常に席が埋まっている。  
 満席なのを見たのか、帰っていくお客さんがいるほどの混雑ぶりだ。  
「ねぇ夏穂、おたふくっていつもこんなに混むの?」  
「え? う〜ん……今日は少ないほうかな? ばーちゃんいないから帰る人もいるし」  
「そ、そう……」  
 これでお客さんが少ないほうだとは……。  
 そんな忙しさの中、夏穂はてきぱきと仕事をこなしていく。  
 僕が知っているのはグラウンドを走っている夏穂だった。僕の知らなかった夏穂の一面……。  
 今日の夏穂、きれいだ。……そう思った。  
 
 団体客が帰ったあとの山のような洗い物を終え、ようやく一段落ついた僕は時計を見た。  
「あ……」  
「どうしたの?」  
 鉄板にスクレーパーとかいう焦げ付きを掃除する道具をかけながら夏穂が聞く。  
「最終の『のぞみ』、出ちゃった……」  
「うそ!」  
 夏穂も時計を見る。そして  
「あ、あははは……終電、何時だっけ?」  
 ぎこちない笑みで聞いてくる。  
「新大阪発、21時18分」  
「2時間近く前だね。……気付かなくてごめん」  
 本心から済まなそうな顔になる。  
「夏穂は気にしないで。あんな状況じゃ上がれなかったし、そもそも忘れてた僕が悪いんだから」  
 実際は忙しくて時計を見る余裕もなかったというのが正しいだろう。それほどの混みようだった。  
 それにこんな時間だなんて思ってもいなかった。僕の感覚ではまだ3時間も働いていないはずだった。  
「そんなことない! 私が悪いの。……ホントにごめん」  
「ほんとにいいって。それにもう今日は帰れないし、こうなったら最後まで働くよ。店は何時までなの?」  
「え……うん。普段は12時までだけど、今日はもう閉めちゃうね。あなたも慣れない仕事で疲れたでしょ?」  
 貸切かと錯覚するほど大勢いたさっきの団体客が帰った今、店内にお客さんはいない。  
 それもあるのか、夏穂はのれんをしまうと店の照明を落とした。本当に閉店するつもりらしい。  
 それを見、張り詰めていた気が緩んだのか、僕は急に疲労を感じ出した。  
 
 大阪までの旅費を稼ぐのに、僕は皿洗いのバイトをしている。  
 だから洗い物は慣れているはずなのに、今日はとっても疲れた気がする。  
 それほどおたふくの入客が多かったということだろう。  
 そんな僕以上に夏穂は疲れているはずだ。  
 プレッシャーからくる精神的な疲れは、肉体的なものよりも想像以上に体力を奪うからだ。  
 
「でも……あなたが帰れなくなってよかった」  
 エプロンをはずしながらつぶやくように夏穂が言う。  
「夏穂!」  
 知らずに語調が鋭くなる。いくら夏穂でもこんなことを喜ぶなんてひどすぎる。  
 僕の言葉に含まれたそんな気持ちが伝わったのか、  
「だって…だってそうじゃなきゃずっといっしょにいられないじゃない!」  
 半分泣き声にも似た声が夏穂から上がる。  
「夏穂?」  
「大阪なんだよ? 新幹線で3時間かからないんだよ? もっと会いに来てよ!」  
 涙ぐんだ瞳で夏穂が言う。  
 できることなら毎日だって夏穂に会いたい。僕だってそう思ってる。  
 だけど高校生の僕には大阪までの交通費だって決して小さいものではない。  
「………」  
 返事ができないでいる僕に夏穂が聞く。  
「どうして黙ってるの? 私のこと、好きじゃないの?」  
「好きだよ、大好きっ! ……だけど」  
 まったく想像しなかった形での告白。だけど夏穂の気持ちは?  
「ホントに好き? だったら証拠見せてよ!」  
「え?」  
「キスだってしてくれない。好きって言ってもくれない。私はこんなに……こんなに好きなのに!」  
「か、夏穂……」  
 予想外の展開に言葉が出てこない。夏穂も僕のことを好きでいてくれた!  
「好き!」  
 飛び込むように僕に抱きついてくる夏穂に体勢を崩しそうになったけど、あわてて踏みとどまる。  
 その背中に腕を回して、僕は  
「夏穂」  
 そっとささやいた。  
 
「だめ。油くさいよ、ずっと鉄板やってたから……」  
 自分からそうしたくせに、夏穂は僕が抱きしめようとした腕からするりと逃げる。  
「夏穂」  
 追いかけて、今度はしっかりと抱く。そのまま座敷に転がるように横たわる。  
 ひんやりした畳の感触とともに、陸上で鍛えられた夏穂の引き締まった体、しなやかな筋肉が腕に伝わってくる。  
「夏穂」  
 顔が近くなる。  
 油の匂いに混じり、ほのかに漂う女の子らしい夏穂の甘い香り。それはどんな媚薬よりも僕を興奮させ、理性を奪っていく。  
 キス以上を求めたわけじゃなかった。それより進んだ関係になるには早すぎることはわかっていた。  
 だけど、性の衝動が僕の体を駆け抜ける。  
 ……完全に勃起した。  
 
「夏穂」  
 下半身を押し付けるようにして強く抱きしめる。  
「ぁ……」  
 色っぽくも聞こえる夏穂の声に、僕は夏穂の頭を抱きかかえるようにして頬をすり付けた。  
「夏穂」  
 気の利いたことを言いたいのに、名前を呼ぶことしか出来ない。  
 ……見つめあう。  
 濡れたような夏穂の桜色の唇がかすかにわななく。  
「夏穂」  
 何度目かわからないぐらい呼んだ名前をもう一度口にしながら、そっと口づけた。  
「ん……」  
 一瞬、驚いたように夏穂は体をこわばらせけど、抵抗はしなかった。  
 そうして僕の背中に腕が回される。  
 歯が当たるような不器用なキス。だけど僕たちはむさぼるようにキスを続けた。  
 初めてお互いの気持ちを伝え合い、隠されていた思いが形となったようなキスだった。  
ぎゅっ  
 背中に回された腕にシャツをつかまれる。その手が心なしか震えているようにも思える。  
 そういう僕だって夏穂を抱いている腕が震えているのを感じていた。  
 そのまま、どちらからともなく舌が絡んだ。  
 堰を切ったように僕たちは互いの舌を吸いあう。顔を何度も左右に振りながら、唇をすり合わせる。  
 唾液をすすりあい、飲み込む。体がとろけてしまいそうな陶酔感が僕を包みこむ。  
 舌を絡ませて強く吸っているうち、夏穂の体からガクンと力が抜けた。  
 
「んっ……んんっ、んんぅっ」  
 鼻を鳴らすような声を洩らし、それでも夏穂の舌は僕を求めて這いまわる。  
 唇をすりつけ、舌を吸いあう。まるで獣になったかのような激しい口付け……。  
「んんっ、んっ……んふぅっ」  
 興奮のせいか息が上がる。  
 息苦しくなった僕は顔を離す。と、二人の唇に唾液の糸がかかった。  
「ん、んん……はぁ、あぁ……」  
 どこか焦点の合わない目で夏穂が僕を見る。  
「大好きだよ、夏穂。愛してる。……ずっと言わなくて、ごめんね」  
「わ、私も……素直になれなくてごめんね」  
 荒い息の夏穂がそう告げた。  
「夏穂っ!」  
 性の衝動とは違う別の熱いものが心を満たし、僕は再び夏穂に口付けていった。  
 
 キスをしたままそっと胸に手を伸ばす。  
「んんっ!」  
 触れられたとたん、夏穂がのどの奥でうめいた。  
 それに構わず、僕はふくらみをなでまわす。  
 手の中にすっぽり収まる感じの夏穂の胸。柔らかいのに張りがある乳房。  
 布地が妨げているのがもどかしい。  
 僕は夏穂の舌を強く吸い上げたまま乳房を揉んだ。  
 
 唇を離す。  
 そうして夏穂の顔を見下ろす。  
「はぁはぁはぁ……」  
 息を荒らげた夏穂が僕を見つめ返す。  
 目はとろんとして、なんとなく焦点が合っていないようにも見える。  
 頬は上気し、ノースリーブから伸びる二の腕もほんのりと桜色に染まっている。  
「きれいだよ、夏穂」  
 ささやく。そうしながら緑と黒のストライプのシャツブラウスの裾から手を入れてまくり上げた。  
 白いフロントホックのブラジャーが姿をあらわす。  
 飾り気がなく、シンプルなデザインが夏穂らしいと思った。  
(この中に、夏穂の胸が……)  
 荒い呼吸に合わせ、上下する布地に目が釘付けになる。  
ごくり  
 のどが鳴った。  
 そんな僕の態度に、夏穂は耳まで真っ赤になって横を向いた。  
「あ、あんまり見ないで……」  
 小さな声がする。  
 だけどそれは僕の興奮をよりあおっただけだった。  
「夏穂……」  
 ブラジャーの止め具をはずす。  
ぶるんっ  
 まるで音がしたような錯覚とともに白い塊がまろび出た。  
 頂の薄桃色の突起がまぶしい。  
 初めて目の当たりにした夏穂の乳房。それはこの世界のどんなものよりも美しかった。  
 
「か、夏穂っ!」  
 何かに吸い寄せられるように僕はそこに口づけた。  
「あんっ!」  
 かわいらしい声を上げて夏穂の体が震える。  
 ……もう何も考えられない!  
「夏穂、夏穂っ!」  
 何度も名前を呼びながら僕は乳首を吸った。さらにもう片方の乳房を揉みしだく。  
 指が食い込む柔らかさと、それを押し返す弾力とに僕の興奮も高まっていく。  
 愛撫につれてだんだんとしこっていく乳首を舌が感じた。  
 強く吸い上げると夏穂の体がビクビクと痙攣する。  
「やっ、ぁあ! ……ん、あぅっ!」  
 可憐な唇から甘い声をこぼし、夏穂が身悶える。  
 舌で弾き、唇を押し付けて僕は夏穂の乳首を、そして二つのふくらみをなぶった。  
(夏穂、夏穂っ……夏穂ぉ!)  
 
 ジーンズを突き破らんばかりの勢いで激しく勃起している。あまりにも昂ぶって痛いぐらいだ。  
 それに射精の衝動も感じる。  
 ……それらの感覚が僕を後押しした。  
 キュロットの裾から手を入れる。そしてショーツ越しに夏穂の大事な部分に指を這わせる。  
「い、いゃっ!」  
 突然のことに夏穂が体をよじってわずかにあらがう。  
 だけど僕が抱きしめ、唇に強く吸い付くと抵抗はすぐに収まった。  
 それを見た僕は行為を再び始めた。  
 
 手が動く範囲が限られ、夏穂を自由にまさぐれない。それがもどかしい。  
 恥丘のふくらみをなでまわし、クロッチを指でさする。  
 指でなぞるたび、捉えどころのない柔らかさが指先に伝わってくる。  
 ショーツのすき間から指も入れたいのに、それをするだけの充分な広さがない。  
 いくら裾ぐりが広いとはいえ、スカートとはやっぱり違う。  
 ……気がはやる。  
 それが乱暴な指使いになってしまった。  
「んんっ!」  
 今までよりも強い抵抗を見せた夏穂にふと我に返った。  
 ダメだ、このままじゃ夏穂にイヤな思いをさせる。夏穂を傷つけるようなことはしたくない。  
 僕は冷静になるよう、自分に言い聞かせた。  
 
 さっきよりも慎重に行為を続ける。同時に丁寧なキスもくり返す。  
「んんっ、んっ……んんぅっ……」  
 舌を何度も吸い、唾液をすすり飲み込むうち、夏穂の体から力が抜けた。  
 さらに僕の背中に腕を回し、上体を押し付けてくる。夏穂も僕と結ばれることを決心したのだろう。  
「夏穂」  
 名前を呼びながらじっと目を見る。  
こくん  
 頬を染めて夏穂がうなずいた。そしてキュロットを脱ぐため、ベルトに手をかけた。  
 僕も身を離すとジーンズと下着を脱いだ。押さえつけられていた怒張が解放される。  
「うそ、おっきぃ……」  
 自分に向けて禍々しくそそり立つ怒張に、夏穂の引きつった声がする。  
「怖い?」  
「……こ、こんなに大きいの、入るの? ……は、入るんだよね、うん」  
 一人で聞いて一人で納得する夏穂が、剛直に魅入られたように視線を外さず言う。  
「そんなに大きい?」  
 どうして大きいと夏穂はわかるんだろう。他の男のモノを見たことがあるのか?  
 心が押しつぶされそうな不安感に、そんな疑問がつい口をついた。  
「だ、だって…指入れただけでキツイのに、こんなに……あっ!」  
 言いかけた夏穂が真っ赤になって黙った。  
 指? 入れただけで? どういうことだ?  
「夏穂……もしかして自分で?」  
「ば、バカぁ! ……で、でも…コレって前に付いてるんだね。股の間にあるのかと思ってた」  
 かすかに震える声で夏穂が言う。  
 そうか、夏穂も初めてなんだ……。ふぅ。  
「あ……バ、バカにした?」  
 知らず知らずのうちに安堵のため息をついていたようだ。  
 それをからかわれたと思ったのか、夏穂が唇を尖らせる。  
「ち、違うよ。僕も初めてだからさ……なんか安心した」  
「え?」  
 わずかに夏穂の顔に笑みが浮かんだ気がした。  
「大きいなんて言うから、他の人のと比べられたのかと思った」  
「……私、そんな女じゃないよ」  
 固い声が返ってくる。  
「うん。わかってる。変なこと言ってごめん」  
 
「夏穂……」  
 僕のモノに見入って手が止まっていた夏穂を促す。  
「あ、うん……」  
 羞恥なのか、全身を朱に染めて夏穂がキュロットを脱いだ。  
 でもそこで止まる。ショーツを下ろすのはためらいがあるみたいだ。  
「夏穂、愛してるよ……」  
 そっと抱きしめる。そして唇を重ねる。  
「んんっ……んっ、んんぅっ……」  
 切なげな声を洩らして夏穂が身をよじる。それを聞きながら、僕はショーツに手をかけた。  
 処女の本能なのか、夏穂はとっさに僕の手を上から押さえた。それに構わずにショーツを下げていく。  
 手が届く範囲まで下ろすと、僕は夏穂から身を離した。  
 そして夏穂の足元にひざを着くと途中で止まっていたショーツを足先から抜く。  
 夏穂の秘められた部分が僕の目の前にあらわになった……。  
「み、見ないで……」  
 震える声に夏穂の顔を見る。  
 これ以上ないというほど赤くなった夏穂が僕の目を見て首を振る。  
 もっと女の子の部分をよく見たかったけど、夏穂が嫌がることはしたくなかった。  
「夏穂……」  
 体を伸ばして胸を合わせる。そうして強く抱きしめると、僕は夏穂の細い首筋に舌を這わせた。  
 興奮して体温が上がっているからなのか、これまでよりも強く立ちのぼる夏穂の甘い香りに理性が麻痺していく。  
 肌を合わせただけで達してしまいそうなほど気分が高揚する。  
 入れたい……。すぐにでも夏穂とひとつになりたい。  
 だけど女の子には準備が必要だって聞く。まして夏穂は処女だ。  
 なるべく痛みを与えないようにするため、僕は夏穂の恥裂に指を伸ばした。  
 
 恥毛の下に溝があった。  
 柔らかい肉のひだが指にまとわりつく。  
 そのあたりでこするように指を動かしていると、コリコリした突起が見つかった。  
「ひんっ!」  
 ビクンッ、と夏穂が痙攣する。……クリトリスだ。  
 すごく敏感な場所というのは本当だったんだ。だから力を入れないようにしてそこを攻めた。  
 指の腹を使ってそっとこすりたてる。回すようにして揉みこみ、指先で振動させる。  
 そうしながらぷっくりした肉ひだも指でつまんで軽く引っ張ってみた。  
「くぅっ……はぅっ! はぁっ……」  
 夏穂が僕にしがみつく。そして甘い声を上げて鳴く。  
 力いっぱい抱きしめられて息苦しいほどだ。  
 それでも僕は夏穂の女性器をなぶりつづけた。  
 淫唇の間で指を前後させているうち、徐々に指がぬめってくる。  
 くちゅくちゅと湿った音を立ててすべりがよくなる。  
 ……夏穂が感じはじめている。  
「ああ…あっ……はぅっ!」  
 淫らな声が大きくなっていく。  
 この愛撫の仕方でいいんだ。僕は意を強くした。  
 そして、さらに丁寧に、しかし執拗に淫溝の間で指をうごめかした。  
 粘液を指にまぶしてクリトリスも攻める。膣の入り口にほんの少しだけ指を入れてみる。  
 それらの行為を何度もくり返して夏穂を高めていった。  
 
「くふぅ……んんっ! あんっ!」  
 夏穂のあえぎ声がますます強まる。もう隠すことなく嬌声を上げている。  
 我慢できない。夏穂が欲しい!  
 それに夏穂の準備も整ったようだ。  
「行くよ」  
 そう声をかけ、夏穂の足の間にひざ立ちした。そのまま見下ろす。  
 潤んだまなざしが絡みあう。わずかに開いた口から切なげな吐息が聞こえる。  
 ほんのりと染まった肌。形よくふくらみ、呼吸に合わせて上下する胸。引き締まった太もも……。  
 すべてが魅力的だった。  
 
 肉茎を握って角度を固定する。  
 さっきの愛撫でどこに入れたらいいのか、だいたいの場所はわかっていた。  
 膣口にあてがう。  
「行くよ、夏穂」  
 もう一度、今度は夏穂の目を見て言う。  
こっくり  
 潤んだ瞳の夏穂がうなずいた。  
 
 愛液を先端に塗りたくり、亀頭をうずめる。  
「あ……」  
 処女を喪う緊張なのか、大きく見開いた目に怯えの色が宿った。  
「夏穂、僕を信じて……」  
 言いながら腰を前に押し出す。  
ずぶ……  
 亀頭がもぐっていく。続いて  
ズブズブ……  
 茎が膣に収まっていく。  
「あぁっ! あん、痛っ! ……んんっ!」  
 苦痛に満ちた夏穂の声が部屋中に響く。  
 だけど止められない。性の衝動が僕の背中を押す。  
 ぎゅうぎゅうと僕を締めつける膣の快感に溺れかける。  
「あぅっ! い、痛い……こ、こんなに痛いなんて聞いてないよ……」  
 畳の上で夏穂が僕から逃げるように体をずり上げる。  
「夏穂、ごめん……止められない」  
 僕は夏穂を抱きしめ、きつい抵抗の中夏穂の処女を貫いていく。  
「あぐっ……いっ、あぅっ!」  
 つらそうな声を聞きながらも、僕は夏穂を自分のものにする支配欲に酔っていた。  
 ……そしてとうとう、僕は根元まで夏穂の中に押し込んでいた。  
 
 あまりのきつい締めつけに動くことができない。  
 それに、動いたらあっという間に射精してしまいそうな高まりを感じる。  
 大きく深呼吸をして射精感が遠のいていくのを待つ。  
 僕が動かないことで、夏穂も口をきく余裕が出てきたのか、  
「お、奥まで……あはは、『オンナ』になっちゃった……もう、ただの『幼なじみ』じゃないよね?」  
 涙声で言った。  
「そうだよ。僕は夏穂が好き、夏穂を誰よりも大切に思ってる」  
「こ、これで、あなたのものだよね」  
 痛々しい笑顔で夏穂が言う。  
「うん。夏穂は僕のものだ。絶対に誰にも渡さない……」  
 最高の幸福感の中でそれだけを答える。  
「うれしい……」  
 夏穂が微笑む。  
 その笑顔を見た途端、僕の中で性欲が猛った。兇悪な獣性に支配される。  
 
「夏穂!」  
 自分の欲望を果たすためだけ、自分の快楽の追求だけを求めて腰を前後させた。  
「あぅっ!」  
 白いのどを反らして夏穂がわななく。  
「ごめん夏穂……むちゃくちゃ気持ちいい……」  
 腰が止まらない。  
 僕が動くたびに夏穂に苦痛を与えているとわかっているのに止められない。  
 恥ずかしいし、くやしいけど体が僕の言うことを聞こうとしない。  
 そうこうするうち限界が近づく。圧倒的な射精感が押し寄せる。精液がこみ上げる。  
 ……ダメだ、イク。  
「夏穂っ! ……っっ!」  
びゅくっ! どくっ! どびゅっ!………  
 膣の一番奥に精液をまき散らす。  
 これまで経験したこともないほど大量の精液が夏穂に射ち出される。  
「んんっ!」  
 ぎゅっ、と目をつぶり、夏穂は僕の射精を受けとめる。  
「夏穂……」  
 大きな幸福感と自分への嫌悪感に包まれたまま、僕は夏穂に射精を続けた……。  
 
「はぁはぁはぁ……」  
「はぁはぁはぁ………」  
 僕たちの荒い呼吸が部屋に響く。  
 頬に当たる畳のひんやりとした感触が気持ちいい。  
「夏穂、ごめん……」  
 罪悪感から顔が見られない。  
「えっ?」  
 夏穂が僕に顔を向けた気配がした。  
「夏穂が痛がってたのに優しくしてあげられなかった。自分の気持ちだけで突っ走っちゃったし」  
「私に気を遣える余裕がないほど気持ちよかったんでしょ? だったらうれしいよ」  
 肩に手が置かれる。  
「でも」  
 そこで僕はようやく夏穂の顔を見た。  
「最初は痛いって言うし、仕方ないって」  
 そう言って夏穂はぎこちなく微笑んだ。  
「夏穂……」  
「それよりも……赤ちゃん、出来たら責任とってもらうからね」  
 片目をつぶって夏穂が微笑んだ。  
「か、夏穂?」  
「う・そ。今日は大丈夫な日だよ」  
「か、夏穂〜」  
 力が抜ける。  
「でも、これからは避妊しようね。まだ私たち、高校生だもん」  
 そのまま夏穂が僕にキスをした。  
 
 服を着ると、僕たちは横になったまま寄り添った。  
「来週ね、花火大会があるんだ。今週来てもらってアレだけど、よかったらまた来てほしいな」  
 実際のところ、来週も来るのは金銭的にちょっと厳しい。  
 だけど夏穂に会いたい。もっと夏穂と一緒の時間を過ごしたい。  
 だから僕はバイトの時間と種類を増やすことを即断した。  
「そうなの? うん、もちろん来るよ。でも見たいけどいい場所ってなかなか取れないよね」  
「近くに特等席があるよ」  
「?」  
 僕の顔に浮かんだ疑問符に、夏穂が笑いながら言葉を継いだ。  
「この上」  
「上?」  
 まだ飲み込めない。テレビで見る……ってことはないよな?  
「そう。私の部屋……あなたと二人で花火、見たいな……」  
「え、そうなんだ! ……うん。僕も夏穂と一緒に見たい。できれば、今年だけじゃなくて一生ずっと」  
「! ……婿に来るってこと?」  
 一瞬驚いた顔をした夏穂は泣き笑いの表情を浮かべて言った。  
「あ! ……うん。でも僕はそれでもいい。嫁に来てくれなくても僕が婿入りする」  
「あなたの苗字、『森井』になるんだよ?」  
「夏穂は何か困ることでもあるの?」  
 それには答えず、夏穂は涙がいっぱいに溜まった目で僕にしがみついてきた。  
 
 
           おわり  
 

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