「あっあっあっあっ……」  
艶やかで、しかも聞き覚えのある声が小さな部屋から繰り返される。  
決して綺麗とは言えない、運動道具ばかりが置かれた部屋の中で、女子の声が途切れることなく聞こえていた。  
部活動の時間はとっくに終わり、暗くなった校庭。  
その片隅にある用具室を覗き見た私―――檜山恭子は愕然とした顔になった。  
「う、うそ……」  
中にいたのは親友の森井夏穂。  
もう一人は陸上部の顧問。  
その二人がこんな場所で獣じみた格好で交わっていた。  
「ほら、もっと締め付けんか!」  
細い腰をがっちりと押さえ、後ろから突きながら夏穂の髪を掴み上げる。  
「す、すいません!ん……んんっ……」  
「おおお……よし、いいぞ森井。おまえはすぐに怠けようとするから躾け直さなければならんな」  
「ひぃっ!」  
厭らしい笑みを浮かべながらピシャリと平手で尻を叩くと夏穂は泣きそうになった。  
けどそんな顔もすぐに変えられる。  
埃まみれの跳び箱に夏穂を組み敷いて下半身を動かし続けているのは顧問の佐藤先生。  
こいつは部内でもあまり評判は良くない―――いや、悪い。  
いつも私たちを厭らしい目で見ていて、まるで視姦されているようで気持ち悪かった。  
「ったく、おまえらはいつもいつも……俺の言う事を全く聞こうとしない!」  
「痛い!せ、先生……もっとや、優しく……してください……」  
「うるさい!おまえらは俺の命令を黙って聞いてればいいんだよ!」  
夏穂の胸をウェア越しに鷲掴みして、あの男は日頃の憂さを晴らすように腰を振る。  
優しさなんて欠片もない。  
ただ欲望の捌け口として夏穂の肉体を使っているだけ。  
「あ、あいつ……」  
苦痛に顔を歪める夏穂を見るだけで、言いようのない怒りが湧き上がる。  
グラウンドを走る姿は美しく、誰からも好かれる夏穂は私の親友であり、自慢だった。  
その夏穂が男の手によって穢されるのに憤りを感じてはいたが、すぐそばで見ている私は助けに行かないでいる。  
なんで―――  
それは用具室の薄明かりの中でも夏穂の頬は上気して見えたからだ。  
最低の男にレイプされているはずなのに、夏穂は感じているのではないかと疑ってしまう。  
 
「はぁ、はぁ、はぁ……森井、ちゃんとクスリは飲んでいるんだろうな?」  
先生の質問に夏穂はコクコクと頭を縦に振る。  
クスリって……まさか避妊薬?  
一体どんな顔をしてそんな薬を買っているのだろうか、そしてどんな思いで飲んでいるのだろうか。  
この男はもちろん夏穂の気持ちなんか考えていない。  
「じゃあたっぷり注いでやるか……ありがたく思えよ!」  
「いやああああ!」  
夏穂の悲鳴に応えるように男の腰を振るスピードは増し、パンパンと肉と肉が打つ音が鳴り続く。  
たくし上げられたウェアの下に見える赤い痣はいくつもあり、形の良い胸がごつごつした手で握られ、痛々しく変形する。  
しかし私が見ているだけでも全身の毛が逆立つほど気持ち悪いのに、なぜか夏穂の胸の先は硬くしこり、ツンとしていた。  
「いやぁ?今まで散々ヤってきたんだ、本当は良いんだろ?」  
「ひあっっ……あああ!」  
耳の穴の中にまで男の舌が這い寄り、白い咽を仰け反らせて声を上げる。  
用具室に響く甲高い声には、今までと違う音色が含まれていた。  
男の手が結合部を弄ると、その違いがはっきりとわかった。  
「い、弄らないでぇ……お、おか……おかしくなるぅぅぅ!」  
悲鳴に歪んでいた顔が崩れ、悦びの声を上げた。  
それを引き金に私の憤りは夏穂にまで向けられた。  
カモシカのような足をピンと立てて腰を突き出し、男に犯されやすいポーズを取るのはなぜ?  
跳び箱に顔を擦り付け、ずっと開いたままの口から喘ぎ声が出す女の姿を見て、男の陳腐なプライドは満たされていく。  
「どうだ森井!気持ち良いんだろ?」  
「イイ!先セーの、気持ち良いよお!」  
陸上部の部員全員が嫌い、夏穂だってあんなに嫌っていた男に対して「気持ち良い」なんて事を口走る。  
いつだったか部の皆と一緒に帰った時、その場にいた全員があいつを馬鹿にしていた。  
汚い、臭い、気持ち悪い、不潔、厭らしいなど、思いつく限りの言葉を吐き捨てる。  
そこにはもちろん夏穂の姿もあって、一緒に笑いながら馬鹿にしていた。  
「そんなに良いか……じゃあどこが気持ち良いのか言ってみろ!」  
「ふぇ……?そ、それは……んんっ」  
「今更恥ずかしがるなよ。何回ハメてやったと思ってるんだ」  
あいつの腰の動きに翻弄され、夏穂の声は絶え間無く聞こえていた。  
 
こいつに身体を必要以上に触られ、泣かされた下級生を何人もいて、私や夏穂がその度に慰めてきた。  
セクハラ紛いのことを止めさせようして夏穂が先頭に立ってくれたこともあった。  
滅多に見せない怒りをあらわにして立ち向かう夏穂の姿に皆が頼り、尊敬し、慕った。  
それなのに……  
「あ、あ、あ……あそこが……」  
「おいおい、似合わない言葉使うなよ。いつもおまえらが話しているみたいにオマ○コって言えよ」  
「そんな……い、言え……ない」  
頭を振って嫌がって見せても、頬が緩んで悦びが溢れる。  
夏穂の口がパクパクと動き、何かを言おうとする。  
唇を読もうとする私の胸はドキドキと高鳴り、ボウっとしたまま見詰める。  
……どうして……私ったら何を期待しているんだろう……  
「答えられないのか森井?……ったく本当に出来の悪い生徒だな」  
ピタリと腰の動きが止まった。  
そして―――  
「ヒッ……!」  
慌てて口を手で塞ぎ、思わず目を背けたくなる光景。  
けど夏穂の中から首をもたげる気持ち悪い物体に、私は目は釘付けになっている。  
それを手に取り、夏穂が出した体液でテラテラ光る先端を向けたまま命令する。  
「わかっているな森井。ちゃんと答えられたらハメてやるぞ」  
「そんな……」  
こ、この男……なんて恥ずかしい格好で夏穂を見ているんだろう……  
違う、見ているなんて生易しい物じゃなて、視姦という言葉が相応しかった。  
それだけでは飽き足らず、手を前後に動かし始める。  
「どうした。早くしないと俺が先にイっちまうぞ」  
「ああ……ま、待って……」  
「たまにはこんなのも悪くねえな。教え子の生のオマ○コを眺めながらオナニーするなんて……そうそう出来るもんじゃないぜ」  
ウェアだけ着て下半身丸出しの格好のまま、最っ低な行為を始める。  
こんな男の元で走っていたのかと思うと悔しくて悔しくて気が狂いそうになる。  
でも一番悔しかったのは、その最低な男の物を欲しがる夏穂の変わり果てた姿だった。  
 
「…………」  
「聞こえ……ねえな。はぁっはぁ……そんなんじゃこいつは……やれないぞ……」  
黙れ、この変態教師……  
息が上がっているのがわかって悪寒がした。  
恨みがましく見る夏穂の目から涙がこぼれ、口がまた開く。  
言っちゃダメ……負けないで夏穂……  
その思いとは裏腹に、期待に満ちた私もいる。  
言うの、夏穂?……言ってみて、その口で……  
夏穂はその手の話には酷く臆病だった。  
私たちだってもう高校生だし、性に対する興味はちゃんとある。  
部の中には経験したコもいるし、そのコから色々と話を聞いて盛り上がった事もある。  
けど夏穂だけはその話の中に入ろうとはせず、遠くから見ているだけだった。  
「ひゃははは、下手な裏ビデオよりいいや。その格好だと尻の穴まで見れて、最高だぜ!はぁ、今度は……そっちを、使ってやろうか?」  
「お、お尻……?」  
「知ってるんだろ、アナルセックスさ。口と……オマ○コだけじゃなく……全部の穴の処女を……お、俺が、もらって……やるよっ、おおお!」  
声を上げて男は自家発電で達し、ビュクビュクと白い汚濁で夏穂を汚していく。  
私は我を忘れてその光景をあます事なく見ていた。  
こ、こんなの初めて……見た。  
「はぁっはぁっ……あ〜あ、出しちまったか。残念だったな森井」  
「せ、先生ぇ……」  
「なんだその目は。答えられなかったおまえが悪いんじゃないか」  
「うう……でも、私……」  
よく見ると夏穂は内股を自分の出した厭らしい液で濡らし、腰を左右に振っていた。  
そんなにあの男の物が欲しかったの……あんな穢らわしい物を……  
ギリッと歯を鳴らして、私の中で黒い炎が燻ぶり始める。  
「しょうがない、じゃあもう一度チャンスをやろう。俺のチ○ポを勃たせてみろ」  
あいつは腰に手を当てて、ぶら下がった物を指差した。  
やめて……汚い物を夏穂に向けないで……  
けど夏穂は仁王立ちをする男の足元までのろのろと歩く。  
跪くとちょうど顔の前に萎えかけの物がぶら下がっていた。  
先からは白い汚液が垂れ下がり、夏穂の膝に落ちて、まるでナメクジが這ったような跡を着けていった。  
床にひざをつき、手もつけた夏穂が上目遣いで見上げると男は命令する。  
 
「こいつの扱い方はちゃんと覚えているよな」  
わざと腰を揺らして穢らわしい物を振るって見せる。  
夏穂は「はい」と頷いてから両手でそれを包み込み、口を開かせると、舌を突き出した。  
ねっとりとした舌はとても淫靡で、見ているだけで躯が疼く。  
「んッ……」  
すえた匂いが鼻につき、夏穂は眉を顰めて目を瞑る。  
それでも顔は少しずつ近づき、見下ろしている男の目が期待に満ちていくのがわかった。  
ヒヒヒと聞きたくもない笑い声が私の心を逆撫でる。  
どうしてなの夏穂……そんな事までして……  
悔しいはずなのに心臓は張り裂けそうなくらい鳴り続ける。  
握っていた手を開くと汗が滲んでいて、自分がもぞもぞと躯をくねらせているのにも気づく余裕もない。  
だって目の前では夏穂が今にも汚物を舐めようとしているのだ。  
女を服従させ、奉仕などと蔑む言葉で、くだらない男のプライドと性欲を満足させる行為。  
ビデオでしか見た事のない行為をしようとする親友の姿を見守る。  
ついに我慢できず、私はスカートの中に手を忍ばせた。  
「「んんっ……」」  
私の声と男の声が重なった。  
悔しかったけどショーツが濡れているのがわかった。  
「そ、そうだ……こいつが欲しいんだったら、ちゃんと綺麗にするんだぞ」  
上擦った声で命令している。  
夏穂は先端に残った乳白色の雫を舌で掬い取り、AV女優と同じ行為に没頭する。  
口を開けて犬がするようにペロペロと舌を動かし続ける。  
やがて舌は竿へと動き、熱い視線をそそり立った物に注いでいる夏穂を見て嫉妬した。  
厭らしい……  
更に私が見ている前で、舌だけでは満足できないのか、浅黒い肉棒に唇を這わせた。  
ちゅうちゅうと音まで立てて汚い物にキスをするのだ。  
「なかなか上手いじゃないか森井。こんなのどこで覚えてくるんだ?」  
「…………」  
夏穂は答える代わりに自分の行為に勤しむ。  
キスの雨を降らし、舌で舐め回す度に口から甘い吐息を漏らす夏穂の姿は、わざと男の征服欲を刺激させているのかと思えた。  
 
「生意気だった森井が俺のチ○ポを奉仕してくれるとは夢みたいだぜ。それもこんなに一生懸命になって……なあ!」  
「んあっ!」  
髪の毛を掴んで上を向かせる。  
ぽっかりと口を開けたまま、涙目の夏穂と男の目が合う。  
「あ……あぅ……」  
「ほら、お願いしてみろよ森井」  
夏穂の顔を汚らわしい物でぐりぐりと押しながら命令する。  
先の切れ目からはまだ中に残っていた汚液が溢れ、頬に粘つく糸を引かせる。  
「あ、う……せ、せんせぇ……」  
呆けた夏穂の目に何が映っているのか知りたくもなかった。  
剛毛の茂みに顔を埋め、鼻をふんふんと鳴らす仕草はもはや発情した雌犬にしか見えない。  
桜色に染まった頬に男の手が触れると、甘えるように目を細めて男に媚びて見せる。  
「しおらしくしても駄目だぞ。ちゃんとその可愛い口で言ってみろ」  
「お……お、チ○……チン」  
ドキッと胸が大きく鳴って、同時に激しい焦燥感が私を襲う。  
夏穂の口から卑猥な言葉を聞くだけでこんな気持ちになるなんて思わなかった。  
しかも、あんな男の物が欲しいが為に、変わり果ててしまった掛け替えのない親友を見ているのに、私の躯は……  
「やだ……こ、こん、なに…………私って……」  
目の前に出した指と指の間には粘り気のある液体がアーチを描いていた。  
ついさっきまで私の中に忍び込ませてた指。  
辱められている夏穂を見て、火照った躯は私の意志とは関係無く反応していた。  
「声が小さい!いつもみたいに大きな声で言ってみろ!」  
「……お……おチ○チン!」  
泣きながら叫ぶ夏穂。  
可哀想なはずなのに、躯の奥からは更に熱い物が溢れて下着を汚す。  
いけないこととはわかっていても、二人を凝視したまま、私は再びスカートの中に手を潜り込ませた。  
「そんなガキみたいな名前じゃなくチ○ポって言えよ。いや、これからおまえをヨガらせてやる大切な息子だからな、おチ○ポ様って言え」  
バ、バカじゃないのあいつ……  
けど夏穂は男の言った通りに口を動かす。  
「お……チ○ポ……さま?」  
「そうだ。これからはそう言え」  
ピタピタと穢らわしい物で夏穂の顔を叩きながら命令する。  
 
右に左に男の物が動く度に夏穂の顔も合わせて動き、開けっ放しの口からは物欲しそうな声が出ている。  
「よし、何が欲しいか言ってみろ」  
「……おチ○ポ……様」  
「誰のチ○ポだ?」  
「佐藤先生の……お、チ○ポ様……」  
催眠術にかけられたみたいに、言われた事に対して忠実に答えていく。  
どんなに厭らしい言葉でも今の夏穂なら何だって言ってしまう。  
目の前にある極上の餌を前にした夏穂が絶対に逆らえないのを、あの男は知っているのだから。  
「俺のチ○ポがそんなに欲しいのか?」  
「…………はい」  
卑怯な男に対して怒りを感じるのは当然だった。  
けど好きでもない男の物を欲しがる夏穂に対しても私は怒りが湧き上がっていた。  
ずっと前からリレーのパートナーとして私は夏穂と走ってきたのに、こんな夏穂なんて知らない。  
大っ嫌いな男の物を欲しがる夏穂なんて知りたくもなかった。  
男に屈服してしまった惨めな女。  
そんな夏穂を嘲るようにして、あの男は頬をニヤつかせながら、なおもいたぶろうとしていた。  
「あんなに嫌ってた俺のをか?」  
ビクリと肩が震え、夏穂の中の僅かに残った良心が再び表に出た。  
「処女を奪った時、おまえなんて言ったか覚えているか?」  
「や、やめてください……」  
「覚えているぜ。確か殺してやるって言ってたよな。すげぇ形相で『絶対に許さない、殺してやる』って何回も繰り返して、俺のチ○ポを捻じ込まれて泣いてたよな」  
「やめて!」  
悲鳴に近い声で叫んだけど、あいつは無視して続ける。  
「男の名前も言ってたなぁ。誰だったかは覚えてないけど、そいつの名前を呼びながら助けてとかごめんなさいとか」  
「言わ……ないで……お願い……」  
なんて酷い男……あいつは夏穂の大切な思い出まで犯すの……  
ニヤニヤしている男の足元で夏穂は反抗する気力も消え失せて力無くうな垂れる。  
時折聞こえる嗚咽と流れる涙。  
けど、そんな夏穂を目にしても私の指は止まらなかった。  
 
「ま、そいつだって今頃は他の女とサルみたいにヤってるんじゃないのか?それとも女がいなくて一人でマスかいてたりして」  
「…………」  
夏穂は何も答えず、ただ涙を堪えるだけ。  
けどそんな自己防衛も卑劣な男には効かない。  
「自分を惚れてくれてた女が違う男のチ○ポを欲しがってるなんて夢にも思ってないだろうな」  
「やめて……許して……」  
可哀想な夏穂を見ながら私はスカートの中だけじゃなく、制服の上から自分の胸を弄り始めた。  
ブレザーの上から何度も何度も、シワになるまで揉みしだく。  
胸元を開けてシャツのボタンを外し、中に手を入れる。  
「は……あぁっ!」  
気づかれない程度だったが気持ち良くて声が抑えられない。  
ブラのカップを押し上げて直に触り、スカートの中に入れた指もショーツをずらして一番敏感な肉芽を弄る。  
男の足元で打ちひしがれた夏穂を見ながら、私は立っているのも辛くなるほどの快感を得ていた。  
「いつまで泣いているんだ森井。こいつが欲しいんだろ?早くそこに寝て股を開け」  
絶対に逆らえない命令に夏穂は泣きながら従う。  
嫌だと口にしていも結局は勝てない事がわかったのだろう。  
可哀想な夏穂……ああ……私が今すぐ慰めてあげたい……  
窓を喰い入る私の息は興奮で上がりっぱなしだった。  
土埃で変色したマットの上で夏穂はカエルみたいなポーズをしてじっと待つ。  
ここからでも薄く生え揃った茂みが良くわかる。  
当然男を咥え込もうとしているあそこは厭らしくヒクついているに違いない。  
「……何を黙っているんだ森井?何度も言わせるんじゃない」  
「うぅ……先生のおチ○ポ……様……ください……」  
「どこにだ?」  
「おマ○コです!……お願いします……もう意地悪しないで……」  
最後の方は涙声になっていた。  
けど足を開いて男を誘っている夏穂の格好を見て、私の中では、とある気持ちが大きくなっていた。  
夏穂って、あんな惨めな格好が似合うんだ……  
知らず知らずに口許が歪んだ。  
 
「あああああっ!」  
汚らわしい物を挿れられ、夏穂の咽から歓喜の声が溢れる。  
ズンズンと突かれ、小さな躯がガクガクと揺らされる。  
口を大きく開けたまま、際限無しに悦びの声を出し続ける。  
「どうだ、俺のチ○ポは?」  
「イイ!イイ!イイ!セ、センセーの、おチ○ポっ……さまぁ……奥まで届くのぉ!」  
「可愛い教え子の為だ……たっぷりと味わわせてやるぞ!」  
「ありッあ、あ、あ、ありがとう……ございます!」  
ここには夏穂はいない……あれはもうただの雌犬だ。  
嫌いな男の背中にツメを立てて悶える狂う最低の女だった。  
でも、その姿がすごく哀れで惨めで許せないのに、なぜか私は美しいとさえ思えた。  
「んむぅぅぅ……ふぐぅ!」  
初めて見た生のキスシーンは、唇と唇を合わせる生易しい物じゃない。  
下品な音を立てて唇を吸い、舌を貪り、相手の唾液を咽を鳴らせて飲み込む、濃厚なキスだった。  
M字に開いた足の付け根に男の腰がぶつかる度に夏穂は「先生、先生」と蕩け切った声で啼く。  
今の夏穂にはあの男しか見えておらず、脳には快楽の信号しか伝達していない。  
それが私の焦燥感を煽り、淋しい自慰行為に拍車をかける。  
「ダメよ夏穂……あんなヤツの物で気持ち良くならないで……」  
私の手の届かない所でヨガリ狂っている親友が許せない。  
もうあの男にではなく、夏穂に怒りを向けるようになっていた。  
その感情が嫉妬だと気づいた時、血が出るくらい唇を硬く噛んでいた。  
「よおし、今度は俺の上に跨れ」  
「……は、はいッ」  
偉そうに言って体位を変え、椅子に座った自分の上に夏穂を跨らせる。  
一度抜いた物を手で大切に支え、夏穂は自分の中に入っていくのを確かめながら腰を落とした。  
「はあぁぁぁんッ!」  
感極まった声を上げ、椅子の上で抱き合う二人。  
けど動いているのは夏穂だけで、あの男は面白そうに眺めているだけだった。  
「これなら自由に動けるだろ?もっと好きな風に動いていいぞ」  
「んっんっ……わかりました……」  
男の肩に手を置いて、腰を振りながら答える。  
女の子なのに男の動きを真似て腰を前後に振り、器用にグラインドまでしていた。  
 
男の物が奥に到達する度に頭を振りかざし、髪を乱して、卑猥な言葉を言わされても自分が何を口走っているのか理解できていないだろう。  
快楽の為に自ら躯を動かし、惨めな自分に酔いしれている。  
「あ、あ、あ、あああ……し、死ぬ、死んじゃうゥゥゥ!」  
「そんなに気持ち良いんだったらお望み通りハメ殺してやるよ」  
「もっとおおお、もっと突きまくって!」  
私には夏穂の痴態を見ながら自分を慰めるしか出来なかった。  
夏穂をここまで狂わせるセックスという物がなんなのか、まだ経験の無い私にはまだわからない。  
わかるのは男の物で夢見心地になっている夏穂が許せないことだけだ。  
夏穂……夏穂……夏穂……  
親友の名前を繰り返しながら自分の躯を弄る指のスピードが速くなる。  
そして徐々に高みへと昇り詰め、最後の一段を越えようとした時、信じられない事が起きた。  
「…………え?」  
夏穂が私を見ていたのだ。  
ほんの一瞬だけ目を離した隙に。  
男の肩越しに私を見詰める表情は凍りついていき、でも腰の動きだけは止まらずガクガクと動いたままなのが滑稽だった。  
私の中で膨らんでいた嫉妬が軽蔑の眼差しに変わる。  
その私の変わる様を見て、夏穂は狂ったように叫んだ。  
「いやあああああ!やめ、やめてえええ!」  
意識だけは正気に戻って男の身体から離れようとしても、繋がっている所は別で咥え込んだまま離そうとしない。  
跨った足を男の後ろでクロスさせたまま、まだ腰をグラインドさせている。  
「おほっ!し、締まる……」  
「はな……離して!」  
「どうした森井。離してって言ってもおまえの足が絡まって離せないぞ」  
「うそよぉ!」  
身体が言うことを聞かないのはこんな状況を差すのだろうかと、変に冷静になる。  
「こんなにヨガリ狂っているのに嫌だなんておかしなヤツだな。よし、特別にイカせてやるよ」  
「やめ……イキたくない……」  
「ぎゅんぎゅんにチ○ポを締めながらじゃあ説得力無いぜ」  
夏穂を抱えたまま楽々と立ち上がり、駅弁という体位になった。  
腰を突き上げると脳天まで快感が突き抜けたのか、夏穂は大きく仰け反って蕩けた声で泣く。  
浮かされた身体は自分の重みで落下して、再び串刺しになって声を上げる。  
その繰り返しで、夏穂の意思とは関係無く脳髄が蕩けるほどの快楽を与えられ、躯は昇り詰めて行く。  
 
「あああああ……やめ、てぇ!」  
「イキそうなんだろ?イク時はちゃんとイクって言えよ」  
「いや、やめ…………イ、イクぅぅぅ!」  
「うあああああ!」  
男の身体に抱き付き、足でがっちりと捕まえ、男の物を奥に届かせながら夏穂は躯を小刻みに痙攣させた。  
多分イったんだろう。  
同時に男も達したのか、おぞましい声を上げて身体を震わせ、何回かに分けて膣内に汚濁を流し込む。  
これ以上夏穂を汚さないで……  
でも汚されれば汚されるほど私の気持ちは高まり、泣きながら謝る夏穂の顔で達した。  
こんなに気持ちの良いオナニーは久しぶりだった。  
自分の体液で汚れた手を見ると、唾液が泉のように溢れて咽を鳴らす。  
開いた口から舌を出し、夏穂がして見せたように指を丹念にしゃぶると、甘く感じられて顔が綻んだ。  
けどその笑みには夏穂に対する負の想いが込められていた。  
 
「じゃあちゃんと鍵をかけて帰れよ」  
狂宴が終わると、あいつはそれだけ告げて用具室から出て行った。  
残されたのは汚れた躯のままの夏穂だけで、あれから更に3回は中に出されていた。  
一人静かになった用具室の中で夏穂はすすり泣く。  
私はそこに入っていった。  
「夏穂……」  
「き、恭子……」  
自分を守ろうとして自分を抱きしめる夏穂。  
それを見て、私の躯の奥から熱い物が流れ出す。  
それは穿いていた下着にシミを作り、私の口の端が吊上がる。  
もう我慢できない……ううん、我慢しなくていいの……  
「何してるの夏穂?」  
「見ないで!」  
親友の私なのに夏穂は拒絶する。  
まあ無理も無いわね……あんな事があったんだから。でも大丈夫よ……  
一歩一歩足が前に進む度に夏穂は後ろに離れようとする。  
その姿がとても面白くて、まるで誘っている風にも見えた。  
 
「き、恭子……?」  
小さくなって怯えている夏穂。  
私はしゃがんで夏穂と同じ目線になった。  
綺麗だった夏穂の顔は涙と涎、汚濁で汚され、手で触れると糸を引くように粘つく。  
頬から顎へ、そして柔らかい唇に指を当てて開かせる。  
「な、何……?」  
私を見る目には明らかに怯えの色があった。  
なぜ怖がるの?私は夏穂を慰めようとしているのに……  
けどそんな目で見詰められると躯の芯から熱くなってくる。  
くっと咽が鳴る。  
もう自分を抑え切れず、私は夏穂の唇を奪った。  
「んっ!?んんっ……ふぐっ!」  
熱い……  
夏穂の唇は思っているよりも柔らかくて甘かった。  
もっと夏穂を味わいたくて舌を差し込もうとした瞬間、私は突き放された。  
「な、何で……恭子……?」  
唇を拭いながら信じられない目で見る私を夏穂。  
でも私だって夏穂が信じられなかった。  
こんなにも夏穂が好きなのに……愛しているのに……  
「なんで?なぜわからないの夏穂……私があなたを一番知っているの……一番わかってあげられる」  
腰が抜けて力が入らないのか、へたり込んだまま上半身だけ私から逃げようとする。  
その一方で、男の汚液を注がれた大切な所を必死に隠そうとしている。  
本当、夏穂って可愛い……  
「恭子……ダメ……!」  
「何がダメなの?あんなに汚されて虐められたんだから私が慰めてあげるね……」  
ひざと手をついて夏穂の目線と同じにする。  
嫌がる夏穂に近づいて隠された茂みへと手を伸ばす。  
ピタリと閉じた足の間に滑り込ませ、まだ気持ちの悪い男の体液で汚れているあそこに指を這わせると、か細い声で啼いた。  
「あ……ンっ」  
 
「可哀想な夏穂……あんな男に……」  
「あ、あれは……」  
抑え切れなかった怒りに気づいたのか、言い訳がましく口を開く。  
ダメよ夏穂、私があんなヤツの事なんか忘れさせてあげる……  
「ふぅぅぅ!」  
もう一度口で口を塞いで夏穂を押し倒した。  
体重をかけて躯を重ね、あんなヤツになんか負けないくらい厭らしい音を立てて唇を貪る。  
膣内に挿れた指を動かすと、夏穂の物とも男の物ともわからないネバネバした液体が絡まって、淫らな音色を奏でた。  
「んはっ……き、恭子……ダメだよ……ひっ」  
指を少し動かすだけで躯が跳ね上がる。  
唇から頬、首筋から鎖骨へと舌を這わせ、最後は白く形の整った双丘に辿り着く。  
そこには所々に痣があり、痛々しく思えて切なくなる。  
その一つ一つを優しく口付けして、痛みと悪夢のような記憶を取っていく。  
「汚いよ恭子……」  
「そんなことない……夏穂の身体はどこだって綺麗よ」  
不潔な汚濁で汚れているけど夏穂の躯ならどんな所でも綺麗にしてあげられる。  
その証拠に男の出した汚液で満たされた大切な場所に顔を寄せて口をつけた。  
私が夏穂を綺麗にしてあげるから……  
舌を尖らせ、奥に入り込んだ液体を吸い出す。  
苦いけど夏穂の為だからと自分に言い聞かせる。  
けど嬉しかった事もあった。  
舌を奥に突き入れる度に夏穂が気持ち良くて啼いてくれる。  
「はああんっ!そんなに奥まで……」  
私の頭を抑える手にはまるで力が入っていない。  
閉じていた足はすっかり開いて、私の思い通りにしてあげられる。  
音を立てて吸い上げていると夏穂の膣内から白い液体が溢れてきた。  
ドロっとしていて、少し黄ばんで不潔、見る者に不快感を与える男の体液。  
それを口で吸出し、忌々しく床に吐き捨てる。  
「全部吸い出してあげるから……大丈夫だよ夏穂」  
夏穂を穢した証拠を消してあげたくて私は夢中で吸い続けた。  
舌を入れ、指でほじくり、奥の奥まで綺麗にしてあげる。  
その都度、夏穂は気持ち良さそうにしなやかな躯を跳ね上げ悦んでくれた。  
 
「恭子……恭子ぉ……」  
何度も何度も名前を呼んでくれて嬉して、もっと気持ち良くなってくれるために行為に熱を帯びさせる。  
あんな男なんて忘れさせてあげるから―――  
それだけの一心で吸い続け、最後は夏穂の中から温かい液体が勢い良く噴き出た。  
「はああああンッ!」  
甲高い声と全身の痙攣。  
何度も躯をビクビクさせて夏穂は達した。  
いや、私がイかせてあげたのだ。  
顔に降りかかった夏穂の愛液が愛おしくて、舐め取ると得も知れぬ充実感が満ちていく。  
でも、まだまだ足りない。  
私の心にはまだ隙間があった。  
「恭子……」  
息を荒げながら私の名前を呼ぶ夏穂。  
それに応える代わりに私は再びキスをした。  
今度は夏穂も応えてくれて、最初はおずおずとした動きもすぐに積極的になって舌を絡めてくる。  
お互いに吐息を漏らしながら唇を、舌を、唾液を求め合い、そして与え合う。  
「き、恭子ぉ……」  
蕩けた目を見せて雛鳥のように唇を開けて「もっとキスして」とおねだりする夏穂。  
豊かな膨らみに手を置くと甘えた声を出して私に躯を委ねる。  
その先の上を向いている蕾にツメを立て―――  
「いッ痛い!」  
ギリギリと蕾を抓りあげる度に頭を振って痛がる。  
甘えた眼差しは消え、信じられない目を夏穂は向ける。  
「な、なんでなの……恭子」  
「なんで?」  
低い声に夏穂の怯えは一層深まる。  
目をすうっと細めて見下ろす私に夏穂は身を縮め込ませて構えた。  
そんな夏穂の顔に手を触れてキスが出来るくらいに顔を近づけて私は逆に聞いた。  
「じゃあ夏穂はなんであんな男に身体を許しているのよ」  
「あ、あれは……」  
「この可愛い唇も、綺麗な胸も……大切なバージンまで―――」  
腹の底から這い上がってくる怒りが抑え切れなかった。  
 
「だ、だって、しょうがないじゃない……逆らえないんだから……」  
「逆らえないって、一体どうして」  
「それは……」  
そこまで来て言い淀む。  
私には言えない事なのだろうか?  
それともやっぱり汚らわしい男の物が忘れられないのだろうか。  
だったら許せない。  
「答えられないの夏穂?」  
「いっ、言う!言うから!」  
私が下の口の小さな突起にツメを立てていたのを感じて慌てていた。  
けど泣いていたのは私に対する恐怖だけじゃなかった。  
「着替えを覗かれて……ビデオに取られて……」  
やっぱり弱みを握られていたんだ。それって犯罪じゃない……  
一度流れた涙は堰を切ったかのように流れ、全てを打ち明ける。  
「ネットに流されたくなかったら俺の言う事を聞けって、何度も何度も……私、嫌だったんだよ……あんなヤツに……どうして……」  
「なんで私に相談しなかったのよ!」  
「出来ないよそんな事!大会が近いのに……最後の大会だから……私が我慢すればいいんだって……自分に、言い聞かせて……」  
最後まで言い切れず嗚咽を漏らす。  
責任感が強い夏穂の性格を逆手に取った卑怯なあの男が許せない。  
泣き崩れた夏穂を慰める為に涙を指で掬いあげ、両手でしっかりと顔を包んで私たちは見詰め合った。  
憎悪、怒り、嫉妬、哀れみ、悲しみなど様々な想いが浮かんでくる。  
その最後に夏穂に対する愛情が溢れ、私が夏穂を護ると強く決心する。  
「……ん」  
夏穂が目を閉じて唇を差し出す。  
私も目を閉じて、互いの距離が零になる瞬間―――  
「いやあ泣かせるねえ。麗しき友情ってヤツは」  
忌々しいあの男の声。  
振り返るとそこにはハンディカメラを構えたあの男がいた。  
「でも最近の友情ってのは18禁のラブシーンまであるんだな」  
 
かつてこれほど人を憎んだ事があっただろうか。  
汚れたジャージ姿の男は悪びれた表情も見せず、薄ら笑いを浮かべて私たちの前に立つ。  
その片手に持ったハンディカメラで私たちを撮っていたのがわかると、更に怒りが込み上げてきた。  
「なかなか面白い物が見れて楽しかったぜ檜山」  
「なんて酷い男……」  
「誉め言葉として受け取っておくぜ」  
直接私を見るのではなく、カメラの小さな画面に映っている私を見ながらしゃべっていた。  
相手に向かい合うという最低限の礼儀も持ち得ない、人をバカにしたあいつの態度にムカついた。  
夏穂を庇うように立ち上がると、あいつはカメラを私に向けたまま楽しげにしゃべる。  
「勇ましいねえ。女にしとくには勿体無いな」  
「ふざけるな!」  
「ふざけてなんていないさ。そんな刺激的な格好をしているんだから真面目にもなるぜ」  
その言葉で自分の格好を思い出し、慌てて制服の胸元とスカートを直した。  
ギロリと睨んでも「怒った顔も可愛いねぇ」などとのらりくらりと交わし、真面目に私と向かい合おうとしない。  
相手のペースに巻き込まれ苛ついていると、あの男はカメラを下ろしてようやく私の顔を直接見た。  
そして一番恐れていた事を切り出す。  
「わかっていると思うが、こいつでお前たちのレズシーンを撮ってあるからな」  
ハンディカメラをチラつかせて見せて、私が逆らえないようにする。  
あれには私だけでなく、私の後ろで震えている夏穂まで映っているのだ。  
それを知っているからこそあいつはこんな状態でも一番安全な位置で私たちを見下していられる。  
こんな事でしか優位に立てない臆病者なのに……  
「なんだその目は?」  
「べ、別に……」  
「そんな顔するなよ。これから仲良くなろうってのに、なあ」  
「触るな!」  
なれなれしく身体に触れるあいつに平手打ちをしようとしても、いとも簡単にかわされてしまった。  
それだけじゃなく足をひっかけられて、こんなヤツの足元に転んでしまう。  
転んだ場所は埃まみれのマットの上で、ついさっきまで夏穂が犯されていた場所でもある。  
悔しいけど体力ではあいつには勝てない。  
男と女の力の差をこれほど恨んだ事はなかった。  
「元気なのは結構だが、あんまりおいたが過ぎるのも良くないな。ちょっと躯に教えてやるか」  
それが何を意味しているのかに気づき、背筋がゾっとした。  
 
いや……あんなヤツにヤられるのは絶対にいやだ……  
一歩一歩と恐怖心を煽るようにあいつはゆっくりと近づいてくる。  
「逃げてもいいんだぜ。こいつに録画してある映像がどうなってもいいんならな」  
「……くッ」  
「この手のビデオっていくらで売っているか知ってるか?昔だったら結構な値段で売れたんだが、今は供給過多で安くなっちまってなあ……」  
そんなの知りたくもないわよ……  
私と夏穂の映像にかじりついて自家発電する男たちを考えるだけでもおぞましい。  
それだけじゃなく、あいつの自慰行為も思い出してし吐き気がしてきた。  
「現役女子高生、しかもアスリートってプロフィールがあるから値がつくかもな。そんなのが好きなマニアも結構いるんだぜ」  
「知らないわよ!あんたわかっているの、犯罪なのよこれ!今すぐ警察に……」  
「いいぜ」  
予想もしなかった言葉に一瞬、思考が止まった。  
「警察に突き出すんだろ?早くしろよ。ケータイ貸してやろうか?」  
コイツナニイッテルノ……  
呆然とする私に自分の携帯を放り投げる。  
わけがわからず呆然としてしまい、それでも指で一つ一つボタンを押していく。  
これで夏穂は解放される―――  
けど最後のボタンを押そうとした時、やっとあいつの思惑を理解できた。  
あいつの言葉で……  
「でもな、証拠は全て警察に渡って、全て残らず余さず見られるんだぜ」  
顔を上げると気持ち悪いくらい口の端を歪めてあいつが笑っていた。  
「それに警察が来るまでの間に世界中にどれだけ配信できるかタイムトライアルってのも面白そうだな。  
 学校のネットワークが最近増強されたの知ってるか?大容量ブロードバンド、便利だけど危険な世の中になったもんだ」  
長々と得意げに話しているけど私の耳には半分も届いていない。  
怒りが瞬時に消し飛び、頭から血の気が失せて携帯を持つ手が震えていく。  
結局あいつの手の上で踊らされているだけなの、私って……  
「俺と森井がしてきた事は全部記録してな、え〜と……何があったっけなぁ」  
わざとらしく思い出すポーズを取って、処女喪失シーン、制服、ランニングウェア、体操服、スクール水着、緊縛と指折り数えてまだまだ続く。  
それを聞く度に夏穂は耳を押さえて、壊れるほど泣き叫んでいる。  
なんて卑怯なヤツ……  
 
最後のボタンを押せば携帯は警察に繋がって、あいつはこの学校からいなくなるのに、私には出来ないでいた。  
やがて画面に表示されていた番号はキャンセルされ、待ち受け画面に戻ったのに気づく余裕も無い。  
がっくりと肩を落として頭を下げる私は、まるであいつに土下座でもしているかのようだった。  
もう敗北を認めるしかなかない。  
けど、あいつは更に地獄に突き落とそうとする。  
「そうだそうだ、脱糞シーンまであるんだった。流石にあの匂いまでは記録できなかったけど見応えあるぜ」  
「やめてええええ!お願いします!それだけは……それだけはあ!」  
私を突き飛ばして夏穂は目の色を変えてあいつにすがりついた。  
何度も何度も床に頭を擦り付けて土下座して許しを乞う。  
その姿はまさに絶対的な支配者に従う最下層の奴隷にしか見えなかった。  
「俺だってそんな事したくないさ。けど檜山がなぁ……」  
困り果てた声を出して私をあごで指した。  
その目が笑っているのを私は見逃さなかった―――けど、どうする事も出来ない。  
恥も外聞も無くお願いする哀れな奴隷を見捨てるわけにはいかないのだ。  
「なあ檜山、森井もこれだけお願いしているんだから警察には連絡しないでくれるか?」  
「…………くっ!」  
「ほら森井、おまえからもお願いしろよ」  
「お願い恭子!先生の言う通りにしてぇ!」  
土下座していた夏穂が私に振り返って絶叫する。  
答えは初めから一つしか用意されておらず、咽を振り絞って声を出す。  
「わ……わかったわよ……」  
「そうか、わかってくれたか。いやあ物分りの良い生徒で良かったよ」  
心底嬉しがって見せるけど、この狭い部屋で喜んでいるのはあいつだけで、私と夏穂は絶望の底に落とされた。  
汚い手垢の着いた携帯を握り締める手に力が篭り、ミシリと音を立てる。  
「ああ、そろそろ俺のケータイ返してくれないかな?」  
「はい……」  
言葉では私にお願いする形だったけど、命令されているのも同然で嫌だった。  
けど私は逆らう事が出来ない。  
こんな惨めな思いを夏穂はずっと味わってきたんだ……  
夏穂に目をやると壊れたレコードみたいにごめんなさいと何度も私に謝っていた。  
 
「さて、それじゃあ始めるか」  
「な、何を……」  
今更になって身体が震えてきた。  
近づいてくるあいつは厭らしく笑っている。  
ジャージの下から押し上げているおぞましい物の形が見える。  
これから私にされる事が簡単にわかってしまう。  
「男と女がする事と言ったら一つしかないだろ、セックスだよセックス」  
死刑の宣告が私に下った。  
 
「痛い!いたいッ、いたいよぉ……抜いてぇ!」  
私の中に入り込んできた凶器は、何度も私を串刺しにして暴れ狂う。  
制服を着たままの私にあの男が覆い被さり、スカートを捲り上げられ、下着を剥ぎ取られ、私の処女はこの男に奪われた。  
何の前触れもなく一瞬にして。  
「やっぱり処女だと違うな。マ○コがキュンキュンに締めてくれる」  
私は泣いているのにあいつは気持ち悪い笑みを浮かべて腰を振っている。  
あいつがしているのはセックスじゃなくて女性の心も身体も蹂躙する行為だった。  
身を引き裂かれる痛みが嫌でも私に教えてくれる。  
「た、た、助けて……夏穂……」  
ガクガクと躯を揺すられながら親友に手を伸ばして助けを求める。  
しかし夏穂は少し離れた所でレンズを向け、私たちの行為を記録していた。  
感情の無い機械はただ黙って持ち主の操作通りに仕事をこなす。  
それがどんなに凄惨な光景でも、容量の許す限り撮り続けるのだ。  
「森井!ちゃんと撮っているんだろうな!」  
「は、はいッ!」  
「もし変な映像だったら……わかっているな?」  
「は……い」  
正視出来ないでいた夏穂を叱り、更に脅す。  
その手管は狡猾で、逆らうどころか、そんな気力さえも失くさせる。  
私の喪失シーンを撮らせる事で罪悪感を植え付け、絶対に切れない鎖で縛り上げる。  
ひどすぎる……この悪魔……  
早く終われと祈りながら歯を喰いしばって身体を貫く痛みを我慢する。  
「うぅ……うっ……ん、ん」  
「苦痛に耐える女の顔か……意外に画になるな」  
「ひっ!」  
私を貫いている物が大きくなった気がして、顔が引きつる。  
見開いた目にあいつの顔が入ってきて、臭い息が噴きかかる。  
「ほら、キスしてやるから口開けろ」  
私は顔をぶんぶん振って拒絶する。  
払いのけようとしても力では勝てないし、そんな事をすれば私と夏穂の恥ずかしい映像が……  
そんな思いで我慢しているのに、あいつはお構いなしに唇を擦り付け、顔中を舐め回して唾液まみれにする。  
「はぁ、はぁ……いつまで我慢できるかな?」  
 
唇にヌメリとした感触が這い回る。  
舌でこじ開けようとしているけど、絶対に入れさせるものか。  
けど、蛇ともナメクジともわからない生き物から逃げようと顔を背けても、顔を手で押さえられて何度も嬲られる。  
「へへへ」  
気持ち悪い声の後、ふいに体重をかけられて、躯を密着させてきた。  
あいつの下で潰されたカエルみたいに、手と足を開いたポーズになると、胃の中にある物が逆流してくる錯覚に陥った。  
ずぶずぶとあいつの物が根元まで私の中に入ってくる。  
結合部まで密着してしまい、私はあいつを全部飲み込んでしまった。  
「わかるだろ、俺のチ○ポが全部挿ったのが」  
「はっ、はっ、はっ、はっ……」  
空気を求めて口を開くと、すかさず舌を入れてきた。  
両手で顔を押さえられ、あごを固定させられ、口の中全てをしゃぶり尽くされる。  
唾液も入り込んできて苦しさの余り呑み下してしまい、上と下、両方から責められて気が狂いそうになった。  
……違う、独りならとっくに気が狂っていた。  
夏穂がいるからまだ意識を正常に保てていられた。  
助けてくれなくても私が夏穂を護るって決めたんだから―――と言い聞かせてあいつが私の中で果てるのを待ち続ける。  
不意に夏穂と目が合った。  
すぐに気まずくなって夏穂は目をそらしてしまったが、私はいつも通りに言ってあげる。  
「大丈夫だよ夏穂。私、こんなヤツに負けないから」  
涙を堪えて笑顔を作って、いつもの私を見せる。  
これには流石にあいつもプライドを傷つけられたらしく、ニヤけた顔が消えた。  
「そう言われると何が何でも変えてやりたくなるな。四六時中チ○ポの事しか考えられなくしてやるぜ」  
「……ふん、絶対に変わるもんか」  
「森井だって最初はおまえと同じ事を言ってたんだ。おまえも簡単に堕ちるさ」  
誰がおまえの思い通りになるものか……  
四肢に力を入れて覚悟を決めた。  
けど、私たちの間に入ってくる者がいた。  
「もうやめてください……」  
「……何勝手な事言ってんだ森井?早くカメラ回せよ」  
「私が……私が恭子の代わりにお相手します」  
「ひょっとして罪の意識でも感じてるのか?今更イイコぶるなよ」  
あいつは言葉と目で凄むと夏穂が怯えた。  
 
今まで辛い目にあってきたのは夏穂なのにまだ虐めるの……  
私が守らなくては―――と、勇気を出す。  
「私なら大丈夫だから……いいの、夏穂」  
「でも……」  
優しいんだね……でも、もういいの。  
夏穂は私が守るんだから、こんな男になんか負けないんだから安心していいよ。  
私と夏穂は見詰め合い、絆を確かめ合っていると、腹立たしい事にあいつが割り込んできた。  
「今日はもう帰っていいぞ森井。それから―――明日はここに来なくていい」  
「え……何なんですかそれ……」  
「檜山の相手をするからに決まってるだろ!」  
夏穂は私とあいつを交互に見る。  
私は夏穂を安心させるために優しく言う。  
「気にしなくていいよ。夏穂はもう十分頑張ったんだから……今度は私の番」  
「よく言うぜ。こうなったら是が非でも俺の奴隷に仕立ててやる。森井が見ている前でも糞をひり出すのも気にしない変態にな」  
トラウマが蘇って、夏穂は耳を塞いでよろめく。  
そんな事にも見向きもしないで、あいつは腰を動かしてきてた。  
しかも今までとは全然違う。  
力任せに捻じ込まれて、一番奥で殺したいくらい憎い男の汚濁を流し込まれた。  
男の精どころか経験も無かった私のバージンを奪い、躯の内までこいつは穢した。  
「俺は絶倫なんだ……今日は腹ン中がパンパンになるまで犯してやるから覚悟しな」  
汚濁を出し尽くしたあいつは汚い物を抜きもしないでピストンを続ける。  
安全日だったのがせめてもの救いだった。  
夏穂もこんな風に何度もこいつに……ごめんね、気づいてあげられなくて……  
「恭子……ああ……」  
私をかつての自分と重ねているのか、夏穂の肩がカタカタと震えている。  
それに気づいたあいつは苛立たしげに声を出す。  
「まだいたのか森井……邪魔だから帰れ」  
「で、でも恭子が……置いていけない……」  
「ああ?檜山はおまえの代わりになるって言ってたろ!それともおまえがまた俺の相手をするって言うのか?」  
「でも……でも!」  
「でもでもうるせえな!もう一度浣腸して脱糞シーンを撮ってやろうか!」  
「い、い、いや……です」  
 
おぞましい記憶を思い出した夏穂は即座に首を振り、はっきりと断る。  
けど散々怒鳴られても、脅されても夏穂はここから出ようとしない。  
その優しさに涙が溢れてくる。  
強がってはいたけれど本当は心細くて不安でしょうがなかった。  
そして思い通りにならない私や夏穂に、あいつの苛立ちは頂点に達した。  
「ったく虫唾が走るぜ……おまえらの友情なんて所詮ニセモノなんだよ」  
「……ふ、ふざけた事を言わないで……撤回しなさい!」  
私と夏穂の絆をバカにするなんて許せない。  
言い返されたあいつは力で訴えてくる。  
埃だらけのマットに私の頭を押し付けて、バカの一つ覚えみたいに腰を振り続ける。  
口で勝てないから暴力で女を負かそうって思っているの……最低な人間ね。  
「……ふふ」  
「何がおかしい!」  
プライドだけが高くて本当に単純な男。  
私と夏穂の絆はこんな男に負けない……だから怖くない。  
ガタっと部屋の隅でカメラが落ちた音がして、音の方向を見ると不安な顔をしている夏穂がいた。  
大丈夫だからと目で教えてあげる。  
すると夏穂の目が私からあの男に移り、何か言いそうに見ている。  
夏穂も言ってあげなよ、無駄だって……  
けど、その時の夏穂が何を考えていたのか、私には正確に理解出来ていなかった―――  
「なに信じきった顔してるんだ、胸糞悪い……」  
「一人ぼっちなのがそんなに悔しいの?」  
「他人なんて信じられるかよ……どうせ裏切るに決まってるんだ!」  
「ふふふ、可哀想な人生送ってたんだね」  
女にでもフられたの?そんな性格だからフられるのわかってるのかな?  
哀れんだ目で見ていると見る見るうち血が上っていくのがわかって楽しかった。  
「糞ッ!」  
苛立たしげに夏穂に目を向ける。  
目が合った夏穂は余りの怖さに悲鳴を上げる。  
おまえの相手はこの私よ―――  
そう言おうとした時、あいつは気持ち悪いくらい冷静な声で言った。  
 
「だったら証明してやろうか?」  
「証明?」  
何を言い出すのかと思ってバカにする。  
けどそれが、夏穂が本当に求めていた物だったのに気づけなかった。  
「森井、これからは檜山がおまえの代わりになってくれるそうだ。だからおまえにはもう二度と手を出さない。  
 今まで撮り溜めたデータ全部消去してマスターディスクも渡してやるよ。これでおまえは自由だ」  
ふざけた事言わないで……そんなの全部うそに決まってる。  
こいつの卑怯な性格を知っているから私にはわかった。  
夏穂も知っているからそんな交換条件なんて応じるはずが無い……そのはずだった。  
「……ほ、本当に私を自由にしてくれる?」  
「……夏穂?」  
その時の私の顔がおかしかったのか、それとも夏穂の答えがおかしかったのか、あいつは声を上げて笑い出した。  
「……っぷ!あーーーはははは!そうだ、おまえは自由だ。もう俺に怯えなくていいんだよ。」  
「ち……ちょっと夏穂……本気……な……の」  
夏穂は私の顔を見ようとしない。  
薄暗い部屋の出口までよろよろと後ずさる。  
用具室の引きドアに手をかけ、あいつに振り返り……  
「約束ですよ……絶対に守ってくださいね」  
「ああ、約束するよ。檜山が生け贄になってくれたからな」  
私を置き去りにして取引が成立した。  
そして最後に一言だけ残して夏穂は逃げた。  
「ごめん恭子……」  
「夏穂!」  
「ははははは、友情なんてこんな物だ!残念だったな檜山」  
悪魔のような男が笑い続け、目の前が真っ暗になる。  
親友だと思っていた夏穂に裏切られて、私にはもう信じられる物も、心の支えも何もない。  
意識が暗い泥の底に沈んでいき、テレビのスイッチを切ったみたいにパチンと音を立てて心が閉ざされた。  
それ以後、何があったか覚えていない。  
翌日学校にきても夏穂は私を避けるようになった。  
私は毎日毎日先生に呼び出されて相手をして、それが日常となって月日が流れた。  
 
やがて三年生最後の大会も終わって、それでも先生との関係は続いて、夏穂や友だちとも疎遠になっていく。  
でも私は裏切られた事を恨んではいない。  
私が自分で選んだ道なのだから後悔してない。  
そして時は再び流れ、三年生の陸上部、つまり私たちの送別会が終わった時、思い切って夏穂に話しかけた。  
「なんか久しぶりだね夏穂」  
「そ、そうね……」  
強張った表情で答えるのを見て、思わず笑ってしまった。  
そんな目で見ないでよ、私たち親友同士なんだよ。  
「やだ、まだ気にしてるんだ?」  
「で、でも、私……」  
謝ろうとする夏穂を制して私の方が慰めてあげる。  
「辛かったんだよね……悲しかったんだよね、夏穂は。だからいいの。私のお陰で夏穂は自由になれたんだから、それだけでいいの」  
親友だから当然じゃない。  
胸に手を置いて、目を閉じて、誇らしくその事を思い出すと、とても清々しい気持ちになった。  
私の選んだ道は正しかったんだと胸を張って言える。  
けど今はそんな事を夏穂に伝えたいんじゃない。  
「それよりもね……聞いてくれる?」  
「な、何?」  
嬉しそうに話す私にまだ負い目を感じているのか元気が無い。  
だから私の元気を分けてあげたい……いいえ、受け取るべきよ。  
夏穂はやっぱり元気な姿が似合うんだから、また私が助けてあげる。  
そう思っただけで私の中から■■が溢れてきた。  
「私ね、今……最っ高に幸せなんだよ」  
「し、しあわ……せ?」  
夏穂は不審な目を向けたまま、オウムのように聞き返す。  
まだ夏穂はわからないのかな……本当は知っているくせに。  
だから私はその証拠を見せた。  
「見て、夏穂……私、こんなに愛してもらっているの」  
制服のスカートを捲って、幸せの証し―――先生の精液があそこから溢れているのを見せてあげる。  
パンティも穿かないで、白いセーシを股から垂らす私の姿を見て、夏穂は顔を凍りつかたまま言葉も出せないでいた。  
 
幸せだから親友である貴女に祝福してもらいたい……どう、夏穂?  
「送別会の最中にね、センセーがどうしてもしたいって言うから二人でこっそり抜け出してね……  
 トイレでせっくすして、特濃ミルクをいっぱい注いでもらったの」  
思い出しただけでもイってしまいそうで、腰が厭らしく動いてしまう。  
ダメよ、まだ我慢しないと……だってこれから夏穂も……  
そして夏穂の後ろに世界で一番大好きなあのひとが顔を出す。  
「恭子……おまえが最初におねだりしてきたんじゃないか」  
「あ、先生ぇ?」  
「聞いてくれよ森井。恭子のヤツ、送別会の最中に『ジュースよりもセンセーのミルクが飲みたい』って言うんだぜ」  
夏穂の肩に手を置いて先生が話しかける。  
凍りついたままの夏穂はロボットみたいな動きで先生に振り返って、みるみる顔を青ざめさせていく。  
「うふ、ふふふ……」  
本当におかしくて笑いが止まらなかった。  
だって愉しいんだもん……気持ちのイイことばかりしてもらって、おチ○ポ様の事しか考えなくていいんだから。  
「きょうこ……」  
「……親友だから」  
でも私は独り占めする気はない。  
掛け替えのない親友がそばにいるんだから……  
「夏穂にも分けてあげるね、し・あ・わ・せ―――――――――あはははははははははははははは」  
私は声を出して笑った。  
先生も笑っていた。  
楽しくて楽しくてしょうがない。  
これからずっと幸せな日が続くんだ。  
永遠に―――  
 
 

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