ほのかから手紙をもらった。  
『ほのかです  
 函館山でのこと、私、やっぱりわからなくて…  
 あなたがどうしてあんなことをしたのか…  
 稚内の別荘にいます              ほのか』  
 
 函館山の夜景を見に行ったあの日、僕はほのかを傷つけるようなことをしてしまった。  
 ほのかにキスしようとして平手打ちを喰らったんだ。  
 ゴミが入ったために目を閉じたほのかを、僕が誤解した。  
 僕に裏切られたことがショックだったらしく、ほのかは泣いていた。  
 今年の夏、僕たちはそれぞれの気持ちを確かめあい、交際を始めた。  
 手も握らないプラトニックな関係だったけど、僕たちはお互いを信頼し、いい関係を築いていた。  
 それが一転、ほのかと連絡が取れなくなった。  
 電話をしても取り次いでもらえない。手紙を出しても返事がない。  
 札幌まで行ったけど、ほのかは僕を見ると逃げ出してしまった。  
 本気で怒っているようだ。もう僕たちの関係は元に戻らないのだろうか?  
 
 ギクシャクした関係が続いていたそんなある日、ほのかから手紙が来た。  
 うれしかった。  
 稚内の別荘まで来いということなのだろうか? 行ったら許してもらえるのだろうか?  
 ほのかと仲直りしたい。また笑顔が見たい。できるなら、またほのかと付き合いたい。  
 僕は取るものも取りあえず、祈るような気持ちで稚内に向かった。  
 
 稚内は広い。  
 手紙には別荘の住所が書いてあったものの、探すのは大変だった。  
 雲行きも怪しい。この季節、降るとしたら雪だろう。しかもこの天候では吹雪くかもしれない。  
 ほのかに、ほのかにもう一度会いたい……。僕はそれだけを思って付近を探し回った。  
「あ、あれは!」  
 冬の海を見つめてたたずむ後ろ姿。それは間違いなくほのかのものだった。  
「ほのか〜! ほのかぁ〜!」  
「あっ…」  
 僕の叫び声に振り返ったほのかが一瞬困惑した表情を浮かべた。  
「ほのか…やっと、やっと会えた……」  
「私……」  
 そのまま言い淀むほのかをさえぎる。  
「待って。まず、謝らせて欲しいんだ。この間は本当にごめん。あんなことしちゃって。でも……」  
「でも?」  
 そう問いかけ、ほのかも黙る。ほのかは僕の言葉を待っている。  
「でもわかって欲しいんだ。僕はほのかだから…その……あんなことしちゃったんだ」  
「えっ?」  
「だから、その…上手く言えないけど、ほのかだから、相手がほのかだったから……」  
 続きを言ってもいいのか? 僕の心にためらいが浮かんだけど、それは一瞬だった。  
「キスしたいって思ったんだよ。でも、その……やっぱりごめん」  
「……私だから? それ…ほんとう?」  
 戸惑ったような表情でほのかが聞き返す。  
「うん」  
「ふ〜うっ…もういい……」  
 大きく息をつくと、ほのかがにっこり笑ってそう言ってくれた。  
「えっ?」  
「許してあげる」  
 いつものほのかの笑顔がそこにあった。  
「ほのか!」  
「不思議だけど、毎日ここで冬の真っ白な海を見ていたら、なんだか素直な気持ちになれたの」  
「ほのか、それじゃ僕たち、これで仲直りできたんだよね?」  
「うん……。あっ、でも今度またああいうことしようとしたら、私、絶対許さないから」  
 上目遣いでちょっと僕をにらむようにして、ほのかが微笑んだ。  
「うん」  
 ようやく取り戻したほのかの笑顔を僕は失いたくなかった。だから力強く言い切った。  
 
「はい…大丈夫。うん…早ければ明日の朝一番の札幌行きで帰るから」  
「どうだった?」  
「うん……吹雪じゃしょうがないだろうって」  
 電話を切ったほのかが僕に向き直ってそう告げた。  
 あのあと、すぐに天気が急変したんだ。  
 なんとか別荘までたどり着いたものの、吹雪の影響で交通機関が寸断されてしまっていた。  
 札幌に戻る手段がなくなった僕たちはここで一夜を過ごすほかはなくなってしまった。  
「そう。じゃあ取りあえず、今夜はここで二人きりだね」  
「あ〜っ、もしかしてヘンなこと考えてるんじゃないでしょうね?」  
 下唇を噛むようにしてほのかが僕をにらむ。  
「ま、まさか! せっかく仲直りできたのに、またほのかとケンカなんかしたくないよ!」  
 あわてて手を振って否定する。  
「そう…ならよかった……でもよりによって吹雪だなんて……夜が心配だなぁ〜」  
「えっ?」  
「ううん、なんでもない……」  
 目を伏せたほのかが小さくつぶやいた。  
 
 有り合わせのもので軽く食事を済ませ、交替で風呂に入り、僕たちは床に就いた。  
 もちろん部屋は別々だ。  
 普段だったら残念に思うのかもしれないけど、今日ばかりは心の底からよかったと思った。  
 別荘にはテレビもなく、長い夜をほのかと二人っきりでいると間違いを犯しそうだったからだ。  
 それが怖かった。今度こそほのかの信頼を裏切ることはできない。  
 
 窓がガタガタと鳴っている。外ではゴウゴウと風の渦巻く音がする。  
 別荘はしっかりした造りのようでこんな強風にもビクともしないけど、音はうるさかった。  
「う〜ん、すごい音だな。これじゃ眠れないよ」  
 僕がひとりごちたとき、  
コンコン  
 ノックの音がした。  
 まさかという思いと、よこしまな期待に胸が高鳴る。  
「ん? はい、開いてるよ」  
 ドアが開く。そしてほのかが顔だけを出して僕に言う。  
「あっ、ごめんね……入ってもいい?」  
「ほのか……そ、そりゃいいけど」  
 ほのかが部屋に入ってきた。  
 ライトブルーのパジャマに黄色のカーディガンを羽織ったほのかが恥ずかしそうに立っている。  
「………」  
「どうしたの?」  
 無言のほのかに問いかける。  
「笑わないでね」  
「うん」  
「あのね……外の吹雪の音が怖くて眠れないの」  
「そ、そうなんだ」  
 気が抜けた。やっぱりそんなことがあるわけないか……。  
 風が怖いなんて、なんだかんだ言ってもほのかもやっぱり女の子なんだな。  
「それで…お願いがあるの……」  
「えっ、なに?」  
「ここで寝てもいいかな?」  
「そ、それはいいけど……い、いいの?」  
 緊張で声が裏返ったのがわかった。  
「うん……だってあなたのこと、信用してるから」  
「ほのか……」  
 僕の動揺に気付かないのか、ほのかは  
「ウフフッ…私、ソファーで寝るね」  
 小さく笑うとソファーに向かった。  
「いいよ僕がソファーで寝るから。ほのかはベッドで寝てよ」  
 ベッドから降り立ち、ほのかを引き止める。  
「いいの?」  
「うん」  
「ありがとう……」  
 
 それからしばらく、僕たちはたわいもないおしゃべりを続けた。  
 些細なことで笑いあい、ちょっとした冗談で拗ねて見せる。  
 相手を思い遣り、取り留めのない話ができること、それがうれしかった。  
「ねぇ」  
 僕に顔を見せないよう、天井を見上げたままほのかが言った。  
「なに?」  
「私が部屋に入ってきたとき……えっちなこと、考えた?」  
「……え」  
 返事に詰まる。  
「考えた?」  
 さらに重ねてほのかが問いかける。  
「……うん。でもちょっとだけ」  
 正直に答えてしまったあとですぐに言い添えた。  
「私、だから?」  
 怒った様子もなくほのかが聞く。  
「……うん」  
 ほのかに隠し事はしたくないし、そう思ったことは事実だから素直に言う。  
「女の子なら誰でもいいんじゃないんだ……」  
 つぶやくような声だった。  
「ほのかだから……ほのかじゃないと僕はそんなこと考えない」  
 その言葉にほのかが僕を見た。  
 その視線を受け止める。そしてほのかの目を見ながら僕は続けた。  
「ほのかが好きだから、大好きだから……だから、そういう関係になれたらいいなって……」  
 ソファーを降りてベッドに向かう。  
 そのまま、僕は何も言わずにほのかを腕の中に引き寄せた。  
 だけどほのかは抵抗しない。僕はそのやわらかな体をきつく抱きしめた。  
「愛してる、ほのか……僕の、僕だけのものにしたい……」  
「……あ」  
 ……ほのかの肩が小さく震えた。  
 
 パジャマのボタンに手をかける。  
 そうしてひとつずつ外していくと、中から淡いピンクのブラジャーが現われた。  
 ボタンを下まで外し、肩からパジャマを脱がせる。  
 続いてブラジャーだ。そう思って背中に手を回したけど、ホックが外れない。  
 何度か試したけど、布地がたわむだけでどうしても外せなかった。  
「待って……」  
 僕を制してほのかが手を後ろに回した。  
 と、あっけなくブラジャーがすべり落ちた。  
 
 僕はベッドから降りると壁際のスイッチを消した。そして服を脱ぐ。  
 その間にほのかも脱いでいた。ほっそりとした両腕で恥ずかしそうに自分の乳房を隠している。  
 部屋の電灯はすでに消してある。明かりといえば窓の雪明りと暖炉の火だけだ。  
 暖炉で燃える炎に照らされ、ほのかの体が陰影に富んで見える。  
 暗くて見えない股間の翳りが僕の興奮をかきたてた。  
 
 ほの暗い闇の中にほのかの裸身だけがぼんやりと浮かび上がっていた。  
 不安そうな眼差しをほのかが僕に向ける。僕は経験がない。僕だって不安だ。  
「ね、ねぇ……」  
 小さな声。そしてほのかは続けて  
「わ、私……初めてなの」  
 早口で言う。  
「だ、だから……優しく…してね」  
 最後は聞き取れないほど小さな声だった。  
「ぼ、僕も…その……初めてなんだ。上手くできなかったらごめん」  
 ぎこちない笑みを返す。  
「そっか……いっしょだね」  
 緊張で引きつったほのかの顔に、少しだけ笑みが戻った。  
 
 静かにベッドに横たえる。  
「ほのか……」  
 名前を呼んでそっとキスをした。  
「んっ……」  
 甘い吐息が頬に当たる。  
 僕は舌を伸ばし、閉ざされたほのかの唇を割った。そのまま口の中に静かに進めていく。  
 わずかに開いた歯の間を抜け、ほのかの舌に触れた。  
「んっ…んぅっ……」  
 小さく鼻を鳴らし、ほのかはかすかに身をこわばらせた。  
 それに構わず、僕はほのかの舌を追いかけ、からませた。  
 ほのかも僕に応えて舌を動かす。  
 ……闇の中に僕たちのくぐもった声だけが響いていた。  
 
 唇を離す。  
 暗い部屋を満たしていた濡れた音が止む。  
 ……見つめあう。  
 もう一度唇を合わせようと僕が顔を近づけるとほのかが顔を逸らせた。  
「ご、ごめん、なんか恥ずかしくなっちゃった……」  
 今の行為が生々しく甦ったのだろう。ほのかが小さく詫びる。  
 恥じらうほのかの態度に僕も羞恥心を覚えた。  
 だけど近づけた顔を戻せるほど冷静ではなかった。そのまま首筋に顔をうずめる。  
「……あ」  
 艶っぽい声を聞きながら、石鹸の香りとともに漂うほのかの甘酸っぱい匂いを胸一杯に吸い込んだ。  
 
 女の子の匂いが肺を満たす。  
 そうしながら首筋に舌を這わせる。耳たぶを甘噛みする。鎖骨のくぼみに唇を寄せる。  
「あぁっ! あんっ……」  
 感じているらしいほのかの声が僕を大胆にさせた。  
「ほのか、ほのかぁ……」  
 浮かされたように名前を口にして、肩口から胸に唇をすべらせた。  
 ふくらみの頂に口をつける。もう片方の乳房は手のひらで包みこむ。  
 これまでさわったどんなものよりも温かく、やわらかく、そして弾力がある。  
 まるで僕の手にあつらえたかのようにぴったりと収まる乳房を静かにもむ。  
 同時に口に含んだ乳首を舌の先でゆっくりと転がす。たちまち硬くしこっていく。  
「んっ! ぁあん……」  
 その途端、背中を反らせてほのかがあえいだ。  
 その動きに離されないよう、ほのかの体にしがみつく。体重をかけないよう注意して覆いかぶさる。  
 そのままほのかの顔を上目遣いに見るけど、白いのどを反らしていて顔が見えない。  
(ほのかってこんなに敏感なんだ……それとも、僕が感じさせてる?)  
 男としての自信が湧いた。  
 
 もっと、もっと感じさせる!  
 女の子がいちばん感じる部分……アソコを攻めようと、僕はほのかの下半身に手を伸ばした。  
 おへその下から続くなだらかな曲線に沿って指を動かす。  
 と、シャリシャリした陰毛の感触がした。さらに指を進める。  
 ぬかるんだ溝に指が到達した。  
 ヌルヌルで温かく、やわらかなひだを指先が感じる。そこを何度も指でなぞる。  
 
 淫溝の中ほどにくぼんだ部分が見つかった。  
 中指でそのまわりを巡るように揉みこみ、くぼみをこするように動かす。  
 と、ほんの少し力を入れただけなのに、ヌルッという感じで指がもぐりこんだ。  
「あぁんっ!」  
 細いのど見せてほのかがのけぞった。どうやら処女の膣に指を入れてしまったようだ。  
「ごめん、痛かった?」  
「ううん、平気……びっくりしただけ」  
 泣き出しそうに潤んだ瞳でほのかが答えた。  
「ごめんね」  
 再度謝ると、僕はより慎重にその辺りで指をうごめかした。  
 
 肉ひだの合わさったところにコリッとした手応えがあった。  
「ひゃんっ!」  
 弾かれたようにほのかの体がビクッと震えた。続いて小刻みに体を痙攣させる。  
 どうやらクリトリスみたいだ。  
 女の子のいちばん敏感な部分。そう聞いたことはあるけど、まさかこれほどとは……。  
 もう一度、今度は慎重にクリトリスに指を置いた。  
「あ、あんまり強くすると痛いの……」  
 頭の上でほのかの声がした。  
「さわらないほうがいい?」  
「あ、そういうわけじゃ……そっとさわって……」  
 ほのかは自分でクリトリスをいじったことがあるんだろうか?  
 そんな疑問が浮かんだけど、それを聞くのはやめにした。  
「痛かったら言ってね」  
 僕は目標を変えることにした。クリトリスだけじゃなく、女性器全体を愛撫することにした。  
 
 ももの付け根を指先でたどる。陰唇をつまむ。中のぬめりをまとい、静かにかきまぜる。  
 くちゅくちゅと湿った音が立ちのぼる。それと同時にほのかの息がせわしなくなっていく。  
「あん…っ!」  
 切なげな吐息を洩らしてほのかが鳴く。それが僕を勇気づける。  
 僕は右手を淫裂で、もう片方の手と口は胸でほのかを攻め立てた。  
「ぁあっ、あっ…あぁん……んふ…っ!」  
 短い間隔の呼吸で、僕の指に、口に、手に合わせてほのかが嬌声を上げる。  
 それに合わせるように僕の指がぬめりに包まれていく。  
「あァン…」  
 ほのかのかわいらしい唇が僕の名前を呼んだ。顔を上げた僕とほのかの目が合った。  
こくん  
 小さく、だけど力強くほのかがうなずいた。  
「ほのか」  
 名前を呼んでその手を取る。そして僕の下半身で屹立する男性器に導く。  
びくっ!  
 握らされたほのかの体が小さく震えた。  
「熱い……それに、とっても固い……」  
 そのまま手を添えて軽く上下させる。  
「僕のも…お願い……」  
 耳元でささやくとほのかはまた小さくうなずき、握った手を自分からさわさわと動かしはじめた。  
 火照った体とは対照的にひんやりとしたほのかの指の感触は、たちまち股間に快感として伝わった。  
「あぅっ!」  
 不覚にも声が出た。  
 経験のないほのかがただ本能的に動かすだけの手が、僕に圧倒的な快感を与えている。  
 たちまち先端から先走りがあふれ、それがほのかの指を濡らす。  
 まるで射精したかのような大量の先走りのせいで、ぬちゃぬちゃと淫らな水音が鳴る。  
 そしてすべりが良くなったほのかの指が僕をさらに高めていく。  
「ほのかっ!」  
 何かに衝き動かされるような思いに駈られ、僕はほのかと唇を重ねた。  
 
 ……ひとつになりたい。  
 ほのかの足の間に身を移す。そして勃起をつかんで角度を固定すると膣口にあてがった。  
「行くよ」  
 それはほのかに声をかけるというより、まるで僕自身に言い聞かせているような言葉でもあった。  
 『男』になる。愛するほのかを僕のものにする。ほのかの人生に責任を持つ……。  
 どことなく不安そうに僕を見上げていたほのかだったけど、数瞬後、  
こくっ  
 小さくうなずいた。  
 それを見た僕は、一瞬のためらいのあと、ほのかの中に入っていった。  
 
ぐぐっ!  
 剛直が処女を割り開いていく。  
「っ!」  
 声にならない声を上げて全身をこわばらせたほのかが僕の腕を握りしめる。  
 苦しそうなほのかの表情に、このまま続けるべきか迷いが生まれた。  
 だけど亀頭部から立ちのぼる強烈な悦楽が僕の腰を止めようとしない。さらに奥深くへと陰茎がもぐっていく……。  
 と、不意にほのかの全身から緊張が解けたように力が抜けた。僕も詰めていた息を大きく吐き出す。  
 ……僕たちはひとつになっていた。  
 
「ごめん、痛いよね?」  
「ううん、平気」  
 そうは言うものの、ほのかは決して平気な様子じゃなかった。眉根を寄せて苦悶に耐えているように見える。  
 淫茎全体がきつく締めつけられる。  
 女の子の中は自分が想像していた以上の気持ちよさだった。  
 いちばん大好きなほのかとセックスしているという興奮も大きかった。  
 何もしていないのに射精感がこみ上げてくる。  
 あまりに早い絶頂は男として情けなかったけど、苦しそうなほのかを見ると少しでも早く終わったほうがいいとも思った。  
「ほのかっ、ほのかぁっ!」  
 名前を呼んで体全体でほのかを抱きしめる。  
 ほのかの体のぬくもりが、やわらかさが、そして甘い香りが僕から理性を奪っていく。  
 精液が根元までせり上がっている。……ダメだ、イク!  
 膣の中で射精したい思いを必死に封じ込め、最後の精神力でほのかから引き抜いた。  
 直後、  
びゅっ! びゅくっ! びゅるっ!………  
 強烈な快感を伴って精液が射ち出された。  
 ほとばしった白濁がほのかの下腹部からお腹、果ては胸のあたりにまで飛び散る。  
「あ、熱い……」  
 精を体に浴びながら、ほのかが浮かされたようにつぶやく。  
 これまでの人生で味わったことのないような愉悦に僕の頭の中も真っ白になる。  
どびゅっ! どぴゅっ!………  
 ほのかの裸身を僕の精液が穢していく。炎に照り映えた肌を白濁が彩っていく。  
 淫靡な眺めに酔いしれながら、僕はいつまでも射精を続けていた。  
 
 永遠に続くかと思われた射精もようやく終わった。  
 大きく息をついてほのかに覆いかぶさる。  
 二人のお腹の間で精液が押しひろげられ、濡れた感触がしたけど気にならなかった。  
「えっち……しちゃったね」  
 天井を見上げたままほのかが言う。  
「ほのか……後悔してる?」  
 ほのかの顔を覗きこむようにして聞いた。  
「ううん。だって、あなたは私だからこういうことしたんでしょ?」  
 まっすぐに僕の目を見てほのかが言う。  
「うん」  
「私だってそうだよ。あなただから……あなたが好きだから抱かれたの」  
「ほのか……」  
「あなたなら……ううん、あなただけは私にヘンなことしてもいいからね」  
 いたずらっぽい笑顔でそう言うと、ほのかからキスしてきた。  
 そのまま唇を割り、舌が伸びてくる。それに応えて僕も舌をからめた。  
 性愛の意味をこめた口付けに、射精したばかりのペニスがピクンッと脈を打った。  
「!」  
 それが伝わったらしく、ほのかの舌の動きが一瞬止まった。けどすぐに動き出す。  
 気がつくと、吹雪の音はいつの間にか収まっていた。  
 
 
                  おわり  
 

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