「ねぇ……口で、してあげましょうか?」  
 ベッドの上でささやく。これから彼と愛し合うところ。でも今日の私、どうしちゃったのかしら。  
「ど、どうしたの晶? 何かあった?」  
 ちょっとうろたえた感じで彼が聞き返す。  
 そうよね。私が自分からしてあげたことなんか一度だってないもの。  
 
 今日はなんだか機嫌がいい。だって久し振りに会えたんだもん。うれしくないはずがない。  
 街ではついいつもの調子で憎まれ口も叩いちゃったけど、二人きりになったら甘えたいって思う。  
 私はこの人が好き。だから少しでも歓んでもらいたい。  
「もう! なんにもないわよ。どうする? やめる?」  
 ブンブンと音がしそうなほど彼が大きく首を横に振る。そんな仕草がなんだかかわいい。  
 ……ホントに鈍感なんだから。私があなたに会えて、こんなにうれしがってるのがわからないの?  
 
「うふふ…してあげるわね」  
 そう言ってから、ベッドに仁王立ちした彼の股間にゆっくりと顔を近づけていく。  
 もうこれ以上はないっていうくらい大きくなってるペニスがビクン、ビクン、と脈を打つ。  
 ……期待、してる?  
ちろっ  
 舌先で先端の割れ目を舐めあげた。途端、  
「おぉうっ!」  
 獣みたいなうなり声を上げて彼が身震いした。……気持ちいいんだ。  
 いいわ、もっとしてあげる。もっと感じさせてあげる。  
 私は唇を大きく開いて咥えていった。  
 
 彼のを口に含みながら上目で顔を見る。……目が合っちゃった。  
 急に恥ずかしくなって目を伏せる。そしてそのまま行為に没頭する。  
「あ、晶ぁ……」  
 感じてるのがはっきりとわかる彼の声が聞こえるたび、お腹の奥で何かがずぅんと響く。  
 そして体の中からとろりと垂れるものを意識する。  
(濡れてきちゃった……)  
 それは内ももを伝ってベッドについたひざのほうにまで垂れていく。  
「晶…晶ぁ……」  
 髪に手が添えられ、指ですかれる。耳が優しくさわられ、首筋をなでられる。……そんな些細なことでも幸せを感じる。  
 
 舌を使って裏側や大きく張ったところを丹念に攻め立てる。唇で締めつけるようにして頭を前後させる。  
 手は茎のところをしごきながら、もう片方の手でタマタマを転がす。  
「あ、晶……すごくいい。気持ちいいよぉ…」  
 私だけが知っている彼のエッチな声が頭の上から聞こえてくる。イキそうなの? イキたい?  
 だけどダメ。最後まではイカせないわ。……あなたには私の中で気持ちよくなってほしいから。  
 
 じらしたり攻め立てたりしながらの愛撫に応えて彼のものが口の中で大きさと固さを増す。  
「あ、晶……くぅっ!」  
 私の名前を呼ぶ声にも余裕がなくなっていく。……と、  
「うっ!」  
 彼が短くうなった次の瞬間、口の中のものが大きくふくらんで熱いものが勢いよく飛び出してきた。  
「!」  
 とっさに口を離そうと思ったけど、そうするとソレが顔や髪にかかっちゃうじゃない!  
 びくっ、びくっ、と何度も痙攣しながら精子を射ち出す彼の性器の脈動が感じられる。  
(バ、バカ! 出すなら出すって言いなさいよね!)  
 心の中で文句を言いながら、それでも私は彼が出し終わるまでそのままじっとしているしかなかった。  
 
 口の中に精子を溜めたままにらみ上げる。私の怒った顔が怖いのか、ますます彼が恐縮する。  
「ご、ごめん……」  
 私は立ち上がるといきなり彼に口付けした。そして口の中の液体を口移しで彼の口に……。  
「んんっ!」  
 彼の体が突っ張った。  
「どう? 黙って出した罰なんだからね! これからはちゃんと言ってから出しなさいよね!」  
 
 
                  おわり  
 

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