「おはようございます」  
 時間はすでに午後一時になるところだが、この業界では一日中どの時間でもあいさつはこれひとつだけ。今日はお酒のコマーシャル撮影。CMの仕事は久しぶりなので、明日香は少し緊張している。  
 マネージャーは控え室まで送ってくると「会議がある」といって事務所に戻っていってしまった。今回の監督である田崎竜也は、前に「マイフェアレディコンテスト」で世話になったということも手伝って、マネージャーが不在でも特別な心配はないだろうと明日香は思った。  
 
 しばらくするとノックの音がしてスタイリストが衣装を持って入ってきた。明日香はあいさつをして席を立つ。衣装を確認していると黒くて小さい下着が目にとまった。手に取り、広げてみるとそれはなぜかTバックだった。  
 下着の指定は別段不思議ではない。衣装のスカートは丈が長く、体にタイトなものではないから、体のラインは気にならないはずだ。  
 明日香は小首を傾げた。  
 Tバックは動いているうちに食い込んでいってしまうのであまり好きではない。  
 上は肩紐になっている紺色のキャミソールで、ブラは上着から透けてもいいように黒で肩紐がない。こちらは疑問に思うほどのものではなかった。  
「仕方ないか‥‥」  
 明日香は口の中でそうつぶやくと、いそいそと着替えに入った。  
 
 撮影がはじまった。  
 白い背景と白い床、そして白い冷蔵庫が置かれた中に、黒い目の衣装の明日香が映えるという感じで、至ってシンプルなもの。お風呂上りにお酒をロックで、というこれまたシンプルなシチュエーションだ。  
 絵コンテによると、床に置かれたグラスに、四つん這いになった明日香が近づいたり、そのグラスを持って覗き込み、ちびりと一口やるというようなもので、あとは明日香のキャラクタに追うところが大きい。  
 
 まずは一口飲んで決めゼリフをいうシーンから撮影に入った。  
 明日香は指示された演出どおりリハーサルをこなす。何個もの熱いライトに照らし出されるのと、一度は少しずつの量でもやはりアルコールを体内に入れることにより、頬が紅潮し、ポゥとピンク色に仄かに色づく。  
 通常なら本物のアルコールは使わないが、こういった演出も含み、今回は商品そのものを使用している。もちろん明日香も了解済みだったし、この撮影の後に他の仕事は入っていない。  
 
「ん、やっぱこれだな」  
 用意されたセリフだったが、明日香はこのお酒が好きだった。  
 このシーンの本番を取り終える頃には、ほどよく気持ちよくなってしまう程度に飲んでしまい、体が熱くなっていた。しかしあの黒い下着があたる部分、特に胸の先と股の部分が、ひときわジンジンと痺れているような感覚に妙な胸騒ぎを覚えた。  
(どうしたんだろ? これくらいのお酒じゃいつもどってことないのに‥‥。それとも‥‥最近、シテないからかな‥‥)  
 休憩中の明日香は、ふとそんな考えを巡らせていた。  
 今年で23才になる明日香はオンナとして脂の乗りはじめた歳であると言える。  
 どちらかというとひとりで楽しみを見つけるタイプの彼女は、それほど写真週刊誌を賑わせることもなかったし、もちろん、知られざる男性関係があったにしろ、乱れた関係までいくことは少ないと言えた。  
 
(彼氏、欲しいな‥‥)  
 本人は気づかずとも、やはり体を持て余し気味なのだろう。少し鈍った光を宿した瞳で田崎を追っていた。  
(結構気になるんダナ、田崎さんのこと)  
 知らず知らずに田崎の方を見つめている。世間一般に言う格好良さはないが実直でスマートな印象を持っており、明日香はかなり好意的に感じていた。  
 そんなことを思っていると組んだ脚の奥の方が一層熱くなったように感じて明日香は焦った。  
(やばっ‥‥。なんか今日はおかしい。体が感じやすくなってるみたい)  
 
「明日香さん、次のシーン、よろしくお願いしまーす」  
 ADのかける声にビクッとなった明日香は、少しかすれた声で返事をすると、組まれたセットに再び入っていった。  
 
 次の撮影は、床に置かれたグラスに四つん這いになって近づいていくというシーンである。  
 普段の明日香は仕事に対して真っ直ぐで、気になったことは質問するし、ちがうと思えば意見も出す。  
 このシーンにTバックでは、まず間違いなく食い込んでしまうから、理由は誤魔化すにしろ、下着を替えてもらうなど意見を言うのだろうが、今日は何かがちがっていた。頭の中にピンクの靄がかかってしまったようで、そんなことを考える余裕すらない。  
 
 リハーサルを重ねる。  
 お尻を高い位置にキープし、床にあるグラスに這って近づくということは、お尻は少し横に揺れることになる。その揺れを繰り返すたびに、少しずつパンティが明日香の割れ目に食い込んでいった。  
(やだ‥‥ぴっちりハマっちゃってる‥‥)  
 動くたびに明日香は快感を高ぶらせる。このころにはもう、ブラの中では乳首がこすれてしまうほど力を漲らせていた。  
(ああ‥‥ん、どうしよう。撮影中なのに‥‥)  
 
「本番、いきまーす!」  
(もぅ、本番だなんて‥‥)  
 ADの声に過剰に反応してしまうほど倒錯的な感覚に取り付かれてしまっていた。  
 単純に這っていくだけなのに、腰の動きがイヤラシイんじゃないかとか、感じているのがばれてしまわないか、といった気持ちが芽生えてしまい、それがまた明日香の淫らな気持ちを燃え上がらせた。  
 しかし明日香は高いプロ意識をもっているため、辛うじてその撮影を無難にこなしてはいる。  
 テイク5でようやくOKが出た。その頃には太腿のあたりまで秘蜜が垂れてきていることに明日香はとまどっていた。  
 
 そんな明日香の様子にほくそ笑む男がいた。  
 監督の田崎である。彼は筋金入りの明日香ファンだ。  
 五年以上も前、素人発掘オーディションコーナーのあった番組で、明日香がエントリーしていた頃から目をつけていた。  
 明日香に逢いたくて、明日香を撮ってみたくてこの企画を立てた執念の男なのである。もちろん執念だけではどうにもならないこともあるから、それなりの才能も運もあったことは確かだろう。  
 そんな男が前回のコマーシャル撮影でようやくチャンスを手に入れ、しかも少なからず、好意を持ってもらっていることも感じていた。そして今日、明日香を我が物にせんと一計を巡らせたのである。  
 
(効くだろうな、アノ媚薬つきの下着‥‥)  
 田崎は明日香の下着の部分部分に、あろうことか媚薬を湿らせていたのである。もちろん、効果については一昨日にリサーチ済みだった。  
(早めに試しておくべきだったな。まだ疲れが‥‥)  
 試された女性には相当な効果があったのか、かなり激しく火がついてしまったようで、朝までキッチリと相手を務めさせられた。  
(まあいい。お陰でいろいろとやりやすくなったから、結果オーライ、だな)  
 その女性というのは、明日香の控え室に衣装を運び込んだスタイリストである。お陰で、下着を用意し、媚薬を染み込ませ、運びこむ、という手筈も無難に乗り越えた。  
(さぁて、次の一手、と)  
 
「はい、みなさん、おつかれさまー。明日は別のパターンをとるのでよろしく。じゃあまた明日」  
 田崎は大きく声をかけると、スタッフは勝手知ったるもので、一斉にそそくさと身支度をはじめた。つまり暗に「はやくかえれ」という合図だった。普段田崎は滅多に声をかけない。  
「明日香ちゃんはお疲れのところ悪いけど、ちょっとミーティングしたいんでよろしく」  
 明日香も早く控え室に戻って、火照った体を冷ましたいところだったが、田崎の一言でやむなくセットの脇にあるイスに腰掛けた。しかし濡れてしまっていることに気づき、すぐに立ち上がり、そのまま田崎が来るのを待っていた。  
 
「悪かったね、疲れたでしょ?」  
 田崎の声が、ふたりっきりになったスタジオに妙に響き渡る。  
「あ、いえ、とんでもないです」  
「実はさ、さっき撮ったパターンの30秒バージョンに、ひとつカットを足してみたいんだ」  
 
 CMというのは15秒バージョンや30秒、長いものになると60秒のものもある。つまり今日の撮影分で15秒と30秒の二通りをつくる予定だったが、その30秒の方に、ちがうカットを入れてみたいというものだった。  
 
「あ、構いませんけど、みなさんを帰してしまってよかったんですか?」  
「あ、ああ。カメラなら昔まわしてたし、固定で撮れるから問題ないよ。明日香はこのあと大丈夫?」  
 明日香は突然呼び捨てにされてドキッとしたが悪い気はしなかった。むしろ呼び捨てにされて、心の距離が縮まったように思えた。  
「このあとは仕事入ってないのでOKですよ。わたしも久しぶりのCMなんで、いいものつくりたいし」  
「じゃ話は決まった。そのカットというのはね、指で軽くステアして口に含むっていう感じの何だけど、大丈夫かな?」  
「はい、えっとじゃあやってみますか?」  
「OK。明日香の思うように動いてみてよ」  
「はい」  
「ところでさ、なんか体だるそうじゃない? 涙目だし。ホントに大丈夫?」  
 明日香は感じてしまって火照っている体を見透かされてしまったようで内心びくついたが、わかるはずもないと気持ちを取り直し「大丈夫です」と答えた。  
 
「うーん、それでもいいんだけど、もっとアダルトにっていうかさ」  
 結局四つん這いになるスタイルで、床に置いたグラスを指でステアし、その指を口に含むというシーンを撮ることになった。明日香は普段のキャラクタを活かし、キュートに見えるように工夫していたが、田崎のOKはなかなかでない。  
 さっきまでの這う動作に比べたら動きは少ないが、一旦潤みかけ、感じはじめていた明日香にとって、お尻を突き上げる姿勢をキープすることはかなりツライ。  
 Tバックがよれてじわじわと割れ目を侵食してくる鈍い刺激が、かえって甘美な感覚を体の奥に呼び覚ます。それ加えて、これは明日香の知らないところではあるが、パンティが湿ったせいで、染み込ませていた媚薬が活性化したことも大きな要因だろう。  
 何度もリハーサルを重ねるうちに、せっかく小さくなった欲望の火が、またメラメラと燃えてきてしまうようで明日香は怖かった。  
 
「ね、明日香、ホントに調子悪くない? 何か息あがってるみたいだけど」  
 気づかないうちに呼吸が激しくなっており、抑えようとすると吐息のような声が出てしまっていた。  
「い、いえ‥‥体調は問題ないんですけど‥‥」  
「そう? ならいいんだけど。でね、指でステアするときに少しお尻をくねらせて欲しいんだけど。できる?」  
「え‥‥と、なんかエッチっぽいですね」  
「うーん、そうなんだけど、顔のアップでいくからさ、お尻のあたりはピンがとぶからわかんないとは思うんだ。でも全体の雰囲気でそういうのが欲しいんだよね」  
「あ‥‥はい。こんな感じですか?」  
 普段なら撥ね付けてしまうような要求なのだが、知らず知らず刺激を欲しがっていた明日香は、田崎の提案を幸いに興奮を体の奥に送った。Tバックがよれてキュッと食い込む。  
「あ‥‥ん‥」  
 明日香の思考能力は完全に低下していて限りなくゼロに近かった。田崎は明日香の喘ぎ声を聞き逃さなかったが、聞こえていないふりをした。  
 
「うん、いい感じだね。もう一回やってみて」  
 田崎はそういうと、カメラをのぞきこんだ。  
 明日香はもう一度お尻をふった。傍目に見たらいやらしい腰つきだったが、そんなことはもうどうでもよくなっていた。  
「もう一回」  
 明日香は田崎の言葉に操られるようにまた腰を振る。今度は横だけでなく、少し前後にも動いた。おかげで更にぎゅっとパンティが食い込んで、その勢いでつぅぅっと一筋、内腿を濡らす。花弁はすでにはみ出していることだろう。  
「うぅん‥」  
 明日香はファインダー越しの視線を感じていた。それは田崎ひとりのものではなく、このコマーシャルをみるであろう何千万という数の男の目に視姦されているところを想像してしまっていた。  
 
「なんかちがうなぁ‥。後ろからチェックするよ」  
 田崎はそういうと明日香の背後に回り込む。そして股間をのぞきこむと、スカートにあたるその部分は、濡れて少し変色しているように見えた。  
「(スカートの中はもう洪水だろうな)さ、もう一回」  
「はぁ‥‥はぁ‥‥。は‥い」  
 明日香の途切れ途切れの呼吸はどう聞いてももう喘ぎ声になっていた。ブラの中でもピンとはってきた乳首がいい具合にこすれている。  
(ああ‥‥思いっきりさわりたい。このままじゃどうにかなっちゃうよ‥‥)  
 
「明日香、直接演技指導するよ」  
 明日香の心中を察してか田崎はそういうと、返事を待たずにお尻に両手を優しく添える。  
「あン」  
 体中が敏感になっている明日香はそれだけで艶めかしい声を上げた。  
(こ、これが憧れていた明日香ちゃんのお尻かぁ‥‥)  
 田崎は妙に感動しながら、それでもできるだけ冷静を装い動きを指導する。  
「いいかい、こういう感じでねっとりとお尻を‥‥」  
 田崎は明日香のお尻に添えた手で、そこにゆっくりと円を描くように、特に下から上へは力を込めて二、三度さする。  
「あ‥、あ‥、はい‥、んんん」  
 明日香はうっすらと目を伏せ、田崎の愛撫、いや演技指導に集中する。  
「こうっ。こうだよ。ね、わかるかな」  
 田崎の両の親指はさりげなく確実に明日香の際どいところへ近づき、すでにねっとりと濡れそぼっているであろう部分を左右に開くように撫でさする。田崎の親指は、染み出した明日香の淫らな潤みを感じ取っていた。  
(あ、もう少しで‥‥。田崎さんになら‥‥わたし‥‥)  
「そうそう、もっとお尻を高くつきあげて」  
 名残惜しかったが田崎はさっと手を離した。もっと、じっくりと明日香を楽しむつもりなのだ。  
「あ‥‥ふぅ‥」  
 もっとさわって欲しい、当然そこに刺激をくれるだろう、と思っていた明日香は、溜息まじりの吐息をついた。  
 
「OK、いいよ。じゃあ次はステアして指を舐めるところ」  
 田崎は明日香の気持ちを知ってか知らずか、元の位置に戻ってカメラを覗き込む。  
 明日香は指導されたようにお尻を振りながらグラスを指でステアする。火照った体に、指先だけとはいえカランカランと音をたてる氷の冷たさが心地よい。  
「いいよ〜。じゃあその指を舐めてみようか」  
 明日香は濡れた指先を口元に持っていく。  
(あぁ‥‥この指で思いっきりさわってしまえたら‥‥)  
 だんだんと快感に絶えられなくなってきた明日香は、時折自分で慰めるときのように、すでに濡れている指先に自分の舌でさらに濡れさせる。ほとんど無意識の為せる技だ。  
 口に含み、舌を絡ませながらゆっくりと出し入れする。明日香はギリギリのところで戦っていた。快感を求めたい気持ちと、演技を続けなければと言うプロ意識のせめぎ合いを、田崎は興奮した目で見つめ、声をかけることさえ忘れている。  
 
(これでいいんだ。これで計画通り、明日香を手に入れられる)  
 ふと我に返った田崎は明日香に近づいていくと支えるように体を起こしてやる。何が起こったか、焦れるような緩やかな快感の波の中にいた明日香はきょとんとした表情を見せる。二人は膝立ちしたままで見つめ合う。  
 
「好きだ」  
 田崎はそれだけを告げると、明日香の開きかかった唇に自らの唇を重ねていく。  
 はじめは軽く。  
 少し離し、もう一度見つめあうと、今度は激しくお互いの唇を、舌を、貪るような口づけを交わす。  
(田崎さん‥‥。わたしも‥‥好き)  
 田崎の差し込まれた舌に応えることで、明日香はその気持ちを伝えていた。  
(明日香のつば、甘くておいしい。こんなのはじめてだ)  
(こんなに情熱的なキス、はじめて。これだけでイッちゃいそうになるくらい)  
 
 唇と舌による長い長い交歓が終わると、お互いの唇の間に粘ついた糸がかかっていた。眩しい照明に照らされてキラキラと光っている。  
 田崎はすっくと立ち上がると、明日香の目の前でズボンを下ろし、勢い、パンツも脱ぎ捨てた。昨晩の乱交が祟ってかソレはだらりと垂れていたが、念願果たせるとあってか、芯は入りかかっていて、長さで興奮を表している。  
 明日香は目をそらさなかった。心の奥底でそれを欲しているのを自覚していたからだ。それどころか早くチカラを与えて、自分の中に迎え入れたいとさえ思っていた。  
 
 田崎は床にあるグラスをとると、下を向いているソレをグラスに入れる。  
「つぅぅ」  
 さすがにくびれの部分までしか入らなかったが、氷の冷たさとアルコールの鋭さをソレに感じるのははじめてのことだ。明日香はしゃがんだまま見ている。  
 
「明日香、舐めて」  
 田崎はソレを取り出すと、ぐいっと腰を突き出した。明日香は潤んだ瞳で田崎を見上げてからふっと目を伏せ、手を床についたまま舌で先の部分をちろりと舐めあげた。  
「うっ」  
 田崎は思わず声をあげてしまった。  
 明日香はその呻き声を聞くと、両手で根元を抑えるようにしてソレを自分に向かせる。そして一度音を立ててキスをすると、口を開け、舌の上にソレを載せるようにしてくびれまで唇をかぶせる。  
(田崎さんの、スゴク熱い‥‥)  
 明日香は襟のようになっている裏の部分に、つぱを塗り込めるように舌先だけを動かす。小さくピチピチと若魚が跳ねるような音がこぼれる。  
(明日香にこんなことしてもらってるなんて‥‥感激だ)  
 明日香の微妙な舌使いで田崎はみるみるチカラがみなぎり、少しの隙間もないくらいピッチリと口にはまり込んだ。明日香は抑えていた両手を左右の腰の方へずらしていくと、ソレを徐々に呑み込んでいく。  
(んん‥‥硬くなってきた)  
 舌先をウラスジにあて、そこをレールのようにして出し入れを繰り返す。時折首を傾げ与える刺激に変化をつけると、田崎のソレはパンパンに膨れ上がった。  
(おお‥‥これは、た、たまらん)  
「明日香‥‥すごくイイよ。もうびんびんだ」  
 喉の奥にあたり出して苦しくなり、明日香はソレから口を離す。  
「ホントに? 気持ちいいの? 田崎さん」  
「ああ、とってもイイよ」  
 明日香は疼きっぱなしの体を持て余していたが、田崎に快感を与えることで気を紛らしていた。そして左手で鎌首を持ち、田崎のお腹に軽く押さえつけると、露わになったウラスジに下から上へと舌を這わせる。そのときに左手の親指の部分でくりくりと動かすことを忘れない。  
「うっ、いいよ、明日香。明日香ももうぐちょぐちょなんでしょ? 知ってるよ。さわりたくて仕方ないんじゃない?」  
 田崎は体を少し右に傾けると、キャミソールの上から明日香の胸をさする。  
「ああっ!」  
 明日香の体がビクンと跳ねた。田崎はそのまま二三度服の上で手を遊ばせると、胸元からいきなりブラの中に手を潜らせた。  
「ね、もうこんなに」  
 田崎はすでに大きくなっている明日香の乳首を手のひらでこねる。  
 明日香は唐突な刺激に耐えかねて、田崎のソレから口を離す。  
「はぁ‥‥はぁ‥‥。そ、そうなの。この衣装に着替えたときから、はぁ‥っふぅっ、なんだか体が熱くて‥‥」  
 明日香は田崎に倒れこむようにして、胸から伝わってくる刺激に身を委ねている。そして時々思い出したように、そこここを舌で愛撫する。  
「知ってるよ。だってそれ、ボクが仕掛けたことなんだ。明日香とこうなりたくって」  
「え?」  
「さっきも明日香のお尻をさわったとき、ぐちょぐちょに濡れてるのがよくわかったよ」  
「ど、どういうこと?」  
 ひとつ前の田崎の言葉にようやく反応できた明日香は、至極当然の疑問を口にした。田崎は明日香の胸から手を離さず続ける。  
「だから、明日香とこうなりたくってボクがやった。明日香のつける下着に媚薬を塗ったんだ」  
「‥‥どしてそんなこと」  
 田崎はしゃがみこむと明日香の唇を奪った。  
「何度も言わせないで。明日香とこういうことしたかったんだ。イヤだった?」  
 ジッと明日香の目を射るようにのぞきこむ。  
 しばしの静寂。  
 明日香は少し顔を伏せると、首を左右に軽く振った。  
 
 明日香は一応意思表示しながらも、軽く混乱していた。  
 ある意味卑怯な方法で体を奪われようとしているのだが、明日香は田崎に対して悪い印象を持てないのだ。それどころかこんな手口を使ってまでも、自分とひとつになりたいという気持ちを伝えてくれた田崎を、愛しいとさえ感じている。その感情が混乱の原因だ。  
 田崎は明日香の顔をじっと見ていた。そうしながらまた胸元に手を差し込み、胸の感触を楽しんでいる。明日香の鈍い思考は中断され、また快感に支配され始めた。  
「あ‥ん‥‥」  
 明日香は田崎の目の前で喘ぐことに恥ずかしくなって軽く目を閉じた。田崎はもう片方の手で明日香の肩を抱くと上体を起こす。そして胸を弄んでいた手も抜き取ると、明日香の両肩にかかっているキャミソールの肩紐を、ゆっくりとずらしていく。  
 明日香は体をビクンとさせ、かすかな抵抗なのか両手を胸のところで組んだ。  
「明日香‥‥。ボクに見せて‥‥」  
 田崎は肩紐を完全にはずしてしまうと、明日香の耳元でそう囁く。そして耳に軽くキス。明日香はその感触に過剰なほどに体を揺らせると、覚悟を決めたように両手を下ろした。  
「ふぅ‥。すごく綺麗だよ、明日香」  
 田崎は、小ぶりだが形のよい胸を目の当たりにして、我が身の幸福に感謝した。それに乳首の色も、明日香の年齢から考えても当然綺麗だと思えた。  
(び、美乳だ。こんなに素敵なおっぱいだったのか‥‥)  
 
 明日香は自分の胸に、田崎の熱い視線を感じていた。  
(田崎さん‥‥早くさわって‥‥さわって欲しいの‥‥)  
「は、恥ずかしいから‥‥、そんなに見ないで‥‥」  
「恥ずかしがることないさ、こんなに綺麗なのに」  
 田崎はそう言うと、明日香の両胸に下から手を添えた。  
「すべすべで気持ちいいよ、明日香」  
「ああぁ‥‥」  
 田崎は乳首に触れないように注意しながら、明日香の乳房の形と感触を慈しむように揉みあげる。  
「ん‥はぁ‥‥っ‥‥くぅ‥ん」  
 明日香の口からは喘ぐ音しか洩れてこない。  
(ね、田崎さん‥‥、じらさないで‥‥)  
 明日香の思いが通じたのか、田崎は目の前で揺れているツボミを舌先でチロッと持ち上げた。  
「きゃっ」  
 明日香は突き抜けた快感に軽く悲鳴をあげた。  
 田崎は手の愛撫を続けながら、両方のツボミを交互に口に含む。そして口から離れる瞬間、唇で強く挟みひっぱる。  
(あ、うぅん。そ、それ、気持ちいいよぉ)  
 明日香は自分の胸元で愛撫を繰り返す田崎の頭を、両腕で優しく抱きしめた。  
(もっと‥‥もっと気持ちよくして‥‥)  
「明日香、どうして欲しい? どうなりたい?」  
 田崎が明日香のツボミから口を離すとそう問いかけた。ツボミは田崎によって、朝露をかぶったようにキラキラと光っている。  
「そ、そんなこと‥‥、い、言えないよ‥‥」  
「ちゃんと言わないとやめちゃうよ。それでもいいの?」  
(やめないで。ひとりでしたって‥‥、そんなんじゃもう‥‥。田崎さんのが欲しい‥‥。田崎さんにもっと感じさせて欲しい)  
 明日香はそう思っていたがとても口に出せるものではない。今までそんな言葉を発したことさえなかった。  
 
「ほら、これが欲しいんでしょ?」  
 田崎は明日香の右手を掴むと、自分のモノをさわらせた。  
「あっ」  
 明日香はその感触にためらいながらも、無意識のうちにさすっていた。  
「ほら、体が欲しがってる証拠に、こんなにイヤらしい手つきで撫でまわしてるじゃない」  
「だ、だって‥‥」  
「だってじゃなくって、ほら、ボクにいうことあるでしょ?」  
 明日香の手のひらを田崎の先走りが濡らした。明日香が手を動かすたびに淫らな糸を引いている。  
 田崎は明日香を軽く抱き寄せた。そして左腕で背中をささえ、もう一方の手を下におろし、明日香の太腿を撫ぜた。右手は膝の裏辺りからお尻の方まで行動範囲を広げたが、決して明日香の中心まではいかない。  
 自然、明日香の息は上がり、快楽を求める体は勝手にむずむずと腰を動した。その間も明日香の右手は休むことを知らず、それどころか手のひらに載せるようにしっかり握り、前後に動かしていた。  
 田崎は明日香の耳元に口を寄せる。  
「頑固だね、明日香‥‥。体はこんなに求めているのに。うっ、そう、気持ちいいよ。明日香だって、もっといろんなこと、シテ欲しいでしょ?」  
 明日香の手からはにちょにちょという音が立ち始めていた。田崎からは先走った感激が順調に溢れている。  
(男の人もこんなに濡れるんだ‥‥。すごい‥‥)  
 
 田崎は手を明日香の胸においた。そしてツボミをつねるようにひねる。  
「‥ィタッ」  
 明日香は言葉ほどは痛がっていなかった。それどころか腰の奥の方がじわっと反応した。  
「明日香‥‥もっと感じたいんでしょ? 恥ずかしくて言えないの?」  
 明日香は田崎の肩の辺りでこくりとうなづいた。もっと感じたいし、それを言葉にすることは恥ずかしかった。つまりどちらの質問も答えはイエス。  
 田崎は明日香の手の愛撫を受けながら、再び明日香の太腿を撫ででいた。  
「そう‥。じゃあボクの言うことを繰り返して。それで許してあげるから」  
 明日香は田崎の肩にキスするように、もう一度うなづいた。  
 
 田崎は猛っていた。  
 早く明日香とひとつになりたいと思っていたが、反面、もっと焦らして、焦らして、今以上にイヤらしく乱れた明日香を見たいという気持ちもあった。  
「じゃあ、こう言うんだよ。明日香のぐちょぐちょになったアソコをさわってください。って」  
 明日香は田崎の肩口でイヤイヤをするように首を振った。  
(そんなこと、恥ずかしいよ‥‥。でも‥‥)  
「言えないの? じゃあこのままでいいのかな?」  
 田崎は当然このまま終わるつもりはない。早く明日香の濡れた花弁を見てみたい。ここまできたら抵抗しないだろうが、どうしても言わせてみたかった。あの声でイヤらしい言葉を聞いてみたい。  
「ほら、明日香」  
 太腿をさすっていた田崎の手がTバックの縁をなぞる。明日香はくすぐったさ半分、快感半分だったが、内股の切れ込みまでくると、反射的に腰を引いてしまった。  
「あ‥‥、んやっ」  
「逃げないで。もっと感じたいんでしょ?」  
 田崎はどこまでもいじわるだと明日香は思う。でも田崎の言うことはあたっている。もっとさわって欲しい。明日香は引き気味の腰を元の位置に戻した。  
「そうそう、それでいいよ」  
 田崎の指は丁寧に下着のラインをトレースしている。明日香の吐息が田崎の耳をくすぐった。  
(あ、んん‥‥。これ以上焦らされたら‥‥。は、早く、田崎さん)  
 明日香の体は田崎の指を追って淫らにくねる。早く核心に触れて欲しいと。  
「さわって欲しいんだネ、明日香。ヤらしく体が動いて‥‥」  
 明日香は返事の代わりに田崎の肩をギュッと掴んだ。ふたりの距離は自然と縮まり、伸びきった明日香の胸のツボミが田崎の胸板に押し付けられる。  
「でもね、ちゃんと言わなくちゃダメだよ」  
 田崎は我慢強く、暗示にかけるように繰り返し諭す。そして人差し指と薬指とで明日香のアソコを跨ぐように、内股の付け根で前後に往復させる。  
「ひゃっ‥‥ん」  
(もう‥‥オカシクナッチャウ)  
 時折何かの加減で、中指が濡れた入り口を軽く叩くあたりがなんともモドカシイ。明日香の呼吸は一層激しくなり嗚咽が洩れる。  
「はぁ‥‥はぁ‥ん、くぅぅ」  
 明日香の腰が少し低くなり、中指のあたりを欲しがる。乳首同士が微妙に擦れて田崎もたまらなくなる。  
「あ、ん‥‥、もう‥ダメ‥‥。これ以上は‥‥。ね、田崎さん。さわって。早くわたしに‥、さわって、オネガイ」  
 焦らされる愛撫に耐え切れなくなった明日香はとうとう欲求を口にした。  
「やっと言えたね、明日香」  
 田崎はそう言い放つのとほぼ同時に、パンティのフロントから手を差し入れた。  
「あ!」  
 田崎の手は、盛り上がった柔らかい草むらを感じながら、素早く進入していく。そして明日香の大事な部分を手のひらで捉えた。  
(あ、やっとさわってもらる‥‥。ウレシイ‥‥)  
「ン、ふぅ〜」  
 そこはとても熱く、まとわりつく液体が支配していた。  
 田崎は喰い込んでしまっているTバックを丁寧に剥がすように更に深く突き進んでいく。  
「もうグッショリだね」  
「う、うん。ハヤクさわって欲しかったの、とっても」  
 明日香は自分の気持ちを正直に口に出していた。とても小さい声ではあったが、ハジメテの経験だった。セックス中に会話をすることなど思いもよらず、しかし口に出してみることで感じるカンカクがあることを知りはじめていた。  
「そう。じゃあ‥‥」  
 田崎は、中指で花弁の中央の割れ目を慎重に確め、隣の二本の指で両方の花弁を優しく挟む。  
「ゃん‥」  
 そして三本の指をできるだけ不規則に動かす。  
 
──ねちゅっぬちゅっ  
 
「ぃゃぁ‥‥」  
 明日香は自らの発した音に、吐息交じりで気持ちをあらわした。  
「スゴイよ、明日香。とても熱くてぽってりしてて、ビラビラが絡みつくみたいだ」  
「そ、そんな‥‥、あ‥んんっ」  
 
 明日香と田崎は、相手の熱をみるときのように額をつきあわせている。  
「ね、明日香。ボクのもさわってくれるかな」  
「う、うん」  
 明日香はさっきまでそうしていたように、熱く猛ったソレに下から手のひらを添える。そして先走りを感じながら、それを全体に塗りこめるように動かす。  
「明日香‥。気持ちいいよ」  
「‥‥田崎さん、わたしも‥‥イイの、とっても」  
「ね、しごいて」  
「うん」  
 田崎の指に気を取られながらも明日香は確実に刺激を送る。先走りのおかげで滑らかに動く。  
 田崎はトロトロに濡れた三本の指を想像しながら、中指を第二関節から曲げ天を向かせた。その先には明日香の開きかかった入り口がある。  
「あアっ!」  
 入った。  
 明日香は少し仰け反る。  
 田崎は中に入ったのを確認すると、ゆっくりと指を奥に伸ばしていく。  
「あぁ‥‥ん、ンん‥‥や‥‥ん」  
「入ったよ、明日香」  
「‥‥ん、入っ‥‥て‥る」  
 状況を口に出すことで更に感度が上がる。疑いようのない事実を明日香は掴んでいた。  
 
──じゅぽっぬちゅっ  
   
 田崎は指で「の」を書くように動かす。入り口が開くため時々空気混じりになり、さっきよりも激しい淫音がスタジオ内に響き渡る。  
「あ‥‥ん、ぃ、ぃい‥‥」  
「どんどん溢れてくるよ。指がふやけちゃいそうだ」  
 明日香の顔をのぞきこむように田崎が言う。  
「ん、ん、ゃだ‥‥。そんなふうに言わないでェ‥‥あぁぁ」  
「ほ、ほら、明日香も動かして」  
 明日香もできるならそうしたいのだが、感じすぎてしまってドウニモナラナイ。握った手よりも腰の方が活発だ。  
「感じてる顔もとってもカワイイよ」  
 田崎はそういうと指の動きを止め、明日香の震える瞼に口づける。  
 そして唇は頬を伝い、明日香の唇を甘噛みしながら一巡りする。  
 
「ん、はぁ‥」  
 明日香の口から赤く濡れた舌があらわれると、田崎のそれと絡み合い、ぴちゃぴちゃと音をたてながら濃厚なキスが飽くことなく続く。  
 明日香の手が優しくしごきはじめると、田崎は薬指も明日香の中に収めた。  
「ん、あぁっ」  
 お互いの唇と舌はねっとりと絡み合い、舐め合い、吸い合い、境界がわからなくなるくらいだ。  
 田崎は明日香の唾液を吸い取りつつ、激しく中を掻き混ぜる。指を伝い、手の平にまで熱いぬめりが感じ取れた。  
「明日香のジュース、手の平にまで垂れてきてるよ」  
「はっ‥ぅんん‥。き、気持ちイイの‥‥。あっ‥‥ん、田崎さん」  
 明日香は田崎の指の動きにタイミングを合わせるようにして、田崎をキュッキュッとしごきあげる。そうすることで既に田崎を受け入れているかのような錯覚を起こさせ、自らの快感を高めているかのようだ。  
 貪るようなキス、指で味わう田崎、しごきたてる明日香。淫らな音の三重奏。  
 
(ほ、欲しいの‥‥。ナカに‥‥これが‥‥)  
「あっ、明日香‥。そんなに激しくしたら‥‥」  
 さすがの田崎もこれだけの快感を与えられ、憧れの人の淫らな姿を見せられたら堪らない。田崎は逆襲とばかりに、草むらの中の突起を親指が探り当てる。  
「あン、ダメ。そこは‥‥」  
「ここ? これだね、明日香のクリちゃんは」  
 思ったより小さかったが、それでもしっかりとその存在をアピールしている。田崎は指にジュースをまぶしてから、再びそこを捉えると、ピストンしながら優しく弾く。  
 明日香の様子が一変した。  
「あっ、やっ、い‥‥ちゃう‥‥よぉ‥‥」  
「いいよ、イッテも。今まで我慢してたんでしょ?」  
 明日香は驚くような力で田崎の腕を掴む。爪の痛さが田崎を煽る。  
「で、でも‥‥。あ、ホントに、あ、あああ」  
「ほら、イッチャいな。明日香。イクとこ、見せて」  
 明日香の股間はズヂョズヂョと音をたて、田崎の激しさがよくわかる。明日香の腰もイヤらしく前後に揺れている。  
「あ、は、そんなこと、だ、ダメなのにィ‥‥。あっ、あっ、も、もぅ、だめェ‥‥。はあああぁぁん、ぃっくぅ‥‥」  
 
 田崎の腕の中には、達してビクついている明日香がしっかりと抱かれていた。  
(明日香ってイキ顔もカワイイ‥‥)  
 明日香の揺れる髪を見下ろしていると、田崎自身がビクンと反応した。  
 
(ゆ、指だけでこんなにイイなんて‥‥)  
 明日香は田崎の胸で呼吸を整えている。まだ体の震えが止まらない。膝立ちしているため、そこが擦れて少し痛むがそんなことは気にならなかった。  
 田崎の指はまだ明日香に入ったままだった。しかし明日香を気遣っているのか何もしてこない。  
(やっぱりこの人、基本的には優しいんだ‥‥。悪くなりきれないのね‥‥)  
 
 呼吸が整ってくると、今自分が置かれている状況が酷く恥ずかしく思える。それでもなぜだか心地良い。  
 うっすらと目を開ける。  
 明日香の視線の先には、まるでローションを塗りたくったかのようにてらてら光る田崎があった。  
 明日香は田崎の胸から額を外す。  
「‥ごめんなさい、田崎さん。わたしだけ‥その‥先に‥‥」  
 先にイッてしまったことを詫びる明日香の瞳を見つめつつ、田崎は指を静かに抜く。体が少し揺れ、吐息が洩れる。  
 田崎はすっかりと濡れてしまった指を、明日香と自分の視線の間に持ってきた。それはヌラヌラと妖しく光っている。  
「まだしたい、よね?」  
 田崎の濡れた指を両手で握り締め、明日香は頷く。  
「ね、ちゃんと言って」  
「‥シタイ‥‥。田崎さんに‥‥イカセテ欲シイ‥‥」  
 はっきり言葉にして言うと、体中が、心までもが早くそうしたいと願っているかのように意思統一されるようだ。明日香がハジメテ覚えた、新しいセックスの楽しみ方、そして悦び。  
 
「今イカセテあげたじゃない?」  
 田崎は明日香の手をほどきながら意地悪くそういった。  
「そ、そうじゃなくて‥‥えっと‥‥イレテ‥‥」  
「入れてたじゃない」  
 田崎は明日香が握ったせいで、中途半端に濡れ残る指を明日香の胸にあてる。明日香は少し頬を膨らます。ちょっと尖った唇がアヒルみたいで可愛らしい。  
「もぅ‥‥。コレが欲シイの」  
 明日香は田崎の屹立したものを優しくさわった。  
「っ‥‥と。でもイッたばかりなのにすぐいれるとつらくない?」  
「田崎さんもつらそうだから‥‥。大丈夫。早く田崎さんを感じたいの」  
 そう言った後、照れてしまう明日香を、田崎は益々愛しく感じてしまう。  
「じゃ明日香も裸になって‥‥」  
 田崎は、すでに着衣としては意味を為さなくなっていた明日香のキャミソールを脱がせにかかる。  
「ほら、バンザイして」  
 明日香はその口調に可笑しくなってクスッと笑みがこぼれる。  
「なんか子供になったみたい」  
「子供がこんなになっちゃうわけ?」  
 ブラジャーから零れている胸の先を指でくっと押し込む。  
「ゃん‥‥」  
「明日香って思ってたよりエッチだね」  
 田崎はブラのフロントホックをはずすと、明日香の上半身を遮るものはなくなった。  
「それって誰のせい?」  
「ゴメンゴメン。でも明日香がエッチでうれしいよ、ボクとしては」  
 明日香がポンと田崎の胸を小突く。こんな軽口を言い合いながらスルのもハジメテでとても新鮮に感じる。  
 田崎の手は休むことなくスカートのホックをはずし、ファスナーを下ろすとニュートンの法則に従って床にふぁさっと落ちる。明日香の膝元に輪を描くように。  
 
「もっとエッチになろ」  
 田崎はそう言うと明日香に顔を近づけ唇を奪う。膝の周りにある脱ぎかけのスカート以外は黒いTバックだけになった明日香の前から、田崎はゆっくりと横にずれると、脱ぎ捨てた服をそこいらに敷き詰めた。そして明日香を再び四つん這いの姿勢になるようにリードする。  
「これって‥‥恥ずかしいよ‥‥」  
「今更じゃない? 明日香」  
 田崎はまったく意に介さない。もちろん明日香も言葉の上だけで、特に嫌がる素振りはなかった。  
「肘もついて」  
 両肘を床、いや敷かれた服の上につくを確認すると、田崎は明日香の真後ろに周り込む。  
「ああ‥‥」  
 明日香は、大事な部分を田崎に突き出す格好になっている自分の姿を想像してしまい、恥ずかしさのあまり声が洩れた。田崎は蒸れてオンナの匂いを撒き散らす股間を凝視する。少しヘアがはみでているが、もともと濃くないのかそれほど量はない。  
「とっちゃうよ‥‥いいね」  
 興奮するあまり、声が上ずっているのが自分でもわかった。返事はなかったが気にせず両腰に引っかかる部分をしっかと掴むと、ゆっくりとお尻をくぐらせる。  
(あ‥‥とうとう‥みられちゃうんだ‥‥)  
 明日香は田崎の視線の先にある、更に奥の方が、より一層熱くなるのを感じた。  
 
(いよいよご対面‥‥)  
 田崎は心の中で呟くと少しずらす。  
「お尻の穴が見えてきたよ」  
「やだ‥‥そんなこと言わないで」  
 明日香は顔を伏せたまま言う。スタジオ入りする前に自宅でシャワーを浴びてきてはいたが、汚れていないだろうかと気になってしまう。  
「大丈夫。明日香の体に汚いところなんてないよ」  
 見透かしたように田崎が言う。  
「そんなこと‥‥」  
「嘘じゃないよ」  
 そしてまたゆっくりと剥がすように下ろすと、黒いTバックと明日香との間に何本もの糸が伸びていく。裏返ったところをみると濡れているどころか、白く変色している部分もあった。  
「ああ‥‥」  
「明日香のここ、びちゃびちゃで洪水みたいだね。それにひくひくして、なんか誘ってるみたいだ」  
 明日香の腰が震えた。言葉で責められることに感じているのだ。  
「いや‥‥ハズカシイ」  
 何度目の恥ずかしさだろうか。  
(そんなにゆっくり‥‥じっくりのぞきこまないで‥‥)  
 口に出してまでは言えなかったが、そんな気持ちも明日香をより高ぶらせた。  
「あんまり毛がなくって‥‥とっても綺麗だよ」  
「や‥‥だ‥ぁ」  
 更に下ろしていくと糸がひとつ、ふたつと切れていき、明日香のすべてが曝け出された。田崎はスカートと一緒に脱がせようとアクションを起こすと、明日香は右、左と膝を浮かして協力する。  
 
(ああ、なんてヤラシイんだ‥‥)  
 田崎は自分のモノがいつもより大きくなっているような気がした。そしてほとんど無意識のうちにソコに顔を近づける。  
「ヤ‥‥田崎さん‥‥」  
 黙ったまま見入ってしまうほど、ソコは田崎にとって夢の場所であった。もちろん明日香の心はそれ以上なのだが。  
「サーモンピンク‥‥かな‥‥」  
 田崎はむせかえるような明日香の匂いを吸い込みながら、じっくりと観察する。  
「そ、そんなに見ないでぇ‥‥」  
「やだ。もっとじっくりとみたいよ、明日香」  
「だ、だって‥‥。こんなふうにされるなんて‥‥」  
 明るい場所でシタことなど今までなかったから、体を隅から隅まで確かめられるような今の状況に不安を覚えながら、認めたくはなかったが酷く興奮していた。  
「これがクリちゃんだね。こんなにぷっくりしてる」  
 田崎はソコで指を濡らすと、ソレを塗りつけるようにふくらみを撫でた。  
「ひゃっ‥‥ぅん」  
 悲鳴にも似た声。イッたばかりなのだから、さぞかし敏感になっているのだろう。  
「ね、そんなに見ないで‥‥」  
「あとでボクのもじっくり見ていいからさ」  
 田崎は意味のない交換条件を言い放つと更に顔を近づけ、プチュッと音を立てて明日香の亀裂を吸った。  
「ああぁン」  
「ん‥‥。甘酸っぱくておいしいよ、明日香のジュース」  
 田崎は続けてズズッズズッと吸い取るようにしながら、ヘアの中の小さなふくらみにもコリコリと刺激を送る。  
「あっ‥‥んんっ‥‥ダメぇ‥」  
 両手でソコを開き、舌で明日香を味わう。  
「はっ‥ン‥‥ン‥‥、イイっ‥」  
 田崎の舌は確実に割れ目をなぞる。舌が行き来するたびにピチャピチャと淫らな音がする。際限なく溢れ出てくる泉のようだ。  
「どんどん溢れてくるね、明日香」  
「ん‥‥ん‥‥」  
 唇を噛み締めているのか、うなるような声が聞こえてくる。  
「明日香、気にしないで声を出して。その方が気持ちよくなれるよ」  
「ん‥‥はぁっ‥ん‥‥あっ‥あっ‥」  
 ときどき花弁を唇で挟む。  
 田崎の口の周りは、明日香で濡れている。  
「ン‥むぐっ‥‥はむっ‥‥」  
「あ‥‥ああん‥‥、い、イイの‥‥あっ‥ン‥‥な、中に‥‥き‥て‥‥ぇ」  
 憧れていた明日香の嬌声を聞くに連れ、田崎はその中に入りたいという気持ちが強くなってきた。いや「こんなチャンスは二度とない」と、今まで無理に抑えていたのかも知れない。でももうそれも限界だった。  
 
 田崎はソコから口を離すと、明日香の腰に手をやる。  
「あン、田崎さん」  
 田崎は自分で濡らしていたが、ソレを明日香の潤んだ亀裂に擦りつける。  
「も、もぅ‥‥焦らさないで‥‥」  
 明日香のジュースをにちょにちょと音を立ててまぶすと右手を添え、砲身さながら照準を絞り込んだ。  
「明日香、入るよ」  
「うん‥‥きて‥‥、わたしの中に‥‥」  
 田崎は同意を得ると、明日香の中を確かめるかのように、ゆっくりと腰を送り出した。  
 
(あ、あたってる‥‥。ん‥入ってく‥‥)  
「ん‥‥んんん‥‥あっああ〜ん」  
 田崎が明日香の熱い輪を押し広げるようにくぐっていく。明日香の花弁は田崎のソレにまとわりつき、内側に向きをかえる。  
「熱くてぬちょぬちょで、気持ちいいよ」  
 田崎はエラの部分まで埋没させるとそういって挿入をとめた。そして両手をお尻に添えると、親指に力を込め、結合部分がよく見えるように押し開く。  
 田崎の眼下に淫靡な景色が広がった。  
 こげ茶色のお尻の穴の向こうに、自分のモノが濡れてひくつく肉にささっている。田崎は胸の高鳴りを抑えきれなかった。  
 
(ど、どうしたの? なんでとまっちゃったの?)  
 一気に入ってくると思っていた明日香は不思議に思った。  
「‥田崎さん‥‥、どうしたの?」  
 絶え絶えになる息をしながら、お尻を高く突き上げたままの格好で後ろを向くこともできないままそう訊いた。  
「あ、いや‥‥。みとれちゃっててね。明日香に入ってるとこ」  
「そ、そんな‥‥」  
「あのね、昔っから明日香のファンだったんだ。だから今こうしてることがとてもうれしいんだ」  
 田崎はそれ以上深く入らないように軽く明日香を突いた。  
 ぐちょっと淫らな音が響く。  
「あぁっ」  
「それに‥‥自分でも驚いてるんだけど、今まで一番おっきくなってるんだ、これ」  
 もう一回ジャブ。  
「んはっ」  
 さっきよりもちょっとだけ深く突くと、半分くらいまでが中に入っていった。そしてゆっくり腰を引くと、エラに掻きだされたジュースが溢れ出てくる。  
「あー、明日香のジュースが垂れてきた」  
 明日香はイヤイヤをするように頭を振った。本当に厭なのではなく、田崎の動きがモドカシイのだ。  
「ね、ねえ‥‥、ぜ、全部‥‥来て欲しいの‥‥。田崎さんを全部感じたい‥‥」  
 ずっと憧れていた女性にこんなことを言われたら堪らない。腰に力を入れようとした田崎だったが、ふと思いついたことがあった。  
「今ね、半分まで入ってるんだ。ここまではボクが入れたから、あとの半分は明日香に任せるよ」  
「え? どうしたらいいの?」  
「簡単だよ。このまま動かずにいるから、少しずつ下がってきてご覧よ」  
「で、でも‥‥」  
「できない? じゃあこのままだよ」  
 明日香は黙り込んでしまった。  
(まだダメなの?‥‥もうここまできてるのに焦らすなんて‥‥。ああ、わたしに入ってきて欲しい。そして思いっきり感じさせて欲しい‥‥)  
 明日香はしっかりと締め付けて離していない。じっとして動かないから、余計に刺さりかけているものを実感できる。どうにかなってしまいそうだった。いや、そんな状況は最初からずっと続いているといっていい。  
 ああやっと、と思うと、思ったそばからはぐらかされている。そして田崎の要求。  
「ああ、いやらしく動いてるよ、明日香の中。襞ひだがくすぐってるように‥‥うっ締めちゃダメだって」  
「だ、だって‥‥」  
「体に正直になりなよ。ほら、ボクのを確かめるように動いてるじゃない? じっとしてるから神経が集中しちゃうんじゃない?」  
「ん‥‥う、うん‥‥‥。押し広げられて‥‥入ってるのがわかる‥‥」  
「でしょ? じゃあ全部入れちゃおうよ。このままだといつまでも持ちそうにないよ。中、熱くて、すごくいいから」  
「あ、ダメ‥‥そんなの」  
 明日香はそういうと両膝を後ろへずらし、少し伸びた体を縮めるように田崎に近づいていく。さながら後ろ向きに進む尺取虫のようだ。  
「あぁ‥‥」  
 田崎は再度右手を添え、明日香が近づいてくるのを待つ。  
「もうちょっとだよ、明日香」  
 腰がいやらしくくねり、視覚的にも興奮を覚えていた。こんなに素直で、実はすごくエッチだった明日香のことを、田崎は絶対離すもんか、と心に決めていた。  
「ん‥うん」  
「そう、もう少しで全部‥‥、あ、全部、入った、よ」  
「はぁぁ‥‥」  
「よくできたね、明日香」  
 田崎は明日香の腰をつかむと、ぐいっと腰を引き、ずどん、と突き入れた。  
「ああ〜〜」  
 一際大きい声がスタジオに響いた。  
 
(ああ、そう、もっと‥‥)  
 その動作を繰り返すたび、明日香の中からおびただしいほどのジュースが掻き出されてくる。それはすぐに田崎の袋を濡らし、明日香の太ももに幾筋もの淫らな筋を作らせた。  
「ああ、吸い付いてるよ、明日香。引き出そうとするとぎゅってしがみついてくるみたいに‥‥」  
「や、あ、あん、そんなふうに、あ、あああっ」  
「で、でも、すごくいいんだ。だから、もっと、もっと感じて‥‥」  
 田崎は止まらず腰を打ち付ける。びたんびたんと規則的に音が生じる。まとわりつく明日香のジュースは透明なものから、白濁したものに変わっていった。  
「あ、あ、田崎さん、い、イイの‥‥。気持ちいいのぉ‥‥」  
「ボ、ボクも、いいよ。こんな気持ちいいセックス、明日香とだから‥」  
「ね、もうダメかも‥‥。さ、最後は、ふつーのがいい‥‥」  
「あ、うん。じゃあ‥‥」  
 田崎は腰をつかんでいた手をぐいっと押して、明日香を四つん這いの格好からうつぶせになるようにした。もちろん繋ったまま外れないように注意しながら。  
 そして明日香の右足のくるぶしのあたりを持って、膝から折れるようにずらしていくと、自然と明日香の体が横向きになっていく。  
 田崎はつかんだ右足を左手に持ちかえると、明日香に上を向くよう促すと、正常位のかたちになった。  
 
「明日香‥‥」  
 田崎は思わずつぶやくと、明日香の両足を太ももの上に載せて覆い被さっていった。  
 バックのときよりもより深く入ってきた気がした明日香は少しうめいた。  
 眉間に軽く皺がよる。  
 そんな表情が堪らなく色っぽい。田崎は今度は激しく突くことはせず、明日香の入り口を広げるかように円運動をする。  
「あっいや‥‥」  
 明日香はてっきり突き上げてくると思っていたため、意外な刺激のされ方に驚いた。掻き回されるときに発する粘っこい音、ヘアがこすれるチリチリとした音が混じっている。ヘアに隠れた突起のあたりも微かに捩れるようで心地いい。  
「こ、こんなのって、ああ‥‥。気持ちいいの、田崎さん」  
 田崎の目線のすぐ下で、明日香の顔が快感でゆがむ。思わず頬に口をつけると明日香の目がうっすらと開いた。その目の中には感じつづけているせいで涙がたまっている。  
 田崎は動きを変えた。  
 半分ほど引いて浅く突く。これを素早く繰り返す。  
 くちゃくちゃという音に変わった。明日香の喘ぎ声も田崎の動きに合わせて断続的に短い。  
「ん、あ、あ、ん、ふぅ‥‥」  
 明日香はときどき意識的にか息を深めに吐き出す。  
「‥明日香‥‥、ごめん。感じすぎて、もう‥‥出ちゃいそうだ」  
「わ、わたしも‥‥。いつでも‥‥出していいよ‥‥」  
 明日香は田崎の首に腕をまわした。  
 
 それが合図だった。  
 田崎は腰を大きくグラインドさせる。  
「‥田崎さん‥‥」  
 明日香は仰け反りながらもしっかりと田崎に絡まっている。  
「‥明日香っ‥‥」  
 ふたりはお互いの名前を呼び合い、快感を高めていく。  
「あ、ああ〜〜、も、もう、は、はやく‥‥、田崎さんっ」  
「あ、ああ。い、いくよ、明日香っ」  
 田崎は下腹に力を入れ、ギリギリまで耐えると明日香がイクのを待った。  
「あ、ぃっくぅ‥‥」  
 明日香の中がきゅうんと締めつけ、続いて小刻みに痙攣した。それを感じ取った田崎も限界だった。  
「う、う、も、、もぅ‥‥」  
 田崎は慌てて名残惜しそうにまとわりつく明日香から抜き取ると、そのままおなかの辺りを目掛けて放出した。  
 それは感激のあまりか、明日香の小ぶりな胸まで届いていた。  
 
 明日香の顔の左側には、激しく呼吸を繰り返す田崎の頭があった。  
 明日香は左腕で愛おしそうに抱いて、少しそちらに顔を傾けると、耳元に唇を近づけた。  
「もう‥使わなくてもいいから‥‥」  
「え? あ、ラブ・シードのことか‥」  
「ラブ・シード?」  
「う、うん。媚薬のことだよね。それの名前」  
「そう。使わなくっていいんだよ‥‥」  
 明日香はそういうと、田崎を抱いた腕に力を込めた。  
 
 媚薬ラブ・シードはすでに田崎の手元にはなかった。ふたりの様子を覗き見ていたあのスタイリストが盗み出していたのだ。  
 田崎と明日香を結びつけた媚薬はないが、もう必要ないだろう。だって、ふたりの心の中には"愛の種"がしっかりと植え付けられているのだから。  
 
おわり  
 

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