初夏の陽射しの中、一人の少女が乗馬に励んでいる。  
北海道とはいえ、その白い肌にはキラキラと汗が流れていた。  
 
「 ほのか、少し休憩にしないか? 」  
「 あ、はい。竜崎先輩。 」  
 
平凡な日常に他愛のない会話がされる。  
一人は小麦色に焼けた肌に茶髪、長身の筋肉質な男。  
もう一人は、顔の整ったスレンダーな少女。名は沢渡ほのか。  
何も知らない人が見れば、お似合いの美男美女のカップルにすら見える。  
だが、2人の関係は先輩後輩であり親しい仲ではあったが、恋人には発展していない。  
なぜなら、沢渡と呼ばれた少女には心に決めた彼が存在する。  
その彼は遠く離れた場所に住み、週に1回しか会うことが出来ないが、  
ほのかと彼はお互い心は繋がっていると信じていた。  
 
「 それにしても妬けるな〜、ほのか程の可愛さならもっと良い男が見つかるのに…  
  例えばこの俺のように 」  
「 もう〜、またその話ですか。先輩に心を寄せる女性なら沢山いるじゃないですか。  
  そういう冗談を言ってると彼女が悲しみますよ。 」  
 
木陰で微笑ましく語られる他愛の無い会話だが、相手は女生徒にも人気のある先輩という事もあり  
ほのかも照れ隠ししながら会話を流す。  
 
「 いやいや、俺は今フリーさ。振られちゃったんだよぉ。慰めてくれよ、ほのかちゃ〜ん。 」  
「 アハハ(汗  さ、休憩は終わりにしましょ、竜崎先輩 」  
 
そう言って、可愛らしく微笑みかけ、ほのかは馬の方に駆け出した。  
その後ろ姿を男は先程までの顔とはうって変わって、鋭い目つきにニヤつきながら何かを考えていた。  
 
 
 
「 あ、ほのか、おはよう〜 」  
「 おはよう、明美 」  
 
明美は、ほのかの小学生からの親友だ。  
ほのかは決して友達が多い方ではなく、その中で明美は心から気の許せる大親友である。  
 
「 ねぇ、ほのか。 ほのかは竜崎先輩と付き合ってるの? 」  
「 へ? い、いきなり何言ってるのよ! 」  
 
ほのかは、親友の突拍子の無い質問に、つい大声を出してしまい赤面した。  
 
「 だってぇ、最近、女生徒の間では噂になってるよ。先輩は ほのか が好きなんだって。ほのかもマンザラではないって」  
「 え? そ、そんな事ないわよ。第一、私には心に決めた人がいるって先輩も明美も知ってるでしょ? 」  
「 怪しいなぁ〜。 何をそんなに慌てちゃってるのかな〜〜。 」  
「 慌ててなんかないよぉ! 」  
「 ハイハイ。そういう事にしておくから早く学校に行きましょ。 」  
「 うぅ〜〜 」  
 
確かに、ほのかは先輩には全く興味を抱いていないという訳ではない。  
竜崎先輩は格好良くて優しく尊敬できる先輩だ。  
先輩には彼と同じ雰囲気が感じられ、仲良くなったのも事実ではあるが、  
それは心を寄せる彼とは違い、尊敬であり憧れであって恋心ではないと考えている。  
とはいえ、男性とまともな会話をした事があるのは父親と彼と先輩ぐらいなものだ。  
自分には大好きな彼がいるという事が、無意識のうちに先輩への想いを立ち留めているのかもしれない。  
幾度となく考えた事があるが、極端に男性を近づけず男性経験のない ほのか には答えがでるはずもなかった。  
 
 
ーーー日曜日。  
 
「 ようやく北海道に着いた。 ふ〜〜、飛行機に乗るだけでも疲れるな。  
 ( まぁ、ほのかに会える数少ない日なんだし、ほのかの顔でも見れば疲れはとれるかな。ハハ ) 」  
 
ほのかの大好きな彼氏である男が北海道にやって来た。  
男は ほのか とは日曜日ぐらいしか会えないが、毎日バイトをし、ほのかに会いに北海道に行くのが楽しみだ。  
 
「 待ち合わせ場所まで来たのはいいが、予定時間まで少しあるな。 どうすっかな… 」  
 
キョロキョロと辺りを見回していると、一人の女の子が話し掛けてきた。  
 
「 あの〜、すみません。 ほのかの彼氏さんですよね? 」  
「 え? あの…えっと………君は? 」  
「 あ、初めまして。 私、ほのかの親友の明美と言います。  
  へ〜 ふ〜〜ん 写真で見るのよりずっと格好良いね。クス 」  
「 え〜と、その、な、何か用かな? 」  
「 エヘヘ。実はね、あの男が苦手な ほのか が好きになった人はどんな人か私も興味あってね。  
  写真を見せてもらった事があったんだけど、どんな人物か実際に会ってみたくなって。 」  
「 そ、そうなんだ。 」  
「 ねぇ、せっかくだし私と近くの公園で散歩でもしませんか? 」  
「 え? で、でも……… 」  
「 いいじゃないですか。待ち合わせの時間までまだ少しあるんでしょ?  
  それに、ここの近くだから ほのか が来てもすぐにわかるよ。」  
 
そういって明美は可愛らしくウィンクをし、強引に手を引っ張って歩き出した。  
 
( 随分と積極的な子だな………でも可愛いし、時間潰しにもなるし丁度良いかな。 )  
 
 
ーーー時をさかのぼる事、十数分前ーーー  
 
少女の顔を見れば誰もが振り返るほどの美少女が道を歩いていた。  
雪の様に白い肌には、うっすら汗を滲ませていたが、汗すらも彼女を美しく際立たせているようだ。  
 
( まだ、時間的に余裕がありそうね。 フフ…彼と会うまでの時間は本当に長く感じるわ。  
  会うと時間は凄く早く感じるのに…… )  
 
「 やぁ、ほのかじゃないか。 どうしたんだね? そんなに嬉しそうな顔をして 」  
「 あ、竜崎先輩。おはようございます。 」  
「 そうか、今日は確か君の大好きな彼氏と会う日だったね。 」  
「 もう……先輩、冷やかしに来たんですか? 」   
 
ほのかは、嬉しさが顔に出ていたのが恥ずかしく感じ、少し顔を赤らめながら、  
ワザと頬を膨らませ怒ったような仕草をし誤魔化した。  
 
「 ハハハ、違うよ。偶然会っただけさ。 どうだい? 少しの間、一緒に着いて行って良いかな? 」  
「 え? で、でも… 」  
「 大丈夫だよ。ちゃんと彼氏の視界に入るころには、お邪魔虫は消えるからね。 」  
「 そ、そんな、お邪魔虫だなんて。 」  
 
そういって竜崎は ほのか の横に並んで歩く。  
ほのかも、何時も世話になり尊敬する先輩を足蹴に出来るはずもなく、そのまま歩く。  
 
 
一方、その頃、公園では会話が弾む一組の男女の姿があった。  
 
「 ハハハ。 そんな事があったんだ。 まだまだ北海道は僕の知らない事はあるんだな。 」  
「 でしょ〜。それでね、ほのかったら……あっ! 」  
「 ど、どうかしたの? いきなり……えっ? 」  
 
僕は明美さんの驚きの声が指す方向を見ると愕然とした。  
ほのかと僕の知らない男が一緒に歩いていた。  
始めは何が起こっているのか理解できなかったが、すぐに ほのか を助けなきゃと思った。  
しかし、一歩踏み出したところで、それ以上、踏み出す事はなかった。  
自分の目を疑った。  
男に対し ほのか が微笑んでいたのだ。  
男性では、ほのかに笑顔を向けられるのは自分しかいないと思っていた。  
幾度となくデートを重ね、ほのかの性格の事は大体わかっているつもりだ。  
男性に苦手意識をもち、ファザコン的な部分は昔と変わっていない。  
子供の頃から ほのか は、どこか自分から男を避けるような感じすらしていた。  
自分の場合は、子供の頃、落馬しそうになった ほのか を助けたキッカケで ほのか と仲良くなれたが、  
その出来事がなかったら、今 ほのか と付き合う事もできなかった思うほどだ。  
何度もデートを重ねるうちに、今も男に対して苦手意識を持っていると確信していた。  
だからこそ、絶対的な自信を持っていた。  
ほのかが心を開く事の出来る異性は自分だけだと。  
ほのかの笑顔を向けられる異性は僕だけだと。  
だが、その自信は脆くも崩れ去った……。  
僕は足が振るえ心臓の鼓動がバクバクいってるのに気づき、とりあえず冷静さを取り戻すように努めた。  
冷静に考えれば、ほのかが自分以外の男と話をするのは何ら不思議な事ではない。  
幾ら男性と話す事が苦手といっても、100%男友達ができない根拠にはならない。  
ましてや、贔屓目無しに見ても ほのか は、かなりの美少女だと思う。  
男が寄ってこない訳がない。  
そして、ほのかの隣に歩いている男も男の僕でさえ充分に格好良い部類に入ると認めてしまう。  
そんな男が優しく言い寄ってきたらどうだろう?  
自分とは違い何時でも毎日のように顔を合わす事だってできる。  
僕はどうして良いか解らず、その場に立ちすくんでしまう。  
 
「 やっぱり、ほのかって竜崎先輩と付き合ってたんだ…… 」  
 
僕が明美さんの方を見ると、彼女はハッとして口を抑える。  
 
「 あ、明美さん、どういう事か説明してもらえるかな? 」  
 
自分でも声が震えているのがわかる。  
彼女は何かを決心したみたいに語り始めた。  
竜崎先輩というのは ほのか がこの場所で唯一心の許せる男であり先輩であり、  
乗馬の腕もかなりのもので女生徒から絶大な人気があるという事。  
男が不慣れな ほのか に対し、最初は避けられながらも、  
誠実に ほのか の手助けをしたり、いろいろ面倒を見ていたという事。。  
他にもいろいろ教えてくれた。  
………  
…  
その後で ほのか とデートしたが、会話も何もかも上の空だった。  
僕の心はポッカリと穴が空いた気がして、ほとんど耳に入らなかった。  
ほのかも僕の異変に気づいたらしく気遣ってくれたが、調子が悪いと誤魔化し、その日のデートは終了した。  
結局、ほのかには何も聞くことが出来なかった。  
怖かったのだ。  
竜崎と付き合ってるという事も認められるのも嫌だし、ほのかと別れるのも嫌だった。  
これから、どういう顔で会えばいいか解らない。  
僕は週に一度しか会うことが出来ないが、向こうは毎日会うことが出来る。  
ほのかの幸せを考えるのなら、毎日会える方が良いに決まってる。  
そう考えると、僕には勝ち目がないように感じられ、結局、怖くて何も聞く事ができなかった。  
その後のデートも、メールのやり取りをしても、当り障りのない返事で答えるに留まった。  
 
 
北海道とはいえ今は真夏日。もうすぐ夏休みという事もあり、大多数の生徒は心が弾んでいる。  
そんな学校の中庭で少女が俯き加減に男と話をしていた。  
 
「 最近、彼、元気がないみたいなんです… 私どうしたらいいか解んなくて…  
  でも、こんな事聞ける男の人は先輩しかいなくて……  」  
「 いや、気にする事はないよ。困った事があったら何でも俺に相談して欲しい。  
  俺も ほのか の悲しい顔なんて見たくないからね。 」  
「 ありがとうございます。 」  
 
ほのかは少し目に涙を浮かべていたが、満面の笑みで竜崎にお礼を言った。  
最近、大好きな彼の様子がおかしいのだ。  
以前のデートならどんな事でも楽しかったのに、最近のデートはどこかぎこちない。  
ほのか を避けている様に感じられるのだ。  
いろいろ話をしたり手を繋いだりしても、どこか様子が変だった。  
そこで、ほのかは意を決し信頼の出来る竜崎に相談に訪れたのだった。  
 
「 フム。大体の事情は飲み込めたよ。まったく、ほのかを悲しませるなんて許せない奴だな。」  
「 先輩、違います。彼は凄く優しい人です。  
  もしかしたら、私が知らない内に彼を傷つけてしまったかも…… 」  
「 でも、心当たりは無いんだろ? だとすれば、考えられるのは一つだな… 」  
「 え? 」  
「 こういう事は言いたくないが、俺もそれなりの経験を積んだ男だ。なんとなく解る。  
  もしかしたら、彼氏は向こうで好きな子ができたんじゃないかな? 」  
「 そ、そんな事ありません! 彼はとっても優しくて私を騙すような事は…… 」  
「 だからさ。 優しさ故に ほのか に本当の事を言えないのさ。  
  ほのかを惚れさす程の男だ。 向こうでもモテても不思議じゃないさ。 」  
「 …………………… 」  
「 それに遠距離恋愛なんてそう長くは続かないものさ。 寂しくないのかい、ほのかは 」  
「 そ、それは… 」  
「 向こうだって同じ気持ちさ。 そんな時、優しく可愛い子が彼に言い寄ってきたら… 」  
「 で、でも、彼はそんな人じゃ…… 」  
「 じゃぁ、ほのかは彼に体を許したのかい? 」  
「 え? い、いきなり、な、何を言ってるんですか、先輩?! 」  
「 驚くことはない。 重要なことさ! ほのかも知ってるだろ。性知識は? 」  
「 う…は、はい」  
「 言っておくけど、ヤましい気持ちで聞いてるんじゃないからね?   
  付き合っていく内に、そういう事も大事だって事だから。 」  
「 わかってます……  そ、その……か、彼とは…まだ…キス…までしか……… 」  
「 そうか。 ほのかの様な可愛い子にキス以上迫らないなんて。フ〜ム 」  
「 そ、それは彼が私を大切にしてくれているから! 」  
「 そうかな?   
  確かに ほのか を大事にしたいという気持ちがあるかもしれないけど、  
  本当に好きな子の全てを欲するのは至極当然の事じゃないかな?  
  ほのかはどうなの?  
  ほのかは彼の全てを深く知りたいと思わなかった?   
  彼の事もっと知りたいと思わなかった?  」  
「 そ、それは…… 」  
「 ほのかには悪いけど俺の経験上、そういう場合は新しい彼女ができてもおかしくないよ。  
  だからこそ、深い繋がりになろうとしなかったんじゃないのかな?  
  君の言うとおり彼が優しい人間ならね。  
  何度も言うけど、俺は決して ほのか を悲しませたくて言ってるわけじゃない。  
  ほのかをこれ以上悲しませないように言ってるんだよ?   
  わかるね?  
  ほのかも心のどこかでは薄々感づいてたんじゃないのかな?  
  それで俺に相談してきたんじゃないのかい?  」  
 
いかにも尤もらしい事を並べる竜崎だが、男性経験の無い ほのか には疑う術はなかった。  
 
「 うぅ………………グスッ 」  
「 ゴメン。泣かないでくれ、ほのか。  
  本当なら気の効いたことを言わなければならないんだろうけど、  
  俺はこれ以上、ほのかには苦しんで欲しくないんだ。  
  最近、ほのかもどこか元気がなかったからね。  
  誰が悪いんじゃなく、寂しさを我慢してまで苦しむ必要はないんじゃないかな? 」  
「 …………………… 」  
「 それにね、ほのか。彼と同じぐらい君を大事に思ってる男は他にもいる。  
  例えば、俺だってそうさ!  
  君の事は凄く好きだ! 愛している!  
  だからこそ、これ以上、君の苦しむ顔を見たくないんだよ。 」  
「 ええ?!! 」  
 
突然の尊敬する先輩の告白に ほのか は戸惑った。  
過去の竜崎の言動や行動をみれば、幾ら恋愛経験のない ほのか でも少しは感ずいてはいたが、  
今までとは明らかに違う真剣な表情に動揺してしまう。  
 
「 ゴ、ゴメン。 今の君はそれどころじゃないのに、変なことを言ってしまったね。ほんとゴメン。」  
「 い、いえ…… 」  
 
竜崎はそっと ほのか の涙を優しく拭ってやりながら、  
 
「 突然かもしれないけど、わかって欲しいんだ。  
  俺は今まで ほのか には彼氏がいるから本気で自分の気持ちをアピールする事はしなかった。  
  でも、彼氏が君を悲しませるような男なら話は別だ。  
  俺なら君を幸せにする自信はある!  
  もちろん、今すぐに返事をくれなんて事は言わないよ。  
  心の整理がついた時でいい。   
  俺はずっと待ってる。  
  だから、よく考えて欲しいんだ。  」  
 
 
帰り道、ほのかはまだ動揺していた。  
いきなりの事だったので、どう返事をすればいいかも解らない。  
先輩のあまりにも真剣な顔に声も出なかった。  
ただでさえ、男と話をするのは苦手な ほのか では当然といえば当然だが。  
竜崎先輩の言った事を思い出す。  
確かに先輩の言うとおりだった。  
彼氏を全く疑わなかったわけではない。  
心では「大丈夫だよ」という言葉を期待していた。  
しかし、返ってきた言葉は期待とは全く逆だったが、  
自分の考えていた事を見透かされていたのを考えると、  
どうしても先輩の言うとおり彼氏を疑ってしまう。  
そして、先輩の告白に甘えてしまいそうにもなる。  
自分がまともに話を出来る男は、もう先輩しかいないのではないか。  
もし、先輩にまで見捨てられてしまったら、もう男を好きになれないかもしれない。  
彼氏とのデートは凄く楽しかった。それを失うのも怖い。  
竜崎先輩は、格好良くて優しくて断る理由は無い。  
だが、彼氏が好きなのは今も同じ。  
ほのかは、彼氏に聞く事を決意した。  
 
 
今にも雨が降りそうな日曜日。  
とある公園のベンチで男女が座っている。  
その表情は堅くお互い沈黙を守っていたが、やがて少女の小さな声が沈黙を破る。  
 
「 ね…ねぇ、聞きたい事があるんだけど……いいかな? 」  
「 な、なに? ほのか? 」  
「 最近、私を…その…避けてない? 」  
「 え? そ、そんな事あるわけないだろ?! 」  
「 うそ、だってデートの時も何か考えてるようだし……私といると楽しくない? 」  
 
ほのかは目に涙を溜めていたが、やがて頬を伝い流れ出した。  
 
「 そ、そんな事あるわけないだろ。楽しいに決まってるじゃないか。  
  ど、どうしたんだよ、今日は変だよ、ほのか? 」  
「 変なのは貴方じゃない! 言いたい事があるなら言ってよ、お願い! 」  
「 …ほ、ほのか…  
  (クソッ、聞けるわけ無いじゃないか……)  
  ……………………  
  …………  
  ……  
  ご、ゴメン  」  
 
「 !!!!!!  
  どうして謝るの?  
  やっぱり……   」  
 
ほのかは立ち上がり、涙を流しながらその場から駆け出していってしまった。  
 
「 あ! ま、待って、ほのか! 」  
 
しかし、ほのかは振り向くことなく、姿を消した。  
 
「 ぼ、僕は一体………どうすれば 」  
 
 
人通りの少ない並木道をゆっくり重い足取りで歩く。  
抑えても抑えても止まらない涙を流しながら、ほのかは行く当ての無い道を歩いていた。  
 
「 うぅ…(やっぱり私に言えないって事は…) 」  
 
「 ど、どうしたんだい、ほのか! 」  
 
振り向くとそこには竜崎先輩が立っていた。  
竜崎はまるで全てを悟ったように、ほのかに近づくと優しく抱きしめた。  
 
「 …わたし…わたし… 」  
「 何も言わなくていいよ。俺はどこにも行かない。  
  好きなだけ泣くといいよ。 」  
 
いつからか降り始めた小雨の中、ほのかは声を出し泣いた。  
どのくらいの間、そうしていたのかわからない。  
一頻り泣いた後、ほのかは顔をあげ竜崎にお礼を言う。  
 
「 ありがとうございます… 」  
「 いいよ、礼なんて。 スッキリしたかい、ほのか? 」  
「 ……わからないです。 でも、本当にありがとうございます。 」  
「 ハハハ、こんな事でいいのなら何時でもおいでよ。  
  言っただろ。俺は ほのか が困った時は何時でも相談に乗るし助けてあげるよ。 」  
「 あ… 」  
「 ほのか。 俺は何時でもどんな事があっても君の味方だから 」  
 
そう言うと竜崎はそっと ほのか の顎に手を当てキスをした。  
「 !!! 」  
いきなりの事だったので、ほのかは抵抗できなかったが、不思議と嫌な気持ちはなかった。  
こんなに自分の事を想ってくれるのは彼以外では初めてだと思う。  
現に今も自分を受け入れてくれた。  
こんな安心感が感じられたのは何時以来だったか…  
そう想うと、ほのかは目を閉じキスを許す。  
数秒ほどの唇と唇を合わすだけのキスではあったが、ほのかにとってそれはとても大切なキスに思えた。  
 
その十数メール離れた場所で、雨と一緒に絶望という大粒の涙を流しながら  
2人のキスを見守る男の姿があった事は気づくはずもなかった。  
 
 
先輩との初めてのキスから1ヶ月、あれから彼氏と呼ばれた男からの連絡はなかった。  
ほのかも未だ信じられないという気持ちもあり、幾度となく、電話やメールを送ったが、  
一度も返事が返ってくる事はなかった。  
始めの半月ほどは悲しさから毎晩泣いていたが、  
夏休みという事もあり、毎日のように先輩からの誘いがあった。  
そしていつしか悲しみより徐々に先輩との楽しい日常が心を占領する。  
 
夏休みも終わりにさしかかる頃には、ほのかは初めて竜崎先輩の住む家に招かれていた。  
ほのかはスゴク緊張していた。  
いくら恋愛に疎い ほのか でも、若い女が男の家に行くという時点で、  
これから起こるであろう出来事の想像は容易についた。  
断る事も出来ただろう。  
しかし、そうはしなかった。  
ほのかも怖かったのだ。  
ほのかが体の関係を断れば、優しい竜崎先輩も他の女に向いてしまうかもしれない。  
またあんなに悲しい想いをする事だけは絶対に嫌だった。  
いろいろ考えているうちに、今の優しい竜崎先輩を失いたくないという気持ちが強くなり、  
気がついたら竜崎の誘いに頷いていた。  
 
部屋に着くなり緊張の為、竜崎からもてなされた飲み物を零した。  
先輩は爽やかに笑いながら気にする事はないよと言ってたが、今の ほのか にそんな余裕はない。  
会話も始めの数分程度で、すぐに部屋は静寂に覆われた。  
竜崎は、緊張で震える ほのか の肩に手をまわし、「愛してるよ、ほのか」と囁く。  
その言葉に僅かながら緊張の糸が解れ、ほのかは目を閉じキスをした。  
竜崎は、ほのかの口に舌を入れ、ほのかも始めは舌と舌を合わす程度だったが、  
やがて2人は抱き合い激しく絡めあった。  
「 んッ… 」  
数分ほどのキスではあったが、ほのかは今までで一番気持ちのいいキスだと思った。  
下半身が痺れだし、切なくなってくる。  
竜崎はキスをしながら ほのか の胸を軽く揉み、そして段々はげしく揉み始める。  
が、ほのかはたまらず口を離す。  
「 やっ…ダメ…… 」  
小さく拒否をする ほのか に、竜崎は優しく微笑みかけ、  
 
「 大丈夫だよ、ほのか。   
  僕は決して君を裏切らない。  
  これからもずっと君と一緒さ。  
  君が困る事があれば、俺はすぐに駆けつけることも出来る。  
  俺は絶対に ほのか を悲しませるような事はしない!  
  だから俺を信じて欲しい。 」  
 
そう言うと竜崎は、再び ほのか を優しく抱きしめる。  
ほのかも竜崎の胸に身体を預け想う。  
竜崎先輩ならずっと一緒にいることも出来る。  
これまで彼と会えない日も、落ち込んだときも困ったときも、  
何時でもずっと支えてくれたのは紛れもなく竜崎先輩だった。  
優しさに甘えているのかもしれない。  
困難から逃げているのかもしれない。  
だが、それ以上に、男が苦手な自分ではこれ以上、  
信頼できる異性が出来ないかもしれないと考えると怖くてたまらなかった。  
そして覚悟を決め、  
 
「 お、お願いします、竜崎先輩。 優しくしてください。 」  
 
ほのかが小さく答えると、竜崎はもう一度キスをした。  
口・耳・首筋などキスをする。  
そして、手際よく慣れた手つきで ほのか を全裸にしてベットに寝かす。  
「 おぉ、綺麗だよ、ほのか 」   
思わず感嘆の台詞を挙げてしまうほど美しかった。  
胸は大きくはないが形の良い美乳といった感じで、無駄な肉はなくスラッとのびた手足、  
体の隅々まで雪のように白く綺麗な肌をしていた。  
 
「 ヤ、ヤダ…先輩。 恥ずかしいです…… 」  
「 ハハハ。恥ずかしがる事なんてないよ。こんなに美しい女性は見た事ないよ。 」  
 
そう言いながら男は、ほのかの乳首を摘み吸い始める。  
 
「 ああっ…ん…ん…… 」  
「 気持ち良いかい? もっと力を抜いて。 」  
「 んんっ はぁ は…い…… 」  
 
やがて、胸・へそ、へその周りと次々と嘗めまわし、  
緊張のあまり堅く閉ざされた股の部分に目をやると、  
ゆっくりと股の間に手をもっていき、男の指が未だ誰も触れたことのない ほのか の性器に触れる。  
ほのかは一瞬ビクッとしたが、目を閉じたまま男が触れやすい様に少しずつ足を開く。  
男は、初々しい ほのか の反応を楽しみながら、秘所に指を出し挿れしたり舌で舐め始める。  
 
「 あぁ…ひゃぁ…そ、そんな…とこ…やっ……ああん!!! 」  
 
執拗に繰り返される愛撫に、ほのかの白く美しい肌は薄い桃色に火照り始め、  
初めての男を受け入れる準備が整う。  
目を閉じ指を噛み必死で喘ぐ声を抑え息も乱れたままの ほのか に、  
男の赤黒く腫れあがったソレは、ついに美少女の処女性器に標準を当てた。  
 
「 じゃぁ、そろそろいいかな、ほのか? 」  
「 ハァハァ…えっ…は、はい…… 」  
 
そういうと ほのか は、シーツをキュッと握り締める。  
男はイキリ立った己の肉棒を ほのか の性器に当てると軽くなぞり、  
少しずつ ほのか の中に沈めていく。  
「 うぅ…くっ… 」  
ほのかの目には薄っすらと涙が浮かんでいたが、男はじっくり味わうようにペニスを沈める。  
「 ああっ!!! 」  
美少女の処女喪失の悲鳴を聞き、男はどこか満足そうな笑みを浮かべていた。  
「 ゴメン。大丈夫? まだ、半分くらいしか入っていないよ? 」  
「 …ハァハァ……だ、大丈夫です。 」  
そう言いながら、ほのかは健気に微笑む。  
男は、美少女の表情・締め付ける穢れのない膣を楽しみながら腰を沈めていく。  
そして根元まで挿入し終えると、処女喪失の痛みで震える ほのか にキスをし、胸を揉み始める。  
「 あっ…あっ…んん… 」  
「 可愛いよ、ほのか 」  
そうしている内に、ほのかの膣はうねりだし、男も我慢できずに腰を動かし始める。  
美少女を貫く肉棒にもシーツにも、純潔の証である血が流れていた。  
「 ああ…んん…やっ…… 」  
「 ハァハァ…気持ちいいよ、ほのか。 こんなに気持ち良いのは初めてだ。 」  
「 あん…ほ、本当…んっ…ですか? う、うれしい…です…あっ… 」  
「 ああ、本当さ。ほのかの膣が俺のをキツく締め付けているよ。 」  
ほのかは痛みに堪えながら、初めての男をキツク締め上げる膣で懸命に受け入れていた。  
「 ハァハァ…じゃぁ、次は ほのか が上になってごらん。 」  
そう言って、ほのかを抱き寄せ、ほのかを自分の上に乗せる。  
「 あっ……あの、せ、先輩…… 」  
「 こういうの知ってる? 騎乗位って言うんだよ。 」  
「 ど、どうすればいいんですか? 」  
「 大丈夫。難しいことはないよ。 ほのか は乗馬が好きなんだろ?  
  馬に乗っている時の事を思い出してごらん。  
  馬に乗って揺れている時の動きをすればいいんだよ。  
  さぁ、やってごらん。 」  
 
ほのかはモノ凄く恥ずかしかったが、先輩に嫌われるのは絶対に嫌なので、  
恥ずかしながらも少しずつ、腰を上下に動かす。  
「 んっ……んんっ…… 」  
「 そう、良いよ。上手いじゃないか。やっぱり、ほのかは俺の予想通り騎乗位の才能があるよ。」  
「 はぁん…そ、そう…ですか? 」  
「 ああ、本当だよ。 」  
そう言って、男も美少女の細い腰を掴むと下から突き上げ始める。  
「 んん…あっ…(い、イタイよぉ、先輩…) 」  
容赦なく突き上げられる腰使いに、ほのかは多少の痛みはあったが、先輩の為にと痛みに堪える。  
「 次は腰を前後に動かしてごらん。 」  
「 は、はい… 」  
性器と性器を擦り付け、ヌチュヌチュという音が部屋に響き渡る。  
「 おぉぉ、うぅ、凄いイイよ、ほのかぁ 」  
先輩が喜んでくれているのが嬉しくなり、ほのかは痛みを我慢し段々早く腰を動かす。  
「 あぁん…ど、どうですか? 先輩…… 」  
「 さ、最高だよ、ほのか。くぅ…もうイッてしまいそうだよ…   
  その前に、ほのか。ハァハァ…お尻を突き出し四つん這いになってごらん。 」  
 
そう言って男は ほのか を後背位の体勢にする。  
「 あ、あの…この格好って… 」  
「 ん? どうした? 」  
「 あ、い、いえ…何でも…ないです…… 」  
ほのかは、この体位に少々抵抗が感じられた。  
まるで馬の交尾を連想させるからだ。  
「 じゃ、挿れるよ。 」  
お尻を高く持ち上げられ、ほのかは枕を掴み顔もそれに埋まる格好になった。  
そしてすぐに部屋には男の腰が美少女の性器とお尻にぶつかり合うパンパンという音で鳴り響く。  
「 あっ、あっ、あぅ…ああ!… 」  
男の手馴れた腰使いに、ほのかも初めてだというのに感じ始めていた。  
「 フフ、初めてだというのに気持ち良いのか、ほのか? 」  
「 あっ…ああっ…い、いや…… 」  
涙を浮かべながら許しをこうような表情で振り向く ほのか に男はニヤリと笑みを浮かべ、  
自分の指を舐ると、その指をもう一つの穴にゆっくり挿れだした。  
「 へっ?!  だ、ダメ! そ、そっちは違うのぉぉ! 」  
「 ハハ。そんな事言っても ほのか のアソコは更にキツく、いっぱい濡れだしたよ。  
  どうやら、こっちも好きなのかな? ほのかちゃん 」  
「 やぁぁん、らめぇぇ!! 」  
そうして、激しく腰を叩きつけ始める。  
「 大好きだよ、ほのか! 」  
「 んっ!!! 」  
大好きという言葉に ほのか も抵抗できずに、両方の穴で奉仕するしかなかった。  
やがて男は ほのか の綺麗なお尻を鷲掴みにすると、射精の準備にかかる。  
「 ハァハァ…もうイキそうだよ、ほのか。 このまま中に出すからね! 」  
「 えっ? ダ、ダメです! 先輩! んっ… 」  
「 いいだろ? 今日からずっと ほのか は俺だけのものなんだから! 」  
「 で、でも…もし…あ、赤ちゃん…できちゃったら……ああっ!…」  
「 大丈夫だよ、心配しなくてもそんな簡単に妊娠なんてしないものさ。ハァハァ  
  妊娠したら、その時に考えれば良いさ。 イクよっ!!! 」  
「 そ、そんな、あっ、ま、待ってぇぇぇ!!! 」  
 
どびゅっ! びゅっ!ぴゅるる………  
 
がっちり抑えられ、逃げることも出来ず、  
大量の精子を未だ誰の精も受け止めた事のない子宮に放たれる。  
 
グッタリ横たわる ほのか に「これからも可愛がってあげるよ」と言い、2人は眠りについた。  
 
 
 
翌日・・・  
 
今はもう使われていない人気のない教室で、ショートカットの似合う少女が男のペニスを舐めていた。  
だが、男は電話をしながら少女にはあまり関心を寄せていない様だ。  
 
「 んん…うぷっ…ん… 」  
 
「 ああ…そうだ。 わかってるって。 約束どおり何でも買ってやるよ。 じゃあな、明美。 」  
 
ピッと電話を切り、男はニヤついていた。  
 
「 な〜に、またアンタ他の女に手ぇだしたの? ホントに最低ね、竜崎くん。   
  あたしはセフレで良いけど、アンタの女になる子は可哀想ね。 」  
 
「 そういうなよ、涼子。 ちゃんとお前も気持ち良くしてやるよ。 」  
 
そう言いながらも、男は別の事を考えていた。  
 
( ククク、全くかなり手間をかけたが、まさかこんなに上手くいくとはな。  
  強欲の明美に奢る出費は痛いが、まぁ あの学園一の美少女とヤれたんだ。  
  しかも処女まで頂けた訳だし、これからも好きなだけ自分好みに調教できるしな。  
  そう考えると安いもんかな。ハハハハハ )  
 
                           ・・・END  
 

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