「あ……」  
 さあこれから、という時に戸惑ったような晶の声がした。  
「どうしたの?」  
「……始まっちゃった」  
 せっかく東京から会いに来て、久し振りにホテルに入ったのはいいけれど生理とは……。  
 このままじゃ収まりがつかない。でも晶だっていい気分じゃないだろうし、今日は素直に帰るとするか。  
 ……そう言いかけた僕に、晶が  
「せっかく東京から来たんだから、かわいそうだからサービスしてあげる」  
 と、はにかんだ笑顔を向けた。  
 
 全裸になる。晶は服を着たままだ。その対比がなんとも気恥ずかしく、そして興奮を誘う。すでに僕は完全に勃起している。  
「あ、晶……」  
「うふふっ、どうしてほしい?」  
 四つん這いになって、僕の目を覗きこむようにして晶がいたずらっぽく微笑む。顔の脇から垂れた髪が僕の頬をくすぐる。  
「く、口で……」  
「ばぁか、最初は手からよ」  
 声を押さえるように僕の唇に当てた晶の柔らかな指が、あごから首筋を通り、胸板をすべって下腹部に伸びていった。  
 
きゅっ  
 包皮が剥きおろされる。露出した敏感な部分に晶の指が這いまわる。  
「あぁっ!」  
「女の子みたいな情けない声出すのね」  
 楽しそうな晶の声が股間から聞こえる。  
「あ、晶ぁ……」  
「こんなことしたら、次はどんな声になるのかしら?」  
 温かく湿ったものが亀頭を撫であげたのを感じた瞬間、ゾクゾクする快感が腰から背すじを駆けのぼった。  
「!!」  
 声にならないうめきを上げ、下半身に目を向けた僕が見たものは、勃起を口に含んだ晶の姿だった。  
ぴちゃ、くちゅ…ちゅっ、くちゅ……  
 晶の口元から淫らな水音が立つ。亀頭を舌先でねぶり、淫茎を横咥えし、陰嚢を唇に押し当てる。  
 その表情は普段の澄ました感じからは想像もつかない淫蕩なものだった。  
 
 今までフェラチオは何度かしてもらったことがある。だけど前戯の一環という感じで晶はあまり熱心ではなかった。  
 でも今日は違う。まるでこのまま僕を射精させるつもりではないか、そう思える奉仕ぶりだ。  
 尖らせた舌先が尿道口をこじ開けるようにしてうごめく。唇でカリをはさみこみ、顔を左右に振りながら性感を高めていく。  
 裏スジを舌で弾くようにし、頬の内側に亀頭を押し当ててこすり付ける。淫茎をのどの深くまで飲みこみ、強く吸いたてて僕を追いつめていく……。  
 初めて味わう熱のこもった晶の口唇愛撫に、僕は限界がそこまで来ているのを感じていた。  
 大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。その間にも晶は僕に容赦のない責めを与え続ける。  
 ダメだ、このままでは、晶の口に……。  
どくんっ!  
 いきなり、なんの前触れもなく精液が飛び出した。  
「んんっ!」  
 のどの奥にしたたかに射ちつけられた粘液に晶がむせる。  
びゅるっ! びゅくっ! どびゅっ!………  
 突然のことに口を離してしまった晶のヘアバンドや髪や顔に、何度も白濁が降り注ぐ。  
「あ、晶ごめん……」  
 あわてて謝るが、射精は止まらない。……晶の整った顔を精液で彩らせ、僕はようやく射精を終えた。  
 
「バカ! なんでいきなり出すのよ!」  
 ティッシュで白濁をこそげ取りながら晶が激怒している。当然だ。  
「ご、ごめん……晶の舌や唇があんまり気持ちよくて……それにフェラチオしてる晶があんまりきれいだったから」  
「ま、まぁね。私に感じたから出しちゃったんだもんね。……いいわ、今日は許してあげる」  
 少しあわてた感じで晶が軟化した。そして  
「その代わり、今度長崎に来たときは……ちゃんと私もイカせるのよ」  
 そう言うと、晶は真っ赤になって下を向いた。  
 
 

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