「あ……」
さあこれから、という時に戸惑ったようなるりかの声がした。
「どうしたの?」
「……始まっちゃった」
せっかく東京から会いに来て、久し振りにホテルに入ったのはいいけれど生理とは……。
「るりか、今日はいいよ。また今度しよう?」
「我慢できるの?」
「……え?」
「ねぇ、えっちはさせてあげられないけど…あなたのことイカせてあげる!」
そう言うとるりかはベッドに向かった。
「えっと…たしかぁ……」
記憶から何かを引き出そうとするかのようにひとりごちながら、るりかは勃起に手を添えた。
右手で屹立したモノを握りしめ、その手を根元のほうにずらす。そして露出した亀頭を左の手でなでまわすようにしてさすってくる。
「おぉっ!」
思わず随喜の声が漏れた。腰が抜けそうな愉悦が僕を支配する。
「へへっ、気持ちいい?」
「る、るりか、どこでこんな……」
「兄貴の持ってるエロ本でね、勉強した」
舌をぺろっと出してるりかが片目をつぶって見せた。
むずがゆさに似た快美感が腰の奥に押し寄せる。
るりかは亀頭を攻めていた手を放すと、今度は睾丸をやわやわと揉みはじめた。
軽い痛みが快楽へと変わっていく。同時に肉茎が硬度を増す。
「る、るりか……」
息も絶え絶えになりながら手技を見下ろしていると、るりかの頭が下がっていくのが見えた。
その次の瞬間、勃起が熱く湿った空間に包まれた。
唇の間から赤黒い男性器が出入りする。小さく鼻を鳴らしながら、るりかは器用に剛直を玩弄した。
舌が別の生き物のように亀頭を這いまわる。唇が茎全体を丁寧にしごきたてていく。
時折り八重歯が当たるその痛みさえ僕に快感をもたらした。
僕たちが結ばれてそろそろ3ヶ月。るりかにフェラチオしてもらうのは今日が初めてだ。
るりかとセックスするためにずっと禁欲していた。溜まっている。
それもあったし、視覚的な興奮と肉体に与えられる快楽、そして精神的な昂ぶりが僕をあっという間に絶頂に導いた。
「あぁっ!」
尿道が灼けつくような熱を帯び、溜まりに溜まった欲望がるりかの口の中に飛び散った。
「むぐっ! んんっ!」
下腹部に落ちかかる前髪でるりかの顔が見えない。るりかの様子はわからない。それでもるりかは口を離さなかった。
口内に精液を射ち出されながら、るりかが舌を使う。
亀頭に舌がこすれる、ぞろり、とした感触が僕をさらに射精させる。
びゅっ! ずびゅっ! どぴゅっ!………
腰から背中、そして後頭部がしびれる電流のような刺激が何度も続く。
そのたびに僕はるりかの口の中に精を放った……。
長かった射精を終え、僕が大きく息をついたのと、るりかが顔を上げるのが同時だった。
こくん
小さな音がして、るりかの白いのどが上下した。
「る、るりか……」
「あはっ、精子、飲んじゃった…けほっ」
そして小さくのぞかせた舌先で唇の端に残った白濁をすくい取る。
「どうして口で? 手でもよかったのに」
「うーん、なんとなく、かな? 兄貴のエロ本で見たこと、試したかったしね……口でしたの、イヤだった?」
「まさか! 生理が終わったら、今度は僕がるりかを口でイカせてあげるね」
その言葉に、るりかが耳まで赤くなった。