「あ……」
さあこれから、という時に戸惑ったような千恵の声がした。
「どうしたの?」
「……始まっちまったよ」
せっかく東京から会いに来て、久し振りにホテルに入ったのはいいけれど生理とは……。
「体つらくない? 今日はいいよ。千恵に負担になるだろうし」
「なに言ってんだよ! あたしよりあんただよ。男の子ってやっぱり……出したいんだろ?」
「ま、まぁね……」
「ごめんな。セックスは無理でも、その分あんたにはちゃんとイッてもらうから」
そう言うと、千恵は僕の手を引いてベッドに向かった。
「さぁ、どうしようか?」
ベッドに僕を座らせ、傍らで腕を組んだまま千恵が悩んでいる。
「いや、僕としては射精させてもらえるならなんだっていいよ」
「そうは言うけどさぁ、あんただってしてもらいたいこととかあるだろ?」
「ま、まぁね……」
たしかに前から望んでいた行為はあった。でも千恵と結ばれて約半年、まだ一度も言い出したことはない。
「なんだよ。言ってみろよ」
僕の顔をのぞき込むようにして千恵が尋ねる。千恵からふんわりと甘い香りが漂う。
「む、胸……」
「え?」
眉根を寄せて千恵が顔を上げた。
「あ、ごめん、気に障ったんならいいんだ」
「胸って……パイズリか?」
「う、うん」
「……よし、やってやるよ!」
言うなり千恵が上着を脱ぎだした。
上を脱いでしまうと、千恵は僕の足の間に身を移した。
「こうかな……」
ベッドに腰を下ろした僕の股間にちょうど胸が当たるよう、体の位置を調節する。
……決まったようだ。そして
「いいか? やるぞ」
千恵の声ともに、勃起が柔らかく、そして弾力のあるふくらみに包みこまれた。
「むぅっ……」
なんともいえない気持ちよさに声が洩れた。真っ白な千恵の胸に赤黒い亀頭が出入りしているさまはとても淫靡だ。
それだけじゃなく、両手で乳房を寄せ、上下させながら千恵は首を曲げて亀頭に舌を這わせてきた。
胸の谷間の心地よい圧力と、先端の割れ目に与えられる快楽とに僕の腰は自然と前後する。
それがより強い快感を生み出し、嵐のように僕に襲いかかる。
額をうっすらと汗ばませ、ポニーテールを振りながらの千恵の動きも激しくなっていく。
目の下で揺れる千恵のリボンと長い髪を見ながら、僕は射精感がどんどん高まっていくのを感じていた。
「千恵……イキそう…イク! ……っっ!」
絶頂は突然やってきた。抑えきれない悦楽が腰の奥で堰を切った。
びゅっ! びゅびゅっ! どびゅっ!……
弾けるように精液が噴き出し、千恵のあごの下やのどに音を立てて命中する。
そこから垂れた粘液が、ほんのりと桜色に染まった千恵の両乳房を白く染めていく。
「あ、あ……」
声にならない声を上げ、僕は射精を続ける。それはいつまでも終わらないと思えるほど長い時間だった……。
「よかったかい?」
上気した頬で千恵が聞いた。でも言葉が出てこない。ただガクガクとうなずくことしかできない。
そんな僕の様子に千恵が目を細めた。
「あんたが気持ちよくなってくれれば、あたしはそれで満足だよ。……好きだよ、あんた」
そう言うと、白濁にまみれた肉茎を清めるために千恵が唇を寄せた。