「あ……」
さあこれから、という時に戸惑ったような若菜の声がした。
「どうしたの?」
「……始まってしまいました」
せっかく東京から会いに来て、久し振りにホテルに入ったのはいいけれど生理とは……。
「申し訳ありません。せっかくあなたに京都まで来ていただいたというのに」
頭を深々と下げて若菜が詫びる。もちろん若菜の責任じゃない。それは理解している。だけど……。
「若菜、もしイヤじゃなかったら……手で、してもらえないかな?」
セックスの魔力の虜になって3ヶ月。ヤりたくてたまらない時期だし、若菜と会うのも2週間ぶりだった。
出したい。若菜で射精したい。……そんな性欲に衝き動かされるように僕は言った。
「あ、はい……わたくしでよろしければ」
若菜も本心では嫌がっていないのか、ほほを染めて静かにうなずいた。
ズボンと下着を脱ぐとベッドに腰を下ろした。隣に寄り添うように若菜が腰をかける。
「じゃあお願い」
すでに猛り立っているモノに若菜の手を導く。
「は、はい」
おずおずと勃起が握られ、指が巻きついた。そのままゆっくりと上下が始まる。徐々にスピードと力が加わっていく。
前戯として若菜に手でしてもらうことは何度もあった。でも射精まで続けてもらったことはない。
だってそうだろう。どうせ出すなら手よりもセックスのほうがいいに決まってる。膣に締めつけられてイキたい。
本当はフェラチオしてもらいたいんだけど、まだそこまでの関係にはなっていない。僕はダメ元で若菜に言ってみた。
「若菜……口でしてくれって言ったら、怒る?」
その言葉に若菜が顔を上げた。そして困惑をあらわにしたまま答える。
「口で、ですか?」
「うん。……ダメ、かな?」
「……したことがありませんので、うまく出来ないかもしれませんよ」
そう言うと、若菜はためらいがちに勃起を口に含んだ。
「そう、そこが気持ちいいんだ。……うん、舌も使って」
鼻を小さく鳴らしながら、若菜が懸命に僕に奉仕する。剛直の固さに唇が柔らかく歪む。
「痛ッ!」
慣れない若菜の歯が当たった。鋭い痛みが走る。
「も、申し訳ありません……大丈夫ですか?」
フェラチオを中断し、恐縮しきった顔で若菜が尋ねた。
「うん、ちょっと痛かったけど平気。ごめんね、こんなことさせて」
「いいえ、わたくしの体がいつも通りではありませんので、せめてこうしてあなたを……」
若菜の口技が再開された。
フェラチオは僕にとっても初めての体験だ。しかも愛する若菜がしてくれている。
僕の指示で感じる部分を攻めてくる若菜に、僕はどんどん射精感を高まらせていった。限界が近い。
「若菜、出るよっ!」
黒髪をなでながら告げた。その次の瞬間、
どくんっ! どくっ! どびゅっ!………
若菜の口内を穢して精液が飛び出した。
「んんっ!」
ほとばしりをのどの奥で受け、とっさに口を離した若菜がまき散らされる白濁を押さえるため亀頭に手のひらをかぶせた。
そこに向けてさらに粘液が放たれる。
びゅるっ! びゅくっ! びゅっ!………
「こほっ、けほっ」
咳き込む若菜の背中をさすりながら、僕は何度も射精を続けた……。
「満足してもらえたのでしょうか?」
不安そうな面持ちで若菜が聞いた。
「うん。すごくよかったよ。ありがとう若菜」
僕の言葉に、本当にうれしそうに若菜が微笑んだ。
「それでしたら、今度は歯を立てないよう注意してもう一度してさしあげますね」
そう言うと、再び僕の股間に顔を寄せた。