「あ……」  
 さあこれから、という時に戸惑ったような優の声がした。  
「どうしたの?」  
「……ごめん、始まっちゃったよ」  
 せっかく東京から会いに来て、久し振りにホテルに入ったのはいいけれど生理とは……。  
 
 東京と広島。いくら僕が優のことを大好きでも毎週は来られない距離だ。それは優も同じ。  
 高校生の僕たちが会えるのは、せいぜい3週間に一度といったところだ。  
 だから今日のデートは楽しみにしていた。優とのセックスを待ち望んで禁欲もしていた。  
「優……セックスは無理でも、手とか口でイカせてくれよ」  
 溜まった欲望が僕にそんな思慮のないことを言わせた。それもやや高圧的に。  
 一瞬、優は驚いた顔をした。嫌悪の表情が出なかったのは奇跡かもしれない。  
「フッ、いいよ。なぜだかキミには強要されてるって感じない。それに、男の子は我慢できないんだよね」  
 ベッドで僕の肩にもたれかかりながら、優が微笑みを浮かべて言った。  
 
 そのまま体重が預けられ、手が股間に向かう。  
「さ、脱がなくちゃキミを満足させてあげられないよ」  
 おかしさをこらえたような口調で優がベルトをゆるめはじめた。  
「あ、うん……」  
 主導権を握られた僕はあわててベルトをはずし、ズボンと一緒に下着を脱いだ。  
「さて、どうしようか? ……キミはどうしたい? どうしてほしい?」  
「えっと……」  
 あれもしたい、これもしてもらいたい。考えがまとまらず言葉が出てこない。  
「キミは私の初めての相手で、他の男性は知らないからね。言ってもらわなくちゃ何もわからないよ」  
 そう言いながら、まだ固くなりきっていない男性器を握ると上下にしごきだした。  
 少しずつ力がみなぎっていき、ついには完全に勃起した。  
「フフッ、固くなったよ」  
「優、フェラチオしてくれないか?」  
 優は返事の代わりに頭を下げた。そしてすでに屹立しきっている肉茎を口に含む。  
 
 僕にも優にも初めての経験。拙いながらも優は積極的に舌を使い、僕を悦ばせようとしている。  
 決して上手ではないものの、心のこもったフェラチオは僕を昂ぶらせるのに充分だった。  
 それでなくても溜まっている。ちょっとの刺激で射精してしまいそうなほど興奮もしている。  
「優、イキそうだよ優、イクっ! 離れてっ!」  
 僕の言葉で優は口を離し、熱に浮かされたような目で亀頭を見つめた。  
びゅっ! どぴゅっ! ずぴゅっ!………  
 その目の前で射精が起きる。  
「あ……」  
 驚いたように目を見張る優の手の中で、ビクンビクンと痙攣しながら精液がまき散らされる。  
 あまりの快感に僕は放心したようになり、射精が終わるまで息をすることも出来なかった……。  
 
「キミが射精するところ、初めて見たよ。精液がペニスの中を通る感触も味わえた」  
 感慨深げに優が言葉を継ぐ。  
 そうだ。いつもは優の中に出してるんだ。射精の瞬間も僕は何度か見てるけど、優は初めてなんだ。  
「どんな感じ?」  
 大きく息をつきながら聞く。  
「フフッ、そうだな……キミの、ううん、男性の力強さやたくましさを感じたかな……それにしても飛んだね」  
 言われて見てみると、ベッドの端のほうにまで欲望の跡があった。  
「ホントだ……」  
「溜まってたの? 自分ではしなかったんだ」  
 笑いながら優が僕の顔をのぞきこむ。  
「優といっぱいしようと思って、禁欲してた」  
 正直に答える。  
「フフッ、いいよ。溜まってるもの、全部出させてあげる。今度はどうする? 口の中に出す?」  
 そう言うと、力を失っていない僕の股間に優はまた唇を寄せた。  
 
 

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