〜あらすじ(最下行のみ重要)〜
マタハリの勝負服を着たまま、ウルたちとともに加藤を倒したカレン。
過去にタイムスリップして日向と出会うはずが、
一瞬だけ、日向の時代、ウルのいる時代、そして未来を同時に思い浮かべてしまったために
全く関係のない190年後の現在にやってきてしまいました。
幸い、21世紀でも健在だったロジャーに助けを請い、日向の時代を再びめざすことに。
ロジャーの調べによると、再度タイムスリップをするには、
以前銅鐸の現れた飛鳥・石舞台に行かなければならないとのこと。
カレンは、急いで飛鳥・石舞台へと向かいます。
満員電車で。
* * *
今朝もまた、いつもの電車に揺られている。
春の陽気に包まれて、吊革に掴まりながらもうとうとしてしまう。
『次は○○〜、○○〜でございます』
しかし、穏やかにまどろんでいられるのもあと2駅のみ。
そこから一気に乗客が増え、乗車率200%を優に超える地獄の時間が始まるのだ。
俺のため息をかき消す排気音と共に、ゆっくりと前方のドアが開いた。
そう、今日もいつも通り、満員電車の苦痛にさらされるのだと思っていた。
しかし、この日だけは違った。
俺の前に赤い髪の天使が舞い降りて来たのだから。
「はぁ、はぁ」
『危険ですので駆け込み乗車は〜ご遠慮ください……扉、閉まります』
俺は、呆気に取られながら息を整える彼女に視線を注いだ。
いや、俺だけでなく、きっと車輌中の人間が彼女に注目しただろう。
「……(な、なんだコイツの格好は)」
赤いワンストラップの小さなタンクトップと同じく赤い超ミニ。
どちらも穴だらけ。そのへんの水着なんかよりも確実にエロい服装だ。
正直言って、俺は引いた。
もしかしたら、AVの撮影かもしれないとも思ったが、それらしき同行者は見あたらない。
まあ、どちらにしても、できるだけ関わらない方がいいだろう。
どうせこんなアブない格好するのは不美人と相場が決まっている。
「……ふぅ」と息をついて、女が顔を上げた。
西欧系なのだろうか。目鼻立ちはクッキリしているし、唇は少し厚めで情熱的だ。
「(不美人じゃないな……むしろ……)」
そんな風に彼女を見ていると、ふと目が合ってしまった。
彼女が、ニコリと恥ずかしそうに微笑む。
刹那、脳髄に電流が走った。
「(……むしろそこいらのアイドルなんかより……!)」
あらためて彼女の服装に気づく。
こんなにかわいいのにこんなスケベな格好していいのかよ。
こんな服で満員電車とか乗ったりしたら痴漢されるのは間違いない。
……そういや今、電車だな。で、前に立ってるのが俺で……。
いかんいかん。こんな愛らしい女性を卑怯な手で辱めてはいかんのだ。
いや、それにしてもこの胸が目の前にあるとどうしても……そういう考えに……。
よし、両手を吊革にかけよう。知らぬ間に手が胸へと伸びているとも限らない。
『扉、開きます』
「うわっ!」
故意ではない。
吊革を掴もうと右手を挙げた時に、反対側のドアから新たな乗客が乗り込んできた。
この駅から車内が満員ですし詰め状態になることは知っていたが、
彼女のことで頭がいっぱいで、車内アナウンスも耳に入らなかったのだ。
吊革に出会うはずだった俺の右手は、彼女の左胸に収まっていた。
しかも、人差し指から薬指までの3指が、着衣の中に潜り込んでしまっている。
「あっ……」
か細い声が漏れる。
身体ごと密着してしまっているため、同時に熱い息が首元に当たった。
『わざとじゃないんです』と弁明したかったが、
そんなことをしたら周囲の乗客の注目を浴びて、
その後、鉄道警察に引き渡されるのがオチだ。
幸い、彼女の前にはドアしかないし、右の男も左の女もこちらに背を向けたままでいる。
身動きひとつするのにも苦労するような込み具合だが、
誰かに見られる前になんとか右手を離さなければ。
まずは、右手を下ろそうと試みる。
「んっ」
中指が乳首に当たった。柔らかく大きな胸がその形を卑猥に歪ませる。
だが、右手を下ろせない。
周囲と密着していてるため、どうも肘から上を動かせないのだ。
ただ単に、胸を揉みしだいてしまったという結果だけが残った。
「(くそっ、なら上に……)」
まず、右手を彼女の左胸から右胸の方へずらしていく。
右胸を触るのが目的ではないので、窮屈だったが、右手はグーの形に閉じた。
そしてそこから肘を上げ、右手を水平にして押し上げた。
彼女の鎖骨あたりに、俺の腕が収まった。
少々奇妙な体勢だが、先ほどよりはましだ。
「(これで、さっきのがわざとじゃないってわかってくれたかな……?)」
彼女の顔色を窺うが、先ほどよりも赤い顔。耳まで真っ赤になっている。
そこでようやく、俺は自分の右手に握られているものに気が付いた。
俺は、彼女の服の胸元を掴んで、たくし上げてしまったのだ。
下を見やると、彼女のたわわな胸が露わになっていた。
自分の胸板の上で彼女の胸がつぶれている。
乳首が固くなっているのも感じられた。
俺は勃起した。
誰が俺を責められるだろうか?
痴漢などという卑劣な手段で女性を傷つけるべきではないと思い、
可能な限り彼女に触れることを避けた。
今ここにある状況は、完全に不可抗力なのだ。
すでに理性は薄れ始めていた。
気づけば俺は、周囲の圧迫とは関係なく、自らの意志でさらに彼女と身体を密着させていた。
* * *
すでに俺は、彼女の柔肌を味わうことしか考えていなかった。
彼女の首元にあった右手をゆっくりとうなじの辺りに這わせた。
ピクンと反応する。うつむいて恥ずかしそうにしている。
次に彼女の股に右足を差し込んだ。
左手で、彼女の太ももを抱えるように寄せると、
丁度お互いの足を差し込み合うような体勢になった。
内股で柔らかい太ももを挟む。
さらに左手を登らせ、彼女のヒップにさしかかったとき、
左の男が何かに気づいたように、突然身をよじらせた。
身の毛がよだつとはこのことか。
「(まさか……)」
『痴漢』『逮捕』『前科』
様々な言葉が脳裏をよぎり、同時に背筋に冷たいものが走る。
『○○駅〜○○駅〜……開く扉にご注意〜ください』
車内アナウンスが聞こえてくるまで、実際には数秒ほどしか無かっただろう。
だが、俺にはとても長く、恐ろしいほどに長く感じられた。
人混みをかき分け、男は車輌から降りていった。
僅かながらスペースに余裕ができたので、絡めていた両腕を早々に解き、
彼女から身体を離した。
解放された彼女は、すぐさま衣服を整えて俺に背を向ける。
その後ろ姿を見て、とてつもない罪悪感が俺を襲ってきた。
「(そうだよなぁ……故意ではないとはいえ、あんなことしちまったんだ……)」
この後悔の時間がもう少し長く続けば、また違っていたのかもしれない。
再び新たな乗客が乗り込んできて、『彼女を襲え』と急かすように俺の背を押した。
ドア際にある彼女の身体に寄りかかりそうになったが、腕立て伏せのような格好で堪える。
今再び彼女の肉感的な肢体に触れれば、今度こそ理性を取り戻すことは無いだろう。
『扉、閉まります』
おそらく最後の乗客が車輌に押し込まれているのだろう。
これまでにないほどの圧力が背中にかかる。
両腕にありったけの力を込める。
かつて電車の中でこんなにも筋肉を使ったことがあったろうか?
そんなことを考えていると、萎えかけた一物が、ふいに彼女のヒップに触れた。
一瞬で体中の力が抜けた。
気づけば俺は、彼女の背中に覆い被さる格好になっていた。
まずい。これはまずい。
なんと柔らかな肉質をしているのだろうか。
ペニスが彼女の尻の谷間に収まって、ムクムクと屹立し、硬さを取り戻していく。
男という生き物は実に愚かだ。
先ほどまでの後悔の念はどこへやら。
俺は、彼女の身体を徹底的に味わうことしか考えられなくなっていた。
周囲に気づかれぬように、ゆっくりと腰をグラインドさせ、彼女のヒップを味わう。
それを何度か繰り返していると、次第にスカートがめくり上がってきた。
下着越しになって気持ちよさが倍増する。
より強く腰を押しつけると、彼女はお尻をピクピクとふるわせた。
俺は両腕で身体を支えることを止め、彼女の肋の辺りから乳房へと手を這わせていった。
くすぐったいのか、感じているのか、彼女が小さく痙攣する。
かまわず、着衣の中へと手を滑り込ませ、両胸を揉みしだいた。
もうここまで来たら言い訳の余地も無い。
「(これが、人生最後の愉しみになろうとかまわない……!)」
怒張を彼女の臀部に擦りつけながら、乳房をじっくりと揉む。
揉みながら、人差し指と中指の中程で乳首を挟み、同時に刺激を加えてやる。
「ダメ……」
彼女が小さな声で呟いた。
だが、すぐに列車の滑走音にかき消されていった。
「フリーセックスの時代だとは……ロジャーから聞いてたけど……んっ」
男の名前だろうか。
彼女の口から“ロジャー”という名前が出てきて、俺は少し嫉妬を感じた。
だが、今彼女を手にしているのは他ならぬこの俺だ。
「はぁ、はぁ、いくらなんでも……見知らぬ男性にこんなところで……こんなこと……ひゃんっ」
真っ赤になっている彼女の耳をくわえてみた。
可哀相に、恥ずかしさで熱くなってしまっている。
俺は唾液を絡ませた舌先で、彼女の耳を冷ましてやった。
耳を責められると弱いのだろうか、ピクピクと身体をふるわせている。
「ふぅ……うぅっ」
彼女は口元に手を当てて、必死に声を抑えようとしている。
その美しい肢体がどんどん熱を帯びていくのが感じられる。
身体の外側がこんなにも熱くなっているのだ。
きっと内側は相当だろう。
右手を徐々に下降させ、彼女の足の付け根に触れた。
下着の縁に沿って中指を滑らせ、クロッチの脇辺りで止める。
緊張しているのが伝わってくる。
神経を下半身から逸らせるために、首筋を軽く舐め上げてみた。
彼女が首をすくませる。
それに少し遅れて、下着の脇から指を侵入させた。
密が溢れている。
下着の中はネットリとした愛液で濡れそぼっていた。
あえて性器には触れずにおく。
俺は右手を抜いて、今度は下着の上からの侵入を試みた。
右手で草むらをかき分けると、彼女が腰を曲げた。
逃げられぬように、自分の中心部を再び彼女のヒップに強く押しつけ、右手で探索を続ける。
緊張だろうか? それとも期待しているのだろうか?
少し、彼女がふるえている。
クリトリスを見つけた。
陰部の外に漏れだしている粘液をすくい、陰核にゆっくりこすりつけた。
「はっぁ! んん……」
ガクガクと彼女の腰が揺れる。
周囲に気づかれぬよう、しっかり彼女の身体を抱きしめながら、
それでもなおクリトリスを刺激し続けた。
堪えきれなくなったのか、声が断続的に漏れ聞こえ始める。
彼女自身もそれに気づいたのか、両手で自らの口を塞いだ。
俺は、左手を胸から降ろし、両手で彼女のクリトリスを絶え間なく虐め続けた。
やがて絶頂を迎えたのか、彼女の身体が痙攣し、そして脱力した。
* * *
彼女を支えながら、回復を待つ。
もちろん、これで終わらせる気はない。
こちら側のドアが開くまでには、まだ4駅ほどある。
混雑もまだまだ衰えはしない。
彼女の息が落ち着き始めたのを見計らって、俺は右手を彼女の尻に回した。
左の尻たぶに勃起したモノを押し当てながら、右の尻たぶをなで回す。
ひとしきりなで回してから自分の腰を浮かし、
静かにジッパーを降ろして一物を取り出した。
異常だ。
電車の中で陰茎を露わにするなど、これまでの俺なら考えもしないことだった。
しかしその異常さが、俺のモノをさらに固くしていく。
俺は彼女の左手を取り、陰茎に触れさせた。
一瞬、驚いて避けようとするが、それでも強引に握らせる。
前後にしごくように彼女の手の上から誘導すると、
観念したのか、ゆっくりとモノをしごきはじめた。
柔らかな彼女の手に握られるのは実に心地よい。
カウパーが垂れ出し、徐々に彼女の手を汚していった。
次に、彼女の下着をゆっくりと下に降ろす。
そして、後ろから陰部へと指を這わせた。
陰核をいじられて達したからか、愛液は先ほどよりも粘度を増していた。
右手に粘液を絡ませながら、中指を彼女の中へと差し入れた。
また身体を崩しそうになったので、支えながら粘膜の具合を調査した。
なるほど、指を一本挿入しただけだというのに、
柔らかく熱い膣壁が複雑に絡みついてくる。
「(……この中に挿入したら気持ちよさで気が狂っちまうんじゃないか……?)」
俺はその卑猥な肉穴をかきまわすのも程々にして、
彼女の入り口に陰茎をあてがった。
じっと動かずに待っている。彼女も期待しているのだろうか。
俺は、手に絡みついた愛液を肉棒に塗りたくり、そしてゆっくりと挿入した。
「……っ!!」
彼女が声にならない叫びをあげる。
やばい。やばいやばいやばい!
何だこの感触は。
トロトロの愛液といやらしく絡みつく粘膜とが、
これ以上ないほどに勃起した俺のペニスを包み込んでしゃぶりつく。
根本まで挿入すると、キュッと肉棒を締め上げてきた。
そのまま腰を引くと、暴力的なまでの快感が腰に広がっていく。
俺は三こすりもしないうちに、大量の精子を彼女の奥へと放ってしまった。
「ぁっ……はぁっ、中に……」
彼女の吐息のようにか細い声をよそに、
俺は呆然としながら、彼女の膣から溢れ出てくる子種の感触をズボン越しに感じていた。
間違いなく、これまでで最高の快楽を今、享受したのだ。
だが、まだ終わりではない。
射精されて激しく蠢く彼女の膣が、ペニスを萎えさせることを許さなかった。
それどころか、一物はますます硬く大きくなっていく。
もう一度、ゆっくりと腰を動かした。
俺のザーメンが愛液と混ざり合ってぐちょぐちょになっている。
次第に粘液が、彼女の陰部と俺のズボンをベトベトにしていく。
が、それにはかまうことなく、腰を振り続ける。
電車の揺れに合わせてゆっくり、じっくりと抜き差しを続ける。
腰を引くたびにネットリと吸い付きながら締め付けてくる彼女の感触に、脳髄が痺れた。
彼女の腰を掴み寄せ、突き入れる度に、ペニスが最奥で悦びに震えた。
彼女はもう、目を閉じて、押し寄せる快感にただただ耐えているようだ。
口元を抑えた手の端から吐息が漏れている。
ふと彼女が薄く目を開き、俺たちはドアのガラス越しに目を合わせた。
赤く染めた頬、それに潤んだ瞳が愛おしい。
だが、恥ずかしいのか彼女はすぐに顔を伏せてしまった。
その仕草が愛らしくて、また少し虐めたくなる。
それまでの、肉棒をそっと抜き差しするための動きから、
彼女の身体ごと突き上げるような動きにシフトする。
弾力のある尻肉を俺の腰で押し上げると、彼女は小さく仰け反った。
再び、ドアガラス越しに潤んだ瞳と目が合う。
彼女は恥ずかしそうに目を瞑り、下唇を噛んだ。
身も心も彼女を犯しているようで、興奮がますます高まってくる。
電車の揺れるリズムに逆らわず、ペニスの抜き差しを続けていく。
「……んっふっ! ……んっ! んっ!」
見知らぬ男に長時間凌辱され続け、さすがに限界が近いのか、
小さく出し入れしただけでも相当に感じるようになってきたようだ。
それに、俺の怒張がはち切れんばかりに大きくなったからか、
彼女の子宮が子種を欲しがって降りてきたのか、
あるいはその両方か、肉棒の先端が彼女の子宮口に当たるようになってきた。
「(出したい……彼女の子宮に直接ぶちまけたい……)」
最後は彼女を壊しかねないくらいに激しく腰を打ち付けて射精したい。
かといって、そこまで激しく動いては確実に周囲に気づかれてしまう。
俺はある一瞬に、賭けることにした。
一旦ピストン運動を止めて、右手を彼女の口元に割り込ませる。
俺は唇をそっと撫で、人差し指を口内に差し込んだ。
もう相当にキているのだろうか。拒む気配すらない。
先ほどよりもさらにゆっくりと抜き差しを再開する。
ペニスの皮と膣壁が愛液とザーメンを潤滑油にして擦れ合う感触が、先ほどよりもよくわかる。
それは彼女も同じなのだろう。「はぁああ……」と切ない吐息が漏れている。
そして彼女が3回目の吐息を漏らした時、待っていた瞬間がやってきた。
車体が軋んだ音を立てながら大きなカーブを行く。
俺は、右手で彼女の口を塞ぎ、左手でくびれた腰を捕まえた。
周囲の乗客がよろけた瞬間を見計らって、一気に腰を叩きつける。
「んっ! んっ! んっ! んっ! 」
ほんの一瞬に過ぎないはずのその時間に、俺は何回も、何十回も激しく腰を打ち付けた。
怒張で彼女の奥を突き上げた。
「んんーーーーー!!!!」
彼女の膣が激しく痙攣したのとほぼ同時に、
俺は彼女の子宮口に先端を押しつけ、射精した。
これまでの射精とは明らかに異なる。
半分固形なのではないかと思えるような濃い精液が、ペニスを通って飛び出していく。
そんなものを彼女の子宮に直接流し込んでいるのだ。
俺の征服感、高揚感は最高潮に達していた。
カーブを曲がり終えても、激しく律動する肉棒はまだ射精を続けている。
ようやく全ての精液を彼女の膣内に吐き出し、ゆっくりと彼女から肉棒を抜いた。
右手を彼女の口から離すと、力無く唾液が垂れだした。
そしてそのまま、彼女は腰から崩れ落ちるように座り込んでしまった。
足元にできた愛液と精液の水たまりが、かすかに音を立てた。
俺は放心気味の彼女をこちらに向かせ、精液にまみれた一物をくわえさせた。
それが陰茎だとわかっているのか、いないのか、
彼女はそれをアイスでも食べるかのように力無くゆっくりとねぶり始めた。
熱い舌が、カリ首を舐め上げる。
厚い唇が、ペニスの表面を這う。
手を使わない、口だけの奉仕が続く。
彼女の頭が前後する度に、その口元には俺のザーメンがこぼれる。
その視覚的な卑猥さも相まって、快感は倍増した。
先ほど果てたばかりだというのに、俺は、三度目の射精を彼女の口内で迎えた。
まだこんなにも残っていたのかと思うほどの精子が彼女の口内に放たれる。
途中で肉棒を彼女の唇から抜いたが、それでも射精は止まない。
残りの半分ほどが、彼女の顔を白く彩った。
口元からは、今し方放ったばかりのザーメンが零れだしている。
「(も……もう出し尽くした……)」
そんな風に考えた次の瞬間、俺は現実世界へ引き戻された。
「やだ……」
女がこちらを見て、表情をゆがめている。
気づけば周囲は皆、俺たちの方に注目していた。
陰茎を露出した男が、放心気味で座り込んでいる女性に顔射。
言い訳は不可能だ。
「あっ……いゃ、その……あれ? ぉおか、かしいなぁ〜?」
しどろもどろになりながらとぼけてみたが、無駄だった。
それどころか、震えた情けない声を発してしまったため、
さらに多くの人がこちらに気づいたようだ。
「お、おい。は、早く立ちなって。みみみんな見てるか、から」
俺は咄嗟に、彼女が恋人である風を装うことにした。
イタリアでは、ベッド売場で興奮し、コトに及んでしまったカップルもいるらしい。
電車の中で燃え上がるカップルがいてもおかしくないはずだ。
「あぁ〜、ここまったなぁ。お……起きてくれよぉ〜」
「ぅうん?」
まずい! 本当に起きてもらっては痴漢だということがバレてしまう。
朦朧としている彼女を介抱しながら逃げるのが理想なのだ。
『次は△△〜、△△〜でございまぁす』
「(も、もうすぐ……次の駅だ。ドアが開くまでやり過ご)ぐわっ!!」
突然彼女が立ち上がり、俺のアゴに頭突きを喰らわせた。
「いぃってぇ〜……わっ!」
「今どこ!」
掴みかからんほどの勢いで、彼女が尋ねてくる。
俺の出した精液が、頬から一滴滑り落ちる。
美しい顔を彩る精えk
「どこってば!」
「ひっ! △、△△駅です!」
それを聞くと彼女は安心したように息をついた。
そして一呼吸おいて、ハッと気づいたように股間を抑えた。
「あ、やだ……」
俺の精液が、太ももを伝ってドロリと零れていくのが見えた。
責めるような表情で上目遣いに睨まれる。
頬を真っ赤に染めているのが可愛くて、俺はまた勃起しそうになった。
『扉、開きます』
しかし視線を交わしたのもつかの間、彼女は扉が開いた瞬間、
人混みをかき分けながら、ホームに降りて行った。
このとき、もう少し早く彼女の後を追っていれば、他の乗客に捕まることも無かったのかもしれない。
──結局、痴漢については、被害者不在のため、
駅員から厳重注意(厳重に厳重に厳重な)を受けて、それ以上は不問となった。
それから何度も同じ列車に乗ったが、彼女に出会うことは無かった。
△△駅周辺も定期的に探してみたが、同じだった。
身体が目的なのではない(もちろん身体も最高だけれど)。
もっとちゃんとお近づきになりたかったのだ。
「(もう一度、会いたかった……)」
* * *
今朝もまた、いつもの電車に揺られている。
夏の陽射しはまぶしくて、冷房の効いた車内にもその熱気が伝わってくる。
『扉、開きます』
熱風と共に乗り込んできたのは、赤い髪の女性だった。
「(彼女……!?)」
いや、違う。女子高生だ。
彼女よりもかなり幼い。……けれど、どことなく似ている。
……。
……というか、あれ? その他の誰かにも似ているような……?
なんだか面影が……毎朝洗面台で見るような……んん〜?
「(……俺? 俺に似てるのかなぁ?)」
ドアガラスを鏡代わりに、髪をゴムでまとめる女子高生。
ふと、彼女の左手に輝くブレスレットが目についた。
鈍い輝きを放つそれには、小さな字でこう刻印されているのが見えた。
「Koenig」と。
END