自宅のシャワーを浴びながら、鏡に映った自分の体を眺める。  
上気して桜色になった肌に、水に濡れて光る美しい黒髪。  
そして、若干ながら膨らみのある胸部。  
ふっくらとした下半身と、未だに真っ白な割れ目。  
最近になっての習慣である彼を想っての自慰が女性ホルモンの分泌を誘発したのか  
ここ数週間でその肉体は徐々に女性らしさを増していた。  
つ、と胸から腰に指を這わせ、丸みを帯びてきた体の感度を確かめる。  
桜色の乳首に触れ、陰核を自分で剥き、晒す。  
陰核が水滴に当てられ、電気が流れたような断続的な快感が襲う。  
 
 
このように自慰にふけるきっかけになったのは、彼の家での出来事だった。  
 
 
銭湯から帰り、テーブルで宿題を済ませる内に意識が遠のいて眠ってしまった私を  
彼が布団に寝かしつけてくれた。  
その途中、いわゆるお姫様抱っこの体勢になった時、眠りながらもかすかに感じた安心感、  
そして彼から香る男性特有の匂いが妙に気になってしまったのだ。  
布団に入れられて目をつぶっている間も、そのときの匂いが忘れられずに  
瞼の裏側には彼の姿しか浮かんでこなくなった。  
夜が更けて彼が隣の布団に入ると、抑えがきかなくなった。  
彼が隣で寝ているにも関わらず、指は体を這って股間に伸び徐々にいやらしい水音を立て始める。  
音と共に雌の匂いが布団の中に充満していくのが感じられたが、指は止まらない。  
「――――ぅ、ぁ」  
噛み殺した声が漏れ、浅くなった呼吸が鼓動を速める。  
ぐちゅぐちゅと音を立てる陰唇から指を離す。  
「はっ、ぁ」  
陰核を剥き、蒸れた空気に晒し  
「ふーっ、ふ、ぅ」  
意を決して、潰すくらいの力で爪を立てる  
「――――っ!」  
喉の奥が開いて、呼吸の体すら取れないまま空気が漏れ出す。  
筋を違えるかと思うほどに体が痙攣し、締まりを失った口からは涎が流れ出る。  
「か、ぁっ、はッ!ふ、うぅ」  
自分の涎にむせて、咳き込む。  
落ち着いてから指を離し、  
愛液でぐしょぐしょになったその指を見つめると、なんとも言えない感情が胸の奥からこみ上げてきた。  
ちう、と指をしゃぶって自分の味を確かめる。  
いつか彼が味わう味だと思うと頭がクラクラして。  
そのとき私は恐らく、布団の中で微笑んでいたのだと思う。  
 
あれ以来、彼の顔をまともに見ることができない。  
受け答えもいつも以上に素っ気無いものになってしまい、その度に彼は悲しそうな顔をする。  
理由が理由だけに、彼に素直に話すわけにもいかない。  
私が彼を性的な目で見ていると知られると、最悪の場合彼が私から離れていってしまうことが考えられる。  
それだけは避けなければいけない。  
従って、今の私には惨めに自分を慰めることしかできない。  
少なくとも私が女性として成熟するまでは。  
しかし、それもそう遠い日のことではない。  
こうして彼を想い淫らな妄想にふける毎に私の体は造り変えられていく。  
まるで体の内から彼に犯されていくかのように。  
そして私は今日も、妄想の中で彼に犯され、体を育てていく。  
いつか女性として負い目を感じることなく、彼との愛情を育むために。  
 
 
 
あぁ、また志乃ちゃんが……  
何だろうね、隠す気あるのかな?  
最近、僕を見る目が何だか熱っぽいし、まともに会話も成立しないし。  
多分、オカズは僕なんだろうね。  
この間はとうとう名前呼んじゃったしね、僕の。  
オナニーするのはまぁ、そういうお年頃だからいいんだけど  
志乃ちゃんがオナニーしてる間は寝たフリしてなきゃいけないから寝返りも打てないしお手洗いにも行けないんだよね  
あと、僕のシャツ勝手に持って行くのやめて欲しいかな。  
さすがに洗濯する前のシャツが無くなれば僕だって気付くよ。  
どうしようかな。  
今度志乃ちゃんの目の前で真白ちゃんとキスでもしてみようか。  
ショックだろうなー、志乃ちゃん。  
好きな異性が他人とキスだよ?  
オナニー止めてくれるかな?止めてくれればいいんだけど。  
最悪の場合志乃ちゃんに殺される可能性が生じる上に真白ちゃんに火をつけちゃうし。  
まぁ、それはそれでいいかな。真白ちゃんなら多分平気で僕の赤ちゃん産んでくれるだろうし、  
それを見て泣きそうな志乃ちゃんに殺されてあげるのもいいかもね。  
 
あ、布団跳ねてる。イクのが段々早くなっていくね。  
ここで声をかけたら面白いんだろうね。  
やってみようかな。  
 

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