同じ布団に引きずり込まれる。
暑苦し――いや、暖かい。
なぜだろう、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
「やっぱりアイツと、同じ匂いだ…」
口に出てしまっていた。
思い切り、息を吸い込んでみる。
支倉志乃の――いや彼の香りが肺を満たす。
やはりあの少女とは微妙に違う、どこか包容力を思わせる匂い。
少しだけ、彼女の気持ちが分かった気がした。
「僕は、彼女の代わり?」
ふと声がして顔を上げると――彼が微笑んでいた。
「…聞いてたのかよ」
随分と恥ずかしい台詞を聞かれてしまった気がする。
太一は、自分の頬が赤くなるのを感じた。
そんなことを気にするでもなく、彼は優しく笑っていてくれたけれど。
「別に… そんなんじゃねえよ」
彼の微笑みさえも恥ずかしくて、顔を逸らす。
「お前、やっぱアイツと長く接してるんだなって思ったんだよ。 それだけだ」
けれど、やっぱり誤解されたくなくて、そんな言い訳じみた事を口にしてしまう。
「あのさ、太一くん」
優しい声。普段は彼女の為にあるはずのそれが、今は自分に向けられている。
「……なんだよ?」
背けていた顔を、もう一度彼に向けると、
「やっと、本当の名前で呼べた」
――彼は、太一が知る限り一番の笑顔で笑いかけてくれた。
「名前が何だってんだよ。そんなもの幾らでも変えられるし、
好き勝手名乗ればいいモンじゃんか」
「そんな事無いよ。君の名前はお父さんとお母さんがくれた、君だけの… 大切な宝物だ」
彼の手が太一の頬を包む。
大きくて暖かな手のひら。その温もりに触れるだけで心が安らぐような。
(あったけー…)
そんな心地よさの中で考える。今の自分と彼は、どんな関係なのだろうか?
少なくとも夜の布団を同じにするような関係。
父と子? いや、違う。これはむしろ
(省略されました。続きを読むにはさかな先生変態!と書き込んでください)