頭の上に載せられた掌から温かい熱が伝わる。無意識なのだろう、撫でる手の動きは  
志乃の心を温かくしてくれる。  
「……っ」  
 口を目一杯開いても、先端くらいしか含めない。やむを得ず、舌先で先端を唾液で  
てろてろになるまで舐めまわし、絡めつける。くびれたカリ先をなぞるように這わせた  
舌に応えるように、びくりと跳ねるのが分かる。  
 荒い吐息と唾液を口の端から零しながら、志乃は一心不乱に舌を這わせ続ける。  
 頭を撫でていた手に力が篭もる。髪に沈む指先が反射的に自分の頭を押さえつけよう  
とし――そしてすぐに我に返ったように離れるのを不満に思う。まだ、自分を気遣う  
だけの余裕があるのだと知れるから。  
 ちらりと見上げれば、彼も荒い息を吐きながら自分を見下ろしていた。  
「……志乃……ちゃっ」  
 先端に舌先をねじりこむようにすると、舌の上にわずかな苦味が広がった。  
 その味を知覚した瞬間、志乃は自分の体がさらに興奮するのが分かった。未成熟で  
未発達なカラダ。だがそれは外側だけであり、中身は歳相応の成長を遂げている。  
 下腹部がじくりとざわめく。彼がまだ禁じている行為を熱望しているのが分かる。  
「……ん……ぷぁ……はむ…ちゅ」  
 だが今は、自分のことよりも彼のことだった。狭い浴室の、これまた狭いバスタブに  
腰かけた彼の足の間に、自分の小さな体を滑り込ませ、できるだけ奥まで飲み込もうとする。  
 全裸のままの彼の足の付け根から、へそまで反り返った男性器を初めて見た時、志乃は  
知識として知ってはいてもさすがに怯んだ。あくまで内心のことであり、外からはそうと  
は窺えなかっただろう。だが、それでも。  
 今の自分の肉体と比べ、あまりに凶悪なサイズのそれを見て、怯まないはずはなかった。  
 だが今となっては、志乃にとってそれは恐怖を与えるものではなかった。  
 口腔性交をする事が当たり前となった自分と彼には、まだ最後の一線が残っている。  
ここまでしておいて――と思わなくもなかったが、彼は断固として未成熟な肉体の自分の  
処女を散らす事は拒否した。  
 求められて嬉しそうな、けれど困った顔で、その先へ進むことを強請る自分に  
「もうちょっとだけ、お互いに我慢しよう?」などと諭されて、それでも無理に続けるこ  
とはできなかった。だから、こうして口で彼の性器を愛撫するのは、志乃にとっては最大  
限の譲歩でもあったのだ。  
「志乃ちゃ……あぁっ」  
 口全体を使って亀頭を刺激し続けていると、彼が堪え切れないとばかりに声を上げる。  
そんな切ない声を聞くたびに、志乃は自分の足の付け根からじくりと水分が溢れるのを  
感じていた。実際にどうかは別として、少なくとも志乃の内面では十二分に出来上がって  
いたのだ。  
 例えば彼が自分の頭を無理やりに押さえつけて、その獣欲のままに精を放ってくれたと  
しても志乃はそれすらも快楽として受け入れる自信があった。だが彼は、そんな獣欲に  
支配されそうになってもすぐに、先ほどのように力を緩めてしまう。口だけでは、彼を  
我を忘れて自分を求めさせる事は出来ないのだろうか。そんな風に思ってしまう。  
 だから、先ほどよりもさらに熱心に、いやらしい水音を立てながら彼の性器に舌を這い  
回らせる。未成熟な胸のふくらみ。その先端が痛いほど硬くなるのを感じながら、志乃は  
涙が浮かぶのもそのままに、さらに奥へと飲み込もうと口を広げた。えずくのも我慢し、  
大きな性器で息苦しくなるのも我慢し、それでも半分も飲み込めないことに志乃は別の意  
味で泣きたくなる。  
「……し、志乃ちゃ……ッ」  
 だが、彼はそれでも、志乃がさらに深く顔を沈めた事で快楽の限界に達したようだった。  
「――ッ」  
 ビュクッと音が鳴るような錯覚と共に、喉奥に熱い粘膜が溢れるのが分かる。びくびく  
と痙攣するように震える性器のせいで、志乃は思わず口内に飲み込んでいたそれを吐き出  
してしまった。  
 咳き込む志乃の眼前で、行き場を失った性器の先端から白濁の粘液が飛び散る。それは  
志乃の黒髪や、顔、果ては未発達なつぼみや腹にまでかかった。てろり、と粘度を保った  
ままの精液を見て、咳き込みながら志乃は悔しさに涙が浮かんだ。  
「だ、大丈夫、志乃ちゃん!」  
 だがその涙を、息苦しさからと勘違いしたのだろう。彼は慌てたように自分の背中をさする。  
 
「けほっ。だ、だいじょうぶ……えほっ」  
 見上げれば、彼は心底から心配そうに自分を見つめている。  
「……ごめんなさい」  
「え、な、なにが?」  
「また、飲めなかった」  
 そう答えると、彼は一瞬虚を突かれたような顔をして、それから困ったように微笑んだ。  
「良いんだよ。前から言ってるじゃない。無理して飲まなくても良いって」  
「違う。私は……飲みたい。飲んで、あげたい、のに」  
「志乃ちゃん……」  
 頭を撫でる掌に、力が篭もる。  
 お互いに全裸のまま、何をしているのだろう。一瞬、そんな考えが脳裏を掠めた。  
 これ以上、進めない。彼が望まないのだから。だから、自分にできるのは飲んであげる  
ことくらいなのに。それすらもできない。  
「……大丈夫だよ」  
 内心の葛藤を読み取られたような気がして、志乃は思わず顔を上げた。  
「大丈夫。僕はちゃんと待っててあげるから。……その、志乃ちゃんがその時に、まだ僕  
のことを、そういう目で見てくれているなら」  
 志乃の白磁のような肌の上を、ボディソープをつけたスポンジが滑っていく。彼がまる  
で美術品のように恭しく、優しく慎重な手つきで洗っていく。飛び散った粘液も落とされる。  
「はい、志乃ちゃん。お湯かけるからね」  
 そして、温かい湯のシャワーがかけられる。  
 狭いバスタブは、けれども辛うじて二人が入るだけの余地があった。最初からお湯を最  
低限にしたうえで、志乃が彼に後ろから抱っこされるような格好で、という前提条件がつ  
いた上で、だが。  
 熱い湯と、彼の体温に包まれる。志乃はこの時間が好きだった。自分が彼の性欲を満た  
すには、まだまだ未成熟であるという事実も、この時間だけは忘れていられる。  
 だが、今日は少しだけ違っていた。  
「……あの。ごめんね」  
 今も、彼の性器は硬く屹立したままだった。その上に腰かける格好となった自分として  
は、少しばかり座りが悪い。  
「……満足、できなかった?」  
 だから、自分の声が落胆に低くなるのを自覚したまま、そう訊ねていた。  
「違うよ。その……志乃ちゃんが、さ。飲んであげたい、って。言ってくれたから」  
 感動しちゃって。その、なんだかいつもより興奮が長続きしちゃって。  
 そう続ける彼の言葉に、志乃は全身が歓喜に震えるのが分かった。彼がまだ自分を求め  
ている。いや、いつもより強く求めてくれている。そう思うだけで、心臓の鼓動が早くな  
るのが分かる。  
「ちょ、ちょっと。志乃ちゃん、あんまり動かないで……!」  
「?」  
 だが、そんな志乃の感動を他所に、彼は志乃を押さえるように強く抱きしめた。  
「どう、したの?」  
「だ、だから、その。志乃ちゃんのお尻と足に挟まれて、その……き、気持ち良い、というか」  
 で、出ちゃいそうで、と囁くような彼の声を耳元で聞くだけで、志乃の顔はさっと赤く  
なった。決してのぼせた、などではない熱。  
 確かに硬い感触が自分の貧弱な臀部と、細い足の間に挟まっているのが分かる。  
「……じゃあ、これは?」  
 志乃は彼の反応を見るべく、体を捻りながら、ぐい、と尻を前後に振ってみることにした。  
 
 

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