「彼には手を出していませんが… このままでは私も飽きてしまいます。
どうです、支倉さん。彼の代役を務めてみるつもりはありませんか?」
「言っている意味が分からない。私に手を出したところで、貴女には何の得も無いはず」
「ふふっ…、こういった肝心な所はウブなんですね。
支倉さんのそういった純粋な所、私はとても素敵だと思います。
では、これで分かって頂けるでしょうか?」
そう言って真白が差し出したのは、黒革の首輪だった。
太い金属の鎖が連結されたそれは、どうやら犬に用いる物であるように見えるが…
もちろん、この場には野良犬の一匹すら居ない。
志乃は彼女を見上げる。頭一つ高い真白の視線は、自分の喉許をしっかりと捉えていた。
「如何ですか? 私は貴女に愉しませてもらいたいんです。
貴女が私のペットになって一緒に遊んでくれるのなら、彼には決して手を出さないと誓いましょう」
真白の手から首輪が手渡される。
重厚に作られた革のベルトは見た目よりもずっと重く、ずっしりと志乃の掌に沈む。
そこから伸びる鎖の先は真白の手の中に消えていた。
「何も難しい事なんてありません。首輪を着けている間だけ、私のちょっとした命令に従えばいい。
簡単なルールでしょう?
それに今、ソレを自分の首に嵌めるかどうかは、貴女が選んで良いんです」
「…………」
「さあ、どうしましょうか。このゲームに乗るかどうかは貴女次第ですよ?」