――支倉志乃は、目の前に示された結果に陶然とした。  
彼女は今、『彼』の六畳一間にいる。  
背後から高く空気を切り裂くような雪交じりの風の音が、  
小さく備え付けられた窓をカタカタと、まるで彼女の心のように揺すぶっていた。  
個室の中、彼女の視界は自身の長い黒髪で占められている。  
それを認識してから幾許か経たのか、  
暖房機能などついているはずもない陶器の便座はすっかり温くなってしまっている。  
心持ち俯いたその顔に浮かび上がっているのは、ただ一つ  
決意、であった。  
 
ばたりと聊か大きな音を立てておんぼろ玄関の扉を閉じた。  
同時に、小さくてきちんと磨かれたローファーが揃えて並べられているのを確認。  
がさがさと両手に提げたビニール袋をたたきに置いて一息つく。  
居間の洋服掛けには彼女のブレザーとスカートが皺にならないように  
ハンガーにかけられ静かにぶら下がっていた。  
彼女がずっと家にいるようになって数カ月。  
何度も見てきた光景なのに、ほわほわとした気持ちが込み上げてきて、思わずにんまりしてしまう。  
「ただいま、志乃ちゃん」  
僕は姿の見えない彼女にいつものように声をかけた。  
 
時刻は午後4時。志乃ちゃんが返事をしないのはいつものことなので  
今日は運が悪かったのかな?と思いつつ、立ったままブーツを脱ぎすすめる。  
後ろ手でコートも脱いで軽く叩いて雪を落とし  
腕にそれを引っかけると、僕は居間へと足を進めた。  
明かりがついていない居間を眺めまだ小さなストーブに電源が入っていないのを見て苦笑する。  
とりあえず冷蔵庫に2人分の食料を避難させつつ、もう一度声をかけることにした。  
「志乃ちゃんー?」  
しばし、待ってみる……みる……  
……それでも、やはり、返事がない。  
いつもならこのあたりで「はい」だの「います」だの最低限でも返事が返ってくるはずだ。  
シャワーの音もしないので入浴中ではないだろう。  
だとすると……あ!トイレか。  
そこまで考えが及んだ所で、デリカシーのないことをしてしまった、と反省しつつ  
愛用の黒猫マークエコバックから土がついたじゃがいもをごろごろと出していく。  
今日は29の日で牛肉がお安く手に入ったので肉じゃがにしちゃおう。  
いんげんを散らしたいけれど嫌がるかな? 糸こんにゃくも沢山入れて。  
ほくほくして美味しいだろうなあ…  
志乃ちゃんとおこたに入りつつ鉢に盛られたそれをつっつく様を想像して僕は幸せな気持ちになった。  
 
 
――おかしい。数十分経過したはずなのに、志乃ちゃんが出てこない。  
あれから手をぬぐい暖房をつけ、彼女に失礼のないようにTV番組をだらだらと流していたが  
流石に僕は心配になった。まさか中で腹痛で気を失ってるとか、  
ドアの立てつけが悪いから出られなくなったり、していたら…!  
何故すぐにそういう可能性に思い至らないのか己を内心ぶん殴りつつも  
慌ててTVを消すと腰をあげ、ドアの前に立つ。  
 
辺りはしん……とした空気が漂っていた。ドア一枚の向こうからかすかに風の音がする。  
「あの…志乃ちゃん?」  
こんこん、見上げつつ軽くノックしてみた。  
返事は無い。物音も、しない。  
 
「志乃ちゃん!?」  
僕の頭の中で目の前で倒れる志乃ちゃんが点滅して消える。  
全身を悪寒が走る。  
彼女を失う瞬間。  
もっとも恐れていたものが踊るように展開するのが見えた。  
がちゃがちゃと捩じ切る勢いでノブを捻る。捻る。捻る。開かない!  
どんどんどん!さっきより強くノックする。  
「志乃ちゃん、大丈夫!?」  
ああ、これはご近所迷惑じゃないのかそんなことが頭の片隅をよぎったがかまわず大きな声を張り上げる。  
駄目だこんなんじゃそうだ椅子を――  
僕がそんなことまで考え出したその時、きいっ…とドアが音を立てて向こうから開いた――  
 
――彼女は、果たしてそこにいた。  
ちょこんと便器に腰をかけている。  
黒いタートルネックのニットと、灰色のチェックスカートを身にまとっていた。  
膝の上でぎゅっと手を握りしめている。  
黒い瞳が、僕を射る……はずがいつもなら真っすぐにそこに目が行くのに  
今、僕の視界に飛び込んできたのは、しなやかなふくらはぎ。  
そこに何か、引っかかっている。  
白い、白い白い下着。そこに一筋渡った赤。  
――赤――あか――赤!  
 
 
志乃は彼が彼女に訪れた印を見て、その顔に一瞬で走った様々な思いを読み取った。  
 
 
そう、ずっとこの日を待っていた。  
女として、彼に対面する日を、ずっとずっと待っていたのだ。  
クラスの子が次々と報告してくる中ずっと待っていたはずなのに――  
いざという時になって扉を開けるのは、想像以上に困難だった。  
扉の向こうで彼が自分を心配して叫ぶ声が聞こえても、鍵を下ろすときになって手が止まった。  
何か声をかけようと思っても声帯が震えない声が出ない。  
私は彼を望んでいるはずなのに――もし彼が、望んでいなかったら?  
手を握った日、抱きしめられた日、唇を交わした日――今までがくるくると踊りだす。  
全ての志乃が恐れている。彼に拒絶されることを、恐れていた。  
じんじんと痛みが断続してやってくる。胸の鼓動と同じリズムで。  
それでも、彼が、彼との『生』が欲しいのだ――  
そうして彼女は扉を開いた。  
 
彼は自らを襲った衝動を、抑え込むことは無意味だ、一瞬でそう自覚し獣に頭を垂れた。  
脊髄を何かが駆け抜けて脳を破壊する音が、最後だった。  
瞼の裏が燃えるように熱かった。沢山の自分が叫んでいるのを感じた。  
脚がふらりふらりと勝手に前に進んでいく――  
 
彼が志乃の目の前に跪いた。  
ふわふわとした髪の毛と綺麗なつむじが覘く。  
ふくらはぎに引っかかった下着に、指が触れた。  
ゆっくりと、下ろされていく。  
するり…足首から完全に抜かれる。  
中央部に付着したそれ、を彼、の人差し指が撫でていく。  
彼は確認するように彼女を見上げた。  
全ての志乃はそれを、見ていた。  
何一つ、強要することなく、ただ、見ていた。  
朦朧とした瞳が、頷く。  
唇が開き赤い舌が覘く。  
ちゅっ…と音を立てて彼が、それを、舐めた――  
それが、崩壊の合図だった。  
 
そこでゆっくりと流れていた時は終わり、嵐のような波が彼女を襲った。  
彼は勢いよく立ち上がると、あっという間に彼女を横抱きにして便座から離した。  
体を反転させドアを脚で開閉させる。志乃はきつく首元にしがみ付く。  
敷きっ放しになっていた布団の上にそっと横たえられた。  
スカートが空気を孕んでふわりと落ちた。  
「汚れてしまう…」  
姿態を投げ出した彼女は言う。  
「いいよ」  
淡々とそう答える顔は怖いくらい無表情だ。彼は彼女を冷やさぬよう上布団をかける。  
半分だけ顔を覗かせると、彼は彼女の下着を持ってユニットバスへ向かう。  
洗面器に水をため石鹸で軽く汚れをこすり、流す。漂白剤を溶かすとそこに下着をつけた。  
その音を聞いて彼女はほんの少し恥ずかしく思ったが、今の彼に何かを言っても  
YESと言ってくれる可能性は低いだろうと自覚していた為、何も言えず、縮こまる。  
彼が戻ってきて、彼女の臀部と脚を持ち上げ、浮いたそこに手際よくバスタオルを敷いた。  
続けざまに台所に行き、コップに水を汲んで薬箱を開け、頭痛薬を出す。  
志乃はそれを目で追う。  
盆に載せたそれを枕元に置く。志乃は起き上がろうとするが彼が手を差し出して静止させた。  
「志乃ちゃん、口開けて?」  
薄く笑った彼の顔が、欲情でいっぱいなことに志乃達は皆歓喜する。  
とろり、と何かが無意識に股の間を伝っていく。  
あ、と開けた口に薬が入れられたと思ったら、彼に口移しで水を与えられた。  
 
「ふっ……っ……」  
「ん……」  
ゴクリと嚥下したのを確認すると、ちゅっちゅっと名残惜しそうに音を立てて唇は離された。  
頭をするりと撫でられる。笑っている。彼が笑っている。  
もっと。もっと触って欲しい。己の中で暴れているもの達が叫ぶ。  
望んだのに彼の体は離れていってしまった。  
「志乃ちゃん、僕用品を買ってくるから」  
彼にそう、告げられた。  
そんなものはいらないと彼女は思った。何なら鴻池に頼んだって、真白にだって頼めばいい。  
「…まさか、そんなこと考えてないよね?」  
思っていたことを当てられる被虐に、ぶるりと下腹部が震えた。  
布団の中は見えない。けれども今の彼には全てが見抜かれている。そう感じた。  
「いい子だからちょっと待っててね」  
そういって一度だけおでこに唇が触れると志乃の意識は  
コートを着直す彼の後ろ姿でシャットダウンされた。  
 
――――目を覚ますと、胸の中に彼がいた。  
腰に両手が回され、布団の中で抱きしめられている状態だ。  
いつ帰ってきたのか、薬のせいで一時的に安眠状態だった志乃は全く気付かなかった。  
見えないが下にもうタオルは敷かれておらず、  
専用の下着にナプキンが装着され着用されているのを感触で理解した。  
彼の頭部が彼女の胸部に当てられている。もそもそと彼がこちらを見上げ、  
「……起きた?」  
問われて、鼓動が高まる。  
それで判断したのか、彼は志乃を抱きしめたまま上にずりあがってきた。  
彼の胸板にぎゅっと押しあてられぐりぐりとされる。  
匂いが漂って、志乃はそれを一杯に吸った。  
暖房は切られている。布団の中だけが、熱を持っていた。  
離され、横向きだった彼女は仰向けに倒される。  
上から彼が覆いかぶさる。閉ざされた唇を、舌が、ゆっくりとなぞり、  
開かされる。――先程よりも、もっと深いキスをされた。  
 
彼の唾液を混ぜ合わされ、潤っていく。  
苦しくなったところで水がまたやってくる。飲む。  
前髪をかきあげられる。そのまま下へ黒髪を梳かれ頬に触れられた。  
彼は志乃の方を向いて肘をつき、横向きになる。  
「志乃ちゃん、」  
彼は嬉しそうに名前を呼ぶ。  
志乃は下半身の下着だけの姿だったので、首筋から鎖骨で少し指を遊ばせ、  
服の上から小さな胸に手のひらが当てられた。  
ゆっくりと下乳を持ち上げるように揉まれ、吐息が漏れる。  
「可愛いね」  
突起が勝手に盛り上がっていくのを自覚する。  
目をつぶっていても、彼が今志乃の表情を食い入るように見つめているのが分る。  
風はいつのまにか止み、コチコチと時計の音と2人の呼吸だけが響いている。  
 
散々嬲られたあと、谷間を通って手は滑って行き、  
ふうふうと呼吸を繰り返す腹部にそっと落ち着く。  
まるで円を描くかのようにゆっくりと、彼はそこを撫でだす。  
「志乃ちゃん、」  
「分る?」  
「ここが、君の」  
 
女であることを主張する器官間接的に温められているのだと感じた。  
そう、そこが志乃の―― 子宮。  
志乃が、女として、動き出した証。彼に与えられるもの。彼と繋がれる所。  
ぽろり、勝手に液体が目から零れる。彼はそれを舌で確保し飲み干す。  
 
「ここに、入りたいんだ」  
熱を持った瞳が訴えてくる。  
志乃はそれを間近に受け止める。自分の原始的なものが溢れだすのを止められない。  
返事をいいたいのにもたらされる快感で人語を解せない。  
彼はまだ志乃が納得していないのかと思ったのだろうか、  
そっと志乃の手をとると、自身のそそり立つ部分に導いた。  
「……入れて?」  
切ない瞳が願いを乞うてくる。それでもう志乃は駄目だった。  
欲しかった。しかし彼を血で汚したくなかった。必死の抵抗、止むなき妥協策だった。  
 
代わりと言わんばかりに、びくびくと手の中で熱を持っている彼を掴み必死で擦りだしたのだ。  
 
今、彼は志乃の腹に自身を擦りつけ、擦れた亀頭が彼女の腹をだらだらと汁で汚している。  
彼女は背筋から臀部まで何度も彼の大きな手のひらで撫でられ擦られ、湧き上がる快感が止まらない。  
「…あああああっ!」  
「…いいよ…志乃ちゃん…気持ちよく、なって……」  
暑い。亜熱帯よりも暑いのに、布団はいつまでも剥がされない。  
志乃と彼の2人だけの世界。2人しか生きていない。呼吸をしていない世界だ。  
気付くと抱き合っていたはずの彼がいつのまにか彼女の上に覆いかぶさっている。  
布団の中で、二匹の獣が、腰を振る。  
志乃の両手は、彼の両手でにしっかり絡み合い押さえこまれている。  
 
「志乃ちゃん、志乃ちゃん、…好きだ…っ」  
「…!……!」  
彼がとんでもなく切ない声をもって耳元で爆弾を流し込む。  
とどめと言わんばかりに、小さな乳首を、赤ん坊の様にちゅうちゅうと吸われた。  
「ふっ……ああっ…ああああああああああああ!!」  
びゅるるるっびゅるっびゅるる!  
次の瞬間、腹部に熱い迸りを感じて、彼の笑顔を見たのを最後に彼女は意識を失った。  
 
 
目覚めてから僕が作った肉じゃがと、お赤飯を2人で食べた。  
志乃ちゃんはそりゃあもう今世紀最大ってくらいの可愛らしい顔をして僕を睨んだけれど  
僕は全く気にならなかった。  
彼女の口元にせっせと箸を運んで甘やかし、ますますむっとされたのは内緒だ。  
 
 
 
――そうして毎日、拷問にも似た寸止めSEXによる快楽を味わわされ  
開発されまくった志乃ちゃんは、この5日後、  
遂に訪れた初めての本番SEXで処女にして中田氏連続絶頂してしまい  
僕の淫乱志乃ちゃん、としてますます可愛がられるのでした。  
 
 
完  
 

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