「支倉さんと一緒にいるということがどういうことか分かってるんですか?」  
さっきから何度繰り返された問いかけだろう。僕はいい加減うんざりしていた。  
「真白ちゃん、お酒はそれくらいにしてね。仮にも未成年なんだから。」  
真白ちゃんは僕の忠告などどこ吹く風である。  
真白ちゃんにしても志乃ちゃんにしても、僕のまわりには話を聞いてくれない女の子が多いなあ。  
僕、一応年上なんだけど。どうしてこうなったのか思い返す。  
 
ごく一般的な大学生である僕は、いつものように適当に講義を受け、スーパーで食材を買って帰ってきた。  
部屋の鍵が開いていたので少し疑問に思ったけれど、そこはセキュリティ万全の我が家なので問題ない。  
いや、言いたいことは分かるけど敢えて言わなくてもいいんじゃないかな?  
僕は部屋の隅、そこにいるであろう女の子に向かって挨拶をした。いや、するつもりだった。  
「ただい…ま」  
「お帰りなさい。」  
微笑みながら言葉を返してくれたのは真白ちゃんだった。  
「なな、な」  
「そうですねー、一緒に飲もうと思って。」  
そういって掲げた袋の中にはどうやらお酒が入っているようだった。  
「ま、真白ちゃん!?」  
「嫌ですねー。お酒くらい監督者がいればどうにでもなりますって。」  
いや、どうだろう。やっぱりこの年でお酒の味を覚えちゃうのはどうかと思うけど。  
僕が逡巡していると真白ちゃんの雰囲気が変わった。  
「飲みましょ。」  
表情はにこやかだ。だけど目が笑ってない。僕はため息をついて了承するしかなかった。  
「…やっぱり私じゃここまでなのかな。」  
何か聞こえた気がしたけど、真白ちゃんは首を傾げて微笑むだけだった。  
 
「私は独立した個です。そして支倉さんもそうなってしまう可能性があるんですよ。」  
「よくは分からないけど、僕は志乃ちゃんには人の中で生きて欲しいと思ってる。」  
真白ちゃんの酒癖は悪かった。正直、この年で絡み酒はどうかと思うんだけど、どうにも出来ないしな。  
お酒が入っても僕らの話題は志乃ちゃんのことばかりだ。まあ、他に話すこともないけど少し寂しい。  
酒会は和やかに進んだ。いや、僕は確かにそう感じていた。  
突然、真白ちゃんの雰囲気が変わった。  
「少し、話を聞いてくれませんか。」  
ああ、これはあのときのリフレインだ。そう感じて僕は怖くなったけど最終的に了承した。  
 
「私は完全なる個だという話はしましたよね。」  
「うん、聞いた。理解は出来ないけどね。」  
はっきり言いますね、と彼女は笑った。  
「私は一人でいいんですよ。でも他者が欲しくなることがあったとしたらそれはどういう意味合いを持つんでしょうね。」  
「うーん、愛…とか?」  
「いえ、性欲です。」  
僕は自分の言葉ですら口に出してから後悔したのだけど、彼女は上をいっていた。  
ここで僕はふと違和感に気がついた。彼女と僕の距離がさっきより縮まっているのだ。  
距離を離す。ついてくる。距離を離す。ついてくる。  
背中と壁の距離がなくなるまでそう時間はかからなかった。  
「あ、志乃ちゃん遅いねー。」  
そして、気がつけばそんな馬鹿なことを口走っていた。  
「ああ、今頃あなたを窮地から救い出すために奔走してるんじゃないですかね。」  
「へ?」  
気がつけば間抜けな声が出ていた。僕はここにいる…ということは、まさか。  
「私、少女ですから。」  
悪びれずに彼女が言う。そうだ、こういう子だったんだ。僕は自らの失策を悟った。  
「彼女は確かに私よりも数段能力があります。でも、まだ年齢的なものを飛び越えるほどじゃない。  
意味、分かりますよね?」  
「真白ちゃん…、志乃ちゃんに何かあったら僕は君を」  
許さない、そう続けようとしたけれど、その言葉が発せられることはなかった。  
真白ちゃんが僕の唇を塞いだからだ。  
唇を離し、今度は耳にキスをしながら一言  
「許さないでください。そしてこれから起こることも全て私のエゴですから許さないで下さい。」  
そう言った。  
 
真白ちゃんは僕の体にキスの雨を降らせていった。  
首筋、唇、そして乳首。真白ちゃんの乳首責めは執拗だった。  
それの周りを丹念に舌でなめ回し、尖らせた舌で乳首を突いてくる。  
視線は上目遣いで僕から外すことはなく、こちらをつぶさに観察している。  
実際、彼女は綺麗だった。  
陶磁のように透き通った白い肌にはアルコールが入ったことで赤みがさしている。  
それが彼女にの年代に不似合いな艶っぽさを強調していた。  
でも、僕はあえてそれに反応することはしなかった。  
彼女は確かに綺麗で頭もいいかもしれない。  
だけど、僕にも意地がある。  
彼女はそんな僕の決意を見透かしたように微笑み、そして手を下へ下へと這わせていく。  
そして、彼女が僕の下着を脱がし、それを撫であげたとき不意に思ってしまった。  
(抱きたい)  
理性で食い止めたつもりだったけど、それは一瞬だけ遅かったらしい。  
彼女に触れようとした手が床から浮いてしまっていた。  
彼女の目が細まる。そして戻そうとした僕の手にすかさず手を絡めてくる。  
「よかったです。自分の牝としての魅力を疑い始めていたところでした。」  
彼女は僕の手を巧みに誘導していく。そして僕は彼女の秘所に触れた。  
そこは既に湿り気を帯びていた。  
「ね、素直になりましょうよ?」  
だけど、僕には志乃ちゃんが…  
「強情ですねー、少し体勢を変えますよ。」  
彼女はそう言って体を反転させた。必然的に彼女の秘所が僕の眼前に広がることになる。  
(あ、下も銀色なんだ)  
なんて後からしてみたら馬鹿なことを考えていたのだけど、彼女はそこを指で広げると懇願した。  
「…してください。」  
融けた。僕は彼女が指で広げたそこに舌を這わせ、指で彼女の最も感じる部分を探っていく。  
時折聞こえる彼女の嬌声が僕を更に高めていく。  
「やっとやる気になってくれたんですね、嬉しいです…ん。こっちも本気出します…ね。」  
そして、僕のものに彼女の唇が触れた。亀頭、裏筋にキスの雨を降らせていく。  
それはいつしか舌による愛撫に代わっていった。  
広げた舌で裏筋を丹念に舐めていたかと思うと、尖らせた舌で尿道をつつく。  
射精感はこみあげてきていて、端的に言えば限界だったのだけど、  
いつまでもこの快感を味わっていたいという矛盾した気持ちも生まれてきていた。  
彼女の秘芯を覆う花弁をめくり、剥いた先にあった果実を執拗に攻めあげる。  
嬌声が大きくなったところをみると効果はあったらしい。  
僕は少しだけいい気になっていたのだけど、それも一瞬だった。  
彼女がぼくのそれを口一杯に含み激しくストロークさせ始めたのだ。  
唇が表面を撫で上げ、口の中では舌が生き物のように這いまわっている。限界だった。  
彼女が口に僕のそれを含んだまま言う。  
「はあ、吐息が熱いです…ん。ヒクヒクしてますね。限界ですか?」  
「うん、だから真白ちゃん…もう駄目だよ…」  
僕はもうやめてくれという意味で言ったのだけれど、  
それに対する彼女の答えは更に激しいストロークとバキュームだった。  
「っ…」  
そしてあえなく決壊した。  
 
彼女が僕に向き直る。彼女は口をモゴモゴしていた。  
それはそうだ。あんなもの、口に出されて怒らない子なんていない。  
だけど、真白ちゃんは口の中で唾液とそれを混ぜ合わせると、苦しそうにしながらも飲んだ。  
「真白ちゃん!?」  
「ちょっと喉に引っ掛かりますね。でも、薄いよりいいんじゃないでしょうか。」  
こんなときでも笑顔でいられる彼女が少し怖い。  
「ところで…あの」  
「何?」  
年下の子にいいようにされてしまった気恥ずかしさもあって、無理に怖い声を作って言う。  
今更威厳も何もないのだけれど。  
「まだ出来ますよね?」  
そう彼女は言うけれど、それは土台無理な話だ。  
何故なら僕は一般的な大学生であってAV男優じゃない。  
抜かずの三発〜なんて言うけれど、やっぱり僕はそれは都市伝説だと思う。  
現に彼女の手の中にあるそれは未だ小さいままだ。  
彼女は暫く考えると、何かを思い付いたようで僕の耳元に唇を寄せた。  
頬に軽くキスをして、僕の手を服の中の胸に導くと、耳元で囁く。  
「あなたが好きなんです。愛しています。」  
どうせ、嘘なんだろうなと思うが悲しいことに体は反応していた。  
あと一押しと思ったのか真白ちゃんはとんでもないことを言った。  
「私、処女ですよ。これで私の膜を突き破って無茶苦茶にしてみたいと思いませんか?」  
僕のそれを手でこねくりまわしながら囁く。耳にかかる息が熱い。  
「え、いやだって…」  
なんであんなテクニック持ってるのか尋ねようとした僕を彼女が遮る。  
「兄が教えてくれたんです。」  
…最早、正義の味方の株は僕の中で紙切れです。  
「あ、これなら出来ますね。素直な男の人って可愛いですよ。」  
 
彼女は僕のものをそこにあてがい、ゆっくりと腰を降ろしていく。  
先が入った…と思ったところで彼女が腰を降ろすのをやめて、再び顔を胸に寄せて乳首を愛撫し始める。  
「あの、真白ちゃん?」  
生殺しだ。確かに暖かさは感じるけど、これじゃとてもイケない。  
でも、僕から動くわけには…  
そんな状態がどれくらい続いただろうか。真白ちゃんが上目遣いで言った。  
「好きぃ…」  
普段の彼女からは想像出来ないトロンとした表情と鼻にかかった声に僕は我慢が出来ず突き上げた。  
そして結合部からは赤いものが一筋垂れてくる。  
「あ、僕はなんて…真白ちゃんご…」  
「謝ったら許しませんよ。あと勿論演技です。」  
そういってチロっと舌を出す。目の端に涙を浮かべてはいたけれど。  
「これで、最後の心残りも晴れました。…動きますね。」  
彼女は膝立ちになると前後に揺さぶりだす。彼女の膣中は様々な快感を僕に送り込んできた。  
ひだがそれを撫でていき、収縮し僕を搾り取ろうとする。  
「あっ、はっ。」  
彼女の普段聞けない声…それを聞いているうちに僕の腰も自然と動いていた。  
僕の声と彼女の声のハーモニーが部屋を揺らす。  
 
「あっ、そこ。そこです。」  
さっき突き止めた彼女のもっとも感じるポイントを攻め続ける。  
彼女の膣中は窮屈だった。だけど、十分すぎるくらい濡れてい注挿に支障が出ることはなかった。  
「もっと、もっと下さい…んあっ。」  
彼女の腰を腕でガッチリと固定し突き上げる。再奥に達した。  
「奥。奥がいいんです。そこ。そこをもっと。」  
先にコツコツと当たるのが気持ちいい。  
彼女の矯正に気を良くした僕は更に突き上げのスピードを上げていく。  
やがて、僕にも限界が訪れる。  
「真白ちゃん、もう…」  
「はっ、私もいけそうです…ちょっと待ってくださいね。」  
彼女はしっかり足を地につけて動きはじめる。  
「胸。胸さわってください。」  
僕は言われるがままに彼女の胸に手を伸ばすと揉みほぐす。  
「気持ちいいです…よ。それにやっぱり優しい…」  
そして彼女は腰の動きを加速させていく。  
抜けそうなところギリギリまで腰を浮かすと、また深くまで腰を落とすのだ。  
それがどれくらい続いただろう。今度こそ限界だった。  
「真白ちゃん…!」  
「いいですよ、膣中で!私、今日…」  
僕はそれを聞いて、安心して膣中に放った。  
「危険日ですから…あ、暖かい…」  
…え?真白ちゃんは今なんて言ったのだろう。僕の頭は体とは対照的に冷え切っていた。  
「ま、真白ちゃん!?」  
声が上擦る。だけど彼女は僕の視線を受け流すと。扉を指差す。  
 
 
そこには…志乃ちゃんがいた、今までみたこともない雰囲気を放ちながら。  
「………何してるの?」  
ひいっ、志乃ちゃんが本気で怒ってる。僕は気圧されて何も出来ないでいた。  
「あら、早かったですね。もう少し時間がかかると思っていたのですが。」  
「………答えて。」  
「見て分からないほど頭が悪い方ではなかったはずですよ?  
ああ、私を殺害しようとしても無駄です。あらゆる可能性をこの部屋から廃除してありますから。」  
「………そう」  
「あのね、志乃ちゃん。これには理由が…」  
僕は弁明を図った。今更言い訳でしかないけれど。  
「………いい、あなたなんて…」  
 
そのとき真白ちゃんが  
「支倉さん、私は三人でも構わないんですよ?」  
と言い出した。いや、それは駄目だろう。僕は志乃ちゃんには普通の女の子になって欲しいんだ。  
「ちょっと、真白ちゃん…」  
「ねえ、私って女として魅力的ですよね。」  
止めようとした僕の声は遮られた。眼鏡の奥から覗く彼女の瞳には「処女奪ったんですよ、あなたは。」と書いてある。  
僕は渋々頷くしかなかった、いや魅力的だって言うのに嘘はないけれど。すると志乃ちゃんの雰囲気がまた変わる。  
志乃ちゃん、君は泣いているの?相変わらず無表情ではあったけど、その黒曜石のような瞳からは確かに悲しみが見てとれた。  
真白ちゃんが志乃ちゃんに駆け寄る。  
 
「支倉さん、自分の立ち位置が認識できましたか?」  
「………何のことか分からない。」  
本当は私の言わんとすることなんて分かっている癖に、支倉さんは意外と強情なんですね。でも、ここでこっちのペースに持ち込めないと都合が悪いんですよね。  
彼女と彼の関係がどうなるにせよ、彼女は何年がかりでも私を消そうとするのは間違いありませんから。  
「じゃあ、もう少し分かりやすくしてあげますよ。」  
「………」  
私は彼に向き直り、  
「支倉さんとしてみたいと思いませんか?」  
そう言った。  
 
真白ちゃんが志乃ちゃんと話し込み始めてから暫く経った。彼女は「私に任せておいてください。」と言っていたが、そろそろ僕としても限界だった。  
志乃ちゃん、僕は君に悲しい顔をさせたくないし、その悲しい顔をさせてしまっている理由が僕ならば尚更許せないんだ。  
真白ちゃんが僕に話しかけたのはそんな時だった。  
「支倉さんとしてみたいと思いませんか?」  
彼女は何を言っているのだろうか。いや、この状況で分からないほど鈍くもないけれどそれは許されないことだ。  
「真白ちゃん、君は何を」  
「端的に言うと性交渉です。」  
退路は塞がれてしまった。こんなときの彼女の手腕はさすがだと思う。尤も関心してる場合じゃないのだけれど。  
僕はここが志乃ちゃんとの関係の分水嶺だと思った。だから正直に言った。  
「真白ちゃん、君が何を勘違いしているのかは分からない。でも志乃ちゃんは僕にとって大切な女の子で、妹のような存在で…  
そう、家族なんだ。家族とそういうことはしないよ。」  
真白ちゃんは満足げに、そして不満げにしながら再び志乃ちゃんに向き直った。  
 
「だ、そうですよ支倉さん。まあ、予想通りの答えですね。」  
「………それが彼のいいところ。」  
「それは否定しませんが…考えてもみてください。私は彼の性的対象になりうる。支倉さんはならない。この断絶を許せるのですか。」  
この少女はそれを許さないという確信があった。彼の目にはまだ幼い少女に映っているのかもしれないが、この少女の精神は既に女だ。  
答えないところをみるとあと一歩というところだろう。だから私はその一歩を進めた。  
「支倉さん、私は彼に処女を捧げました。彼がそんな私を捨てると思いますか。」  
「………あなたの貞操観念がそこまで強いものだとは思わない。」  
「それは難しいところですが、これを一つの道具として考えた場合最も効果的に使えたのは確かですね。支倉さん、今私はあなたよりも優位です。」  
 
話がまとまったのだろう。真白ちゃんが志乃ちゃんを連れだってやってくる。  
「さあ、支倉さんを抱いてください。」  
「なんで!?」  
僕は仰天してしまった。どんな風に話がまとまればそうなるのだろう。  
「だからね、真白ちゃん。僕は志乃ちゃんの家族になりたいのであって…」  
「だからですよ。」  
真白ちゃんは我が意を得たりという顔になって言う。  
「前々から不思議だったんですよ。支倉さんに深く関わるなら友達でもいいのに、家族っていう括りで見てるのが。」  
「いや、それは志乃ちゃんの家庭の問題を鑑みて…。」  
「いえ、違いますね。矛盾してるように見えて、本当に家族になりたかったんですよ。貴方は。」  
真白ちゃんの言うことは相変わらず難しい。いや、今回はそれほどでもないのだけど、どこから切り崩せばいいのか分からなくなってしまっていた。  
でも…そこまで考えたときふと横でカサカサと音がするのに気がついた。  
「志乃ちゃん!?」  
志乃ちゃんは既に上半身には下着しか着けていない状態だった。その漆黒の瞳で僕を見据えて言う。  
「…あなたが嫌だというのならそれでもいい。そうすれば私は二度とあなたの前には現れない。元々それが自然だった。」  
僕はそれに答えられなかった。ここで答えを間違えれば志乃ちゃんは本当に僕の前から姿を消してしまうだろう。  
でも、それでもこれは許しちゃいけない。決意を固めて言葉を発しようとする僕の前に真白ちゃんが動いた。  
彼女は素早く志乃ちゃんに顔を寄せると、その唇を奪った。口の中を舌が這いまわっているのだろう。志乃ちゃんがなんとか逃れようと抵抗する。  
でもそんな抵抗も最初のうちだけで、最後には諦めたのか真白ちゃんに身を任せるがままになっていた。  
「支倉さん…可愛いですよ。」  
「………生臭い。」  
不快そうにそう言う。ちょっとショックだった。  
「あら、でもそれは彼の匂いですよ。」  
「…………」  
志乃ちゃんの顔に赤みが差す。どことなく嬉しそうなのは気のせいだろう。そうに違いない。  
僕は目を反らした。そんな僕の手を握って志乃ちゃんが言う。  
「…不快なことがあった。上書きして欲しい。」  
気がつけば志乃ちゃんの顔は目の前にあった。意志を感じさせる強い瞳は快楽に酔っていて焦点を失っていて、頬は上気していて不覚にも色気を感じてしまった。  
だから僕は彼女に口づけた。  
「……ふぁ。」  
最初はフレンチキスから、次第に舌で口内を嬲る。そして最後には舌を絡ませ合う。志乃ちゃんはすぐに応えてくれた。賢い子だと思う。  
真白ちゃんはいつのまにか志乃ちゃんの背後にまわって耳元に口を寄せていた。そして囁く。  
「支倉さん、あなたはこの部屋で何回自分でシたんですか?」  
志乃ちゃんの体がビクンと揺れる。それでも平静を装って僕とのキスはやめない。  
「バレないとでも思っていたんですか。偽装は完璧だったとは思いますが同性の目まで誤魔化せるものではありませんよ。」  
真白ちゃんの手が志乃ちゃんの胸をまさぐる。いきなり突起に触れることはせず周りをやんわりと揉みほぐしながらその半径を小さくしていく。そして…突然突起をつまみあげた。  
「………ん。」  
「これでも声をあげてくれませんか。ちょっとショックです。」  
真白ちゃんはどこか楽しげだ。しかしその言葉は本気だったのか更に愛撫は激しくなっていく。手でしているだけでは飽きてしまったのか胸に舌を這わせながら、手を下へ下へと滑らせていく。  
そして、その手が志乃ちゃんのスカートをたくしあげ、下着の中に触れようとした瞬間…志乃ちゃんが僕から唇を離して言った。  
「………そこに最初に触れていいのは彼だけ。」  
真白ちゃんは「あらまあ。」なんて言って手を引っ込めた。  
そして耳元で囁く。今度は先ほどと違い本気で僕に聞かせないようにしたのだろう。内容は聞き取れなかった。  
「………本当?」  
「はい、これは間違いありませんよ。」  
志乃ちゃんが僕から離れていく。もしかしたらこれで終わりかな…と思った僕の希望的観測は一瞬で打ち砕かれた。  
志乃ちゃんは立ち上がると、スカートの端を口で咥え、何かを期待した上目遣いを僕に向ける。  
「えっと…」  
これって…  
「ほら、何してるんですか。ここで甲斐性見せないといけませんよ。」  
ああ、真白ちゃんの差し金だったんだね。僕は志乃ちゃんのショーツをゆっくりと脱がした。  
 
そして、誰も触れたことのないそこに舌を這わせていく。反応は素直過ぎるくらいだった。  
志乃ちゃんを無表情だと感じる人たちもこの感情表現だけは見誤らないだろう。  
指で押し広げながら舌を差し込んでいく。その度に蠢く内壁が僕の舌を圧迫する。  
「うふふ、支倉さん。気持ちいいですか?気持ちいいに決まってますよね。」  
上から真白ちゃんの声が降ってくる。背後にまわって志乃ちゃんを嬲り始めたようだ。  
「ずっと望んでたことですもんね。ああ、スカートは離しちゃ駄目ですよ。そしたらきっと彼も許してくれません。」  
そんなことはないのだけれど、僕は目の前のことで手一杯だったし、その言葉で志乃ちゃんの感度も上がっていくのが分かったので放置することにした。  
やがて志乃ちゃんの最も感じてくれる場所を見つけた。そこを丁寧に舌で愛撫していく。  
「………ふ。」  
「声が出ちゃいますか?乳首もこんなに固くなってますもんね。支倉さん意外にエッチだったんですね。」  
「………ひが」  
「違う、ですか?違いませんよ。私だってこんなに乱れなかったのに。」  
よくいうよ、あれだけ…そう言いたかったけどそれを言うことは出来なかった。  
内壁の蠢きが一層激しくなってきたからだ。そろそろだろうと判断し、僕は志乃ちゃんの果実に軽く歯を立てた。  
「………にゃ!」  
ふわりと、僕の頭がスカートの中に包まれた。志乃ちゃんの足はガクガクと痙攣している。恐らくイってしまったのだと思う。  
「支倉さん、発情した猫みたいで可愛かったですよ。」  
「………狐のように舌がまわる女。」  
なんだかんだで捕食者の二人の餌食になる僕は兎あたりかな、なんて考えていた。  
 
「志乃ちゃん、もう一度確認するけど本当にいいんだね?」  
「………大丈夫。」  
僕は志乃ちゃんを横たえて、その上に覆い被さっていた。  
真白ちゃんは志乃ちゃんをいじれなくなってしまうのがつまらないのか他の体位を希望したのだけど、志乃ちゃんが視線で黙らせた。  
尤も「他にもやりようはありますから。」なんて不穏なことを言っていたけれど。  
僕は志乃ちゃんの膣中をかき分けていく。幼い志乃ちゃんの膣中は本当に狭くて本当に出来るのか不安になるくらいだ。そして、最後の壁を突き破った。  
「………くっ。」  
「志乃ちゃん、」  
大丈夫?、とは言えなかった。  
真白ちゃんが僕の唇を塞いでしまったからだ。舌先同士で挨拶を繰り返したかと思うと、僕の口蓋を犯し、口の中で暴れ回った。ちゅぽんと音を立てて放れると志乃ちゃんに向かって言う。  
「大丈夫に決まってますよ。ここで満足させられないようなら悪い狐に奪われちゃいますから。ああ、支倉さん。」  
「………何。」  
「あんまり声を出さないのも男性に対しては失礼に当たるみたいですよ。」  
「…そうなの?」  
僕に向かって言われても…。僕は曖昧な微笑で返すしかなかった。  
僕はゆっくりと腰を動かし始める。美しくて、すぐに壊れてしまいそうなそんな稀代の芸術品のような彼女を壊してしまわないように。  
真白ちゃんは僕の背中から僕の胸に手を這わせながら、初めての痛みに耐える志乃ちゃんを煽る。  
「支倉さん。念願が叶ってみてどうですか?貴方に去来したのは悦びですか?それとも絶望?」  
志乃ちゃんは答えない。  
「悦びならば全身で表現すべきですね。なんなら今からまた私とシてもいいんですよ?」  
最後の言葉は僕にあてたものだけど、明らかに志乃ちゃんに対する当てつけだった。それに反応して志乃ちゃんが痛みに耐えながら腰を動かし出す。  
僕は無理はして欲しくなかったけど、  
そう言っても多分志乃ちゃんは多分やめてくれないので痛みを快楽で打ち消すべく、志乃ちゃんの果実を指で弄び、志乃ちゃんの感じる場所を意識しながら腰の動きを早めていく。  
「……あっ、はぁ…。」  
それは果たして効果があったらしい。志乃ちゃんの膣中の蠢きが慌ただしくなる。ただでさえ狭い志乃ちゃんの膣中だ。僕はすぐに限界を迎えた。  
「志乃ちゃん、僕はもう…」  
「……問題……ない。」  
そうして僕は志乃ちゃんの中に精液を放った。  
 
なんだかんだで、三回も精液を放った僕はあの後すぐに寝てしまった。  
その際にも真白ちゃんと志乃ちゃん、どちらが布団を敷くかなどで諍いがあったのだけど、本当に疲れていたのでどうでもよかった。  
 
「…あなたは自己を完結させることを選んだはず。何故、彼を望む。」  
 
「たまに人肌が恋しくなることってあるじゃないですか。」  
 
「…ふざけて欲しくない。」  
 
「そうですね。私としてもうまく説明できません。言葉にもしたくありません。陳腐になりますから。」  
 
「…彼をあなたの兄のようにするつもり?」  
 
「さて、それはどうでしょうか。こわーい猫の騎士さんが彼を守っているようですし。ところで支倉さん。」  
 
「…何?」  
 
「先ほどから寝たふりを続ける狸さんにはどんな罰を与えるべきだと思いますか。」  
 
「…それはさっきから私も考えていた。明日一日学校を休んだところで挽回に問題はない。」  
 
「奇遇ですね。私もなんですよ。」  
 
僕はそれを聞いて内心冷や汗をかいていた。右手を真白ちゃん、左手を志乃ちゃんに抱きかかえられているこの状況。こんな状況でぐっすり眠るようなスキルはやっぱり僕にはないわけで。  
学業優秀の二人の間で単位のことを考えている僕に真白ちゃんが顔を寄せて囁く。  
 
「私にはどんな女の子になって欲しいですか?」  
 
終  
 

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