「大丈夫だよ、志乃ちゃん。志乃ちゃんほどじゃないけど僕も勉強はしてるから。」  
そんな会話から暫く後、僕は自分の見通しが完全に甘かったことを知る。  
先日からテストが返却され始めたが、そこには見るも無惨な点数が並んでいた。  
教授も僕が事件に巻き込まれていたことは知っているので、  
ある程度の考慮はしてくれるだろうがこうも頻繁に事件に巻き込まれていては  
それがいつ「祖母の葬式で…」と同レベルの言い訳と見なされるようになるかは分からない。  
そんなわけで僕は自棄酒をしていた。周りには開けてしまった缶が散乱し、  
つまみが散らかっている。  
こんな姿を志乃ちゃんに見せるわけにはいかないので今日は来ないように言ってある。  
渋っていたけど、最後に頷いてくれるあたりやっぱり可愛い女の子だと思う。  
だから僕は突然の闖入者に対応することが出来なかった。  
「おじゃましまーす。うわ、お酒臭いですねー。」  
「ん…真白ちゃんか。」  
彼女は普段通り頭に帽子を被り、顔に作り物の笑顔を貼り付けている。  
何故だか今日はその笑顔が無性に癪に障る…。  
「えーと、何かありましたか?話を聞くぐらいでしたら…」  
こんな化け物じみた頭脳を持つ人間に僕の苦悩なんて分からない。  
でも、やっぱり弱気になっていたんだと思う。僕は一部始終を話していた。  
「んー、ドイツ語ですか。難しいですよね。」  
果たして願いは通じたらしい。まさか共感してもらえるとは思わなかった。  
「私も文法はあらかた出来ますけど、やっぱりネイティブみたいな発音は出来ませんしね。」  
僕の勘違いだった。やっぱり彼女はレベルが違った。  
その後も彼女の独語に関する講釈は続いたけど、もう僕の耳にそれは届いていなかった。  
酔いのせいにするのは最低だと思うし、それをするつもりもない。  
だけど、少しでも理性がちゃんと働いていれば  
彼女に対して僻みからくる鬱屈した感情をぶつけることもなかったんだと思う。  
「前々から思ってたんだけど、真白ちゃんは矛盾してるよね。」  
「え…急に何を…」  
困惑した表情を浮かべる彼女に向かって僕は言葉を続ける。  
「自己を完結させたところで、他者からの視線はなくならないんだよ?  
本当にそれがしたいなら引き籠もりにでもなればいいじゃない。ねえ、なんでそれをしないの?」  
「いえ、それは…」  
「真白ちゃんは結局他人に定義してもらわなきゃ自分を認識出来ないんでしょ?」  
「…………」  
真白ちゃんが黙り込む。好きに言わせることにしたのだろう。  
それならそれでいい。僕は言葉を続ける。  
「じゃあ、僕が定義してあげるよ。真白ちゃん、君はただの可愛い女の子だ。」  
「きゃ…」  
真白ちゃんの細い腕を掴んで押し倒す。  
「何を…」  
「真白ちゃんの身体を望んでるだけだよ。それともやっぱりあれは虚勢?」  
「それは…」  
真白ちゃんが僕から顔を背ける。僕は彼女の耳に顔を近づけて囁く。  
「本当に嫌だったらやめてもいいんだよ?あれは子供の見栄でした、そう認めるだけでいい。  
でも、君はそう言わないと思う。賢い君のことだもの。  
男の部屋に一人で遊びに来るってことがどういう意味を持つかくらい把握してるはずだよね。」  
「……支倉さんのことはいいんですか。」  
僕は溜息をつく。  
 
「真白ちゃんは優しい子だね。でも、僕は今真白ちゃんと話してるんだよ。」  
そう言って僕は真白ちゃんの洋服を上着を脱がせていく。真白ちゃんは拒否しなかった。  
ブラをずらし、突起を刺激する。  
「真白ちゃん、自己主張が激しいね。期待していたの?」  
「…………」  
真白ちゃんはあくまで無反応だった。面白くなくなった僕は突起を刺激することをやめて、  
その周辺をゆっくりと指と舌を使って愛撫していく。決して乳首を直接刺激することはしない。  
そんな時間がどれくらい続いただろう。真白ちゃんの白い肌が色づき、震え出す。  
「…あの。」  
「なんだい、真白ちゃん。」  
「それ、じれったいです。その直接…。」  
「ああ、乳首を愛撫して欲しいの?」  
その一言で真白ちゃんの身体が震える。  
「真白ちゃん、人にものを頼むんだ。どうすればいいか分かるよね?」  
真白ちゃんが顔を伏せる。そして羞恥に打ち震えたあと、ゆっくりと言った。  
「乳首を…攻めて下さい…お願いします。」  
「よく出来ました。真白ちゃん、可愛いよ。」  
僕は彼女に笑いかけながら頭を撫でる。  
彼女がほっとした表情を浮かべたのを確認してから乳首への愛撫を始める。  
右の乳首を転がし、つまみあげ、左をジュルジュルと音を立てて吸い上げる。  
「…く…はっ」  
彼女が声を上げ始めるのを確認してから、手を下降させていく。  
鎖骨を撫で上げ、スカートをめくりあげて、彼女のショーツの中へと進入させる。  
まずは表面を撫で上げて濡れているのを確認してからゆっくりと彼女の秘所へと指を進入させていく。その過程で彼女の秘芯の皮を捲り上げて刺激するのも忘れない。  
最初はゆっくりとしたストロークで、次第に動きを速くしていく。  
彼女の中は窮屈だった。そしてそれが蠢き始めて、一層窮屈さを増したのを確認して動きを止める。  
「ねえ、見て真白ちゃん。指がこんなにベトベトになっちゃったよ。綺麗にしてくれるかな。」  
荒い息を吐いていた彼女の口にそれを近づけていくと、彼女は熱心にそれを舐め取り始めた。  
「ちゅ…ちゅぷ…なんれ」  
「ん、なんだい?」  
「なんれ…イカせてくれないんれすか」  
「聞きたいことがあったんだ。」  
出来るだけ優しい声色を作って話しかける。  
「ねえ、真白ちゃん随分感度がいいみたいだけど、どれくらいオナニーしてるの?」  
「…………!?」  
彼女の顔が驚愕に染まる。  
「ああ、してないなんて答えはなしだよ。つまらないからね。」  
「…………」  
「ねえ、真白ちゃん。気持ちよくなりたくない?」  
じゅるるるるっ、胸を思い切り吸い上げると彼女の腰が浮いた。  
真白ちゃんはしばし思案していたようだがやがて口を開いた。  
「…月に一回くらいです。」  
僕は胸への全ての愛撫をやめ、彼女の口から指を抜き出した。  
彼女は疑問符を浮かべてこっちを見ている。  
「真白ちゃん、嘘つきにあげるご褒美はないよ。」  
彼女の顔がさらに色濃い羞恥に染まる。そしてさっきよりも長い思案のあと呟くような声音で言う。  
 
「その…二日に一回…」  
「へえ、何を考えてどうやってやるの?」  
「そんな…正直に答えたのに。」  
真白ちゃんへの愛撫を再開させながら、真白ちゃんの目を見て言う。  
「どうせなら真白ちゃんに気持ちよくなって欲しいんだ。真白ちゃん、教えて。」  
真白ちゃんは既に顔を手で覆っていた。そ  
して聞き取れるか聞き取れないかぐらいの声でゆっくりと話し始める。  
「あなたに…優しく頭を撫でられながら…はっ…キスしてもらって…」  
「それはこんな具合?」  
彼女の頭を撫でながら、ゆっくりと顔を覆っていた手をどける。  
そして彼女に口づけ、舌を絡ませる。  
「はひ…それで、最初は入り口の辺りを撫でながらゆっくりと指を抜き差ししていって…  
れる…Gスポットとクリトリスを重点的に…はふ…ます。」  
僕は彼女の言う通りに、指を動かした。やがて指がざらざらとした地帯を見つける。  
これが彼女のGスポットだろう。そこを激しく指で刺激してやると彼女の呼吸が荒くなってくる。  
もう限界だろうと判断し、クリトリスを摘み上げてやる。  
「ふぁ…あ、あっ、んっ…。」  
舌がちゅぽんと音を立てて離れる。イってしまったのだろう。  
彼女は快楽の波に漂う目で虚空を眺めている。だけど、これくらいじゃ許してあげない。  
「ねえ、真白ちゃん一人でイっちゃったの?それってずるくないかな。」  
「…………」  
「ねえ、真白ちゃん。僕も気持ちよくしてよ。」  
僕は彼女の手をとってゆっくりと膝立ちにさせると既に直立不動になっていたそれを  
彼女の顔に近づける。彼女はそれを手に取るとゆっくりと扱き始めた。  
「ちょっと痛いかな。真白ちゃん、滑りをよくしてくれるかな。」  
真白ちゃんはこちらを上目遣いで眺めたあと、こちらの意を汲んで  
口のなかで作り出した唾液を僕のそれに垂らし、扱く。  
実際、彼女は上手だった。竿全体を扱いていたかと思うと、  
亀頭を丹念に攻め上げこちらの欲望を満たしてくれる。  
だけど、やっぱり手だけじゃ物足りなくなってくる。  
「真白ちゃん、しゃぶってよ。」  
さすがにこれには彼女も驚いたらしい。だけど、ここで引くつもりもない。  
「ねえ、真白ちゃん。本番、したいでしょ?」  
「……あむ。んっ、ちゅ、じゅ、ん。」  
真白ちゃんが僕のものを咥え込む。  
その小さい口内に納められたそれは真白ちゃんの頬を膨らませながら自己主張をしている。  
舌が竿を刺激し、尿道口をくすぐる。その間も手で刺激を加え続けることはやめない。  
「真白ちゃん、歯を立てちゃ駄目だよ。そしたらしてあげないからね。」  
「はひ…わかりまひた。」  
真白ちゃんの瞳が更に焦点を失っていく。それと共に愛撫が激しくなっていく。  
もう限界だった。  
「真白ちゃん、イクけど零しちゃ駄目だよ。」  
「…………」  
言葉に対してかえってきたのは一層激しい愛撫だった。  
そしてこちらの状況を把握しているかのように的確なタイミングで思い切り吸い上げた。  
「ズジュ、んっ、ズュジュウウウウウウウウ。」  
 
「くっ。」  
僕は彼女の口内に思い切り精液をぶちまけた。  
彼女はそれを口の中の唾液と混ぜて飲み干すと「これでいいですか」と上目遣いで訪ねてきた。  
だから僕は彼女を抱きしめて頭を撫でてやった。  
そして彼女をゆっくりと押し倒すと未だ萎えることのないそれを彼女の秘所に押し当て、  
そこで止める。  
「お願いします、私のことを…めちゃくちゃに…して。」  
こちらの意図を汲んだ彼女が言葉を発する。だから僕はご褒美として思い切り突き入れてあげた。  
「ん、はっ…」  
彼女の矯正が響く。普段冷静な彼女のそんな声はそれだけでも僕を高めていく。  
それに加えて前戯に時間をかけたのがよかったのか、彼女の中はきゅうきゅうとしめつけてくる。  
「んっ…あの…お願いが…はっ。」  
僕が一心不乱に腰を振っていると彼女がそう声をかけてくる。  
僕は優しい顔を作って彼女に向けたが、野獣のような顔がせいぜいだっただろう。  
「真白って…くうっ…呼んで…ください。」  
言い終わると共に真白ちゃんの膣中がきゅっきゅっと締まる。  
だから僕は望みに応えてあげる。彼女の望んだ以上の形で。  
「ああ…分かったよ真白。」  
彼女の膣中が締め付けを増す。だけどこれだけじゃ終わらない。終わらせてあげない。  
激しいピストン運動をゆっくりとしたものに変えながら真白に訪ねる。  
「なあ、真白。イキたいか?」  
「え…はぁ…はい。」  
彼女は「何を今更?」という顔で僕を見てくる。  
「これから僕の言うことにうんって答えたらイカせてあげるよ。」  
真白の目が輝く。だから僕は言葉を続ける。  
「なあ、真白。僕の女になれよ。」  
真白の顔から血の気がひいていく。でもここで冷静になんてさせてあげない。  
僕は腰をやんわり動かしながら、クリトリスを指で刺激する。  
そして膣中の収縮からイク直前を判断して愛撫をやめることを繰り返す。  
やがて、目が完全に焦点を失い、口からだらしなく涎を垂らし始めたころ  
ようやく真白が「はい。」と肯定した。  
僕はご褒美として頭を撫でてあげた後、思いっきり腰を打ち付け始める。  
「あっ、はっ、ひゃっ」  
「真白、一人でイクなよ。一緒にいくぞ。」  
「は、はひっ。」  
そして僕は彼女の中に精液を放った。  
 
翌朝、真白ちゃんから事の顛末を聞いた僕はその場で真白ちゃんに土下座した。  
それくらいで許してもらえるとは思ってなかったけど、  
彼女の返答はあっけらかんとしたものだった。  
「いえ、別に気にしてませんよ。ただ私が気にしてるのはですねえ。」  
「なんだい、真白ちゃん。」  
「それです。なんで真白って呼び捨ててくれないんですか。」  
「いや、だってアレは酔ってたからで…」  
僕も後から聞いて驚いたのだけど、僕は彼女を呼び捨てていたらしい。  
「酔ってようが、酔っていまいが私のヴァージンは帰ってこないんですが。」  
笑顔なのに、目が笑っていないという表現がこれほどピタリとくる人物も他にいないと思う。  
「ま、真白…」  
「次きょどきょどしたら、レイプ犯が一人誕生しちゃいそうな予感がしますね。」  
「真白!」  
「はい、よくできました。あとお願いなのですが…」  
僕は何故か彼女の頭を撫でていた。やっぱり彼女の考えることはよく分からない。  
「他人を動かすのもいいですが、たまには組み敷かれるのも悪くないですね。」  
何か怖いことを言っていた気がするが、彼女が幸せそうなのでまあいいのだろう。  
 
終  
 

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