僕は真白ちゃんの希望を通した。仮面優等生ルートに入る。  
「ふう、安心したわ。ほれ、シノシノ帰るで。」  
「…………」  
立ち上がりながら先輩が志乃ちゃんに促す。安心ってどういう…?  
志乃ちゃんはぽつりと「…最悪。」と漏らしたあと帰って行った。  
 
そして部屋には僕と真白ちゃんだけが残された。  
いいタイミングだろう。僕は彼女たちの真意を尋ねることにした。  
「真白ちゃん、これってどういう…」  
「ああ、もう少しそのままでいていただけますか?」  
いきなり言葉を制されてしまった僕はモニタに向き直る。  
モニタではヒロインの痴態が繰り広げられていた。  
嘘をいくつも折り重ねた彼女の言葉の中から本当の気持ちを見つけ出した主人公。  
美談ではあると思う。そうしていると真白ちゃんが僕の目の前に現れた。  
「ああ、髪をほどいたんだね。」  
彼女は髪をほどいていた。  
普段彼女を歳相応に見せているその髪型はほどくと、その効力を失う。  
ウェーブがかった銀髪は僕に彼女の年齢を見失わせて妖艶な魅力を感じさせる。  
尤も、以前にあんなことがあった関係で僕には一種の恐怖も刷り込まれていたんだけど。  
それを知ってか、知らずか真白ちゃんが  
「失礼しますね。」なんて言って僕のベルトに手をかけ、  
カチャカチャやっていたかと思うとあっという間に僕の下半身を露出させてしまった。  
「わあ、もう大きくなってますね。」  
「真白ちゃん、君は何を考えているの?」  
目の前の彼女は僕のものにゆっくりと手を這わせながら答える。  
「いえいえ、何か疑問に思うところでも?」  
「疑問だらけだよ…」  
真白ちゃんの手を止めようとする僕の手をやんわりと制しながら、ゆっくりと話し始める。  
「本当のことってなんだと思いますか。」  
「いくらなんでも抽象的過ぎるよ…。」  
彼女のこういった物言いは今に始まったことではない。  
でも、今はそんな議論を交わしている場合でもないと思う。  
「私は結果は原因に内包されていると考えます。  
逆説的に結果よければ全てよしということですね。」  
「真白ちゃん、それは…」  
彼女が僕の顔に顔を近づけ、目を見据えて言う。  
「ここで拒否するようなら、あなたは私が嫌いだと判断します。  
私は抱く価値もない女ですか。」  
彼女の目は笑っていなかった。僕はその目に…呑まれた。  
「よかったです…。続けますけど、ゲームの進行をストップさせちゃ駄目ですよ?」  
「え…」  
僕が抗議の声をあげる前に真白ちゃんの唇が僕の唇を奪った。  
そしてゆっくりと唾液を絡ませた舌を送り込んでくる。  
この段に至ってもう僕にそれを拒否する精神的な強さは残っていなかった。  
くちゅ、くちゅと口元を濡らしながら僕のものを扱くことはやめない。  
今は手で輪を作って、ゆっくりとそれを通していた。  
正直物足りなかった。そんな僕の感情に気がついた、  
はたまたこうなるように仕組んでいたのか。真白ちゃんが僕から唇を離して言う。  
 
「ちょっと滑りが足りませんね。湿らせてくれますか。」  
そう言って僕の口の中にゆっくりと人差し指を指し込んでくる。  
僕はここに至っても彼女の言いつけを守りゲームを進行させ続けていた。  
スピーカーの中から聞こえてくる嬌声と、  
オアズケを食らわされたことで追い詰められていたのかもしれない。  
僕は彼女の言葉に従って彼女の指に対する愛撫を開始していた。  
彼女は「くすぐったいです。」なんて言いながら僕の首筋に唇を這わせ、  
ちゅうううと思いっきり、吸い上げたかと思うと、最後に軽く歯を立てた。  
「さて、よく出来ましたね。ご褒美をあげますよ。」  
そういって彼女が僕の唾液に濡れた指をゆっくりと下半身へと滑らせていき、  
そしてものを撫で上げる。僕はそれがかつてないほどの熱を持っているのを感じた。  
これだけの間オアズケをくらわされた結果、僕の頭には血が上ってくらくらしていたくらいだ。  
彼女はさおに僕の唾液をまぶしながらゆっくりと手を這わせていたかと思うと、  
露出した亀頭を丹念に攻め始めた。  
くちゅくちゅと音を立てながらそこを嬲っていたかと思うと、  
もう片方の手で睾丸をやわやわと弄ぶ。  
(このままじゃ…!?)  
一方的にイカされてしまう。  
そう考えたとき、僕はゲームの中にAUTOというボタンを見つけた。  
もしや、と思い押してみるとゲームがオート進行になる。  
これで彼女に手を出してもルール違反にならないはずだったが、気がつくのが遅かった。  
「真白ちゃん…僕は…!」  
真白ちゃんに限界を伝える。真白ちゃんは僕をイカせてしまうだろう。  
案外、それで終わりにするのもいいかもしれない。  
だけど、返ってきた答えは残酷で、それでいて優しいものだった。  
「駄目ですよ。」  
彼女は目を細めると、僕のものの根本を握りしめ、僕が達するのを防いだ。  
そして、僕が青くなっているのを見ると、「よく出来ました」と言って口づけた。  
 
「顔を見ながらがいいんです。」  
僕は彼女の希望を通した。  
脚を伸ばすと彼女を膝の上に乗せてやる。  
僕のものはもうすでに破裂寸前でこれ以上前戯は必要なかった。  
真白ちゃんも僕を征服しているという感覚に酔っていたのか、やはり前戯は必要なかった。  
「じゃあ、いきますけど、すぐにイっちゃ嫌ですよ。」  
彼女は僕に笑顔を向けると、目を瞑りゆっくりと腰を落としていく。  
最後の壁に至って暫く躊躇していたが、ゆっくりと時間をかけてリラックスすると、  
体重に任せてストンと僕のものを最奥に届かせた。  
真白ちゃんは暫くその痛みに耐えていたがやがて、  
それにも慣れてきたのかゆっくりと腰を揺さぶり始める。僕もそれに任せるがままにする。  
「真白ちゃん、何もしてないのに濡れてるね…」  
「…言葉は…はう…いりませんよ…」  
彼女の言葉を確認すると僕はゆっくりと腰を打ち付けるスピードを上げていく。  
抱き合った彼女の肌は既に熱を持っていて、時折玉のような汗がその白い肌を伝った。  
僕はオアズケを食らっていた間に限界を迎えていたのですぐに達しそうになってしまったけど、  
それもなんだか悔しい気がしたので結合部に手を這わして彼女の陰部をまさぐる。  
 
僕のものと、そして指が挿入された彼女の陰部からはすぐに歓喜の収縮が伝わってきた。  
「はん…はあ…あん…」  
彼女の嬌声とスピーカーから流れる嬌声がユニゾンを奏で始める。  
彼女もこの異様な空間に酔い始めているのだろう。  
それを確認した僕は一気にラストスパートへと移る。  
彼女の腰を腕でしっかりと固定すると、腰を打ち付けるスピードをどんどん上げていく。  
ものが抜ける寸前まで引っ張り、彼女の入り口を弄んでから、最奥まで思い切り打ち付ける。  
「も、もう駄目です。」  
最初に音をあげたのは真白ちゃんだった。  
それでも、ここまで弄られたのがちょっと癪にさわっていたのだと思う。  
悪戯心を起こした僕はそれでもやめてあげない。  
「く、く、くうう…!」  
真白ちゃんが達した。それと共に真白ちゃんの膣中が激しく蠢く。  
そしてその時彼女の最奥を突いていた僕のものは呆気なくその収縮に絡め取られ、  
同時に僕らは達した。  
 
「ですから、賭けだったんですよ。」  
事を終えた僕は真白ちゃんに今回の事の顛末を聞いていた。  
要するに各ヒロインにそれぞれが自分を投影する部分を見つけたので、  
僕がどのヒロインを選ぶかを試していたらしい。  
「…とはいえ、ただのゲームだよ?」  
僕は呆れていた。そして、今気がついた疑問を口に出す。  
「まさか、他のみんなもここまでするつもりだったの?」  
「いえいえ、これは私の独断です。」  
僕はほっとした。いくらなんでも志乃ちゃんや先輩がここまでするわけないだろう。  
僕のそんな顔を見た真白ちゃんは笑っていたけど、何故か呆れているようだった。  
 
終  
 
 

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