「志乃ちゃん、もうすぐ誕生日だね。こういう事を本人に聞くのは本当はよくないと思うんだけど……
プレゼント、何か欲しいものある?」
「何でもいいの?」
「何でもいいよ。志乃ちゃん、毎年毎年自発的に何か欲しいって言ったりしないでしょ?
一緒に買い物に行ってその流れでっていうパターンばっかりだったからさ。
欲しいものがあるのなら、何でも買ってあげる」
「――――分かった。でも、安心していい。お金はかからないから」
「いやだなあ、僕だってもう昔みたいな貧乏学生じゃないんだから、ちょっとやそっとの金額じゃあ」
「そうではなくて。お金はかからないけれど、とても価値のあるものだ」
「……気になるなぁ、何が欲しいの?」
「貴方を、下さい」
「え」
「貴方の人生が、心が、身体が欲しい。他の女性に気持ちを向けないで。私だけを見て」