もしも詩葉が「彼」の事がもっと好きだったら  
 
 
 
どうやら「彼」は言い争ってる2人に対して「修羅場」であると感じているようです。  
実際、必死に仲裁しようとしてるのは見てとれますし。  
でも、気づいてしまえば静かな方も怖いものですよ。はっきり言ってあちらを仲裁すればどうにかしてくれるなら、五分で片づけますよ。  
一応、普段通りなふりをしていますが正直、限界です。  
理不尽なのはわかりますが気づいて貰えませんかね。  
私一人だけ、地雷原を歩かされている気分です。実際に爆発したら、一番被害が及ぶのは多分「彼」でしょうけど。  
何があったのか知りませんが支倉さんの周りだけ、空気が異常です。  
「あの、……支倉さん?」  
どうしたのかと言外に問いかけます。  
「手紙」  
「えっ?」  
「どこの誰だか知らないけど、」  
そこで一度区切る。ちなみに「彼」は児戯のような「修羅場」に夢中でこちらにはまったく気づいてません。  
「意味があったのは前文だけで、後は惚気」  
「それは、嫌ですね。でも支倉さんがその程度の事で心を動かされるなんて……」  
「違う」  
えっ、何がですか?  
「色々な暗号で、惚気の文章を読み解くと……」  
「えっと、前文と同じだったとかですか?」  
「別の惚気が出来上がった」  
「……」  
「そして、見透かしたように私への嫌みも書いてあった。暗号で」  
「それは何て?」  
「『ボクは君の娘を作れなくてごめんね。でも、変わりにしても似てないね』」  
恐らく、「彼」が気づかない事まで織り込んだどなたか。せめて出てきて直接やりあって下さい。  
 
 

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