なんでこうなるの!?休戦になって条約結ばれたからって…  
 
私は今凱羅族の城にいる。囚われた訳ではない。招待されたのだ。  
案内役のクリップという「ろぼっと」について行く私達。  
 
サイガ:凱羅族は凄いな…我々の想像もつかない「めかにずむ」とやらで身を固めてると  
     聞いていたがコレほどとは…  
ミヤビ:キョロキョロしないのっ 田舎モノみたいじゃないの!  
 
大きな扉の前で、本来凱羅の王になるべきだった男が私達を迎える。  
 
シリウス:ようこそ!聖竜族の代表よ さぁコチラへ参られよ!  
サイガ:輝煌王自ら出迎えとは…恐縮だ  
シリウス:堅苦しいアイサツは無しにしようではないか 食事の用意が出来ている これからの  
      コトも含め大いに語ろうではないか  
 
…元敵だったこの男、なかなかに切り替えが早く好感が持てる。凱羅族自体も問題は無い。  
問題なのは…  
 
ポラリス:よ・よ・よく来たな二人共 そちらに席を用意してある は・はやく掛けるといい  
サイガ:ありがとう 国の王としてぜひキミと話してみたいと思っていたところだ  
ポラリス:う・うむ   
 
その男の妹にして凱羅の王…  
 
直接闘った訳じゃない。でもこの女のサイガに対する態度は  
あからさまにアレだ!黙って見過ごしてなんかやらないんだかっ!  
 
サイガ:今度はぜひアナタ方も聖龍領地にご招待したい  
シリウス:おぉそれは願っても無いコトだ 東の地は自然に恵まれた地と聞く  
      ぜひ見てみたいものだ  
ポラリス:ホラ さ・皿が空きっぱなしだぞ 遠慮せず食べるがいい  
 
私を太らせようって魂胆!?地味な嫌がらせをォォォォ!!!!  
でも食べないままでも…サイガのメンツもあるし…  
 
ミヤビ:ゴメンナサイ 食事控えてるので少しだけいただくわね  
ポラリス:ぬ!?体調でもおかしいのか?  
ミヤビ:いえ ダイエットを少々…  
 
みなまで言わすな!  
 
サイガ:ン?昨日景気よくオカワリし…(弾丸のごとく札が頬をかすめる)  
     …てたのはテッシンか うん  
 
空気読んでよ空気!  
 
ポラリス:無茶なダイエットは体に良くないそうだ 体調と相談した方がイイかもしれんぞ?  
ミヤビ:ご親切にどうも  
 
あぁ…早く帰りたい…  
 
ポラリス:そ・そ・そうだ ミヤビどの良かったら部屋に来ないか?  
ミヤビ:は?  
ポラリス:いや・その・あの…我々の服や防具が合うか見てもらいたくてな  
シリウス:私からもお願いしてイイだろうか?なにぶん女性の服となると  
      我々では手が出せないのでな  
 
御付きの鎧二人も相槌を打っている。  
 
サイガ:ついでにこっちの服が合うかも見てもらったらいいじゃないか  
 
駄目押し…もー…  
そして私はあの女の部屋にいる。のだが…  
 
リボンでフリル!?  
 
え?ピンク?  
 
意外と言うか…予想外と言うか…ポラリスの部屋はまるでお姫様の部屋…で…(絶句)  
 
ポラリス:あー…そのなんだ…イメージと違ったか?  
ミヤビ:…え…えぇ… あ・いや;  
ポラリス:いや それが普通の反応なのだろうでも私も一応女でこういう可愛い物とかに  
      興味があったりでな…  
 
…なにこの変な違和感…あの女の顔…サイガ見てる時の顔?え?  
 
ポラリス:普通の女の様に恋愛とかにも興味があってだな…  
ミヤビ:は・はぁ;  
ポラリス:あの…そのだな…一目ボレなのだ…  
ミヤビ:なななんですってぇ!?  
ポラリス:好きになってしまったのだ…  
 
やっぱりこの女…!  
 
ポラリス:ミヤビどのっ!友達で良いのだ!付き合ってくれないか?  
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?  
私の中で異国の3人組が「な・なんだってー!?」と叫びまくっていた。  
 
 
ミヤビ:ちょっ…ななな何言ってんの!?  
ポラリス:私は本気だ! 休戦が決まる前に戦場でアナタを見た…  
      サイガをサポートしながら戦うその姿は…まるで舞っている  
      様だった 私は初めて他者に心を奪われたのだ…!  
 
つつつつまりなに?サイガに向けてた(様に見えた)あの視線はアタシだったってぇーの?  
冗談じゃないわよ!こっちはライバル視(一方的だが)してた訳でそんでもって…うわ!  
何でこっちににじり寄ってんのよ!ちょっ…まっ…!!  
 
ポラリス:もう自分が押さえられないのだ!  
ミヤビ:いぃいぃーーーーやぁああぁぁあ〜〜〜〜〜!!!  
 
 
サイガ:ん?  
シリウス:どうされた?  
サイガ:いや…何か聞こえた気が…???  
シリウス:空耳ではないか?  
サイガ:かな…?  
 
 
サイガったら本当に鈍感だ…アタシに向けられた視線にも気づかなければ  
今まさにこんなになってる幼馴染の危機にも気づかない。いや、別に危害を  
加えられたワケじゃあない…えーと、その、抱きしめられて動けないのだ;  
 
ポラリス:あぁ…ついに…憧れてた人を抱きしめることが出来た…  
      こんなに嬉しいことは無い…  
ミヤビ:フォォォォォォオオ!?んがふっ!ふんがが!!  
 
この女…見た目よりも胸がデカイ!しかもものすごい腕力!頭が潰れてしまいそうだ!!  
離せ!離せ離せ!!ダメだァー!全然振りほどけない!!!  
 
ポラリス:この巻いた角がまたたまらん…カワイらしい…あぁもぉっ!!  
 
指でなぞるなッッ!くすぐったいっっ!  
 
ポラリス:ミヤビ殿…やはり私を変だと思うか?私との付き合いは・・・出来そうも無いか?  
 
!?  
 
ポラリス:わ・私は…私は…  
 
…ポラリスが…泣いてる?なんで?  
 
ポラリス:私は…産まれてこのかた同じ年頃の友達を持てたためしがない…  
      自分が王族のせいもあるし…今回の戦の件もあって…そんな余裕すら  
      無かったのだ…うっ…えぐっ…  
ミヤビ:あ・あのさ…苦しいから…ちょっと離して…  
ポラリス:ぅあ!すまない!あまりのコトに我を忘れてた!!;  
 
なんか、拍子抜けと言うか、意外だと言うか。  
涙をこらえでくしゃっくしゃになったポラリスはアタシと同じ普通の女の子だった。  
 
ミヤビ:あのさ…友達なら…いいよ?  
ポラリス:!?  
ミヤビ:あまり強く抱きしめたりとかしないなら ね  
ポラリス:あ・う・すまない 痛かったか?  
ミヤビ:胸がおっきかったから苦しかったw  
 
二人で笑った。まるで昔からの友達の様に。  
 
 
 
 
帰路につき、飛電の上からあの国を見下ろす。  
またこの国に来る理由が出来た。  
以前のアタシなら思いもよらないことだ。  
凱羅の国は敵の領地ではなく、友がいる大切な国になった。  
この戦が完全に終わったら…また遊びに来てもイイかな、なんて。  
 
 
 
==ミヤビの日記 終==  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アスタロット:んーな簡単に終わるワケ無いでしょ?  
        せいぜいつかの間の平和楽しんでなさいなw  
 

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