(バトルロイヤル編・開始〜!)  
 
 
一同は人工芝のマットの上に乗った。10m四方ぐらいはあるだろうか。  
一応、プロレスのリング並みにはある。人工芝の下にも厚めのスポンジマットレスが  
引いてあり、倒れても怪我をすることは無いだろう。ただし、ロープは当然無いので、  
コンクリート部に放り投げるのは禁止だ。無論、プールに放り込むのはOKだが。  
特徴としては、プールサイドにある水に濡れた人工芝と言うことで足の踏ん張りが  
利かずに滑りやすい事と、一旦滑ると摩擦係数が0に近いのでそのまま場外(或いは  
プール)へ直行してしまう事か。  
 
「さて、まずは誰から狙おうかな〜〜?」  
亜沙がキョロキョロと獲物を探すが……みんな何故か、動きが鈍い。  
良く見ると股間近辺に手をやり、足をそわそわと内股にしたり、元に戻したり……。  
「どうしたの、みんな? 変にもじもじして……」  
亜沙がきょとんとして聞くと、  
「だって……あんなルール聞いたら……」  
「ねぇ……」  
楓と麻弓が顔を見合す。さらに視線は下に行く。  
「もしかして、ボクが言った『急所攻撃』を警戒してるの?」  
亜沙の問いに下級生達は頬を染めて俯く。  
「でも、お互いに引け腰じゃ試合になりませんわ」  
カレハが珍しく真っ当な事を言う。  
「それはそうですけど……」  
ネリネも不安そうだ。プリムラはこんな際でもあまり表情を変えない。  
 
「だったら、最初は電気あんまから始めるのはどう?」  
突然シアが提案したのでみんながそちらを向く。  
「シアちゃん……?」  
ネリネが何か言いたそうにする。  
シアはなにかやたらと落ち着いていた。股間打ちは既に経験しているからか?   
と言うより、ついさっきまでとは別人の様に大人びた感じだ。  
 
「シアちゃん、最初は電気あんまからって……どうするの?」  
亜沙もシアの変化に気づきながら、それには触れず、問う。  
「そうね……。例えば……」  
シアはにやっと一同を見渡す。  
「じゃんけんで勝負して、勝った人4人が負けた人3人に電気あんまされてる状態で  
始めるの。負けた子は勿論不利だけど、それはそれで面白いんじゃない?」  
「ふぅん……」  
亜沙は少し考える。確かに面白そうだ。勝負運も左右するギャンブル的な面白さも  
あり、このアイデアは亜沙は気に入った。  
 
「私、賛成。じゃんけんなら負けないよ!」  
麻弓が手を上げる。確かに彼女はそういう勝負勘が必要なゲームは強そうなイメージだ。  
「う……私は……」  
「う〜〜ん……」  
悩んでいるのはネリネと楓だった。二人ともじゃんけんには余り自信はない。  
そもそも、じゃんけんは運が左右するが、幸運とは基本的に神の祝福である。  
その対極にあるネリネが運に恵まれるとも考えにくい。  
楓については勝負勘が全く無かった。そもそも彼女はいつも自分から一歩引いてしまう  
ので、普段でもじゃんけん勝負の段階で自ら負け組に入ってしまう子なのだ。  
 
だが、時の運とは異なもの。  
 
「いい? いくよ〜! じゃ〜んけ〜ん……」  
「「「「「「「ぽん!」」」」」」」  
「げっ!?」  
「やっぱり……負けちゃった」  
「よし、おっけ〜!」  
「まぁ、まぁ、まぁ〜! どうしましょう!?」  
「……当然ね」  
「か……勝ち……ですよね?」  
「……勝ち……」  
 
『ぐー』を出したのがシア・プリムラ・ネリネ・亜沙の4人、そして『ちょき』を  
出したのが楓・シア・カレハ。じゃんけんに弱いネリネが勝ち、自信を持っていた  
麻弓が負け組となった。シアや楓は順当だが神の祝福がありそうなカレハは負けている。  
 
「う〜〜……残念。しょうがないか……。じゃあ、誰が誰に電気あんまするの?」  
麻弓が残念そうに周囲に問いかけると、  
「あたしは楓にするわ」  
シアが即座に言った。一同がちょっと驚く。いきなりの指名の上、『あたし』  
『楓』などいつものシアと違う口調に、首を傾げたり顔を見合わせたりしている。  
だが、それほど気に留めることでもなかったし、反対する理由もないので、彼女の  
希望を認めることにする。  
 
シアはじっと楓の顔をじっと見つめていた。  
「な、なんですか?」  
「…………」  
楓の問いに返事もせず、視線はゆっくりと下がり、楓の白ビキニのなだらかな丘の辺り、  
三角地帯でぴたっと止まった。  
「し、シアさん……?」  
露骨に自分の大事な所を見つめられて楓が足をもじもじさせる。これから電気あんま  
されるのは自分……。その相手であるシアのねちっこい視線に身の晒していると、  
なんとも言いようのない不安に襲われる。  
 
「じゃあ、私は……リンちゃんにされたいな♪」  
麻弓がにんまりとネリネを見る。なんと逆指名だ。  
「わ、私ですか……? でも……」  
逆指名されたネリネが困惑するが、これも断る理由が特にない。  
「分かりました。私のお相手は麻弓さんで……」  
「いいの? フフフ……可愛がってね♪」  
麻弓の悪戯っぽい視線に、ネリネは逆にオロオロしてしまう。  
 
「じゃあボク達がカレハを二人掛りで責めるんだね?」  
楽しそうに亜沙がプリムラを抱く。プリムラは無表情のままだ。  
「ま……まぁ……どうしましょう……」  
さっきまでの妄想と違い、本当に顔を赤らめて恥かしそうな仕草のカレハ。  
いきなり自分がエッチな技で責められるのが現実味を帯びてきて、戸惑っているか。  
しかも攻め手は親友の亜沙と年下のプリムラなのだ。  
 
「リムちゃん、電気あんまのやり方、じっくりと教えてあげるからね♪」  
「…………」  
コクリと頷くプリムラ。その視線は既にカレハを捉えて離さなかった。幼女?に  
無表情に見つめられ、カレハは取り乱したりはしないものの、少しずつ変化が見える。  
亜沙はそれを見逃さなかった。  
 
「じゃあ、みんな位置について。電気あんまバトルロイヤル、開始〜!」  
やられる側の麻弓に替わって亜沙が元気良く開始宣言した。  
 
 
         *         *          *  
 
 
「楓、覚悟はいい? ……なんてね♪」  
「…………」  
シアの言い分に何か険を感じてしまう楓。今まではそんな事はなかった。  
シアとは趣味も合うし、彼女の明るい性格は稟だけでなく、楓も元気にして  
くれていた。その性格が明らかに変わっている様に楓には見える。180度違う  
と言っても良い。皮肉な笑みがその印象を更に強くする。  
 
「シアさんは……そんな笑い方をしません」  
「そう……? でも、私はシアよ。どこからどう見てもそうに見えない?」  
クスクスと忍び笑いするシア。確かにどこからどう見てもシアだ。それは間違いない。  
「では……どうして私はあなたに違和感を感じるのでしょう?」  
挑戦的とも言える視線で楓はシアを見る。  
「さぁね……。それより、早く足を広げてよ。電気あんまされるの、そんなに怖い?」  
「…………」  
それ以上は何も言わず、楓はシアと向かい合わせに座り、両足を広げた。股間に  
足を割り入れられた時、一瞬、不安そうな表情を見せたが、すぐに気を持ち直したかの  
ようにポーカーフェイスを装う。  
 
だが、シアはその様子を見逃さなかった。  
「強がってても、やっぱり不安なのね……女の子の急所だもん、仕方ないけどね」  
「目敏いんですね」  
「そうよ、あたしは意地悪な女だもん。シアはこんな事言わないんだっけ?」  
「……早く始めたらどうですか? ……はぅ!」  
「言われなくてもね……クスクス」  
何の前触れも無しでシアは楓に電気あんまを開始した。焦らせておくと見せかけて  
いきなりする。シアはこんなに意地悪だっただろうか?  
 
「ああああああ〜〜!!! だ、だめです……はぁん!」  
「そう、その調子。リムちゃん上手いじゃない♪」  
楓たちの隣ではカレハがプリムラに電気あんまされている。亜沙はカレハの上半身を  
責めていた。形の良い乳房をモミモミと揉み解す。  
「そう……。もう少し上を責めて見て……そうそう! 上手だよ。そこがクリトリス。  
女の子の一番感じるところなの。ホラ、カレハの反応を見て!」  
「はぁあああ〜〜ん!! だ……だめです。リムちゃん、それは許して……あああ!!」  
いつもの妄想癖が出る余裕もなく、カレハは悶える。元々美人でスタイルも良い  
彼女が電気あんまに頬を紅潮させ、下半身を捩って悶える姿は煽情的であった。  
(カレハってこんなにいいんだ……)  
亜沙も内心興奮しながら、ゆっくりと乳房を揉む。二人に責められるカレハはすぐにでも  
昇天しそうだった。だが、電気あんま担当のプリムラがまだ未熟な技量なので、逆に  
いけないでいる。  
(それが丁度いい効果なのよね♪)  
亜沙はプリムラを見る。プリムラはいつもの様に物静かだった。だが、平静でない事は  
亜沙にも分かった。プリムラの大きな目は興奮で潤み、食い入るようにカレハの悶える  
姿を見ている。  
 
(他の二組はどうかな?)  
亜沙はカレハの胸を揉みながらネリネと麻弓、シアと楓を見る。この二組も電気あんまに  
慣れていない方が仕掛ける立場であった。特にネリネのほうは……。  
 
「ん……くっ……フフフ、その程度じゃ効かないよ、リンちゃん♪」  
電気あんまされている麻弓が涼しい顔をしている。亜沙は少し彼女に注目した。  
「う……そうですか? ど、どうしたらいいんでしょう?」  
麻弓の言葉にオロオロするネリネ。折角のチャンスを全く生かす事ができないで焦り始める。  
「どうしたらって……クスクス……そんなの自分で考えてよ。上手く出来ないなら、  
急所攻撃ありなんだし、蹴っ飛ばしてみる?」  
「そ、そんな事出来ません……! 大事な所なのに……」  
麻弓の言葉に更に動揺するネリネ。絶対的主導権を握っているのは自分のはずなのに  
麻弓にいい様に弄ばれている。  
「フフフ……。じゃあ、ヒントをあげる。自分が感じる所を中心に責めてみたら?  
基本的に女の子同士なんだからここで感じる所は似ていると思うよ。人間でも  
魔族でもここは多分同じだよ」  
「そ……そうですか。で、では……」  
魔族とのハーフである麻弓の言葉の説得力に乗せられてか、ネリネは自分の弱い所、  
自分が電気あんまされたくない所を中心に責めていく。その度に、麻弓からは  
「あっ!」とか「あん♪」とか小さい悲鳴が何度か聞かれるが、隣のカレハの様に  
身も世もなく悶える事がない。どうやら平気そうだ。  
(私って、電気あんまに才能がないのかしら……)  
内心しょぼんとしてしまうネリネ。麻弓の虹色ビキニの股間をグリグリと踵で責めるが、  
これも効果がないのでは? と自信がなくなってくる。  
 
(そんな訳ないのに……)  
その様子を見て苦笑いする亜沙。ネリネは完全に騙されている、と亜沙は思った。  
(麻弓ちゃんのは、それこそやせ我慢。ポーカーフェイスもいいところだね)  
亜沙は麻弓の様子をつぶさに見て思う。麻弓の悲鳴は小さく上がっているのではない。  
効かない振りしてネリネを騙そうとしながら、それを通しきれないでいるのだ。  
確かに大げさには悶えていないが、ネリネが電気あんまで自分が苦手としているポイントを  
責める度に、麻弓の太股やお尻はプルプルと震えている。上半身の動きが少ない分、  
アクションが小さく見えるが、これは貧乳がポーカーフェイスに役立っているから  
かもしれないw。  
 
(全体の動きは抑えられる。表情も変えないようには頑張れる。でも……)  
ネリネがもっと良く麻弓の様子を観察していれば、気がついたかもしれない。  
麻弓は表情こそ変えなかったが、額からは汗がじっとりとにじみ出ていた。暑さから  
来る汗ではない。何かを懸命に耐え、そのストレスが表面化したねっとりとした汗だ。  
それに息遣いはかなり荒い。頬も紅潮している。第三者がじっくり見ていれば、麻弓が  
もうちょっとで悲鳴を上げそうになった瞬間が何度もある事に気がつかないはずが  
ないだろう。  
 
その証拠に麻弓は亜沙を牽制するように何度かチラ見した。  
ネリネにばらすか、それとも黙っているか――。それによって今後の亜沙に対する態度と  
展開を考えるに違いない。亜沙は少し迷ったが、黙っている事にした。展開云々よりも  
魔界のプリンセスであるネリネを虐めてみたい気持ちが強かったからだ。  
亜沙がネリネに味方するつもりが無さそうなのを見て麻弓が露骨にホッとした表情になる。  
勿論、メチャメチャ効いているからだ。  
 
(電気あんまに下手かどうかは関係ないもんね。どんなに下手な子にされたって女の子は  
電気あんまには耐えられないもの……)  
だが、上手いかどうかは関係がある。電気あんまが上手で、意地悪な子にされた日には  
その子は地獄を見ること必定であった。亜沙はこの中では麻弓と並んで電気あんまの  
技量には自信があった。ただ、彼女が意地悪かどうかはわからないが。普段が優しい  
先輩であってもこういう時に豹変する例はある。  
(その意味じゃシアちゃんもそうなのかな……?)  
亜沙は先ほどから別人の様に意地悪な口調になっているシアを見る。  
 
「くっ……うう……ん!!」  
一方の楓とシア。楓はシアの思惑に乗るまいと感じていない振りをしようとした。  
しかし、それは全く無理な事であった。シアの電気あんまはやはりまだ技量こそ拙いが  
時折不規則にリズムを崩すやり方が逆に楓は耐えるタイミングを崩され、きゅっきゅっと  
足の裏で股間を踏みしめられるたびに仰け反りそうになってしまった。  
「フフフ……我慢しててないで悶えたら? 効いてるのは全然分かってるんだから」  
シアが挑発するように言う。だが、楓は首を振る。  
「全然、平気です。遠慮せずにもう少し強くしたほうがいいんじゃないですか?」  
何の許しも請わず、電気あんまから逃げようとするそぶりも見せない。シアの瞳が  
妖しく光る。  
 
「そう……。じゃあ、遠慮なくさせてもらうから」  
シアは楓の白ビキニに覆われた股間をグリグリするスピードを上げる。  
楓は「くっ……!」と小さく呻くが、まだ頑張って耐えている。  
だが、突然それは崩れた。  
「はぁうう〜〜!! うううう……!!」  
悲鳴を上げて仰け反る楓。ついに声を出さないと耐え切れなくなってきたのだ。  
ネリネと同じくシアも電気あんまは未熟だが、ネリネと違ってシアの電気あんまは  
全くと言っていいほど容赦がない。いくら楓が辛抱強くとも、性的急所を執拗に責め  
続けられては耐え切れない。  
「フフフ……いい声で鳴くのね」  
シアがサディスティックな快感に背筋をゾクゾクさせる。稟との事がなくともこの子を  
虐めたい……そう思いながら楓の股間を電気あんまするのに熱中する。  
 
だが、シアはこの時に気づくべきだった――。  
楓は確かに悲鳴を上げていて悶えているがさっきまでシアを挑発していたのが今は全く  
しなくなっている事、そして幾度となく、シアが股間に宛がっている右足に力を入れたり  
抜いたりするタイミングを計っている事。そして、悶えながらもニヤリと微笑んだ事。  
(『あれ』をやる気ね)  
楓の変化に気がついたのは麻弓と亜沙だった。電気あんまは基本的に人間界の女の子が  
使っている技である。麻弓と亜沙には楓のやりたい意図がつかめていた。  
(私もそろそろやるかな。ネリネちゃん、もう十分楽しんだでしょ? ……うっ!)  
麻弓は一生懸命に電気あんまをしているネリネを見る。流石に麻弓はやられている  
最中であって悪巧みばかりは考えられないが、楓がシアにしようとしてる事をネリネに  
するのはすぐに出来そうだ。  
 
(姫様たち、電気あんまの面白さと恐ろしさはこれからなんだからね♪)  
今プリンセスに電気あんまされている人間界を代表する?女の子、楓と麻弓が共に  
抱いている考えであった。  
 
 
         *         *          *  
 
 
(そろそろ、いいかな……?)  
麻弓はタイミングを計る。実際には自分自身がこれ以上続けられると、どうなって  
しまうか分からなかったのだが。ネリネの致命的ミスは麻弓のこの状態を把握し  
きれていない事だった。  
 
「ネ……ネリネちゃん、そろそろ交代しよっか?」  
「え? 交代……?」  
そんなルールあったかしら? とネリネは一瞬考える。その隙だけで十分だった。  
「隙あり!」  
「きゃ!?」  
麻弓が突如上体を起こしてネリネの電気あんましている足を掴むと、自分の方に引き  
寄せた。ネリネの体はバランスを崩し、股間が無防備になる。そこにすかさず、  
麻弓が足を割りいれる。  
 
「あっ……!?」  
ネリネが気がついた時にはさっきとは全く逆の立場になっていた。麻弓はネリネの  
両足をがっちり固定し、スクール水着に覆われた股間をしっかりと右足の踵で捉えて  
いる。こうなってはネリネにはどうする術もなかった。  
「あ……ん♪」  
麻弓が僅かに右足を動かしたせいでネリネの股間が刺激され、その喘ぎ声が聞こえた  
瞬間、その場にいた全員の背筋に戦慄の様な物が走った。  
 
(リンちゃんの喘ぎ声……なんて魅惑的なの?)  
亜沙のカレハの胸を揉む手に思わず力が入る。カレハが「はぁん♪」と喘ぐ。  
麻弓も亜沙と同じ事を思った。楓とシアも一瞬動きが止まる。  
楓やシアは稟の恋愛候補者としてネリネと争っているが、この魔族の誘惑や魅了が  
発揮されたら、稟の魂が取り込まれかねない。そう思わせる喘ぎ声だった。  
 
「リンちゃん……。もっと……鳴かしてあげる」  
麻弓のオッドアイが妖しく煌く。麻弓も魔族の血を引く。ネリネの声に刺激され、  
隠し持つ一面が出てくるのだろうか?  
「ま……麻弓さん……ああぅん♪」  
麻弓がグリグリと電気あんまを開始するとそれほど強くないのにも関わらず、  
ネリネは悶え始めた。感度もかなり良い。それに、そのやられている時の表情。  
 
(た、たまんないかも……この子!)  
思わず麻弓はごくりと生唾を飲み込む。ネリネの電気あんまされている時の表情は  
麻弓の嗜虐心を大きく煽り立てた。白くきめ細かい肌にうっすらと差す紅色。  
形の良い唇からは熱い吐息が漏れ、閉じた瞳は長いまつげを揺らし、苦悶と快感を  
如実にあらわしている。さらさらの長い髪は妖しく乱れ、白いうなじが見え隠れ  
するのが艶めかしい。電気あんまされている股間も内股になって小刻みに震え、  
必死で耐えている様子がありありと見える。そして、スクール水着に覆われた胸は  
水着を破らんばかりに上下し、それ自体が生き物かの様にプルプルと震えている。  
ネリネの電気あんまされている姿はその場にいるもの全てを魅了する。  
 
(男の子がいたら……大変な事になってたかもね)  
一般の男子にはこの光景はたまらないだろう。その場で魂を取り込まれてしまう。  
聖人君主然とした稟ですらどうか? 彼でさえ今のネリネの姿には魅入らされ、  
どうにかなってしまうかもしれない。  
 
「ふぅん……やるわね、魔界のプリンセスも」  
シアが気を取られた隙に――。  
「他の人の事、見てていいんですか?」  
「え? あっ……!!」  
先ほどからシアの電気あんまパターンを読んでいた楓はシアが力を抜くタイミングを  
見計らってその右足を掴んだ。シアが慌てて力を入れたため、グリッ……と踵が楓の  
股間に捻るように食い込む。  
「うっ……!!」  
思わず顔をしかめながら、強引にシアの右足を股間から外させ、そのまま脇に抱え  
込んだ楓。彼女の天性の運動神経がなさせる返し技であった。  
 
「いたたた……!! 何するの!?」  
アンクルホールドを極められ、右足に激痛が走ったシアは闇雲に左足を蹴りだす。  
しかし、それは楓の思う壺だった。タイミングよく蹴り出された足も掴むと、両足を  
両脇でがっちり固める姿勢になり、その間に割り込むようにグランディングする。  
「し、しまった……!」  
シアが慌てて逃げをうとうとするがもう遅い。完全に下半身を固められ、そして  
楓の右足がシアの股間にしっかりと宛がわれた。  
グリグリグリグリ……! 何の予告もなく楓はシアに電気あんまを開始する。  
シアの体が文字通り電気を触ったかのように震えた。  
 
「あああああああああ〜〜〜!!!」  
のっけから激しい電気あんまにシアは仰け反って悶える。  
「これが『電気あんま返し』です。シアさん、油断しましたね? 電気あんまは  
攻防が表裏一体。どんなに完璧に極められていても、油断している相手の電気あんまは  
電気あんまで返すことが出来るのです」  
その言葉どおり見事にシアの電気あんまを返した楓。無論、ここまで綺麗に返せた  
のは、彼女の天性の運動神経があってこその事だが。  
それまでにシアに与えられた電気あんまのストレスを返そうとするかのように  
楓はグリグリと電気あんまのスピードを細かく上げていった。  
 
「ああああ……!! くぅ……!! この……!!」  
シアは涙目になって耐えていたが、反撃する事は勿論、解く事すら出来ない。  
楓の右足踵はシアのストライプ柄のビキニに覆われた股間にしっかりと食い込み、  
捉えて離さない。  
(昨日の……麻弓にされたのより、キツイ……)  
面には出さないが、内心ではそう感じている。やはりさっきまで意地悪に電気あんまを  
された分、楓の恨みが少なからず篭っているのだろう。  
「電気あんまの怖さを思い知りましたか、シアさん?」  
楓の、言葉は丁寧だが見下したような声が聞こえる。長い付き合いの麻弓や亜沙ですら  
そんな楓の声を聞いたのは初めてだ。シアはほんの少し唇をゆがめた楓の表情に  
ムッとする。  
 
「うう……。い……いつまでも調子には乗せないよ。あなたが電気あんま返しを  
使うなら、あたしだって……」  
「出来ると思います? やってみたらどうですか?」  
「な……!」  
あまりにも自信たっぷりの楓の言葉にシアはカッとなった。  
闇雲に楓の電気あんましている足を掴もうとするが……。  
「う……いたた……!」  
上体を起こした時、自分の股間が痛くなってしまう。楓の足を掴もうとするが、  
そこに行き着くまでの痛さに耐えられない。  
「ど……どういう事?」  
股間の痛さに顔をしかめながら楓を見る。楓は自分の電気あんまを返せたのに……?  
「ちょっとしたコツなんですよ♪」  
まるで得意な料理の隠し味を教えるかのような口調で楓は言う。  
「シアさんが私の足を取ろうとするタイミングでこうやって……」  
少しセットするポイントを上にする楓。丁度踵にクリトリスが乗るポジションか。  
その位置でグリッ……っと踵を捻る。  
 
「え……? いたたたっ!?」  
シアは顔をしかめ、慌てて楓の右足を掴み、ポジションを元に戻した。  
「クスクス……ごめんなさい。今のは少し強すぎましたね」  
楓が明るく笑う。明らかな挑発である。  
「……つぅ〜〜〜☆! ……このっ!!」  
急所を痛めつけられたシアが涙目で楓を睨む。だが、このままでは自分はやられる一方だ。  
(どうすればいいの……? ……はぁうん♪)  
楓の絶え間ない電気あんまに悶えながらもシアは懸命に打開策を考える。だが、  
電気あんま経験の少ないシアが、すぐさま電気あんま慣れしている楓の上手に  
出る事が出来るだろうか?  
 
(難しいかもね……)  
姫様二人の様子を見ながら亜沙は思う。シアは一人ではあの状態から抜け出せない  
だろう。余程悪辣な方法を使わない限り……。ネリネに至っては完全に絶望的だ。  
運動神経もなく、魔法も禁じられている上、何よりも本人が電気あんまに感じて  
しまっている。それにあまりにもいい声で鳴くので誰もネリネを助けたがらない  
だろう。美声の鳥の喘ぐような悲鳴はいつまでも聞いていたい魅力があるからだ。  
 
「ああん♪ ……はぁ、はぁ……亜沙ちゃん……私も……交代して……下さい……」  
カレハが切なげに喘ぎながら懇願する。  
「交代? 何言ってるの、カレハ? このゲームは交代制じゃないよ?」  
平静に言い放つ亜沙。良く聞けば声は僅かに上ずっているが……。  
「そ、そんな! 楓さんと麻弓さんは代わったのに、私だけなんて……」  
カレハが激しく動揺する。さっきから二人掛りで責められ、もう限界なのだ。  
亜沙に代わって欲しいと言う願いも空しく、電気あんまで責め続けられる。カレハは  
プリムラにもやめて欲しそうな視線を送ったが、プリムラは何の表情も変えない。  
いや――ほんの少し、唇の端がつりあがった、かもしれない……。  
「あの子達は自分で脱出したんだもん。カレハもやめて欲しければ自分で脱出したら?」  
冷たく言い放つ亜沙。カレハは驚いた。こんな亜沙を見るのは初めてだったのだ。  
 
(ボク……サディスティックになってる?)  
亜沙は自分がドキドキと興奮しているのに戸惑いを覚えた。カレハを虐めて……  
いや、正確には幼女を使って虐めさせて興奮している。自分はそんなにマニアックな  
サディスティンだったのか……?  
「亜沙……」  
「ひゃあ!? な、なに? リムちゃん?」  
物思いに耽っている時にプリムラに話しかけられ、飛び上がらんばかりに驚く。  
「違う責め方……してみたい」  
プリムラは平然と言った。  
「な……!」  
カレハの瞳に動揺が走った。プリムラを見て亜沙を見る。勿論、亜沙に止めて欲し  
かったのだが……。  
「……どんな事がしたい?」  
亜沙はカレハのほうを見ずに言った。カレハの瞳の色がたちまち絶望に沈んでいく。  
友達に裏切られたのだ。いや、裏切りとは限らないかも知れないが。  
(これも愛情表現だよ、カレハ♪)  
亜沙はカレハが俯くのを横目で見る。カレハを愛するが故に虐める。それが亜沙の  
愛情表現といえばそうなのかもしれない。カレハがどう思うかは別として。  
 
「……おっぱい……舐めてみたい……」  
「「……え?」」  
プリムラの言葉に亜沙もカレハも驚く。その他の面子も一瞬動きが止まった。  
プリムラは少し恥かしそうに頬を染めている。  
「まぁ……。そ、それは……私の……?」  
カレハも赤くなりながら聞く。プリムラはコクリと頷いた。カレハを電気あんまから  
解放する。  
「どうしましょう……」  
電気あんまから解放された喜びもそこそこにカレハは戸惑っている。イヤなので  
はない。自分で良いのか、と言う戸惑いだ。  
 
「ネリネちゃんとかじゃなくていいの?」  
カレハはプリムラに聞いた。プリムラはコクリと頷く。  
「今は、カレハが私の相手だから……。それに、カレハ、綺麗だった……」  
憧憬の眼差しでプリムラはカレハを見つめる。電気あんまされて悶えているカレハが  
綺麗だったからいじめたい、プリムラはそう言っているようだ。  
「…………」  
カレハは暫く考えていたが、やがてニッコリと微笑んだ。  
「宜しいですわ、プリムラさん。私でよければ……」  
カレハは自ら首の後ろの水着の結び目を解いた。黄色のワンピース水着の上半身が  
はらりと落ちた。  
「カレハ……」  
亜沙の声にカレハがニッコリと微笑む。この中で一人だけトップレス状態になって  
しまったが、それを気にするそぶりもなく、プリムラに向かって両手を広げる。  
「どうぞ、プリムラさん……こちらに来て……」  
優しく微笑むカレハの笑顔を見て安心したのか、プリムラはゆっくりとカレハの  
胸に身を任せた。カレハは優しくプリムラを包み込む。  
 
(なんかちょっと羨ましいな……)  
亜沙が二人の姿を見て思う。一同の中でも確かにカレハは母性が強そうな女の子  
だった。プリムラを胸に抱く姿は堂に入っている。  
「…………」  
ひとしきり、カレハの柔らかい胸の感触を楽しんだ後、プリムラはおもむろに  
カレハの左乳首にむしゃぶりついた。  
「あ……」  
カレハが小さく悶える。プリムラはゆっくりとおっぱいを吸うように唇を動かす。  
カレハの頬が段々と赤く染まっていった。感じてしまってる様だ。  
 
「そのまま、色々な咥え方をしててね、リムちゃん♪」  
亜沙がプリムラごとカレハを寝かせ、その両足を掴んだ。  
「「あっ……」」  
プリムラまでが反応している。なんと亜沙はカレハだけでなく、プリムラの足も  
同時に掴んでいるのだ。  
「ちょ、ちょっと持ちにくいかな……でも、こうしてこうすれば……」  
器用に向かい合わせになっている二人の足を抱え込む亜沙。長さもうまく調節した。  
安定はしないが、この二人はおそらくネリネやシアと違って、抵抗は薄いので  
これで十分だろう。  
「あ、亜沙ちゃん……ど、どうするのですか?」  
カレハが不安そうに聞く。プリムラも亜沙を見た。自分の下半身を固定されれば  
やはり気になってしまう  
 
「フフン……『ダブル電気あんま』だよ♪」  
亜沙が得意気に言う。  
「ダブル……?」  
「電気あんま……?」  
渡り台詞の様に言いながら顔を見合すカレハとプリムラ。確かに二人とも亜沙に  
両足を固定されているが……。  
「そ♪ 右足でカレハ、左足でリムちゃんに電気あんましてあげる。へへ、こんな事  
出来るの、きっとボクだけだよ♪」  
クスッと亜沙が笑うと、釣られたかの様にカレハも笑った。プリムラも少し頬が緩む。  
 
「それじゃ、いっくよ〜〜。それぇ〜〜!」  
「ええ……はぅん♪」  
「ああっ……!」  
亜沙の電気あんまにカレハは勿論、プリムラも喘ぎ声を上げる。亜沙はこの面子の中で  
一番電気あんまに熟練している女の子であった。楓は亜沙から電気あんまを学んだのだ。  
「リムちゃんは電気あんまされるのは初めて?」  
ぶるぶると左足でプリムラの大事な所を刺激しながら亜沙が聞く。  
「……うん……初めて……あっ……」  
目を閉じ、悩ましげに吐息をつきながらプリムラは電気あんまに耐える。  
「どう? 気持ちいい? そうでもない?」  
プリムラには優しい電気あんまをしている。痛くはないだろうが、まだ幼い分感度が  
未発達の可能性はある。が……。  
 
「気持ちいい……亜沙……もっとして」  
頬を染めて亜沙に懇願するプリムラ。  
「いいよ。でも、呼び捨てはなにかよそよそしいなぁ……」  
ニヤリと笑って亜沙がプリムラに電気あんましている足を離す。  
「あ……やめては……だめ……」  
あまり表情を出さないプリムラだが、ほんの僅かに動揺が見えた。  
「どうして……やめるの……?」  
ほんの僅かになじる響きを含みながらプリムラが亜沙を見る。  
「だって……リムちゃん、ボクとカレハの事を『お姉ちゃん』って呼んでくれないん  
だもん♪」  
亜沙が悪戯っぽく言う。  
「あ……」  
プリムラも気がついたようだ。人見知りする子なのでなかなか打ち解けない、と言う  
より何か切欠がないと打ち解けられない性格なのだが、この場はそれなりの切欠が  
ありそうだ。亜沙がワクワクし、カレハも優しく見守る中、プリムラが恥かしげに  
口を開く。  
 
「カレハ……お姉ちゃん。亜沙……お姉ちゃん……」  
 
恥かしげな、小さな声――。だが、カレハの耳にも亜沙の耳にもはっきりと聞こえて  
いた。二人は顔を見合わせ、微笑んでプリムラを見る。  
「「リムちゃん!」」  
カレハがプリムラを抱きしめる。豊満な胸に包まれ、ドギマギするプリムラ。  
カレハの胸はとても温かく、柔らかかった。  
「フフフ……こっちもしてあげるね♪」  
さっき止めていた電気あんまを亜沙が再開する。  
「あ……うん♪」  
プリムラは悩ましげな喘ぎ声を上げた。  
「リムちゃんもご奉仕しなきゃダメだよ。……『お姉ちゃん』に」  
亜沙がプリムラに言う。コクリと頷き、プリムラは亜沙『お姉ちゃん』のいいつけに  
従った。カレハ『お姉ちゃん』のピンク色の乳首に優しくキスをする。  
 
「あっ……リムちゃん♪」  
カレハが甘い声を上げて思わず仰け反る。  
「気持ちいいの? カレハ……お姉ちゃん」  
プリムラが上目遣いで聞く。  
「ええ……。気持ちいいですよ。リムちゃん、お上手ですわ♪」  
喘ぎながらもニッコリと微笑んで誉めてくれるカレハにプリムラが嬉しそうに頬を  
染める。  
 
(もっとお姉ちゃんに……喜んで欲しい……)  
プリムラは心を込めてカレハの乳首を舐めあげた。舌先を尖らせて突っつくように  
舐めたり、口に含んで暖めたり。知識ではなく、自分がされたら気持ちいい事を  
カレハにしてあげようと懸命に考えてやっているのだ。  
「ああん……♪ リムちゃん……それは……はぅん♪」  
カレハは悶えまくっていた。無論、亜沙の電気あんまの効果もあるが、プリムラの  
献身的な愛撫は感度の良い彼女には十分に伝わっていた。  
「リムちゃん、カレハの次はボクも……ね?」  
亜沙が絶え間なくプリムラの幼い股間を刺激する。その度に身悶えしながらプリムラは  
コクリと頷いた。  
 
この3人はバトルとは程遠い、微笑ましいながらもえっちな電気あんまを堪能して  
いたが、一方で楓とシアの組み合わせは、そうはならなかった。  
「ああぁ……!!! ああうう〜〜!!!」  
楓の絶叫がプール周辺の静寂を破った。一体何があったのだろうか?  
 
 

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