【其の参】  
 
 
さて――。  
いよいよ準備万端の私たちはお兄ちゃんの待つお部屋へ向かうのですが――。  
 
「お姉ちゃん、ちょっとここで待ってて」  
私はお姉ちゃんを廊下に待たせて先にお兄ちゃんの部屋の様子を窺うことにした。  
折角お姉ちゃん(と私も)が着飾ってるのに、お兄ちゃんがいつものジーパン姿じゃ困るもん。  
私はノックをしてお兄ちゃんの返事を待った。程なく返事が聞こえたので、お姉ちゃんに  
「待っててね」と目配せしてから一人で部屋に入った。  
 
 
          *           *           *  
 
 
「どうした? 随分時間が掛かってるじゃないか」  
お兄ちゃんが私を見て声を掛ける。  
慌てない、焦らない――。女の子の身支度には時間が掛かるものなのですよ、お兄様♪  
 
「だって、お姉ちゃんを綺麗に着飾ってたんだもん」  
私はお兄ちゃんの服装を確認した。いつものTシャツ・ジーパン姿ではなく、ゆったりとした  
スタンドカラーのシャツとズボン。いずれも上質の部屋着でその上にローブを羽織っている。  
わりとちゃんとしたお坊ちゃまの寛いだ格好だ。髪もちゃんと整えて髭も剃ってるし、ま、  
これなら合格かな♪  
私がそれを指摘すると、お兄ちゃんは照れくさそうな表情をする。  
「なんとなく、さ――。もしかしたらお前たちも着替えてくると思って――」  
うん。私たちの気持ちもちゃんと察してくれたんだ。上出来、上出来♪  
 
「そんな事よりも――」  
ん? お兄様、一体何を……? ちょ、ちょっと! お兄ちゃん、引っ付き過ぎだって!  
「可愛いよ、茉莉花――俺の為に着飾ってきてくれたんだね」  
お兄ちゃんは更に私の腰に手を回して抱きしめてきた。そして、私の頬に自分の頬を摺り寄せ、  
何度もキスをしてくる! ちょwwwおにぃwww!  
こ、これじゃあ、お姉ちゃんのときと同じパターンだよぉ〜〜〜〜!  
そう思っている間にもお兄ちゃんは私をベッドに押し倒した。この流れももしや――。  
 
「紫苑はまだ着替え中か? じゃあ、その前に準備運動でもしておくか」  
せ、台詞まで同じです〜! いくら双子だからってそこまで……お兄ちゃん? いえ、  
お兄様! 準備運動はもう十分済ませましたから、お姉ちゃんを呼んで来ま――。  
「後でいいよ。ここまで露骨に誘っておいて焦らしはないだろ?」  
私の両足首はしっかりとお兄ちゃんの両手につかまれ、右足が太股の間に割りいれられた。  
さっきと同じくニーソックスの脚は摩擦係数がゼロでお兄ちゃんの責めを無抵抗で通して  
――ああああっ!!  
 
「うりうりうり〜〜♪」  
「だ、だめっ! ……お兄ちゃん、待って!」  
ここまで来て待っても何もあったものではない。お兄ちゃんは私のあそこを足の裏でブルブルと  
震わせて責め立てた。……はぁん! に、二回目だよぉ〜〜!!  
 
「あっ……、はぁッ……、……んくっ!! あああ……んッ!!」  
 
お兄ちゃんの電気あんまはお姉ちゃんのそれと良く似ていて、少し力強かった――  
 
 
          *           *           *  
 
 
「う……うう……。こ、腰が抜けちゃいそう……」  
「茉莉花、どうしたの?」  
別室で待っていた私は、股間を押さえて内股で歩いてきた茉莉花を見て目を丸くする。  
茉莉花は壁伝いに内股で歩きながら部屋に入ってきた。とても思春期の女の子の歩き方とは  
思えない、滑稽な歩き方なので私は思わず微笑んでしまう。なぜそんな歩き方をしているのか  
も大体の想像はついた。  
 
「クスッ……。晴樹にされちゃったのね。馬鹿ね、そんな格好で一人で行くからよ」  
「そ、そうなのですか?」  
茉莉花は意外そうな顔で私に聞いてきた。本人には自覚はあまり無いらしい  
「そうだよ」  
私は茉莉花を迎えて優しく抱きとめた。  
「今の茉莉花はお人形の様に可愛いんだもん。いじめてくれって言ってるようなもの♪」  
私が笑うと茉莉花はう〜んと唸りながら全身鏡に自分の姿を映している。綺麗に着飾るのと  
男を誘い込むのが同義になっている事にまだ自分では気がつかないらしい。  
 
(私はどうなんだろうか――?)  
なんとなくだが、この茉莉花が選んだ格好は晴樹の性的衝動を誘発する気はしていた。  
さっきまで私も自分の姿をその鏡に映し出していた。優雅な印象とは言え、実際には上半分が  
露出した胸、動くたびに下着が見え隠れするスカート。その様子を見ながら、私は自分自身に  
ドキドキと胸を高鳴らせていたのだ。もし、茉莉花が帰ってくるのがもう少し遅かったら、  
きっと私は鏡の中の自分にキスをして、自分で慰めていただろう。  
鏡の中の自分に見せるために――。  
 
「お姉ちゃん、そろそろ行こうか。お兄ちゃんもう一杯一杯で待ってるみたいだし」  
「フフフ……茉莉花はいきなり電気あんまされちゃったもんね――ぱんつの替えはいいの?」  
「あ、いけない! 穿いてないんだった!」  
え……? きょとんとする私を尻目に、茉莉花はスカートを翻して慌てて下着の替えを取りに  
行った。ぷるん♪ と、白い剥き立てのゆで卵の様なお尻が跳ねるように揺れる。  
 
「本当に脱がされちゃったんだ……」  
私は茉莉花がむき出しのお尻で走って行くのを唖然としながら見ていた。  
 
 
          *           *           *  
 
 
「遅いな」  
茉莉花を電気あんまして、それでも飽き足らずぱんつを脱がせて色々悪戯してやってから  
また時間が経っている。  
全く、女の準備ってのは時間が掛かる。ま、半ば俺のせいなのだが。  
そう思っていると――。  
 
「お兄ちゃん、お待たせ〜♪」  
茉莉花がぴょこんと入ってきた。さっきと同じゴスロリチックなミニスカートドレス。  
くせっ毛のショートカットが良く似合う、明るくて可愛い、表情がよく変わる人形――。  
さっきと同じく捕まえて悪戯したくなる衝動を辛うじて抑えていると――。  
 
「コホン、それでは、お待ちかねのお姉ちゃんの入場でーす! お姉ちゃん、どうぞ!」  
茉莉花が廊下に向かって手を上げる。  
なんだかもったいぶるなぁ……と思わず苦笑していたが、その俺にもその理由がすぐに  
分かった。  
 
そこに現れたのは――俺が今まで見たことのない紫苑だった。  
完璧なボディをシルクのブラウスとミニスカートで包み、長い脚はニーソックスでその  
脚線美を際立たせている。前で組んだ手には花束を持っていた。  
頭に掛かっているのはマリアベールか。これじゃあ、まるで――。  
 
「フフフ……結婚式ごっこだよ、お兄ちゃん♪」  
このコーディネートは全部茉莉花がやったのだろう。この子は昔から器用だから――。  
 
それにしても――。  
 
(こ、これはたまんねぇかも――)  
思わず俺は紫苑を正視するのを避けてしまった。見入ってるとそのまま吸い込まれそうに  
なってしまう。  
茉莉花が俺と紫苑を見比べながら笑っているのが目に入った。きっと今の俺は馬鹿みたいな  
呆けた顔をしているのだろう。  
(こいつ……こんなに綺麗だったんだ――)  
真正面からは凝視できないが、時折盗み見るような視線で俺は紫苑の姿を上から下まで  
見渡した。陰翳の浮かんだ表情は大人びて、清楚なデザインであるにもかかわらず、意外と  
開いている胸の膨らみは柔らかそうで、そして――。  
 
(こ、ここばかり見ちゃいけないんだろうな――)  
そう思いながら視線を外せないのは、例の『絶対領域』だった。柔らかなスカートは  
なだらかなヴィーナスの丘をその形のまま覆い、動きのあるデザインの裾はスリットと  
相まって紫苑の眩しい太股から下腹部にかけてを曝け出している。もう少し俺がしゃがみ  
込めば間違いなく、紫苑の下着に覆われたその部分を見る事が出来るだろう。  
俺は見たい欲求と理性の間に挟まれ、自分が何をしているのか分からなくなってきた。  
 
 
          *           *           *  
 
 
「お姉ちゃん、なんだか大成功みたいだね。お兄ちゃん、目茶苦茶照れてるよ♪」  
茉莉花が私に囁きかける。自分の思惑通り(以上?)の効果があったようで得意満面に  
なっている。  
「お兄ちゃんってば、可愛い〜。意外と恥かしがりやさんなんだ」  
茉莉花は楽しそうに笑ってる。私だって恥かしいんだけど――。  
 
廊下で茉莉花に花束を渡された時は眩暈がしそうになった。  
(こ、こ、こ……これって、その……)  
(うん、結婚式のブーケの代わり。今日はお姉ちゃんとお兄ちゃんにとって、大切な日に  
なるもんね♪)  
(た、大切な日って――ま、待ちなさい、茉莉花! まだ心の準備が――)  
 
そう言った時には既に部屋に入るように促される声が聞こえていた。  
私は溜め息をついたが、もう後戻りが出来ないとばかりに深呼吸して晴樹の待つ部屋に  
入っていった。  
(でも、その時の晴樹の呆然とした顔――)  
私は思わず心の中で忍び笑いする。これは当面、晴樹をからかうネタに出来そうだ。  
 
晴樹は餌を食べている小動物の様にせわしなく、視線をあちこちに走らせている。  
どこか一箇所を注視してると私たちにエッチな内心を疑われると思ってるのだろうか?  
こちらは一応見られてもいい格好をしてきてるのに。男の子ってヘン――。  
 
でも――。  
 
さっきから晴樹がチラチラと見る視線の先――。私は勿論、そこがどこかは分かっていた。  
(動くだけで見えちゃってるんだろうな――)  
私はドキドキと恥かしさと興奮で胸を高鳴らせながら部屋の中ほどに進み、大きめのベッドに  
腰を掛けた。今日はここで晴樹に色々といじめられたり、悪戯されたりするのだ。  
このふかふかで柔らかいベッドは、私と――茉莉花の処刑台なのだ。  
(でも、今からこんな調子で大丈夫なのかな?)  
晴樹がこういうコスプレっぽい衣装やシチュエーション的なものに弱いのは良く分かった。  
さっきは私のパンツを脱がしてショーツを見てたくせに、今は真っ赤になっちゃって。  
 
「き、綺麗だよ――紫苑」  
晴樹の搾り出すような声を聞いて私は一気に有頂天になってしまった。  
「ありがと……晴樹。――フフッ、ちょっとエッチっぽいかな? ねぇ、立ってないで  
こっちに来なよ」  
「え? あ、うん……」  
晴樹は私に促され、少し間を空けて隣に腰掛けた。私は悪戯心を起こし、晴樹に密着しそうな  
距離まで詰め寄った。思わず視線を逸らせる晴樹。多分、その位置から私を見れば私の胸の  
谷間が覗けるだろう。  
 
「しかし……すげぇな、その胸」  
晴樹がいかにもスケベそうな口調で言うが、照れくさそうな表情なので逆効果だ。  
私はどんどん挑発したくなる。スカートのフロントサイドのスリットも少し広がり目にした。  
白い太股から下腹部のあたりの肌が見え、シルクのショーツの紐が見えた。  
晴樹は嬉しそうな困ったような落ち着かない表情だ。  
(ここまで動揺してくれたら女冥利に尽きるかも――)  
と私は心の中で舌を出す。  
 
「晴樹。さっきから胸とかスカートの裾ばかり見てるよ?」  
私がからかう様に言うと、  
「し、しかたないだろ……! そんな格好して来るんだから――」  
「そっか、そうだよね――」  
私は反対側のソファに腰掛けている茉莉花を見る。突然見つめられてきょとんとしながらも  
茉莉花は可愛らしい微笑を返してきた。  
「私たち、晴樹の生贄になりに来たんだもんね――」  
私は晴樹の手を掴むと自分の胸元に滑り込ませた。  
「フフッ――早くお仕置きしてください。私たちのご主人様♪」  
私が晴樹にとびっきりの笑顔を向けようと思ったその時――。  
 
「そうだよ、お兄ちゃん――」  
茉莉花が声を掛ける。  
「紫苑お姉ちゃん、やっぱり電気あんまに弱いんだよ――。私の時と反応が全然違うもの。  
私、さっきお姉ちゃんとお兄ちゃんに電気あんまされたけど、お姉ちゃんみたいにあんな短い  
時間で洪水になったりなんかしなかったもん――」  
 
私の動きがまたそこで固まった。今折角優位になっていた立場も茉莉花の言葉で一瞬のうちに  
無くなった。晴樹はじっと私の股間の辺りを凝視し、たっぷり見つめてから私の顔を見た。  
そこにはさっきまで見て取れた戸惑いや気恥ずかしさは見当たらなかった。  
 
 
          *           *           *  
 
 
「この格好で電気あんまか――。流石に萌えるな」  
晴樹は私の股間を見つめながら呟く。すぐ傍にいてその声が聞こえる私はスカートの裾を  
押さえようとした。しかし、そうすれば反対にお尻のほうが見えそうになり、慌てて手を離す。  
だけど、今度はその動きで前の方がもっと見えてしまうジレンマ――。  
 
「どう頑張っても見えちゃうよ、お姉ちゃん♪」  
茉莉花がニコニコと私の焦る顔を見ながら微笑んでいた。  
「いいじゃない、お兄ちゃんにサービスしてあげれば。どうせ電気あんまの時はしっかりと  
見られちゃうんだよ?」  
茉莉花は私のロンググローブをゆっくり脱がせて胸のボタンをもう一つ取った。  
「や、やだ……」  
危うく片方の乳房がこぼれそうになる。この状態では上も動いたら肝心な所が見えてしまい  
そうな状態だ。  
 
(もう……嬉しそうな顔しないでよ)  
私は照れながらにやけてる春樹の顔を軽く睨む。だけど、晴樹はますます楽しそうな顔つきに  
なった。――血を分けた姉ちゃんが困ってるのがそんなに楽しいの? 馬鹿。  
 
「フフフ、次のイベントもあるんだから、早くお仕置きしちゃおうよ。普通の電気あんまでも  
十分、お姉ちゃんにはお仕置きになるよ」  
こちらも楽しそうな茉莉花。――後で覚えてなさいよ。あなただって、只で済まされる可愛らしさ  
じゃないんだから――!  
 
「そこに寝転んで、紫苑」  
茉莉花を睨んでる時に、晴樹の声が聞こえて私はギクッと首を竦めた。  
いよいよ、されるんだ――。前の時の駆け引き上されていた電気あんまと違って、今度は  
始めから私をいじめるための電気あんまをされると思うと、私の心臓は高鳴っていった。  
同時に、胸の奥底から何かどす黒くじんわりと湧いて来るものがある事も――。  
 
「う、うん……」  
私は腰掛けていたベッドに乗ろうと、足を上げて腰をずらす。その時に、晴樹の表情が変わった。  
「……? あっ!!」  
私は脚を上げた時に晴樹にまともに見られたのに気がついた。普通に足を動かすだけでも見えて  
しまうのに、座った状態で片足だけ膝を立てるように上げたら――。  
(パンチラ何てものじゃないよね。もう……)  
自分の仕草の一つ一つが恥かしい事をしているように思えて、私は困ってしまった。  
(だけど、晴樹は喜んでくれるのかな?)  
チラッと晴樹を見ると晴樹も私を見ていて目がばっちり合ってしまった。私たちは二人とも  
慌てて目をそらしてしまう。  
 
(もう……。これなら電気あんまされていたほうがマシだよぉ――!)  
この物凄い恥ずかしさとほんの少しの嬉しさが入り混じった気持ち、これが続くのに私は  
耐え切れず、思わず身悶えしそうになった。  
悪い気はしなかったけど――。  
 
 
          *           *           *  
 
 
(だ、だめだ……。破壊力ありすぎ――)  
紫苑の仕草一つ一つが俺の煩悩を掻き立てる。腕を動かせば胸チラするし、足を動かせば  
パンチラ攻撃。濃いブラウンのスカートの奥から覗くシルクの光沢のある白さに包まれた  
ヴィーナスの丘と張りのある肉付きの良い太股。お尻に少し食い込んだシルクのショーツの  
三角地帯の皺は、その中に隠された神秘の割れ目を十分に想像させて頭がクラクラして来る。  
 
茉莉花もそれなりにセクシーな格好をしていたが、紫苑みたいに女の色香が匂い立つ雰囲気は  
まるで無いので、悪戯にスムースに入り込めた。紫苑にするのは生々しいと言うか、背徳的な  
感じがする。それは勿論血を分けた双子の姉である事も多分に影響しているだろうけど。  
「こんな事しちゃっていいのかな?」  
俺が紫苑の顔を見ながら言う。  
「なにが?」  
紫苑が聞き返してきた。その声色もいつもより官能的な気がする。  
「いや、その……電気あんまって子供同士でする遊びじゃないか。それをその紫苑にしちゃっ  
ても――」  
「あ〜、お兄ちゃん! それって、私は子供だから遠慮なく電気あんま出来たって事!?」  
「え? あ! そ、そういう意味じゃなくて……」  
茉莉花が拗ねたような表情をするが、目は笑ってる。  
「だって、お兄ちゃん、お姉ちゃんに電気あんました事があるじゃん?」  
「あれはその……紫苑が挑発するから……『女には電気あんまは効かない』って」  
「100%嘘だって事はもう分かったでしょ?」  
「うん……まあ」  
だから困るのだ。俺は紫苑がやせ我慢をしすぎてショーツとパンツをぐっしょり濡らした光景を  
思い出していた。あんなに効くとは思っていなかったのだ。さっき茉莉花に悪戯がてらちょっと  
長めの電気あんまをしてやったが、やはり同じようにショーツはぐっしょりと濡れていた。  
だから紫苑だけに効くのではなく、女の子だから電気あんまは有効な事が分かったのだが――。  
 
(紫苑の濡れ方と茉莉花の濡れ方は違うんだよなぁ――)  
茉莉花の濡れ方や電気あんまでの悶え方は、まだなんとなく、悪戯の範疇から越えていない気が  
するのだ。匂いも強くないし、悶え方も擽られて笑っている子供がちょっと色気づいた感じ。  
一方の紫苑は完全に大人の色気に近いものがあった。濡れ方も派手だし、匂いもかなり強い。  
もっともこの前の時のそれは、やった後で茉莉花に指摘されて気がついたのだけど。  
(こいつはどんな悶え方をするんだろう――)  
今から考えると紫苑のあのポーカーフェイスも萌えてくる。あの仮面の表情の下で紫苑は  
女の子には耐え切れない苦悶と快感に襲われ続けていたのだ。それを表情に出さないように  
懸命に頑張る姿。それを想像すると、下半身のモノが充血してくる。  
 
「晴樹……見つめられちゃ、恥かしいよ……」  
紫苑の声が聞こえ、俺は我に返った。見ると紫苑が顔を真っ赤にして俺を見ている。  
凄く恥かしそうに、体を捩り、前はそれとなくスカートを押さえて。だが、足を俺に向けて  
仰向けに寝ているのでショーツは隠しきれていない。  
紫苑にもそれは分かっているようで、彼女はどうやら俺がじっとスカートの中を見つめていると  
勘違いしたらしい。勘違いでもないか。気がつくと視線はそこに行くのだから。  
「やるなら……早くして……」  
紫苑はイジワルに焦らされていると思ったのだろう。ちょっと拗ねた表情で俺を見ると、  
スカートを押さえていた手をお腹の辺りで組んだ。好きにしていい、と言うことなのだろう。  
 
「うん……」  
俺は物思いに耽っていた時間が意外な効果がある事を知った。女の子には時間を置く事も  
大事なんだ。性急にせっつくだけでなく。  
だが、これ以上は逆効果だろう。俺は腹を決めて紫苑のニーソックスに包まれた足首を掴んだ。  
紫苑はビクッ!と反応するが、彼女も覚悟を決めたように目を閉じる。  
「お仕置きの電気あんま、始めるからな。覚悟はいいか?」  
紫苑はコクリと頷く。俺が両足首を掴んだ状態で右足を紫苑の太股の間に滑り込ませると、  
「あっ……」と溜め息の様な声が漏れたが、それ以上は何も言わなかった。  
俺はゆっくりと太股まであるニーソックスの感触を楽しみながら足を割りいれると、股間には  
土踏まずをあてがった。  
「ああっ……!!」  
紫苑は白いおとがいを仰け反らせ、官能的に呻いた。  
 
 
「踵アンマはもう少し後のほうがいいんだよな、茉莉花?」  
俺は息を呑みながら俺たちの様子を見ていた茉莉花に聞いた。さっき茉莉花に電気あんま  
した時に色々とアドバイス?をしてもらったのだ。  
「う、うん……」  
茉莉花は紫苑の表情から目を離さない。俺は更に紫苑のシルクのショーツに包まれた股間を  
振動で刺激した。ビクビクッ!とニーソックスに包まれた太股が震える。  
「う……。クッ……」  
紫苑は切なげに何かに耐える表情をしている。マリアベールをとった紫苑の表情は今度は  
唯一施されたルージュだけが強調されて、年齢よりも大人びた色気を見せている。  
紫苑が動くたびに大きく胸元を広げたノースリーブのブラウスからは白い双球が零れそうに  
なり、慌てて胸元を押さえるが、逆に隠し切れない部分が強調されてしまう。  
 
そして肝心な部分はと言うと――。  
「あッ……! ううっ……ん!!」  
紫苑の股間をブルブルと震わせるたびに、腰の辺りがビクビクと震えている。スリット入りの  
ミニスカートは完全に捲くれ、白いなだらかな下腹部が汗ばんでいるのが見える。  
俺の足元もしっかりと濡れていた。今日はそれを隠してくれる股布の分厚いパンツはない。  
ニーソックスに包まれた太股も懸命に電気あんまに耐えるように内股になり、少しでも股間の  
負担を軽減しようとしている。  
いや、この状態で搾るように内股になっては、俺の足が逆に股間に押し付けられ、より強い  
刺激が股間に伝わるだけではないか――と言うより、それが紫苑の内なる目的なのかも知れない。  
 
「こんなのをいつもポーカーフェイスでごまかしてたのか……大変だっただろう?」  
俺は頬を紅潮させて何かに懸命に耐えている紫苑に聞いてみた。  
「いつもは……ここまで……感じたりしないから……」  
ハァ……ハァ……と荒い息遣いをしながら紫苑は答える。  
「いつもの晴樹の電気あんまって……痛かったり……ちゃんと決まってない事もあったから  
……今日のは全然痛くなくて……気持ちが……いい……の……」  
はぅん!と小さな悲鳴を上げる紫苑。そうか、俺が未熟だったんだな……と反省しながら、  
少し感謝して茉莉花のほうを見た。茉莉花は意を悟ったのかVサインだ。  
 
「いつまでも気持ちいいだけとは限らないけどな」  
「えっ……?」  
「俺はお前のソコを痛くしてやりたいのさ。女の子の急所を電気あんまで痛くしてやる――  
それが今日の本当の目的なんだから」  
「…………私にされた仕返し?」  
「それもあるけど……」  
俺はクスッと笑った。紫苑は虚ろな目で不思議そうに首を傾げている。  
「痛くするのは急所――マンコだけ。マンコだけを狙っていじめて、お前を恥かしい痛さで  
悶えさせてやりたいんだ。あの時、鏡に映ったお前を見て、俺はお前がそういう事をされる  
のが好きだって知ってるからな――」  
「は……晴樹!」  
紫苑は思わず目を見開いた。そう、俺は知っていた。紫苑が俺の名前を叫びながら手にした  
定規で自分の無毛の割れ目をビシビシと打っていた事を。自分で打って股間を押さえて内股に  
なって悶える紫苑の顔は今でも忘れない。  
 
「あの時の顔を再現したいんだ――いいよね、紫苑。俺がこんなサディスティックな欲望を  
抱くようになったのはお前のせいなんだから」  
俺は電気あんまを続けながら熱い目で紫苑を見つめていた。  
 
 
          *           *           *  
 
 
(マンコだけを狙っていじめて、お前を恥かしい痛さで悶えさせてやりたい――)  
 
晴樹はそう言った。その途端、私のいけない所が熱くなり、女の子の熱い蜜がじゅん……  
と迸った。晴樹に気づかれて無いだろうか――?  
 
(あの時の顔を再現したいんだ――いいよね、紫苑)  
(俺がこんなサディスティックな欲望を抱くようになったのはお前のせいなんだから――)  
 
晴樹の言葉に私は呆然としてしまう。あの時、自分でも何をしたか、細かくは覚えていない。  
ただ、夢中になって晴樹の言うように自分をいじめていた事は覚えていた。  
 
 
          *           *           *  
 
 
定規を持って叩いたのは最初は手だった。  
そして太股、その内側――お腹の下の方の辺りをビシビシ打った時は気持ちが良かった。  
お尻も痛かったが、その痺れる感覚が良かった。  
 
でも、あそこだけは――。  
下半身を中心に定規の鞭で自分を打擲(ちょうちゃく)して興奮していた私は禁断の部分を  
打ってみたい欲望に駆られた。  
だけど、それだけはやってはいけない事だと思った。それをしたら私は普通の女の子じゃ  
なくなってしまう――そう思って鏡を見た時、私は促されたのだ。『鏡の中の晴樹』に。  
 
 
(ソコを打って悶える姿を見せてよ、紫苑――)  
 
 
私は空耳だと信じた。いや、信じるも何も空耳以外にありえなかった。  
鏡の中に私と同じで裸の晴樹がいて、私の体の奥から滲み出る黒い欲望が鎌首を擡げて  
私を支配しようと――いや、私自身がその本性を曝け出そうとしているのを後押しする  
――そんな事は絶対にありえないのだ。  
でも――。  
 
 
(うん――。見てて晴樹。私が……苦しむところを――)  
(苦しむ……? 嘘なんかついちゃダメだよ。悦んでするんだろ、紫苑は?)  
(……ゴメン――。晴樹の言う通りなの。私は……晴樹にこうされるのが、夢なの――)  
 
 
そう言うと私は自分の割れ目をビシッ!と定規で打った。今までと違う、電気が走ったような  
衝撃がソコから全身に広がった。  
(あああああーーーーッ!!!)  
私は懸命に唇を噛み締めて絶叫を上げるのを辛うじて防いだ。万が一、こんな事をしている  
のをお父さんやお母さんに見られたら、私はもうこの家にはいられない。だけど――。  
 
 
(大丈夫だよ、ボクがいるから――)  
 
 
晴樹は私に優しく声を掛けてくれた。ボクだけが紫苑のいけない所も受け入れてあげる――とも。  
 
 
(晴樹――もうだめだよ。こんな事……お願い、今なら私は普通の女の子に戻れるから――)  
(普通の女の子なんて――)  
 
 
晴樹の声が更に優しくなる。私は耳を塞ぎたくなった。いや、この声は耳でなく脳裏に響いて  
いるのだから、そんな行為は無駄なのだが。  
 
 
(そんなの、紫苑には似合わないよ。紫苑の美しさは普通の女の子じゃないんだから――)  
(違うよ……! そんなの違う――私は――私はただ晴樹と――)  
(ボクとどうしたいの? 血を分けた双子の分身のボクと――? そんな事を考える事こそ、  
紫苑が普通の女の子じゃない証明じゃないの――?)  
(違う――! 違う――! 違う――! 私は――私はただ晴樹のことが――)  
(ボクに気に入られたければ――)  
 
 
晴樹の声色が変わった。優しい甘く蕩けるような声――。でも極上の蜜は毒の味に似ている  
かもしれない。  
 
 
(ボクに愛されたければ――続けるんだ。今やってる事を――)  
(――はい)  
 
 
私には最早逃げ道は無かった。私は自分の大事な所――いけない所を何度も定規で打った。  
一発打つごとに打った所が痺れ、熱い蜜が中から迸った。五度目の打擲の時にはもう股の  
内側がぐっしょりと濡れそぼっていた。  
そして七度目の打擲で私は――昇りつめてしまったのだ。定規を投げ出し、両手で股間を  
押さえてもみしだき、固くなった小さな突起が震えるのを刺激して――。  
 
 
その時に見た鏡に映っていたのは寝巻きを着てながら爛々と瞳を輝かせている晴樹だった。  
 
私は引き渡されたのだ。  
鏡の世界にいるの夢の中の晴樹から、私と血を分けた現実の世界の弟の晴樹へと――。  
 
 
          *           *           *  
 
 
「どうしたの、紫苑?」  
晴樹の声が聞こえる。  
同時に私の股間からひしひしと突き上げてくる快感の波が再び強く感じ取れた。  
「う……ああん……。な、なんでも……ないの……」  
「……? ヘンな奴」  
興奮しながらも不思議そうな表情で私を見つめる晴樹。現実の晴樹は鏡の国の晴樹に比べて  
子供っぽい気がする。手に取るように、とまでは言わないが晴樹が何をしたいか、何を  
して欲しいか、なんで怒ってるのか、などは大体の想像はつく。私たちが双子だからかも  
しれないけど。  
 
でも――。最近の晴樹は時々、鏡の中の晴樹みたいに思える事がある。  
さっきの『紫苑をいじめてやる』宣言とかがそう。陰湿でねちっこくて残酷な晴樹――。  
違うのは鏡の中の晴樹がそれを優しい言葉と甘い雰囲気で隠しているのに、現実の晴樹は  
自分の獣欲を隠そうとしないところか。だけど、本質は同じなのだと思う。  
もしかしたら現実の晴樹も段々鏡の中の晴樹の様に、真綿で首を絞めるような甘い罠を  
仕掛けてくるかもしれない――なせなら、私がそうされるのが――。  
 
「そろそろ踵でグリグリあんましてやろうか?」  
「えっ?」  
「もう十分に濡れただろ? 今からなら痛くないよな?」  
「そんな……。うっ!」  
私は顔をしかめた。晴樹の踵が急所をしっかりと捉えたからだ。  
「ここをグリグリしてやると女は喜ぶんだよな――さっき、茉莉花もそうだったし」  
「ああああ……! ……ああっ!!」  
晴樹の声が聞こえ、茉莉花の「お兄ちゃんッたら!」と抗議する声も聞こえたが、私は  
それに答えるどころではなかった。甘い悲鳴をあげながら、晴樹の足を掴んで股間から  
離そうとする。勿論、その努力は無駄に終わるのだけど。女の手と男の足。力比べしても  
勝てるわけが無い。  
 
「だ……だめっ! ああああ〜〜!!!」  
私は髪を振り乱して悶えた。胸も最早全部見えているだろうけどそれどころじゃない。  
晴樹の踵は的確に私の陰核を捉え、そこを中心に割れ目に食い込ませるようにあんまを  
続けていた。さっきまでのブルブルした刺激と違い、性器を強く圧迫され、快感だけでなく  
苦悶も感じさせられる電気あんまだ。  
「うぁ……あ……。……んくっ!!」  
私は快感と苦悶の狭間を彷徨わせられる心地がした。この踵グリグリ型の電気あんまは  
容赦なく力強い男性的な責めを感じさせた。さっきまでの繊細な責めもいいけど、このされ  
方も……ちょっといいかも。  
 
(ちょっとじゃないくせに――)  
 
私の中の分身がそう言って笑った様な気がした。  
冗談じゃないよ――私はその声に反抗した。まだ負けたわけじゃないんだから!  
こんな踵アンマぐらい跳ね返して――。  
 
……グリッ!  
 
「はぅう……!?」  
私は思わず仰け反って悲鳴を上げてしまった。  
「あ、ごめん……。ちょっと力が入っちゃった。……痛かったか?」  
脳天気な晴樹の声が聞こえ、涙目の私はこいつをぶん殴ってやろうかと思い、キッと睨みつけた。  
それを見て晴樹が首を竦める。  
何しろ、興奮した晴樹が私の滑らせた手が離れたにも関わらず、かなりの力で股間をグリッと  
踵で捻られたのだ。いくら十分に濡れているとは言え、敏感で鍛えられない急所を乱暴に踏み  
にじられてはたまったものではない。  
だけど、その後晴樹が言った言葉はもっと信じられない言葉だった。  
 
「ここまで痛くするのは、『まだ』早いよな」  
「え……?」  
晴樹は何を言ってるのだろう――。  
さっき言ってた痛くするって……この『ぐりぐりアンマ』の事じゃないの?  
「もちろん、ぐりぐりアンマなんて基本に過ぎないさ――」  
晴樹はニヤリとたちの悪い笑顔を私に向ける。  
「お前は普通に電気あんまされた上で、更に色々な事をされるんだ。これはお仕置きと調教  
なんだから当たり前だろ? 痛い事、苦しい事、エッチな事――ちゃんと気持ちいい事も  
してやるから安心しろ」  
嬉々として晴樹が言う台詞は私には他人事の様に聞こえていた。  
まだ現実の自分にされる事だと信じたくなかったから、なのかもしれない――。  
 
 
          *           *           *  
 
 
「ううん……はぁうん!」  
お兄ちゃんのお姉ちゃんへの電気あんまはまだ続いている。最初の土踏まずでの電気あんまは  
本当にただの準備運動だったようだ。その後はずっと踵でのぐりぐりアンマを続けている。  
「晴樹……。長い……よ……。もう……許して……」  
大きな目に涙を一杯に溜めたお姉ちゃんが辛そうな表情で訴える。  
確かにお兄ちゃんのグリグリ電気あんまは執拗にアソコだけを狙っている上、テンポが単調  
なのでされ続けるのは辛いと思う。普通ならばもっと違うポイントを狙ったり、テンポを  
変えたりして逝きやすくするはずなのに――。  
 
(お兄ちゃんは、お姉ちゃんをいかせてあげないつもりなんだ)  
私はそう思った。お姉ちゃんを気持ち良さと辛さの間で彷徨わせるいじめ方をしている。  
もしお姉ちゃんをイかせて楽しむなら、私の時みたいに色々なテクニックを駆使するだろう。  
それをせず、わざと稚拙なテクニックで、だけどしっかりとポイントは抑えてるやり方は  
間違いなくお姉ちゃんをいじめるためだった。  
お姉ちゃんはポイントを抑えられているので感じないわけは無く、大事な所を長時間圧迫されて  
いるのでこれに耐えるために体力も消耗しているだろう。反対にお兄ちゃんはほんの少しの  
力でお姉ちゃんをたっぷりと責めている。急所を責めているのだから当然だけど。  
でも――。  
 
女の子の急所だけを責め続けられるのって、とっても辛いんだよ――。  
 
私はお姉ちゃんをいじめたいとは思っているけど、この電気あんまのされ方は一人の女の子  
として同情してしまう。イクにイケない辛さ、女の子としての尊厳を陵辱されるような執拗さ、  
何度も昇り詰めては痛くされて、苦悶に喘いでいる様子を見られながら笑われる口惜しさ――。  
(相手がどんなに憎い女の子だって、女の子は女の子に対してこんな仕打ちは出来ない)  
お兄ちゃんは男の子だからこんな事が出来るんだ、と思った。  
私はお兄ちゃんにそれを訴えて止めさせようと何度も思った。だけど、それは出来なかった。  
もしそんな事を言ったら、お兄ちゃんは喜んでもっとお姉ちゃんにこの状態を長引かせるように  
するだろう。それこそ無間地獄だった。もっと酷い事をされる方が何千倍もマシ――私もそう  
思ったし、それが分かっているお姉ちゃんも私の方に助けを求めなかった。  
 
「うぁあああ……。うっく……あああッ……!」  
お姉ちゃんは髪を振り乱して悶えまくっている。両手は辛そうに爪を立ててシーツを掴んでいた。  
そうしないととても耐えきれないからだ。そのシーツも既にぐちゃぐちゃで、ここまでの  
お姉ちゃんの苦悶の凄まじさを物語っている。  
私には男の子の『キン蹴り』の痛さはわからない。でも、お姉ちゃんにされたからといって、  
その仕返しにここまでするのはお兄ちゃんはやりすぎだと思った。それは私が女の子だから  
そう思うのかも知れないけど。  
 
「お、お兄ちゃん……お仕置きはそろそろこのぐらいにして、調教を始めましょ? あんまり  
飛ばしすぎるとお姉ちゃんの体力も持たないし、それに……『キン蹴り』の仕返しも十分に  
出来たでしょ?」  
私はつい口を挟んでしまった。『調教を始めましょ?』と言うのは一見酷い事の様に聞こえる  
かもしれない。だけど私はこの言葉はお姉ちゃんにとって相当好意的だと思った。  
次のステップはもっと酷い事かもしれないけど、そうする事によって少なくともこのステップは  
終わるのだ――この女の子にとって地獄の様な電気あんまは。  
実際、お姉ちゃんはその言葉を聞いて私の方を見て安堵の表情を見せていた。お姉ちゃんは  
私の気持ちが分かってくれたようだ。  
 
だけど、お兄ちゃんは私たちが考えている以上の悪魔だった――。  
 
「いや、もう少し続ける。まだ十分に俺の方の体が温まってないしな。それに、金蹴りの  
仕返しはこれじゃないぞ? ちゃんと別に同じ事をしてやるつもりだからな」  
「「な……!!」」  
お姉ちゃんと私は一緒に声を上げた。あまりの言い分に呆然としてしまう。  
「そ、そんな……! それじゃあお姉ちゃんがかわいそうだよ! お、お兄ちゃんの体が  
温まるのって――いつ!?」  
私は努めて冷静に言おうとしたが、最後の方は悲鳴に近い上ずり方だった。まだ虐め足り無い  
なんて――。  
「そ、それに……同じ事ってまさか――お姉ちゃんの……急所を蹴るって事?」  
私は恐る恐る聞いた。思わず自分の股間が蹴られる事を想像し、キュッと内股になってしまう。  
女の子だってここは蹴られると凄く痛い。男の人の蹴りがまともに当たったりしたら――泡を  
吹いて失神してしまうかもしれない。  
 
「なるほど……蹴るのもいいな。後でジムでスパーリングするか。お仕置き電気あんまで十分  
体力を消耗させてからな」  
「そ、そんな――!」  
思わず悲鳴を上げたのはお姉ちゃんじゃなく私の方だった。まだ電気あんまされている最中の  
お姉ちゃんは荒い吐息をつきながら懸命に耐えている。お兄ちゃんがこんな悪魔の様な話を  
している間も、お姉ちゃんの体は小刻みに震えていて、電気あんま放つ大事なところから  
押し寄せる波で苛まれているのは分かる。お姉ちゃんは身を捩りながらも私たちのほうを  
見ていて、話の内容は聞いている様だった。  
 
「俺が思ってたのはちょっと違う責め方だったんだけどな。茉莉花の案も採用して、両方する  
ことにしよう」  
お兄ちゃんは楽しそうに笑う。  
「そんな! 私の案だなんて――!」  
「紫苑は知ってるよな? 俺がお前のここに何をしようと考えてるかを」  
お兄ちゃんはそういいながら股間をグリグリする足に力を込めた。  
「はぁううう……!!」  
お姉ちゃんが背筋を反らせて仰け反る。「ああああ……」と苦悶の呻き声を上げながら、  
お姉ちゃんはコクコクと頷いた。それを見たお兄ちゃんが唇の端を釣りあがらせて笑う。  
これはお兄ちゃんとお姉ちゃんだけに分かるキーワードだったのだろうか、私にはさっぱり  
要領を得なかったが、差し当たって困ったのは先の提案、スパーリングの話だった。  
 
「お兄ちゃん……それはお姉ちゃんが可哀想だよ――」  
最早私には駆け引きも何もなく、お姉ちゃんに心から同情してお兄ちゃんの考えている事を  
止めさせようとした。そうする事によって私がお兄ちゃんの怒りを買い、身代わりにされる  
可能性があるかもしれないけど、それでもいいと思った。お姉ちゃんのされる事は女の子には  
辛すぎる……。それを見逃すのは女の子には無理だった・だから――。  
 
地下のジムで――私たちの館には地下室があり、その中の一つが練習用のジムに改造されている。  
お姉ちゃんとお兄ちゃんが武道を習い始めたのを切っ掛けに作られたものだ――体力を消耗  
しきった上、セクシーなリングコスチュームを着せられたお姉ちゃんが、獣欲に満ちた  
お兄ちゃんに陵辱される。  
勿論電気あんまもされるだろう。その時は素足でされるとは限らない。格闘技用のシューズを  
履いた足でレオタードの股間を電気あんまされて、泣きながら絶叫するお姉ちゃん。  
でもそこは地下室でお姉ちゃんがいくら泣いても喚いても誰も助けには来ない――。  
その状況を想像し、おそらくそうなってしまうだろう事を私は確信した。そして――。  
 
「お姉ちゃん!」  
私は電気あんまされ続けているお姉ちゃんの首に両手を回して抱きしめた。意識が朦朧と  
しているお姉ちゃんが私をじっと見る。私はお兄ちゃんに見られないように涙を零した。  
「ゴメンね。お兄ちゃんがこんな悪魔だったなんて思わなかったから――お姉ちゃんに……」  
「…………」  
お姉ちゃんは優しく私の髪を撫でてくれた。その最中もお兄ちゃんの電気あんまは続き、  
お姉ちゃんは「あっ……」と熱い溜め息をついて悶える。お姉ちゃんの体に密着していると  
電気あんまが与える快感と苦痛がどの様にして体を流れていくか、その微妙な震えでわかる  
気がした。  
お姉ちゃんのあそこはすごい事になっていた。絶え間なくあふれ出す女の子の蜜で下着はおろか  
スカートもシーツもびしょ濡れになり、ぐしゃぐしゃになっていた。お姉ちゃんのあそこには  
お兄ちゃんの踵が長時間食い込まされたままで、振動も流石に一定ではなく強弱がついて  
いたけど、力はしっかりと入っていて、圧迫感はずっとつづいているだろう。  
お姉ちゃんの両足はピンと伸びたまま、逃げる事も叶わず、太股は電気あんまの振動と内から  
溢れ出る震えで、絶え間なく揺らされている。お尻のほうもショーツが捩れて深く食い込み、  
お姉ちゃんの下半身で責められていないところは無かった。  
 
私は唯一責められていない女の子の所――お姉ちゃんの大き目で丸いおっぱいを優しく  
揉んであげた。お姉ちゃんは「あん……」と喘ぎ声を上げたけど、これでほんの少しでも  
急所を責め続けられる苦悶が和らぐなら――そう信じて奉仕するように優しく揉み、蕾の  
様な乳首を舐めてあげた。  
「いい感じだな、茉莉花。そこもしっかりと解してやってくれ。後でスパーリングの時に  
狙ってやるからな」  
「お兄ちゃん――」  
お兄ちゃんは私が味方である事を信じきっているようだ。勿論、私はお兄ちゃんの味方だ。  
お兄ちゃんがお姉ちゃんを虐める手伝いをする――それが私の役目。でも――。  
 
「スパーリング……ね」  
私はお姉ちゃんの呟くような声を聞き、お姉ちゃんの顔を見た。お姉ちゃんは電気あんま  
されて悶えていながらも自信たっぷりの表情で私を見る。  
「墓穴を掘ったね、晴樹――。格闘で私をどうにか出来るなんて、本気で思っているのかな?」  
お姉ちゃんは汗だくの顔に笑みを浮かべ、私だけに聞こえる声で呟き、私だけに見えるように  
ウィンクをした。  
 
反撃――する気なの?  
これだけ絶望的に不利な状況で、しかも私がお兄ちゃんにつくのはわかっているはずなのに。  
私はこれだけ責めさいなまれても自信に溢れているお姉ちゃんの顔を神々しく感じた。  
 
 

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