「あむちゃーん、寒いですぅ」  
 
「しょーがないじゃん、カギ忘れて来ちゃったんだから…」  
 
空からはひらひらと白い粉雪。  
部屋の中から窓ガラス越しに見る分には「キレイ」と素直に喜べるが、いざ身に降ると寒くて憎らしいモノに早変わりするという事を今知った。  
 
関東地方に雪が降るのは珍しい。  
駅から少し離れた日奈森家の前の道路は、車通りも少なくシーンと静まり返っている。  
すぐ止むだろうと、ドアの前で待つがなかなか雪は止まない。  
日が傾くに連れ、比例するように雪の積雪量は増えて道を歩く人の姿は右肩下がりに減って行く。  
こんな寒い時に、わざわざ出て来る物好きもいないだろう。  
 
震える指先を息で温めて、携帯のリダイヤルボタンを押す。  
無情にも呼び出し音だけが続き、繋がらない。  
今朝の天気予報を見てこなかった自分を恨めしく思った…。  
 
「あむちゃん、パパとママは?」  
ランがガタガタと体を震わせながら聞いて来るので、見兼ねてしゅごたまをポケットから出す。  
 
「ほら、三人ともたまごに入ってなよ。  
あたしは平気だから」  
 
でも…、と躊躇する三人をたまごに押し込みドアに背を当てた。  
 
パパは撮影で今は長野に出張だし、ママは仕事が立て込んでいるから帰るのは夜遅くだろう。  
あみはお泊まり保育で帰って来ない。  
事実上あむは一人で留守番をするハメになったのだが、よりによって今日に限って家の鍵を自室に忘れて来るというドジをやらかしてしまったのだ。  
 
先ほどから何度目か分からない溜め息を付く。  
息が白い煙になり、空気の中へ消えて行った。  
 
「…ちょっと歩くけどコンビニに行こうかな」  
 
しかし、小学生が制服でコンビニに長時間いるのも限界がある。  
それにあまり持ち合わせも無い。  
寒さの我慢大会は限界に来ていた。  
 
指先の感覚が痺れ、頭もぼーっとしてその場にうずくまり少しでも熱が逃げるのを押さえるのが精一杯だった。  
 
「もーヤダ…何で鍵忘れちゃったんだろ」  
 
寒さと、自分のドジさに涙が自然と溢れて来る。  
 
「…あむ」  
 
名前を呼ばれた気がしたが、気のせいだろう。  
聞いた事がある声が聞こえたのも、気のせいだろう。  
寒さと心細さで幻聴が聞こえたに違いないと、わかっていたがそっと頭を上げてみた。  
 
「雪遊びしてたのかよ?鼻真っ赤…」  
 
「イクト…」  
 
そこにはコート姿の「月詠イクト」が立っていた。  
 
「しゅごキャラと雪遊びでもしてたんだろ?  
お前、傍から見たら痛い子だぞ」  
しかも寒いのに制服のままだし。  
と、付け加えると差していた黒いコウモリ傘をあむに手渡す。  
 
「…なんでここにいんの?ってゆうか、雪遊びなんてして無いし!」  
 
差し出された傘を受け取らずに、フイっとそっぽを向く。  
いつも自分をからかい翻弄するばかりのイクトとはいえ、困っていた時に誰か来てくれた事に正直ほっとした。  
素直になれないが、内心嬉しかった。  
ほっとしたせいか、一気に涙腺が緩み視界がじわじわと滲んで行く。  
押さえられない。  
 
 
「っ…ふぇ…うっ…く」  
 
「何で泣いてんだよ?」  
 
気丈なあむが泣いている姿に、少し動揺してしまう。  
どうして良いがわからない。  
 
愛を囁いて慰めるには、早過ぎる。  
 
かといって、お菓子を与えて笑顔に変えてあげるような歳では無い。  
 
ガキかと思えば、意外としっかりして芯があるあむの扱いは難しい。  
 
だから、いつも茶化して自分の感情を煙に巻いてしまう。  
こんな年下に、心を動かされている事実に気付きたくなったからだ。  
 
「あむ…こっち来い」  
 
コートの前を開け、手招きするがフルフルと頭を横にして頑に動かないあむを無理やり引き寄せ抱き締める。  
 
体じゅうが冷えきり、良く見ると膝辺りは鳥肌がたっているようだ。  
 
「や…っ、やだ!なに…」  
「何があったかしんねーけど…家入れないんだろ?」  
その言葉にやっと顔を上げてくれた。  
ぱっきりとした大きな瞳は涙で濡れ、長い睫毛がしっとりして下向きになっていた。  
泣き顔を見て、ドキッとしてしまう自分は本格的なロリコンなのだろうか?とよからぬ考えが一瞬頭を過ぎった。  
 
 
「なんでわかったの?」  
 
その言葉にハッとし、自然と逸らしてしまっていた視線をあむに戻す。  
 
瞳は兎のように赤く、そしてすがるような寂しさを含ませた目には涙が溜まっていた。  
 
「何となく…」  
 
悪戯心からするりと腰に手を回すと、ぴくっと身体が震えて少し離れようとたじろぐ姿に初々しさを感じ小さな笑みが零れた。  
 
「エロガキ…何、意識してんの?」  
 
前に教えてもらった弱点の『耳』を甘噛みするとやはり耳も冷たく、舌にひやりとした感触が伝わってくる。  
 
「ひゃっ…!  
やっぱりセクハラオヤジじゃん!も、離してよ!」  
 
「お前が選べる道は二つ。  
一つはここにいて風邪ひくのを待ってる。  
もう一つは、俺に付いて来るか…選べよ好きな方」  
 
こんな状況で選ばせるのは卑怯だと、分かってはいるが敢えてあむの口から聞きたい。  
 
小学生とはいえ、素姓が分からない男の後を付いて行くのは勇気がいる事だろう。  
きっと親や学校に「知らない人に付いて行ったらダメ」と言われているに決まっているからだ。  
 
性に対する意識も、芽生え始めているかいないかの多感な時期。  
 
だからこそ、決めて欲しい。  
これは一種の博打だ。  
もし、付いて来てくれるなら自分も認める。  
 
この目の前にいる、小さな女の子を愛していると言う事を。  
 
「…性格悪い、2個目に決まってるじゃん」  
 
くいっ、とコートの袖を引っぱって来る意味はこの子なりの表現の仕方なのだろうが無意識にやっているなら…タチが悪すぎる。  
 
自分から見ると、誘っている様にしか見えないからだ。  
 
「お前も相変わらず意地っ張り」  
 
コートを脱ぎ、雪を軽く払うとあむの肩に掛けて自分は先を歩き出す。  
 
「え…っ、コートいいよっ!イクトが寒くなっ…」  
 
聞こえないフリをして、はぐれない様に手だけを繋いで前を向き歩き直す。  
少しして何かを悟ったのかあむも黙りこくり、2人して雪の中を静かに歩いた。  
 
 
しんしんと降り積もる雪は、相変わらず勢いを落とさず降り続いている。  
唯一ありがたいのは、風が無い事だ。  
歩いている間、ずっと手を握られていた。  
雪で滑ったり、人混みではぐれたりしないようにする為だけかもしれないが…あむはそれどころではなかった。  
恥ずかしくて前が見れずに俯いて歩いていた。  
目の前にはイクトの手と、雪の道しか映らない。  
 
(手、大きいけどキレイだなあ…)とか、そんなことばかり考えていてどこに連れて行かれるとか、この後に何をされるかなんて全く頭に浮かばなかった。  
 
だから自分の家からここまでどうやって来たかわからず、今更ながら来た道を慌てて振り返った。  
しかし、見た事の無い道であまり意味は無かった。  
 
「ついたぞ」  
その声で前に頭を戻すと、目の前にイクトの顔があって驚き、素頓狂な悲鳴を上げてしまう。  
 
「もー!顔近い!」  
「ほら、早くこっち来い」  
自分の家よりかなり広めな庭付きで、淡いクリーム色の壁の家。  
それを引き締めるかの様に、漆黒で重厚なドア。  
 
キョロキョロとしているあむを余所に、イクトはドアの前に立ち、ポケットからチェーンにつながれたカードを取り出してドアに差し込んだ。  
ピピッ、と小さく電子音がしてドアが解錠される。  
 
「へぇ…カードの鍵なんだ。ホテルみたい」  
 
「今日、誰もいねーから遠慮すんな」  
そう言いながら、ドアを開けた。  
 
「きれい…玄関広いね」  
靴を脱いで揃えると、靴下まで雪で濡れている事に気付く。  
 
「あ…脱がないと廊下濡らしちゃう」  
 
廊下に腰を下ろし、靴下を脱ぐと霜焼けで足の指が真っ赤になっていた。  
寒すぎて感覚が鈍感になっており、冷えきっているはずの廊下の木板の方がよっぽど温かい様な気がした。  
「あむ…風呂、ココだから。  
シャンプーとか適当に好きなの使って」  
 
「え、そんな…悪いよ」  
 
お泊まりでもないのに人の家の風呂を借りたことはないので、戸惑ってしまう。  
 
「なんだよ、一緒に入りたいのか?」  
 
「な…っ、なわけないでしょ!」  
 
からかいから逃げる様に脱衣所に入り、急いで服を脱ぐ。  
熱いお湯を浴びながら、シャンプーを泡立てるとイクトと同じ香りがした。  
 
「外国のシャンプーなんだ…」  
 
イクトに抱き締められている様な錯覚を覚え、顔が一気に熱くなる。  
何だか途端に恥ずかしくなり、シャワーの水勢を上げて泡と共にグルグルに渦巻く思考も流しこんだ。  
 
身体も洗い終え、浴室を出ると目の前の小棚にパジャマとTシャツが置いてあった。  
恐らくイクトが用意したものだろう。  
代わりに制服が忽然と姿を消していた。  
慌てて鞄の中身をチェックするが、しゅごたまもキチンと3つ並んであり何も取られてはいないようだ。  
 
髪も生乾きのまま、服を借り廊下に出ると二階から物音がした。  
 
「イクト…二階にいるの?」  
 
二階に上がると、一つドアが半開きになっている部屋がありそっと覗き込む。  
 
「風呂、あがったのか?」  
いきなりドアが開き、イクトが出迎えてくれる。  
男の人の部屋など、父以外では入った事が無いので戸惑いながら一歩づつ足を踏み入れた。  
 
 
「あ、お風呂と服ありがとね」  
 
中はエアコンが効いた温かい部屋で、家具はシンプルであまり生活感がない部屋だがそれでもあむには目新しくて、つい見回してしまう。  
 
 
「ぷっく…くくく」  
 
壁に自分の制服がハンガーで吊されているのを見つけ、ほっとしたのも束の間。  
イクトからいきなり笑い声がし、自分をじいっと見つめているのだ。  
地獄に仏とばかりに着いて来てしまったが、よくよく考えればイクトは敵の一味なのだ。  
 
「な…何笑ってんの?」  
 
「ブカブカ…服に着られてるみてー」  
 
確かに借りた服はメンズサイズで、小学生のあむにはブカブカだ。  
ズボンにいたっては、引きずって転びそうなので身に着けるのはやめた。  
パジャマの上だけでワンピースほどの長さがあり、これなら大丈夫だろうと判断したからだ。  
 
「笑わないでよっ!イクトが用意してくれたんでしょ…」  
 
ぷくりと頬を膨らませる姿は年相応で、可愛らしいあむのいじけ姿にイクトは頭を撫でてやりたくなった。  
 
「じゃあ…歌唄の借りるか?あいつの昔着てた服なら合うだろ」  
 
『歌唄』と言う単語に、なぜか胸がチクリと痛くなる。  
家族だから一緒に暮らしていて当然なのに…なぜこんなにチクチクと痛むのかあむは自分でも分からない。  
 
「やだ…なんか後で歌唄に怒られそうだもん」  
精一杯笑って見たが、顔の筋肉が引きつるのを自分で感じていた。  
 
「別に…今は別に暮らしてるし」  
「え…?」  
 
玄関から疑問を感じていた。  
こんな広い家なのに、靴が異様に少ない事。  
人が住んでる気配がしない事。  
 
「そんな顔すんなよ。  
親に執着とかねーし、むしろ自由でラッキーだぜ?」  
その言葉から、親や歌唄とは離れて暮らしているという事があむでも察知できた。  
親と離れて寂しくないなんて、嘘に決まっている。  
現に今だって、こんなに寂しげな目をしてるでは無いか。  
 
「あたしが…っ、あたしがそばにいてあげるから…そんな悲しいこと言わないで」  
 
気付いたら、自分からイクトに抱き付いていた。  
 
近付いて来る顔に、顎を持ち上げる大きな手に、重なった唇に…抵抗なんてできなかった。  
 
 
初めは軽く、触れる程度のキス。  
角度をずらす度に、引き腰になるあむを掴まえてバードキスを繰り返した。  
それだけでも耳まで真っ赤にして、苦しそうに息継ぎする姿は…かなりクるものがある。  
 
「ん…ふぁ」  
 
ようやく唇を解放してやると、力が抜けたのか床にドサリと倒れ込んでしまう。  
「おい、あむ…大丈夫か?」  
 
「やぁ…っ…顔見ないで」  
 
そう言われるが、やはり可愛い顔をじっくり見たいと思う衝動には敵わず。  
隣りに座り、頬を掴んで顔を半ば無理矢理顔を上げさせた。  
息苦しかったせいか円らな瞳に涙を溜めて、呼吸を整えようと肩を上下させている。  
紅潮した顔を手で必死に隠そうとするが、手首を掴んでそれを阻止させる。  
 
「お前可愛いな。キスも初めてか」  
 
声をわざと低めにして耳元で囁くと、あむがガタガタと身体を小刻み震わせていることに気付いた。  
初めての感覚に身体がついていけないもあるが、やはり一番の原因は怖いのだろう。  
 
「これからさ、何されるかわかってんのか?」  
 
 
「そんなの…わかんないよ」  
 
脇の下に手を入れて抱き上げると予想より軽くて、あむの身体の華奢さを改めて思い知る。  
 
暴れたり、身動ぎする様な抵抗は無い。  
ベットに静かに下ろしてやり、あむの目を見つめてなるべく優しい声で話しかける。  
 
「あむ、今逃げないと俺…お前のこと…」  
 
身体を強張らせ、目を固く瞑るあむを抱き寄せ背中を撫でてやる。  
あむも怖々と手を延ばし、イクトのシャツの袖をギュッと握り締めた。  
 
「怖くないよ…平気」  
 
身体を震わせながら、一生懸命に作った笑顔は犯罪的に可愛い。  
いじらしくて、可愛くて…理性の第一関門は楽にすり抜けてしまった。  
 
「あむ、お前が好き。  
抱きたいんだ…。  
言ってる意味わかるか?」  
 
年の離れた、ましてや子供への告白は勇気が要るものだ。  
 
『ロリコン?』とか、『からかってるの?』と言われるのを覚悟の上で、勇気をふり絞り言葉にした。  
 
いつもはからかったり、本心では無い事を言ってあむを翻弄させてしまっている。  
けれど、この時は自分を信じて欲しいと心から思った。  
こんなに誰かが欲しいと、渇望したことはなかった。  
遊ぶだけの女なんて、正直な話すぐに手に入る。  
 
でも、あむはそういった対象になるような軽い女とは違う。  
幼いながらも、強い自分の信念を持っている。  
 
いつからか「彼女」の喜怒哀楽に、つられて一喜一憂している自分がいた。  
特に泣き顔は眼に焼き付いて忘れられなかった。  
 
 
「抱くって…今、抱き締めてるじゃん」  
 
この発言からして、言葉の意味を分かっていない。  
 
最近の小学生はマセているから分かっているかと思ったのだが…。  
 
なんだかいざ言わせられると、それ自体が羞恥プレイのようで照れてしまう。  
狼狽えるイクトを見て、あむが先に口を開いた。  
 
「もしかして…えっちな事するって意味…?」  
 
「…平たく言うとな」  
 
暫くは無言になり、部屋が静寂に包まれる。  
壁掛け時計の秒針音がやけに響く。  
 
やはり小学生をどうこうしようと考える自分が間違っていたのだ。  
離れようと上体を起こすと、あむも一緒に身体を起こして来た。  
そして…唇を自ら押しつけて下手くそなキスをして来た。  
一生懸命さが勢いをつけ過ぎて、前歯がガチリと当たる。  
痛みからお互い無言で悶絶して…それから笑い声が飛び出した。  
 
「お前キス下手すぎ」  
 
「だって…したことないから、わかんないよ」  
 
また耳まで朱色に染めて、ぽーっとしながらたどたどしく言い訳するあむが可愛くて…押さえられない。  
 
再び、ベットに押し倒して白い首もとに舌を這わすとくすぐったそうに身震いさせた。  
 
「ね…さっきみたいにキスして…気持ちよかったから…」  
 
その発言にプッツリと、最後の砦の『理性』が完全に吹っ飛んで行った。  
 
おねだりされた通りキスしながらパジャマのボタンを一つずつ外す。  
最後のボタンに来たところで、あむに問い掛けた。  
 
「途中で泣いても止められないからな」  
 
「…泣かないもん」  
 
まだ青さが残る、幼い身体に被さる。  
怖いだけで無く、これから起こる未知の体験を想像しているのかパジャマの裾からチラリと見える下着には小さな染みができていた。  
 
「あむ、全部脱がすぞ」  
 
その言葉に強い反応を示し、目を見開いて身体を硬直させた。  
 
「あたしね…歌唄みたいにおっぱい大きくないし。  
きっと見てもつまんないよ?」  
 
眉を八の字にし、困った様にたじろぐあむを抱き締めてやる。  
 
「言っとくけど俺はロリコンじゃねーぞ。  
あむだから、見たいんだからな」  
 
「…イクトのスケベ、えっち…」  
 
毒づいた言葉を吐くが、単に照れているだけと当に見抜いている。  
パジャマの最後のボタンを外し終え、Tシャツを捲り上げると透ける様な木目の細かい白い肌が目に飛び込んで来る。  
お世辞にも大きいとは言えないフラットな胸に、薄桜色の突起が小さく存在を示している。  
白とピンクのボーダー模様のショーツに手をかけると、あむは手でソコを隠そうとして来る。  
 
「コラ、脱がし辛いから大人しくしろって」  
 
「そこはやだ…トイレするとこだもん…」  
 
予想以上の性知識の低さに、思わず小さく笑い声を漏らしてしまう。  
 
「俺も後で全部脱ぐから…いいだろ?」  
 
そう言うと、納得したのか大人しく手を自分の胸元に置き足を広げた。  
 
「イイ子だな…」  
 
ショーツの上から、そっと…それこそ壊れ物を扱うかの様に秘部に触れる。  
大事な箇所を覆っている布地には小さく染みが出来ており、指でツンと触ると可愛らしい悲鳴が聞こえて来た。  
足を閉じようとするのを見抜き、透かさず身体を割り込ませ脚を掴んでガバ開きにさせた。  
 
「ん…やっ…やだ…そこや…っ」  
 
下着の隙間から指を挿入させると、案の定中はビチョビチョに濡れていた。  
まだ薄い茂みすらない、つるつるのソコは触り心地が良い。  
 
「…小学生でも濡れるもんなんだな。  
もしかしてもう生理とかあんのか?」  
 
「やっ…そんなの…まだ…」  
 
ピッチリと閉じた割れ目をほぐす様に、その周りを優しく撫でる度にかん高い子犬の様な甘い嬌声が飛び出す。  
 
「やだ…やだぁ…変なの…変な声でちゃ…」  
 
初めての快感に、あちこちと自分でもあまり触れたことのない場所を弄られる感覚に、そして聞き慣れない自分の喘ぎ声に恥ずかしさを感じたのかあむは嫌々と首を横にして涙を流した。  
「変じゃねーよ…。  
女は感じると濡れるし、声だって出ちまうのが普通だから」  
 
「ほんと…?」  
 
正直、未生理でここまで敏感とは思わなかったが、すでにぐしょ濡れの具合を見ると繋がる事も可能なのではないか…と淡い期待が膨らんで来てしまう。  
 
「ずるい…イクトも脱いでよぉ…」  
 
「いいけど、男の裸見たってつまんねーぞ」  
 
ワイシャツを脱ぎ、ズボンを投げるとベルトが床に当たりカチンという音がした。  
 
「…これ、何?」  
 
ボクサーパンツに押し込められた一物を指差し、興味深そうに眺める。  
 
「見た事ないのか。まぁ、当然だよな」  
 
年相応と自負はしている大きさのモノを取り出し、あむの目の前に持って行くと驚きながらも、興味津津のようで「触っていい?」と聞いて来る。  
 
「なんか…パパのと違うよ」  
低学年の頃までは、よく父にお風呂に入れてもらっていた。  
自分が仕事でいない間に、可愛い娘が寂しい思いをしてるのではないか…とその埋め合わせのように大事にしてくれたものだ。  
その際に見てしまった、股間にぶら下がる『奇妙な物体』に「パパ、これなぁに?」と聞いてよく困らせたものだ。  
 
話は戻るが、何年も前に見たきりで久しぶりに目に写ったソレ。  
重力に逆らうように、元気に反り返っている。  
男の子なら皆ついていると頭では分かっているが、近くで見ると何だかグロテスクで別の生き物が股間に棲んでいるようにも見える。  
 
「あむがエロいせいでこうなったんだけど」  
「あたしの…?」  
 
おっかなびっくりの言葉どうり、そうっと小さな指が張り詰めたモノの先端に触れる。  
 
「…っ!」  
「ご、ごめんっ!痛かった…?」  
 
イクトの声に驚き、慌てて手を離す。  
パンパンになっているから、触ると痛いのだろうな。と、あむは勝手に判断した。  
始めて触った感想としては…イクトのそれは温かく、ほんのり湿っていて硬い。  
最初は怖かったが、一回触ると愛着も出来た。  
代わりに何だかドキドキと心臓が高鳴り、イクトを気持ち良くしてあげたい…という気持ちが芽生え始める。  
先刻イクトに触られたソコはトイレをする筈の場所だと思っていたのに、頭がおかしくなりそうなくらいに気持ちが良かった。  
その気持ち良さをイクトと共感したい…となぜかそう思う。  
こればかりは“本能”というもので、言葉では上手く説明出来ない。  
 
「イクトはどうしたら気持ちよくなるの?教えて…?」  
 
子犬のような瞳で見つながら、擦り寄って聞いて来る。  
無意識なのだろうが、掴まれた腕に胸が当たっている。  
学校の身体検査くらいでしか触れさせたことは無いであろう、成長中の胸。  
膨らみかけ程度のぺたんこ胸なのに、きちんと乳首は勃ち上がり硬くなってイクトの二の腕に当たっている。  
生唾もののシチュエーションに、こっちまで顔が赤くなる。  
 
「誘ってんのか…?お前、天然エロだな」  
 
頭に“?”マークを浮かべ、首を傾げるあむの目の前に再びモノを見せつけ「とりあえず…触って?」と、頼む。  
 
「初めてだからよくわかんないけど…頑張るね」  
 
痛くないように…と気遣いしてくれているのか、まるで撫でるだけの緩い刺激は生殺し状態。  
本音を言えば、男からするとかなり辛い。  
気持ち良くないわけでは無いが、もっと激しく扱いたり力強く握ってもらった方がイキやすい。  
もう暴発寸前の感覚に、苦しいくらいだ。  
 
「なぁ…舐めてくんねぇか?」  
 
あむの桜桃色の血色がよい唇に、目が行く。  
あの可愛らしい唇に、舌に触れられるのを想像するだけでゾクゾクした。  
その言葉にしばし固まり、やっと口を開いてくれたあむは言葉を発さずにそのまま亀頭を咥え始めた。  
 
「っ…いきなり来たな」  
 
「ん…っ…イクトの少ししょっぱい…。  
このトロトロしたのって精液ってやつ…?」  
 
舌でチロチロと先端から溢れる先走りを舐めながら、上目使いで聞いてくる。  
想像以上にあむは大胆だ。  
子供だからこそ、好奇心で動けるのか…自分からする分には楽しそうにしてくれる。  
 
「これは…あー…精液の一歩手前というか…っ…く…!」  
 
アイスキャンディを舐める要領で丹念に舌を使い味わうようなフェラに、寒気がするほどの快感が脳天に走った。  
 
唾液とカウパー腺液が混ざったものが溢れて顔に垂れてしまわないように啜ったり、舐めやすいように固定しようと握って自然に手でも扱く形になったりと次々に予測無しの刺激がイクトに襲いかかってくる。  
 
「すげぇ気持ちいい…お前の口ん中」  
 
「ほんほぉ?」  
 
口に含まれたまま喋られるとこそばゆい刺激がより一層強まり、肌が泡立つ錯覚に意識が遠くなりそうになる。  
 
当然のようにあむの口に収まっているモノも、ぐんと質量を増した。  
 
 
「ん…ぁ…も…おっきくて口に入んないよ」  
 
「もう俺無理だ…1回イキたい。  
あむの顔に…かけていいか?」  
 
返答を待てずにあむの柔らかなほっぺたに先端をあてがい、自分で扱きながら放射方向を定める。  
 
「っ…!か、顔にかけるの…?なんで?」  
 
好きな女の子に顔射する、というのは男独特のフェチズムというか…。  
自分のものだというマーキングをしたいとか、色々な意見が飛び交いそうだが結局は自分の精液でドロドロになっている様が見たいだけなのかもしれない。  
 
「あむが…俺にかけられて顔ぐちょぐちょになってんの見たいから。  
てか、ごめん…もう限界っ…」  
 
その言葉のすぐ後に、頬やおでこに温かい白濁液が飛散して行った。  
呆然とするあむの頬を伝い、一筋だけポタリと垂れてシーツに僅かな染みを作る。  
 
「ふぁ…すごく熱くて…ドロドロしてる。これが精液なんだ…」  
 
「顔についたの…どんな味する?」  
 
自分の頬から下に垂れて行く粘着液を指で掬い、舐めてみると何とも言えないキツい苦みと生臭さがある。  
見た目はヨーグルトにも酷似しているが、初めて味わう精の味に眉毛を潜め。  
 
「っ…おいしくない」  
 
「俺もあむの事、気持ちよくしてやるからな」  
 
無防備になった細い脚を掴み、また股をガバ開きにさせると羞恥心が蘇って来たのか必死に脚をバタつかせて逃げようと抵抗し始めた。  
 
「なんだよ…さっきまで俺の咥えてたくせに。  
あむはやられるのには、弱いんだな」  
 
「やぁ…見ちゃだめ…ヤダっ!お願い…イクト」  
 
ブルブルと身体を震わせながらも下着を掴んで、ズリ降ろされるのを阻止しようとするがそんな様子を見せられると余計にS心がくすぐられてしまう。  
 
「まぁ、脱がさなくてもずらせばいいか」  
 
 
一生懸命に最後の砦の「ショーツ」を引っ張り、下げられないようにしていたあむだったが、あっさり横方向に下着がずらされて大事な場所がいとも簡単に露にされてしまった。  
 
「や…だめ…見ないで…」  
 
「あむの…ちっこくて可愛いな。  
すげー濡れてて旨そうだし…」  
 
下着をずらしたまま、秘部に顔を近付け舌を伸ばし這わせる。  
甘酸っぱい女の子らしい匂いと、ほんのりボディソープの香りが混ざり鼻をくすぐる。  
舌をねっとり動かし始めると、指での愛撫時と段違いの反応を見せた。  
 
「ひゃあん…っ!や…汚いよぉ…イクトっ」  
 
「汚くねーよ…石鹸のいい匂いするし」  
 
すでに大洪水のソコは濡れて幼いながらも充血し、閉じた割れ目を広げると親指大ほどの膣穴はパクパクと緩い開閉を繰り返して挿入をねだっているように見えた。  
 
「や…広げないで…へんなの…っ」  
 
「この後は…どうして欲しい?」  
 
口の周りにまであむの愛液が伝い、赤い舌でそれを舐めとるとそれを見たあむは気まずそうに目を逸らした。  
口を頑に閉じたままのあむに、しびれを切らしたフリをする小芝居を打つことにした。  
 
「もう、止めるか?  
あむも良くならないと意味ないし…嫌がるのに無理矢理はやっぱりダメだよな」  
溜め息を一つつき、床に投げた自分のワイシャツを拾おうとする。  
だが、すぐにあむが後ろから抱き付いて「やめちゃ…やだ」と蚊の鳴くような小さな声で身体を震わせながらも何か言おうとして来る。  
 
賭けに乗ってくれた…。  
自然に漏れそうになる悪い笑みを押さえながら後ろを振り向くと、涙を浮かべているあむがいた。  
 
「もう一回聞くぞ。  
あむは俺にどうされたいの?」  
 
耳を舐め、それから首筋や鎖骨を甘噛みすると白い肌には紅い痣が幾つも浮かんだ。  
 
「あたしの…ここ…イクトの指でいっぱい触って欲しいの…」  
 
これ以上無いくらいの辱めに涙を流しながら、白い指で大事な場所を広げておねだりする光景。  
妖艶かつ卑猥な姿に一気に下肢に血が集まって硬くなるのが、自分でもよくわかった。  
 
「指だけでいいのか?  
口でされんのはヤなの?」  
 
「イヤじゃないけど…。  
どっちもなんてされたらきっと変になっちゃうから…ヤダ」  
 
どれだけ敏感な身体をしているんだろうと、測れなくなる。  
これでモノなんか入れたら、イキすぎて気絶するんじゃないだろうか…と真剣に心配になった。  
 
「あんまり力むなよ。  
指入んねーから」  
 
色素沈着も陰毛まだ無い、綺麗でつるつるな女性器。  
そこに再び顔を近付け、一番女性が敏感であろう場所を指の腹で撫で回す。  
まだ小さいながらも、反応し心ばかりに膨らんでいる肉芽を摘もうと手を伸ばした。  
すでにヌルヌルの指では小さなソレは掴みにくく、焦らすような弄り方に益々あむは愛液を分泌させた。  
 
「クリもちっちゃくて可愛いな。  
ここのお豆みたいなところ触ると、ジンジンして気持ちいいだろ?」  
 
「そこ…やぁっ…やめてぇっ…」  
 
止めて、と言われたが敢えて返事をせずにぬかるんだ蜜壺に舌を差し入れ、変わらずにクリトリスを指で擦り続けると痙攣を起こしたかのように腰をビクつかせ始めた。  
 
「もぅ…らめぇ…らめなの…」  
 
「感じすぎて舌ったらずになってんのか…ほんとに可愛いな、あむ」  
 
口をいったん離し、すでに復活しカチカチになったモノを小さな膣口に当て静かに腰を進めて見る。  
だが、想像していたよりもかなりのキツさで入口の時点で突っ掛かる。  
さすがにこれ以上は無理か…と残念に思い肩を落とす。  
そんなイクトを見て悟ったのか、あむからいきなり申し出た。  
 
「ここに、イクトのおっきいの…入れて」  
 
「本当に…いいのか?かなり痛いと思うぞ」  
 
痛い、という単語に後込みしそうになる。  
しかしイキそうなのを寸止めされて、半端に熱を持たされた身体はより強い刺激を欲しがるもので。  
指より太いそれで、指じゃ届かない中を弄ってもらいたい。  
もっと気持ち良くなりたい…という目覚めてしまった性感に歯止めはかけられない。  
後ろめたさや、親への罪悪感などまだ考えられない幼さとはそういうものなのだ。  
 
「イクトのなら…我慢できるから」  
 
「…あむ」  
 
幼いながらも、痛みも全て受け入れようと覚悟をしたあむの笑顔は見た事無いくらいに綺麗だった。  
やはりあむは、自分にとって大事な女の子だ。  
たとえ次会った時に、万が一刃を交えるとしても…傷つけたくは無い。  
 
「ちゃんと避妊するから…まだパパにはなりたくないしな」  
 
「でも、あたしまだ生理来てないよ?」  
 
友達との噂で生理前は妊娠しない、とでもならったのだろうか。  
理屈ではその通りだが、いつ来るかわからない初潮に油断は禁物だ。  
あむの偏った性知識に、学校はもっと踏み込んだ保健の授業を実施するべきだ…と何となく思った。  
 
「でも…油断はできないだろ?」  
 
「…わかった」  
 
早く避妊具を装着させようとするが、ゼリー付のせいか滑りが良過ぎてやりずらい。  
僅かにもたついたが、装着後はすぐに挿入体制に移った。  
最初なので、凝った体位はせずにスタンダードな正常位を選ぶ。  
 
「入れるぞ。息吐いて力抜いて。  
あと、痛い時言ってな」  
 
愛液を溢れさせて、挿入を促すかのように小さいながらも口を開閉させて獲物を待つソコは、喩えが悪いが獲物を待つ食虫植物かのようだった。  
 
綺麗で華があり、甘酸っぱい良い匂いを撒きながらも獲物を逃がさない貪欲さ。  
女は魔物だ。  
 
でも、この子になら捕らえられてもいいような気がするからおかしな話である。  
 
「ん…やあっ!おっき…ぃよおっ…痛…っ!」  
 
成長中のあむの膣道にズプズプと、ゆっくりながらもちゃんと飲み込まれて行く。  
 
少しでも横に動かせば、大事なところが裂けてしまいそうな感じがして…激しくできないのが焦れったい。  
そのうちじわじわと初めての証しの血が滲み始め、自分の生殖器にまで絡まって朱に染めて行く。  
下敷きになっている白いシーツも徐々に紅色に色を変え、額からは玉のような汗が落ちた。  
 
「っ…ナカ熱っついし…キツすぎ」  
 
「ふぁあ…おなか苦し…痛っ…いや…ぁっ!」  
 
皮膚が擦れ合い、部屋に広がる濡れた音は愛液の音かはたまた血の音なのか…もうわからない。  
ただ確かなのは、繋がった箇所の熱さと痛み。  
そして少しずつ足音を立てて迫って来る、快感。  
 
「やぁ…っ…も…変になっちゃうよぉ…」  
 
「あむ…っ、俺またイキそ…くっ」  
 
射精寸前でまた膨らみを増したペニスを奥まで捩じ込まれ、あむは悲鳴に近い喘ぎ声を上げた。  
浅めの作りの膣なのか、子宮に届いてるのではないかと思ってしまう。  
 
一方あむは激しく息を吐き出しながら、痛みと強烈な痺れに意識を持って行かれないようにイクトの背中に力いっぱい爪を立てていた。  
 
「イクト…っ…あたしも…なんか来ちゃ…ひゃ…あ…あぁんっ!」  
 
一瞬、目の前が白くなった。  
その後は一気に身体から力が抜け、ベットに体重を預け倒れ込むような形になった。  
イクトも短く声を漏らし、あむに挿入したまま達したようだ。  
 
「は…ぁ…はぁ…っ」  
 
あむが痛くないように、またゴムが破けないようにと優しく膣内から引き抜く。  
辛そうに眉を寄せながら自分の方へシーツを引っ張り、そのままコロンとくるまった。  
 
 
「イクト…すごく痛かった…」  
 
「ごめんな…気持ち良過ぎて自制できなかった…」  
 
「お水、飲みたい。  
あと…だっこして?  
イクトとお風呂…入りたい」  
 
首を傾げながら可愛くお願いしてくるが、絶対わざとだ。  
スゥとキャラなりしてんじゃないかと、一瞬ビビった。  
まあ実際、身体中が痛くて動けないのは事実だろう。  
それに愛し合った直後の甘い空気は、嫌いではない。  
しかしいきなり甘えたになったあむに驚きを隠せないのだ。  
 
ガクガクの腰に鞭を打ち、シーツにくるまったままのあむを姫抱っこして浴室へ運ぶ。  
 
「あとね…」  
「なんだよ…今日はやけにワガママだな」  
 
近くにいないと聞き取れない程のか細い声で、あむはこう言った。  
 
「あたし以外と、こういうことしたらヤダよ?」  
 
赤い顔でお願いされるもんだから、こちらまで伝染したように赤くなってしまった。  
 
「お前が…満足させてくれるならな」  
 
おでこにキスをすると、恥ずかしそうにあむは笑った。  
 
「…イクトのえっち」  
 
 
 
 
 
 
 
※おまけ※  
 
「あっ…もう夜だよね?!ママ心配してるかも…あたし帰んなきゃ!」  
 
「ああ…さっきママから『今日は泊まり込みです。ごめんね、あむちゃん。戸締まりしてね』ってメール来てたぞ」  
 
「勝手に人のケータイ見るな〜!」  
 
「今日は泊まってけよ…」  
「う…、もうエッチな事は無しだよ?」  
 
「わかってるって」  
 
 
終わり  
 
 

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