「あむちゃん、あむちゃん。これから何か作るの?」
「パパやママが帰ってきたらすぐに夕飯ですぅ〜」
「今日の夕飯はもう作ってあるんだよ」
スゥの言葉には反応して、必要な調理器具を準備する。
「・・・・・・好きな人へ贈る、バレンタイン特集」
「え?」
ミキの呟きに反応して、ランとスゥの興味が本に集中する。背中でしゅごキャラが本のタイトルを読んでいるのが分かった。
そう、もうすぐバレンタイン。だからパパとママがいない、今日のこの時間に手作りのチョコを作らなくちゃ。
本当は何日も前から材料や本は用意していたんだけど、家に誰もいない日がなかなかなくて。気づいたらもう明後日がバレンタインデー。
あたしの外キャラはチョコなんて興味がないクールな女の子。パパだけなら義理チョコってコトで、まだ何とかなるけれど。
でも、今年は違う。
「っていうか、わざわざ家で作らなくてもガーディアンの特権で家庭科室使えるよ?」
「誰かが覗きに来たらイヤじゃん」
読んだかのようなミキの台詞にあたしはきっぱりと言った。