それはある日の事だった。  
ガーディアンの仕事がすごく遅くなっちゃって、あたりはもう真っ暗。  
でも帰り道に、町で偶然イクトをみつけて、  
ちょっと話をしたいから話しかけて見たんだけど……  
 
それから……  
 
「そうだな、まぁこっちへついて来い」  
「こっちって…また何か私をだましてどうするつもり?」  
「まぁまぁ、そう固くなるなよガキ。静かな場所で話そうぜ」  
 
それってイクトと二人きりって事?なんだかちょっとやばいかも。  
「ついたぞ。」  
しばらくして、静まった公園についたんだけど、  
イクトはなぜかブランコで遊んでいた。  
「お前もやれよ、どちらが遠くまでジャンプできるか競争しようぜ?」  
イクトから遊びを申し込んでくるなんて珍しい。こうなったらやってみようかな。  
ブランコを必死にこいでから、せーのっ、1,2,3っ〜〜〜  
え、角度が、え、えええええ〜〜〜!?  
 
 
あいたたたたた!もうーっ!イクトのばか!!!  
ってか、何かにぶつかったような…立つことが出来ない!?なに、この態勢…  
 
見上げると、イクトの顔があった。  
え?ええええ!?もしかして私、お姫さまだっこされてる??  
しかも、私が逃げられないように、強く力をかけてきて、  
私の顔は一気に赤くなった!  
 
「や、やめてよ!?一体何の冗談よ?」  
「冗談なんかじゃないさ……。」  
「えっ?」  
「突然こんなところに連れてきて申し訳ない。少しお前に言いたい事があってな…。」  
「な、なによ……。」  
 
そしてイクトは、ちょっとからかいを含んでいる顔をして、  
「ストレートに言おうか、あむ。」  
 
「う、うん。」  
ごくり。  
 
「お前を見ていると、なんだか置いていけなくて……。  
 ほかの場所にいるときも、いつも気になって仕方が無いんだ……。」  
 
え!?ええええ!?いま、、、なんて、、、  
さっきから私の顔がさらに真っ赤になってるのは分かるんだけど……  
それでもイクトの言葉は続く。  
 
「だからこその、お願いがある。。。俺と、、、」  
 
わわ!!イクトの顔がちかいよ!!しかもくち!くち!  
私どうすればいいの!?ああああ!  
 
その時だった。  
 
「そこまでだ月詠イクト!」  
「ん?」  
「日奈森さん大丈夫?今すぐ日奈森さんをはなせ!」  
「また来たのか小僧。ずいぶんタイミングの悪いときに邪魔しに来たな。」  
「何だって!?日奈森さんに何をするつもりだったんだ!」  
「……お前、見ていたんじゃないのか?ただ飛び込んで来ただけなのか?  
 まぁいい、特別におしえてやろう、俺とあむは付き合うことになった。  
 いや、今からなるんだ。な?俺のかわいいかわいいあむ。」  
「な、何だって!?」  
 
私はお姫様だっこされながら、何も答えられなかったけれど、  
ただせくんがみるみるショックを受けた顔になっていくのが見えた。  
 
「おい、なんだかショックを受けているようだが……、若干プライベートな事を聞くが、  
 ただせ、お前はアミュレットハート”だけ”が好きなんじゃなかったのか?」  
 
「くっ……!?アミュレットハート……だと……?  
 いや、どうであろうと、僕は、お前に日奈森さんを渡さない事だけは決めているんだ、  
 ガーディアンの仲間、学校の仲間としてでだ。今すぐに離せ!」  
「相変わらず口だけは達者なんだな」  
 
えっと、これって王子様が助けにきてくれたって事なんだよね?  
どうしよう、なぜだか全然体が動かせないよ…このままでいたい…  
でも口だけはなんとか動かせるみたい。  
 
「……ただせくん、ありがとう……私、うれしいよ。。でも私は大丈夫だから……、  
 え?イクト?あ、、、あああぁ、…!」  
 
突然だった。  
私の口とイクトの口が、つながった。  
あぅ、意識が……なぜだろう、顔が熱くてぼ〜っとしちゃって……  
私これからどうなっちゃうんだろう……  
 
ただせくんが、その場にくずれおちたのも見えた……。  
 
それから、  
気を失ったただせくんを置いて、イクト(と、捕らわれている私)はキャラナリで逃走し、  
静まり返った別の場所に来た。  
今度はかなり広い公園の野原にあるベンチに、二人座っている。  
イクトはかなり疲れているようだったから、座ろうと提案したのは私だった。  
私もなんだかクタクタで、二人一緒のベンチだとか何も考えて無かったんだけど。。  
しばらく二人ともだまって星空を見上げていたんだけど、つい聞きたくなって……  
 
「ねぇ、イクト…」  
「ん?なんだ。」  
「なんで……ただせくんを置いて逃げたの?」  
「当然、邪魔者はいないほうが都合がいいだろ?」  
「ジャマって何!ただくせんはジャマなんかじゃ無い。そういう言い方ってひどいんじゃないかな?」  
「あほだな。俺にとってはジャマなんだ。これからすることに”やめろ”とかすぐ言ってくるだろう」  
「え?それってどういう――――」  
 
かぷっ!  
 
やっ!なっ!?、耳かまれた!?  
「わわわ、いきなりなにすんのよヘンタイ!」  
「安心しろ…。ただ、、お前があまりにもかわいかったからつい…」  
イクトは手で私の髪や顔をさすってきた。  
 
自分でも、かあっと赤くなっていくのが分かった。  
なんだろう、すごくドキドキしてるみたい。。  
 
外から私の部屋のベランダに飛んできたり、突然夜の遊園地に誘い出したり、  
やることがいちいち不器用なんだけど、  
顔を見ると実は結構カッコイイ。いいにおいのするシャンプーを使っている事も知ってるし。  
よく彼の言葉に乗せられて、エロガキとか、からかわれてばかりだけど、  
でもそれが私にとってはすごく面白くて。。  
なんていうのかな、私はやっぱり、イクトの事をもっと知りたいとずっと思ってた……。  
 
「どうした?俺の顔をじっと見てるとはな…」  
 
あれこれ考えているうちに、ついイクトの顔をみちゃってた見たい…恥ずかしいよ。  
返す言葉がない。今度は私の顔の正面を向き  
 
「んじゃ、もう一度言うが、かわいいぞ、あむ。」  
 
また口にチュー。。  
もう何も反抗できない。私からもチューしかえすしかない。  
 
これってもしかして、告白されてる私!??  
なんて思ったりもしたけれど、そんな事よりも、私はイクトに夢中になっていた。  
かわいいとか言われちゃってるし。。。ど〜しよ〜!!  
 
 

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