「へぇ……最近の小学生って過激ー」  
「はぁ?……っああ!!何勝手に読んでんのよーっ!!」  
 猫耳男の手には、うすっぺらい本。  
 
「だって、暇だし?つか起きるぞ」  
 指差すのは、既に熟睡しているしゅごキャラ達。  
ばふ、と口を押さえる。その仕草に、イクトが笑う。  
 
「……なぁ」  
「な、なにさ」  
 どこか熱を含んだ眼差しに、知らずあむは囚われる。  
「こーいうの、興味あるわけ?」  
「え、べ、べっつに!友達が貸してくれただけで、あたしは、その……うぅ……」  
 もごもごと口篭る。  
それを微笑ましいとイクトは思ったが、顔には出さない。  
 
「教えてやろうか」  
「ふぇ?」  
 一歩。僅かに近寄る。……狩りは慎重に、である。  
 
「な、何を……?」  
「分かんない?」  
 尋ねるあむに、イクトは疑問で返す。  
彼女は眉を寄せ、必死に答えを探す。  
この隙を突くことは容易かったけれど、彼女の答えが気にかかった。  
 
「……あ……あの、ね」  
 たっぷり熟考の後、ようやく口を開く。  
先程よりもたどたどしい、けれど静かな部屋にはよく響く声が紡がれる。  
 
「それ、えっと……読んでると、さ……何か、変なんだよね」  
「ヘン?」  
 こくんと頷く。  
 
「そのぉ……あの、おなかの……下の辺、かなぁ。もぞもぞするっていうか……何でか、イクト知ってる?」  
 
 あむの答えに、今度はイクトが黙る番だった。  
 
「あー……とりあえず、ベッド行くか」  
「えっ?質問答えてないじゃん!なんで寝るの!?」  
「ちっげぇよ……ガキ」  
「ハァ!?なんなのよそれぇ!イクトのバカー!」  
 

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