「ねーねーフミカー、なんでそんな難しい顔してんのさー」
「………………」
カナカの問いかけを無視して、前だけを見つめるフミカ。
事の始まりは数時間前にさかのぼる。
「差出人が不明のシゴフミ…?」
「そ、正式に福音局から預かったシゴフミだよ」
その答えを聞いて、しかめっ面をするフミカ。
「匿名のシゴフミなんて今まで例がないじゃない。カナカにはしっかりしてもら
わないと―――」
「だーかーらー!私の仕事を疑うのはやめてよね!きちんと受諾したものだって
言ってるでしょ!」
チカチカと発光するカナカを腕を伸ばして耳から遠ざけ、フミカは再度シゴフミ
に目を落とした。
「先に中身を読んでも構わないので、受取人の前で読み上げてください、か」
くるくるとシゴフミの表裏をひっくり返しながら、フミカはまた眉をひそめる。
本来差出人の名前が書かれているそこには、指示ともお願いとも取れる一文が走
り書きしてある。
配達人が配達前にシゴフミを読むことも、その内容をわざわざ声に出して伝える
ことも、全く異例のことだ。
そういった意味ではフミカが複雑な顔をしていても不思議ではない。
が、フミカは配達人としては優秀な部類であるし、福音局から預かった仕事であ
れば文句も言わずそれをきちんと果たすはずなのだ。
「その『野島要』って人、知ってるんだよね?ワケ有りっぽい感じだったじゃん
」
だからカナカはフミカの態度が特殊な要求そのものより、届け先の人間にあると
踏んだ。
先日フミカの名を呼んだ少年のことは、カナカもいくらか調べている。
自身のことをあまり自分から語らないフミカに多少は繋がるところもあるだろう
と、期待を持ったのだ。
あの時フミカは「知らない」と言ったが、この反応ならやはり野島要は見知った
人間なのだろう。
「………………」
フミカは黙って封を破り、中の手紙を取り出した。
ごく普通の紙に、女の子らしい可愛らしい字で文章が綴ってある。
そこに愛やら恋やらの文字がそこかしこに散りばめられているのを見れば、差出
人がどういった意図でこのシゴフミを出したか手に取るように分かるだろう。
「なになに、ラブレターなの?すっごーい!」
甲高い声で叫ぶカナカを無視して、フミカは書面に目を通し始める。
「突然こんな手紙を書いてごめんなさい―――」
ありがちな書き出しだ。
「野島君は気づいていなかったかもしれないけど、私はずっと野島君のことを見
ていました―――」
そこから先も実に無難な内容で野島要への恋心が綴ってあり、と同時に打ち明け
られぬままに事故死してしまった無念さに触れてある。
そして恋文に必ずと言っていいほど必要な、「好きです」の一言。
「………………」
フミカは手紙に目を落としたまま、全く口を開かない。
「フミカ?」
「………これを」
ぼそりと呟くように。
「………ボクが読み上げるのか」
俯いたままでいるせいで、表情までは読みとれない。
「………野島……要の前で」
声がかすかに震えているような気がする。
「んー?」
カナカはフミカの態度にしばし考えこんで、
「そっかー、フミカって意外と純情だったんだ〜♪」
「なっ………」
勢いよく顔を上げるフミカ。
「あれ、図星?」
フミカの赤い顔を見ながらあげたその甲高い声には、間違いなくニヤニヤ笑いが
含まれている。
「違う、これは………その………」
普段冷静なフミカの珍しい態度が、カナカには面白くてしょうがない。
「いいっていいって〜♪スケジュールも詰まっちゃうよ?さあ行こ行こ!」
「………………」
正直乗り気ではないが、仕事である以上はきちんと果たす義務がある。フミカは
ぼそぼそと認証コードを告げ飛行形態に変化すると、
一途な少女の想いを届けるために飛び立った。
ここのところ、学校で良くない事件ばかりが起こる。
急に治安が悪化したというわけではないのだが、悪い出来事というのは連鎖的に
引き起こるものだ。
「くそっ」
頭をブルブルと振って、気力を奮い立たせる。
自分の心が沈んでいることを、自分自身で理解してしまうのがとても気分が悪い
。
それに、思っていた以上に自分の心が不安定なものだったことがショックだった
。
単純な事件の連続だけでなく美川のこと………
「俺はもうちょっと強い人間だと思ってたんだけどな」
自嘲気味の乾いた笑いが口からもれた。
と、そこに。
「羽…?」
白い羽が目の前に落ちてきた。
日本には多種多様な鳥が生息しているが、はっきり言って白いものは珍しい。
だが視線を羽から外し空を見上げた瞬間、思わず声をあげそうになる。
少女が、空から、舞い降りて、きて、いる
思わず目をこする。こんなリアクションは漫画がドラマの世界だけでの話かと思
っていたが、実際に自分が取ることになろうとは思わなかった。
しかもやたらと近い。もう10数メートルといったところだ。
あれは……!?
白だ。
………いや違う。
しかしあんな短いスカートで上から降りてこられれば自然と目にはいるのは仕方
ないことだ。
心の中で自分に言い訳をしているうちに、その少女は目の前まで降りてきてしま
った。
その顔が目に入った瞬間、全身に冷や汗をかくような感覚を味わった。
「み、美川……!」
自分は今どんな顔をしているんだろう。
美川はまだ病院で寝ているはずだ。数日で退院できるような状態ではなかったし
、それは間違いないだろう。
だがやはりこの少女は、美川文歌にしか見えない。
「フミカ、やっぱりこの人フミカのこと知ってるみたいだけど?」
「………カナカは黙ってて」
え?杖が喋った!?
目の前の光景が理解できない。空から羽を生やした女の子が降りてきて、杖と会
話している。
だがしかし、それよりも……この杖はフミカと言った。もはやたまたま同名の他
人ということは有り得ないだろう。
「美川は……お前は……」
美川文歌がもし目覚めたら、話したいことはたくさんあった。伝えたいことも聞
きたいことも、常に頭の中にあったはずだ。
なのに。
口が渇いて、上手く言葉が出せない。
前回、美川の姿を見たときとは状況が違うせいなんだろうか。
頭の中がパニック状態になっているのが分かる。
常識では考えられない現象を目にしたから?それが美川文歌であったから?
分からない。何とか気持ちを落ち着かせようとしていると、目の前の少女が口を開いた。
「野島……要……お前に伝えることがある」
「………っ」
言いかけた言葉を飲み込んで、少女の次の言葉を待つ。有無をいわさぬ雰囲気があった。
美川はカバンから手紙をとりだすと、それをパサパサと広げた。
不気味な黒い切手が印象的だが、それ以外は特にどうといったことはない普通の便箋だ。
美川の胸が上下し、息を吸い込んだのが分かる。
「…………」
また沈黙だ。こちらから話しかけていいものか悩むが……どうも美川の様子がおかしい気もする。
「……一度しか読み上げないから、よく聞いて欲しい」
低いトーンで重苦しく伝えられ、ああ、と呟いて待った。
「……野島……要さん。あなたのことが……その、」
ま、待て、この雰囲気は……いや考えすぎだろう。察しがいいのと早とちりとは違う……!
「……好きです」
再び頭の中が真っ白になった。
美川はまだ何か読み上げているようだが、全く頭に入ってこない。
吹っ切れたつもりでいた。自分は目の前の少女のことが確かに好きだったが、一度ふられた以上、恋仲だのなんだのといった関係は諦めていた。
だからこんな展開は予想してなかったし、どういう反応をしていいのかもすぐには分からない。
現実感を失ったままにふらふらと美川に近寄った俺は……そのまま抱きしめた。
「……!!?!?!」
「ちょっ……君何してんの!」
杖が喚いているが、よく聞き取れない。それだけ夢中だった。それだけ恋焦がれていた。
美川は抱きしめられるままに……固まっているようだ。ああ、華奢な体つきではあるけれど、とても柔らかい……
柔らかな感触と共に女の子を抱きしめている感動も徐々に伝わってきた。
もうちょっとだけ、いいよな……?
美川を体から離し、呆然としているその顔を見つめて、それから再び抱き寄せ……
ちゅっ、と口付けた。
「……!!」
「ちょっとちょっとちょっ……!!!!あっ!?痛っ!!」
杖が地面に転がった。美川が手を離してしまったようだ。だがすぐに自分で浮き上がっているところを見ると、あれは本当に意思があるのか……?
杖の様子を横目で見ながら、美川の口内を貪る。
「……やっ……っふぁ……」
美川の出す色っぽい声に、脳髄がビリビリと痺れた。表情は見えないが、特に抵抗はないようだ。舌を入れてみても、いいよな……?
……ちゅ……くちゅ……っちゅ……
「……っ…………っはん……!」
美川の体から力が抜けたので、ぐっと力をこめて倒れないように体を支える。いきなり激しくしすぎたせいか、息が荒い。
柔らかな女の子の体に自分が興奮しているのが分かる。確実に血が上っているであろう頭で、今さっき告白を受けた上だしこの先まで強引に進めてしまっても問題ないだろうと考えた。
それにこの路地は近道に利用している裏道だし、もう時間も遅いので人に見られることはないはずだ。
覚悟を決めて、まずは肩からレトロな鞄をずらして下に置く。
そして帽子を外し、上着を脱がせると……薄いシャツとスカート一枚の姿になった。美川は相変わらず荒い呼吸のままで、されるがままになっている。
ゆっくりと横たわらせ、そしてさらにゆっくりとシャツを脱がすと。
「…………綺麗だ」
下着は予想外にも黒いものだったが、決して極端に大人びているわけでもなく、美川の女の子としての魅力を一層に引き立てている。
若干上気してほんのり赤くなっている、白く透き通った陶磁のような肌。
思わず唾を飲み込み、誘われるようにして、鎖骨の下の白い膨らみに手を伸ばした。
「……っふぁ……」
控え目な大きさではあるが、確実に、ブラ越しに柔らかい感触が伝わる。早く直接……触れたい。
幸いフロントホックタイプと言うんだったか、カップの間にホックがあるブラだったのでそれを外すのには手間取らなかった。
小ぶりな膨らみが、外気へと晒される。思わずその膨らみに両手を伸ばして……鷲掴みにした。
「んぁっ……あっ……っふ……やっ……」
少し力を入れると指が沈む。すごく暖かくて、柔らかい。
その心地よい感触に任せて、指に力をいれてぐいぐいと乳房を揉んでいく。
柔らかい感触と喘ぐ美川の声が脳髄にビリビリと響いて、夢中になってしまう。……もう指で触っているだけでは物足りない。
右胸の先端、自己主張を始めているその薄いピンク色の突起に口をつけた。
「………ふぁあぁぁっ……やああっ……んぅ……んはっ……!」
乳首にむしゃしゃぶりつきながら、もう片方の乳房を夢中で揉みしだく。しつこく吸い付き、甘噛みし、その度に美川の肩がビクビクと震えて、呼吸がより一層荒くなる。
そのまま右手でスカートをゆっくりと脱がせ……既にじんわりと濡れて暖かいショーツの上から、秘所を指ですりすりと撫でる。
「………や……ぁぁ……っん!……はぁん……やめっ……!」
ここにきて美川が始めて抵抗らしい抵抗を見せたが、ここまできてやめるわけにはいかない。ショーツに指を滑り込ませ、直接秘所を指でグチュグチュと掻き回す。
固くなっている肉芽を指で摘み、愛液を絡めて押しつぶし、割れ目に中指を挿入して掻き回し、空いている手で乳房を揉みしだきながら乳首を舐めまわし、無我無夢で全身を激しく責めた。
「…あっ……あっ……んぁ……っんぁ!……はぁああああああぁぁぁああああんっ……!」
美川の全身がビクビクと痙攣し、ぐったりとなってしまった。どうやら愛撫に耐え切れず、絶頂を迎えたようだ。
「……くっ」
カチャカチャとズボンのベルトを外し、興奮で張り詰めた自らの愚息を取り出す。
まだ力が入らないらしい美川の体に覆いかぶさるように自らの体を動かし、愛液で濡れてテラテラと光っているピンク色の割れ目に陰茎を押し当てる。
そしてそのまま一気に腰を沈めた。……つもりだったのだが、美川のそこは余りにも狭く、半分も入っていかない。
「きつ………すぎる………」
見ればそこからは純潔の証である破瓜の血が滲みだしており、そこで初めて美川の苦しそうな表情に気が付いた。
目にはうっすらと涙が浮かんでいて、痛みをこらえるために歯を食いしばっている。
「………ごめん!」
美川には申し訳ないが、ここで中断したら男として色々まずい気がする。それにギチギチと締め付けてくる膣の感触は余りにも気持ちよく、頭がどうにかなりそうだった。
ここは早く終わらせるべきだと思い、さらに深く腰を沈め、ゆっくりと前後運動を始める。
「………ふぁぁぁあっっ………!」
狭い。暖かい。腰を中心にして体がバラバラになってしまうような錯覚を覚えるほどの、とめどない快感。ギチギチと躍動を続けるヒダの感覚に意識を持っていかれそうになる。
美川も徐々に感じてきているのか、喘ぎ声が大きくなっている。それに目の焦点がほとんどあっていない。
………美川の服を下にしてはいるが、固い地面の上で体をゆするのは痛いのではないか。
今更ながらの気遣いではあるが、美川の肩を掴んで抱きかかえ、いわゆる「背面座位」に体位を変更した。より深く腰が沈み、ふわりと髪の匂いが鼻腔をくすぐる。
「………ふぁあぁぁっ……やああっ……んぅ……んはっ……!」
体位が安定したことで手が自由になったので、後ろから柔らかな乳房を鷲掴みにする。そしてそのまま激しく腰を打ち付けた。
「んぁっ……あっ!……っぁあっ……ああっ!……」
ぎゅうぎゅうと締め付けがさらにきつくなる。高まりきった射精感が、もう限界に近いようだ。
「美川……もう……出すぞ……!」
美川がその言葉に反応するかしないかのうちに、腰を今までで一番深く、力の限り押し込み……そのままドクドクと大量の欲望を吐き出した。
「……ふぁぁ……ぁあぁあああぁあぁん………!」
ビクビクと急速に中が収縮するような感覚を覚えたあと、美川は大きく喘いでぐったりとする。
かなり大量に射精したからか、割れ目からは精液がドロリと流れ出している。
「俺、やっちまったんだな……」
急に現実に引き戻されるような感覚。後悔はしていないつもりだが、いきなりで強引すぎたんじゃないか……?
「……あ……れ……?」
何故か急に視界が霞む。そういえば杖は……?チカチカ点滅する杖がチラリと見えた気がしたが……俺はそのまま意識を失った。
「ねえ、フミカ」
「……………………」
「ねえ、また無視なの?ねーえー?」
「フミカってばされるがままだし、その……すごいことになっちゃってて止めるに止められなかったし……あれって酷くない?レイプだよレイプ!」
「……もうその話は終わりにしようって言った」
「でもさー…………うん、ごめん」
「…………………………………………別に記憶まで消すことはなかったのに」
「え?何か言った?」
「……別に」