「誰にも、見つからなかった?」  
「うん。大丈夫」  
―ルサファがエジプトから戻り、ユーリさまの無事が伝えられ、  
宮の皆が歓声をあげた、その晩。  
私とキックリは、とある倉庫の1室にいた。  
数ヶ月前から付き合いだした私たちは、幾度となく人目を忍んで会っていたのだけど、  
エジプトとの本格的な戦争が始まったり、ユーリさまが行方不明になったりと、  
そんなこと考えも出来ないような日々が続いて、二人きりになんて全くなれなかった。  
でも、ユーリさまも無事とわかったし、ルサファも戻って、宮を満たしていた  
重苦しい空気も消えてしまったことだし。  
今夜だけ…、ほんの少しだけ会おうかって話になって、  
夜は人気のなくなる倉庫の奥で、待ち合わせたのだった。  
 
「リュイ…」  
入るなり、キックリが私のことをぎゅうっと抱きしめる。  
「会いたかった」  
「私も」  
ついばむような、キスを繰り返して。  
「…よかったわね、ユーリさまがご無事で」  
「うん」  
「ルサファも戻ったし…、これでカイルさまもお元気になられるわね」  
「ああ、本当にそうだね。」  
二人でかたく抱き合いながら、そんな会話を小声で交わす。  
このところずっと、こんな他愛もない会話もできないほど、  
この宮の中は緊張していたのだ。  
 
「リュイ」  
「なあに?」  
「ユーリ様はもちろんだけど・・・、君が、リュイが無事でよかったよ」  
「・・・!」  
「すごく、すごく心配したんだよ。  
 船が沈没したと聞いたとき、心臓が止まるかと思ったよ。  
 リュイが見つかったとき、どれだけほっとしたか・・・」  
私の胸に顔をうずめて、キックリがつぶやくように言う。  
「そんなに…心配してくれたの?」  
「当たり前だよ!僕には、リュイしかいないんだから」  
嬉しかった。  
私のことを想ってくれるキックリの気持ちは、すごく嬉しかったんだけど。  
なんだか、複雑な気持ち。  
だって、キックリは全然気づいてないけど、  
実は、キックリと付き合ってるのは…私だけじゃないんだもの。  
私と、シャラと、二人交代で、”リュイ”として、キックリと会っているんだけど。  
「キックリが気づくまで、内緒にしてようね」とシャラと約束しているから、  
今はまだ、それを言うわけにはいかないけどね。  
でも、行方不明になって、キックリが心配してくれたのは、私で、  
今、彼の前にいて、彼に抱きしめられてるのは、私。  
「キックリ」  
私は、キックリの背中にまわした手に力を込めて、ぎゅっと抱きついた。  
 
「じゃあ、私、もう戻るね。姉さんが気づくといけないし」  
そういって体を離した私の腕を、キックリの手がつかんだ。  
「だめだ。いくな」  
(え…?)  
ほのかな灯りに照らされて、キックリの真剣な顔が見えた。  
つかんだ腕がそのまま引き寄せられて、また抱きしめられる。  
「キックリ…」  
「行くなよ。ここにいろよ」  
「・・・・・・」  
珍しく力強いその言葉は、私の奥まで響いてきた。  
そんな、普段の頼りなく見える彼とは違った一面を見せられると…ドキドキしてしまう。  
そして、私のお腹の辺りに当たっている、熱くて固い感触で、  
しばらく忘れていた感覚がよみがえってきて、全身がかあっと熱くなってしまった。  
「キックリ」  
「ん」  
「大きくなってる」  
「しょうが…ないじゃ…ないか」  
「…もう…」  
陛下たちだって離れ離れなのに、不謹慎でしょ、という言葉を、口には出さずに飲み込んで、、  
照れたような表情のキックリに、今度は私からキスして  
もう少しだけ、ここにいるねとささやいた。  
 
さっきまでとは違う、ねっとりとした、深い深いキスを交わす。  
「ん…」  
キックリの舌が、わたしの舌をからめとり、ころがすようにして吸い上げる。  
唇を離すと、つぅ、と唾液の糸が二人をつないだ。  
「船に乗る前の晩以来だね。リュイ」  
そのときあなたと会っていたのは、私じゃなくてシャラなのよ、  
なんて言ったら、この人はどんな顔をするかしら。  
全然、気づいてないんだなあと思ったら、なんかすっごくおかしくて。  
「?…笑ってるの?」  
「ううん。・・・そんな前の事、もう忘れちゃった」  
笑いがこみ上げてしまうのをごまかす為に、キックリの肩に顔をうずめた。  
 
キックリは、私を壁に寄りかからせて、ごそごそと服をたくし上げた。  
太腿をなであげながら、私の恥かしいところに手をのばす。  
くちゅ…と、かすかな水音が聞こえた。  
今まで何度もこっそりと会って、肌を重ねてきたけど、  
こんなとこで、しかも立ったままでこんなコトするなんて初めてで。  
少し興奮してしまった私のそこは、あっという間にうるんでしまっていた。  
「すごく濡れてるよ、リュイ」  
「いやだ…そんな…、あ、あん…」  
キックリの指がするりと中に入り込む。  
ゆっくりと出し入れしながら、残った指で私の敏感な部分をこすりあげる。  
「んん…、はぁ…ああ…ぁん」  
大きな声出しちゃいけない、と、必死に我慢しようとするんだけど、  
どうしても声を上げてしまう。  
多分、私のあそこは洪水のようになっているのだろう。  
あふれた熱い液が、太ももにいく筋も流れていくのを感じる。  
と、ずるりと指が引き抜かれて、  
かわりに、もうとろとろにとろけそうになってる私のその部分に、  
指よりももっと大きくて熱いものが押し付けられてきた。  
 
立ったままの体勢では、なかなか入れにくいらしく、  
キックリは角度をかえながら、私の入り口を探している。  
(…早く…きてぇ)  
なんだか、じらされているようで、もどかしくて、  
私はキックリに捕まりながら、誘うように腰を動かした。  
ようやく、ゆっくりとキックリの熱い塊が私の中にもぐりこんできた。  
「はぁ…あ…あ…」  
ずりずりと奥へ奥へと進んでいく。すごく、気持いい…  
私の中が、待ちわびたようにキックリを迎え入れ、絡みつく。  
ぐちゅ、ぐちゅうっ。  
最初はゆっくりと、次第に早く。  
キックリが、私を突き上げる。  
キックリが動くたびに、つながった部分がこすれあうすごくいやらしい音と、  
二人の荒い息遣いが、静かな部屋に響いた。  
「ふっ……や、あっ……」  
あまりの気持ちよさに、だんだん力が抜けてきてしまって。  
このままだと、膝から崩れ落ちてしまいそう…。  
 
「あ、あぁ……ン……あくッ……!  
 キックリ…、だめぇ、もう…立ってられないの…!」  
それを聞いたキックリは、私の両の太ももをつかんで、そのままぐいっと抱え上げた。  
ずんっ  
「ひゃうううッ!」  
その瞬間、今までにないくらい深いところを貫かれた。  
(すご…奥に当たってる…)  
「んっ、んっ、ああ…あん…あっ…あんっ…」  
キックリは私の足を両手で抱え、壁に押し付けるようにして腰を動かし始めた。  
無理な体勢のため、決して動きは激しくないのに、  
確実で強烈な快感がおそってくる。  
「くっ……」  
キックリが、私の耳元で小さくうめく。  
「は、んう! あ、んんんっ!ああっ…はあぁぁん!」  
私はといえばもう、声をおしころすことも忘れて喘ぎ続けていた  
キックリは、そんな私の肩をしっかりと抱いて体を固定し、  
ぐっ、ぐっとさらに強く腰をうちつけてきた。  
「ああっ…あ、あ、あん……だめ…だめ…やあっ……ああっ!」  
頭の中が、真っ白になって、私の口からひときわ高い声が漏れる。  
「くぅ…はっ……もう……」  
苦しそうなキックリの声が、すぐそばで聞こえて、  
私の中で熱いものが脈打ちながら弾けた。  
その感覚で、快感が全身を駆け抜け、私は一気に高みに駆け上っていた。  
「はぁ、はぁ、はぁ…」  
荒い息をつきながら、私とキックリはつながったままその場に座り込んだ。  
二人の息が整って、ふらつきながらもなんとかそれぞれの部屋に帰り着いたときは、  
もう、真夜中に近かった。  
 
 
翌日。  
誰にも見つからないように、軍事情報の置いてある倉庫に向かう私を、  
カッシュとルサファに目撃され、不審の目で見られてたなんて、夢にも思わなくて。  
朝食の席で二人に問いただされた私たちは、  
二人の仲を、あっさり話してしまうハメになってしまって。  
カイルさまは笑って許してくださったけれど、  
私とキックリは後で、ハディからみっちりとお小言をくらったのだった。  
でも、叱られている間中、私は一生懸命誰かに祈っていた。  
ああどうか、二人が私の後をつけてきたりしてませんように。  
どうか、どうか、カッシュとルサファが、夕べの私たちの声を聞いたりしていませんように…  
 
そして。  
ひょんなことからキックリは、  
自分がリュイとシャラの両方と付き合っていたのだと知ることになるのだけど。  
それはまだ・・・・・先の話。  
 
END  
 

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