アスカは今回、ミナモを連れてダンジョンを進んでいた。薄暗いダンジョンを進んでいく。気づくと、  
後ろにいるはずのミナモがいないことに気づいた。  
「あれ・・?」  
その瞬間、肩の上にいる語りイタチのコッパが、右の方を指をさして叫んだ。  
「アスカ!またミナモが!」  
「・・・またでござるか・・」  
それはいつものことであった・・。  
何度も何度もクナイを投げ続けるミナモ。  
「えいえい!」  
しかしその全てをうしわか丸が跳ね返す。挙句の果てはそれに自分自身が被弾する。  
「きゃあ!くう、負けないわ!えいえい!!」  
次の瞬間、アスカの吐いたドラゴン草の炎がクロウ丸を焼き尽くした。  
「あ、アスカ・・」  
 
「大丈夫でござるかミナモ殿。ほら、もうボロボロになっているではないか、この薬草を食せ」  
「う、うんごめんなさい・・」  
「・・どうして跳ね返されるとわかっているものを何度も投げるのだ?」  
「な、なんか頭に血が上ってわかんなくなっちゃうの・・」  
「・・まあいい。うしわか丸系統の敵が出る階では拙者の傍から離れないことだ、よいな?」  
「う、うん」  
 
6階への階段を下りたアスカ達・・、まだ強力な武器が手に入っていなかったのでそろそろ欲しいところであった。  
「あ、アスカ!あっちにお店が出てるよ!」  
ミナモが指を指す。  
「おっ、これは嬉しい。期待にそぐものがおいてあればいいが・・」  
二人は店へと入っていく。  
「いらっしゃい」  
「おお、あの剣は・・もしや!」  
アスカが真っ先に目にしたのはかの剛剣と名高いマンジカブラの剣であった。  
「やったね!アスカ〜」  
ミナモがはしゃぐ。  
「う、うむ!しかし・・・」  
アスカは自分の所持金を調べる。まだ浅い階ということもあり、2000ちょっとしかギタンがなかった。  
「(かくなる上は・・・泥棒しかない!)」  
日常茶飯事となっている泥棒行為、剣士のプライドもなんのその、アスカは底抜けの壺を取り出した。  
「(これを割って落とし穴を作ってそこから逃げれば、なんのリスクもなく持ち去れる・・・。何て素敵な  
アイテム!)」  
アスカが薄ら笑いを浮かべて壺を割ろうとした。  
 
「あっ、敵!!」  
アスカが壺を割ろうとした瞬間、ミナモがモンスターを見つけてとっさにクナイを投げた。  
「ミナモ殿、何かいたでござるか?」  
「・・・・やっちゃった・・」  
確かにクナイの投げた方向にはゲイズがいた。しかし、アスカが目線を移した先には、ゲイズの前に立っていたためにクナイが突き刺さってしまった店主の姿があった。  
「うそ〜〜〜!!!」  
アスカ思わず絶叫。  
店主は怒ってミナモに向かっていく。  
「くう、ミナモ殿を救わねば〜、ああ、けどそれらしき道具が見当たらない!!・・・仕方あるまい・・」  
アスカは底抜けの壺を割り、剛剣マンジカブラをあきらめて落とし穴に落ちた。  
 
―7階・・。  
「本当に、本当にごめんなさい!アスカ〜」  
「ま、まあ気にするでないでござるよ。ほら、腹も減ったでござるし、ミナモ殿の作ってくれたおにぎり  
でも食べようではないか」  
「う、うん」  
 
その瞬間、すぐ傍の通路からロケットイノシシがやってきた。  
「しまっ!」  
アスカは吹っ飛んで転んでしまった。  
「大丈夫!?アスカ!」  
「う、うむ」  
「こんな奴、私一人で倒しちゃうんだから!見てて!」  
「(・・・か、かなり心配だが・・)」  
ミナモは居合い抜き攻撃を数度繰り返し、かなりダメージを追いながらもロケットイノシシを倒した。  
「な、なんとか倒せたわ!」  
「!!ミナモ殿!また後ろに敵が来ているでござる!」  
「えっ!?」  
振り向くと真後ろにゲイズがいた。  
「アスカ!大丈夫よ!こいつもあたし一人で・・」  
しかし、その瞬間、ゲイズが怪しい光を放つ。ミナモは混乱した。  
「はらほれひれはほ〜〜〜」  
「ミ、ミナモ殿・・・?」  
 
ミナモはぐんぐんアスカに近づいていく。  
「ふりゃ〜〜〜」  
「ミ、ミナ・・ぐはっ!」  
ミナモの攻撃がアスカにヒットする。  
「はらふれはほ〜〜」  
「くう、今ミナモ殿の傍にいるのは危険だ!とりあえず一時避難しないと!」  
アスカは逃げるための通路を探す。しかし、そのときコッパが口を出す。  
「アスカ!ミナモもかなりHPを消費しているぞ!下手したらゲイズにやられちまうかもしれねえ!」  
「ぬう・・そうか。ミナモ殿の攻撃に耐えながら、ゲイズを倒さなければ・・・私の体力も持つかどうかわからないが仕方あるまい」  
アスカはゲイズに向かって突進して攻撃をしかける。一発では倒せない。そしてゲイズからの反撃をくらう。  
そして横からミナモの攻撃をくらう。  
「ぐうっ、とりゃあ!」  
アスカの攻撃がゲイズにあたり、ゲイズは死んだ。  
「さて、ミナモ殿の混乱が収まるまでどこかに隠れなければ・・」  
 
数十ターン後、ミナモの混乱が無事解けた。  
「・・・グスッ・・度々、本当にごめんなさい・・・」  
「ミ、ミナモ殿・・・何も泣かなくても・・」  
「け、けど、今度はアスカの命まで危ない目に・・」  
コッパがアスカの肩の上から降りてきてミナモに言う。  
「そうだぜ、全く足手まといもいいとこだぜ・・」  
その言葉がミナモの心に突き刺さる。  
「コッパ!なんということを言うのだ!!」  
「ううん、アスカ・・いいの。コッパの言うとおり・・」  
「ミナモ殿・・」  
「あたしは足手まといにしかなってないの・・だから」  
「ミ、ミナ・・」  
タッタッタッタ・・。ミナモは何処かへと走り去ってしまった。  
 
「あっ・・・」  
「いっちまったな・・」  
「コッパ・・!」  
「わ、悪かったよ!けど俺の言ったことに間違いはないだろ!」  
「今日はたまたま、失敗が重なっただけであろう!ミナモ殿は本来もっと役に立ってくれてたではござらんか!」  
「そ、そうだけどよ・・」  
「・・まあ、こうなったものは仕方あるまい。また何処かで出会うだろう、とりあえず私たちだけで先へ進もう・・・」  
 
そのころミナモは、一人ダンジョンを彷徨っていた。  
「グスッ・・、アスカの役に立ちたいと思ってるのに、ヘマばっかりでうまくいかない・・。どうにかして役に立ちたい・・。」  
とことこと通路を歩くミナモ。すると向こう側から奇妙な格好をした男が歩いてきた。  
「我輩の作ったエレキ箱、買わんか?」  
「あっ、バリバリのおじさん」  
「新作があるのだが、買っていかないか?」  
「えっ?新作!?・・・新しいエレキ箱持っていったらアスカも褒めてくれるだろうな・・。ねえ、おじさん、どんなの?」  
「うむ、これじゃ。クリスタルマムルの箱じゃ」  
「ク、クリスタルマムルの箱?」  
「ああ、移動力は普通の人の4倍!攻撃力は大店主の2倍!防御力は黄金マムルの3倍!そして特殊能力に話しかけるだけでHP全回復という性能を持つ、これまでに例を見ないわしの超大作じゃ!」  
「す、すごい・・!そんなエレキ箱があったらアスカも大助かりに違いないわ・・!」  
「これの定価は大サービス中で10000ギタンなんじゃが・・」  
「えっ?10000!?・・・なんか安すぎない?」  
「だ、だから大サービス中だと言っておるだろうが!!」  
「うーん、10000ギタンだったら・・なんとか持ってるわ・・。じゃあそれちょうだい!」  
「ああ、ほら受け取りな。お譲ちゃんいい買い物をしたな」  
ミナモはエレキ箱を渡された。  
 
「これが・・クリスタルマムルの箱か・・・ちょっと開けてみよ・・」  
「あっ!ダメじゃ!!ここで開けてはならん!!絶対にならんぞ!!」  
「えっ、何で〜?」  
「えっ、いや、その、・・い、今寝てるから・・」  
「何言ってるの?エレキ箱が寝るわけないじゃない・・。開けよ・・ふりゃ」  
「ああ〜、やめろといっておるに〜〜!!」  
ボワンッ!中からクリスタル色のマムルが出てきた。  
「すご〜〜い、キレ〜!それに別に寝てないじゃん、バリバリおじさん」  
「う、うむ」  
「・・・・あれ?」  
「ギクッ・・・」  
「・・・・・」  
「・・・・」  
「やっぱり・・」  
「な、なんじゃ?」  
「これ、普通のマムルに色塗っただけじゃない!!私を騙したわね!!」  
「そ、そういうわけでは!」  
「最低!エレキ箱職人の誇りも何もないのね!!町の人たちに言いふらしてやるんだから!!!」  
「待て、待つのだ!!」  
バリバリはミナモを捕まえる。  
「やっ、離してよ!変態!!」  
「そんなことを言いふらされたら、わしはもうこの国で生きていけなくなる!この草を食べて忘れてもらうぞ!!」  
バリバリはリュックから草を取り出して、ミナモの口に押し込んだ。  
「いや!!やめて!!!ムグムグ・・ウゴウゴウゴ・・」  
「ふふふ・・、あっ、しまった!これは物忘れの草ではなく、睡眠草だったか!」  
「や、やめろ!」  
ミナモはバリバリを突き放す。  
「くっ・・」  
「えっ、あ、何?体がうまく・・動かない・・・」  
 
「完全には食べさせられなかったが、それでも少しは睡眠草の効果が出たみたいだな。ではこの隙に物忘れの草を・・」  
ミナモは少しふらふらしながらそれでも立っている。  
「お、おじさんなんか、私のクナイで倒し・・ちゃう・・ん・だから」  
「そんな状態ではいくらわしでも倒されんぞ。さあ、これを食べてもらおう」  
バリバリはミナモも後ろから羽交い絞めにする。  
「い、いや・・」  
「(・・・・ゴクッ・・子供だと思っていたが、近くで見ると・・中々・・・)」  
バリバリの目の色が変わる。  
「は、はなし・・て!」  
「(・・・・た、たまらん。せっかく物忘れの草を食べさせるのなら・・・いひひひ・・)」  
 
バリバリは後ろから、両手でミナモの胸を揉み始めた。  
「きゃあ、きゃああ!!どこ触ってるのよ!!変態、スケベ!!」  
「た、たまらんな〜、おなごの胸は・・」  
「いやあ!!最低!!離して〜!!」  
睡眠草の効果で思うように力の入らないミナモ。  
「大人しくしているがよい」  
「お、大人しくなんかできるわけ!んっ・・んくっ・・」  
バリバリの手がいやらしく何度も小刻みに胸を圧迫する。  
「すぐに終わるものも終わらなくなるぞい?」  
「こ、このお〜!」  
ミナモは残りの力を振り絞って、バリバリから逃れる。  
「ほう、まだそんな力が残っていたか・・」  
「く、くらえ!私のクナイ!!お・・・重い・・・あれ・・?」  
巨大クナイを投げつける力はもうすでにミナモにはない。  
「無駄な抵抗はよしたほうがよい」  
バリバリはミナモを押し倒した。  
「いたっ!」  
 
バリバリはおもむろにミナモの忍者装束を力まかせに脱がせ始めた。そしてミナモの上半身があらわになった。  
「ほほう・・」  
「きゃあ〜〜、ダメ!ダメッ!!」  
バリバリはミナモの胸を揉みながら、その頂を口で刺激し始めた。  
「ぴちゃ・・くちゅ・・ふふふ・・」  
「変態!変態!ひあ・・やめて〜〜〜」  
バスッ!!その瞬間、鉄の矢がバリバリの頭に刺さった。  
「・・・ぐう・・」  
バリバリは息絶えた。  
 
意識が揺らぐ中、ミナモは顔を上げた。  
「だ、大丈夫でござるか!ミナモ殿!!」  
「ア、アスカ・・・?」  
ミナモの目には弓矢を持って立っているアスカの姿が映っていた。  
「危ないところでござったな・・」  
「アスカ・・また、アスカに助けてもらっちゃったね・・・私・・・」  
「だ、だから気にすることないでござるよ!ミナモ殿には普段、大いに助けてもらっているのだから!」  
「け、けど・・・」  
「・・・・・・・!」  
アスカはバリバリの傍に、物忘れの草が落ちていることに気づいた。アスカはその草を拾う。  
「ア、アスカ、その草は・・」  
「ミナモ殿、本当に、本当にミナモ殿には本当にたくさん助けてもらって感謝している。その実力もすばらしい。  
しかし失敗をすることもある。それが続くこともある。しかし、私がミナモ殿を信頼する気持ちは変わることはないのだ」  
「ア、アスカ・・ありがとう。でも・・私・・」  
「だからこうすればよかろう」  
アスカは物忘れの草を食べた。この草を食べたものは、このダンジョンで起こったことは全て忘れてしまう・・。  
「あっ!」  
「モグモグ・・。・・・ん?ここは・・あ、ミナモ殿・・今回はそなたと共に冒険しているようであるな。それでは、先へ  
参ろうか、ミナモ殿」  
「ア、アスカァ・・」  
アスカに抱きつくミナモ。  
「ミ、ミナモ殿、どうしたでござるか・・」  
「ふえ〜ん、え〜ん」  
 
コッパがアスカから降りてバリバリのところへ行く。  
「うーむ、こいつ今回マジで最低だな・・」  
 
(終わり〜)  
 

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