月影村を、そしてフミちゃんを救うために立ち上がり、本当に救ってくれた風来人の方とその肩に乗った語りイタチに私が薬草を渡し、彼らの新たな旅立ちを見送ってから、もう二日…
二日前まで、この村にいるのが当たり前になってきていた方達が、急にいなくなってしまって、やっぱりさびしい。
懐かしい…というほど昔のことでは無いけれど、この村にあの人がやって来て、初めて薬草をあげて、タンモモを預けて、満月の夜を境に、醜い自分の姿を見られたくないからこっちの方から勝手に一時期いなくなって…思い出すのは、あの人とのことばかり…
もう一度会いたい…けれど、もうそれは叶わない…私が神社で捨て猫達の世話をしながらそんなことばかり考えている時、誰かの足音が聞こえた…。
もしかして…そう思って振り返ってみると、そこに立っていたのは、風来人の格好こそしてるものの、大柄でなんだか怖い人だった。
「よお、俺初めてこの村来たんだけどよ、ちょっとこの村案内してくれねえかな…」
私には断る勇気が無かった。
「は、はい…」
私は宿や道具を置いておける倉庫などを紹介して、最後にダンジョンへの入口を教えて終わりにしようとした、その時、ついに彼は本性を現した…
「おい、これでサヨナラなんてちょっとつめてえんじゃねえの?」
そう言ってすぐにその人は私のお尻を浴衣の上から掴み、揉んできた。
「い、いや…やめて下さい…」
ほんとははっきりと「触らないで!」と言うべきなんだろうし、出来ることならそう言いたい。けど、物凄く怖くてはっきり逆らえない…
おまけに、身長も2mくらいあって筋肉質な上、抵抗するなとばかりに睨み付けてくるから、怖くて足が竦んで逃げることも出来ない。
「俺、さっき神社で見た時から狙ってたんだよね…顔よし、尻よし、胸よしと一目で分かったからな。」
(そんな…誰か…助けて…)そんな事を考えてみても、ここは男に力ずくで連れてこられた倉庫の裏。誰も来てはくれない。
「へへへ…予想通り良いケツだ…さて、チチも楽しませてもらうか…」
「いやぁ…だ、駄目…」
「うるせえな」
私はその一言に怯み、ビンタでもくるかと思い目を閉じた。しかし、実際はもっと酷かった。
ビリビリッ!っと言う音がし、私の浴衣を破られてしまった。
「きゃあ!な…何を…」
「大声出していいのか?恥ずかしい格好してるの見られちまうぜ…?」
そう言われ、完全に抵抗も出来なくなった。
それを良い事に、無言で手でこれだけは守ろうとしていた下着まであっさりと脱がされてしまい、ついに私は全裸になってしまった。私は悲しくて悔しくて泣き出してしまったが、お構いなしに男は胸を揉んでくる…
「やっぱでかいな。柔らかくて良い感触だ。」
「うぅ…シレンさん…助けて…」
私は不意に二日前に旅立って行った彼の名を呼んでしまった…
「シレン?誰だそいつは!お前、ホレた男がいんのか!だが、お前の処女は俺が奪ってやる!」
男は怒り、私の処女を奪いに…そんなの嫌!
「やめて下さい!助けて!シレンさん!」
「ハハハ!無駄無駄。誰もきやしないさ。さーて…グボォ!」
バキィ!とすごい音がして見てみると、私を襲っていた男の人は思いきり殴られて気絶していて、今私の前には別の人が立っていた…あ、彼等は…
「大丈夫だったかい?全く嫌な風来人もいるもんだねぇ。なあシレン。」
「………」
シレンさんが…今この場所に居る筈の無いシレンさんが…助けてくれた…
「えっと…た、旅に出たんじゃ…」
「ああ、怪物にやられてさ、戻されちまった。全く、こんなダサい形で再会するとはな。」
シレンさんは顔を真っ赤にして黙っている。
「あの…シレンさん…?」
「あのさ、ケヤキちゃん…シレンには、その裸は刺激が強すぎるんじゃねえかなぁ〜」
「あっ…」
「…ほら…」
シレンさんはそれだけ言って、私の体は直視せずに縞合羽を脱いで私に書けてくれた…この優しいところも、大好き…
「お帰り…もう少し、この村にいられるんだね…?」
「まあ、俺達があのダンジョンを突破出来ない間はな…でもいつかはいなくなっちまうぜ…?」
「うん…。」
コッパちゃんの返事を聞いて、やっぱり少し寂しくなったけど、でも、もう少しだけ、一緒にいられる…その残り少ないシレンさんと過ごせる時間を、精一杯楽しもう…