瞼を閉じれば思い出す、四年に渡る妹達との思い出。
十二人の妹達と別れた熱い夏、僕は島を出た。
ある日突然現れた妹達は、巣立ちを告げて旅立っていった。
可憐、花穂、衛、咲耶、雛子、鞠絵、白雪、鈴凛、千影、春歌、四葉、亞里亞、
一人、また一人と屋敷を去っていった。
別れの際、我慢しようとした涙が止まらなかった。妹達と涙を共に流した。
いつか再会するその時があることを信じて、さようならは言わなかった。
一人この屋敷で、妹達の帰りを待つことは出来なかった。
僕自身の旅立ち。兼ねてより決めていた、外国への留学。
妹達が去った翌月、僕も島を去った。
あれから十五年。
夢をかなえて、僕は島に戻ってきた。
夢から覚めた僕を迎える妹達はいなかった。
それでも僕はここで待つ。
かけがえのない思い出が詰まったこの地で。
いつか扉を開けて帰ってくる妹達を。
FIN