とある日の放課後。
スケット団の部活動も終えて(オヤツ食っただけだが)、校門を出るボッスンは重大なことに気がついた。
「あ、数学のプリント部室に忘れてきちまった!」
『ヒマだから宿題をしておこうなんて、ガラにもない事をするから天罰が下ったな』
「うっせー!オレ取りに行ってくっから、スイッチは先に帰っていいぜ」
『もちろん待たない。さらばだ』
「おー。そんじゃな」
一緒に帰りかけていたスイッチに別れをつげ、ボッスンは一人で部室に戻っていく。
確か、ヒメコはまだジャンプが読みたいとか言って残っていたはず。
ガララッ…
扉を開けたボッスンの目に、奥の畳スペースで眠るヒメコの姿が飛び込んできた。
すぐそばには開きっぱなしのジャンプ。寝転がって読みながら、そのまま眠ってしまったようだ。
「おいおい寝てんのかよ…風邪ひくぞー」
言いながら、少し開いていた窓を閉め、ボッスンはその寝顔を覗き込んだ。
すぅ…すぅ…すぅ…
(ヒメコって、こんな可愛かったっけ…!?)
ボッスンは魅入られたように動けなくなってしまった。
いつも知っているヒメコは、豪快に笑っているか激烈に怒っているかのどちらかだ。
しかし今は平和そのものという表情で、すやすやと可愛い寝息を立てている。
その大きな瞳は閉じられ、長いまつげとピンクの唇ばかりが目立つ。
(こんな普通の女の子みたいな…、つーか普通より美少女みたいな顔してたのか!?)
見つめたまま動けないボッスンは、自分の心臓の音がやけに大きく響いてくるのを感じていた。
(なんかヤベェ!ヤバス!……キスしたくなってきちまった)
そう思ってしまうと、あとはその欲求がどんどんどんどん膨らんでいく。
強い衝動に突き動かされるように、ボッスンはぎこちなく体を前のめりに傾けた。
ヒメコの顔の両側に手をつき、いまだすやすやと寝息を立てる唇を睨みつける。
毎日丹念にリップクリームだのグロスだのを塗っているだけあって、ツヤッツヤだ。
(わりぃ!ヒメコ!一回だけな…)
ボッスンは心の中で土下座しながら、そっと唇を重ね合わせた。
少し薄くて柔らかい、ヒメコの唇。
包むようにくちづけると、苺のような甘い匂いが鼻をくすぐった。
(香りつきのグロスなんて使ってたんだな…。ホント女の子みてー)
ヒメコとのキスは予想以上に気持ちが良くて、しつこく唇を擦り合わせてしまった。
もちろんそんな事をされては、ヒメコだってぐーぐー寝ていられない。
「ん…ぅ〜……」
ヒメコがキスされたまま小さく唸って身をよじった瞬間、ボッスンは音速で飛びのいた。
心臓の音が再びやかましくなってきた。キスの間は聞こえなかったのに。
ボッスンは誤魔化したいような言い訳したいような気分に駆られて、ヒメコを起こすことにした。
「お、おい、ヒメコ起きろ」
「ん…」
「起きろって!こんなとこで熟睡してんじゃねーよ、風邪ひくぞ!」
「うぅ〜…めっちゃさぶいわ…」
「おわっ!!」
あろうことか、ヒメコは自分を揺さぶるあったかい手を掴むと、引っ張って抱きついたのだ。
「ちょ、おいぃ!なんだこの100%限定チックな展開は〜!!」
「ん……すぅ…すぅ」
「頼むよー寝んなよー誰か助けてー…」
ボッスンの願いもむなしく、誰の助けも来ない。来たとしても困るのはボッスンだが。
ともかく凄い力でぎゅうぎゅうに抱きしめられ、ボッスンは何ともいえない気分になってきた。
ヒメコの豊かな乳房が押し付けられ、すべすべの脚がからみついてくる。
これで勃たない思春期男子などいない。いるはずがない。
(これはヤベェ!5000ヤバスいってんぞこれは!!)
ボッスンのムスコは勃ち上がろうとしてヒメコの太ももにつっかえた。
それがたまらなくむずむずして、ボッスンは強く擦り付けてしまった。しびれるような快感。
快感がじんじんとボッスンの思考を蝕みマヒさせていく。
(わ…りぃ、ホントわりぃ…ヒメコ!)
何も考えられなくなったボッスンは、ゆっくりと腰を動かしてヒメコの太ももで擦り始めた。
手もそろそろと移動させ、片方の乳房を軽くつかんだ。
ブラウスとブラジャーの上からでも、ヒメコの乳房の柔らかさがわかる。
少しだけ揉んでみると、かたいブラジャーの中でふるふると揺れるものを感じた。
「あ…ぅ……」
ヒメコが声をもらした事にボッスンはぎくっと強張ったが、もう飛びのこうとはしなかった。
ボッスンの分身はもう爆発寸前で、ヒメコの肌を求めてひくひくしている。
もう一度ぴったり体を合わせると、ボッスンはヒメコの柔らかな内ももに布越しの性器を押し付けた。
そのままグニグニと擦り付けていく。限界まで昂っていたそれは、あっけなく弾けた。
「うっ!出るっ…!」
はぁ、はぁ、はぁ…
静まり返った部室内にボッスンの息づかいが響く。
出すものを出してしまった頭は、徐々に冷静さを取り戻していく。
パンツの中がベトベトで気持ちわりぃ。つーかバレたら確実に殺されっぞ。
上気していた顔が、急激に青ざめていく。…逃げねば!!
ボッスンはからみついていたヒメコの腕や脚をそーっとどかし、今度こそ離れることに成功した。
一目散に扉に向かおうとして、ピタッと止まった。
ヒメコの椅子に引っ掛けてあったペロキャンタオルを、彼女の体にかけておく。
「…風邪ひくんじゃねーぞ」
言い残すと、股間を押さえながら異常に怪しい歩き方でボッスンは部室を出て行った。
しばらくして、眠っていたはずのヒメコがぱちっと目を開けた。
上半身を起こすと、扉の方をキツイ眼差しで睨み付ける。
「何しとんねん……あのアホ…」
かけられていたタオルがはらりと落ち、ヒメコはそれを掴むと強く抱きしめた。
「あの…アホ……」
彼女の顔が真っ赤になったのは、さしこむ夕日のせいなのか。それとも……
・・おしまい・・