「こんな……格好させて! 覚えとけや!」  
 恥ずかしそうに胸や太ももを隠し小さくなりながらヒメコは怒鳴った。  
 
「おーお、そんな姿で凄まれても全然こわくねーや」  
 すぐそばでボッスンとスイッチがヒメコを見下ろしていた。  
 
「は、はやく写真撮って終わらせるで!」  
 その状況に耐えられなかったのかヒメコが勢いよく立ちあがった。  
 虎柄の黄色の上下のビキニ。ブーツまでおそろいの虎柄の姿である。  
 はっきり言ってしまえばヒメコはラムのコスプレをしているのであった。  
 
 
 スケット団に依頼が来なくなって2ヶ月。  
 その情報を嗅ぎつけた生徒会副長の椿から「これ以上依頼が来ないなら即刻廃  
部だ」と宣言され焦った3人組が辿り着いた解決策が今の状況だった。  
 
 
「はいはいっと。ちゃんと練習したポーズ取れよ。部の存続の危機なんだからな」  
『もっと屈め』  
「わかっとるわ!!」  
 いま彼女がしているポーズにそっくりなボッスンが描いたイラスト付きポス  
ターもあまり効果は無かった。  
 それならば、実物でどうだと勝負を賭けてみることにしたのである。  
 
 
 撮影はスイッチに任せてボッスンは監督役を決め込み座っていた。  
「うーむ……」  
 しかし、同級生がこんなグラビアまがいの格好をしてセクシーなポーズを取っ  
ているという状況はちょっと普通では考えられない夢のような状況だ。  
 それに彼女はアイドル顔負けの美人だ。  
『ちょっと体を左に傾けて、胸をもっと強調して……』  
 器用に片手でカメラを握り、もう片方でパソコンのキーボードを叩くスイッチ。  
「んん……」  
 これ以上の痴態は恥ずかしいと言外に含んだ返事をしながらもそれに従う。  
 普段の彼女からは考えられない従順っぷりにボッスンの下半身がピクっと反応  
した。  
 
───やべえ。なんか気を紛らわせないと……!  
 
「……あ!」  
 視線をずらした先のテーブルに、ラムのコスプレの核ともいうべき角が二つ  
乗っているカチューシャがあった。  
「ひ、ヒメコ!お前カチューシャ忘れてんぞ!」  
 これを欠けばラムでは無いではないか!  
 
「ああっ、忘れとった!」  
ヒメコが慌てて立ち上がろうとする。  
『まて』  
 しかしなぜかスイッチがヒメコの動きを止めた。  
 
「なんや?」  
『せっかくいいポーズになったのに、また最初から指示し直さなければいけなく  
なる。  
ボッスンがヒメコに着けてやってくれ』  
「ええっ!」  
『早く』  
 
 せっかく気を紛らわすのに成功したのにヒメコに近づけと?!  
 抗議しようと思ったが、スイッチの無言の圧力に負けてボッスンは諦め覚悟を  
決めてヒメコに近寄った。  
「じゃ……着けるぞ」  
 カチューシャを差してやるだけなのにヒメコは何故か異常に強張っていた。  
 
「ほ、ほなお願いするわ……」  
「??」  
 訳がわからないながらも相手の緊張が伝わって、思わず手が滑った。  
 ざりっ、と音がしてカチューシャの先がヒメコの耳をかすった。  
 
「ぁあっ!!!」  
 途端にヒメコが耳を押えてうずくまった。  
 
「う、うわあ! ヒメコすまない!」  
 
 どうしようどうしようとうろたえているボッスンを置いてスイッチがヒメコの  
肩を掴み起こした。  
『全くボッスンは……おい大丈夫か?』  
 
「い、いや、ビックリしただけや、なんとも、無い」  
 耳を押さえてヒメコは返事する。  
 そこでやっとボッスンが正気に戻った。  
「本当にすまん。血、出てないか?そんなに痛かったのか?」  
 
 
「やめ……触るな!!!」  
 
「え?あ……」  
 しかしボッスンの人差し指はすでに耳に触れていた。  
「ひゃあっ!!!」  
 刹那、ヒメコの身体が大袈裟とも言っていいくらいにビクンとのけぞった。  
「おま……」  
 耳どころか、ヒメコは顔中を赤くさせていた。  
 
『ヒメコ、お前耳が弱いのか?』  
「な!」  
 スイッチがズバリと言い当てた。  
「ち、違うわ! そんなことより早よ再開するんや!」  
 誤魔化すように大声を出し、ボッスンの手からカチューシャをひったくり勢い  
よく頭に差す。  
 
 ……ざり。  
 
「ひやあぁぁぁぁぁ」  
 か細い声を出して再び倒れ込んだ。  
「お前にこんな弱点があったとはな…」  
 
 ヒメコはふるふると体を震わせこちらにお尻を向けてうつ伏せに横たわって耐  
えている。  
 
「お…」  
ボッスンとスイッチが生唾を飲み込んだ。  
 
「な、なんや、二人とも…?」  
 
異様な雰囲気を察してヒメコが苦笑いする。  
自分がどんなそそる格好をしているかわかっていないようだ。  
「スイッチ」  
『…なんだ、ボッスンもか』  
二人にしかわからないだろうが、どうやら通じあったようだ。  
 
「え? なに? なんなんや…?」  
 
次の瞬間ヒメコは二人に取り押さえられていた。  
 
「なにすんねや……っ!!」  
 いくら鬼姫でも男二人の本気の力には勝てなかった。  
 逃げられないようスイッチがしっかりと後ろで腕を掴んでいる。  
 ヒメコの前では、緊張気味に胸に手を伸ばそうとしているボッスンがいた。  
 
「アンタら……! 正気に戻りや!!」  
 ヒメコの必死の叫びも二人には届かない。  
 小さな胸当ての下へ、緊張して冷たくなったボッスンの手がすべり込む。  
 そのまま手をゆっくりと上げた。  
 
「……っ!」  
「おお……っ!」  
 
 何万回と妄想を繰り返していた、クラスメイトの大きな膨らみの部分が露わに  
なった瞬間だった。  
 ボッスンはもちろん、スイッチも声に出さなくても少し感動しているようだった。  
「もうやめてやぁ……満足したやろー?」  
「何言ってるんだ。お楽しみはこれからだろ?」  
 上にずれた胸当てをはずそうとするボッスン。しかしスイッチがそれを止めた。  
「ああん? 邪魔だろこれ?」  
『バカを言うな。コスチュームプレイの真髄は着衣エロだ。コスプレする者の基  
本だ』  
 
「な、なんかよくわからんがそれなら仕方ないな……」  
 パソコンのボイスなのに何故か説得力のある力強い声に聞こえたのでそれに  
従った。  
 
「では……」  
 気を取り直してボッスンは、ヒメコの乳房を触る。  
「っあ!!」  
 弾かれたようにヒメコの身体がうねった。  
「お前本当に敏感だなー……」  
「やめっ……んうぅっ!!」  
 そう言われてやめる男はいない。遠慮のない手がぐにぐにと彼女の胸を揉む。  
 
「ホンマにやめぇ……! コラ!」  
 しかしヒメコはただの女では無い。一瞬の隙をついて二人を振りほどこうと力  
を出した、その時。  
   
『あまいな』  
 横に置いてあるパソコンにあらかじめ音声を打っておいたのだろう。彼女が溜  
めた力を解き放とうとした瞬間、ボタンひとつ押したスイッチが、ヒメコの耳に  
かぶり付いた。  
「っ! ひゃぁぁああぁあ」  
 あっという間に力が抜ける。  
「ナイス、スイッチ」  
 親指を立ててスイッチを褒めるボッスン。  
 
「さーて、下はどんな風になってんのかなー?」  
 先程の弱点を突かれた攻撃からまだ立ち直れずくたっと力が抜けている足を  
ボッスンが開いた。  
 
「ふや、ぁぁー……」  
 声にならない声を上げている。スイッチはヒメコの耳をまだかじったままだった。  
「ど……れっ」  
 ビキニを膝の下あたりまでずらして止める。  
 ちょっと力を入れれば破れてしまいそうな薄い布で守られていた場所を、ボッ  
スンは二本の指でそっとなぞるように触れた。  
 その指が開いていく。  
   
「うぅっ……」  
 恥ずかしさも混乱も頂点に達してしまったのだろう。ヒメコは小さい声をあげ  
るだけでただ体を震えさせていた。  
 
「うわ……めっちゃ濡れて……る」  
 そこはもう、今までの愛撫で濡れに濡れていた。  
 ボッスンが指を動かす度にねちり、くちりといやらしい音を立てていた。  
   
「あう……はぁ……っ」  
 ヒメコの目がだんだんとろんと呆けてきた。  
 
 しばらくすると今はボッスンの指の動きに合わせてただ声を上げるだけになっ  
てしまった。  
『ボッスン、そろそろオレと変わってくれ』  
「お、おおそうだったな」  
 ヒメコの反応が面白くてつい遊んでしまった。  
 もうすっかり抵抗する気のないヒメコは拘束を解いてもただ肩で息をするだけ  
で動きもしなかった。  
 
 位置を交換する二人。  
 逆襲の危険が無いとわかったボッスンはただヒメコの腕を軽く掴んでいるだけ  
にした。  
「どうすんだ? スイッチ……って!」  
 いきなりスイッチはズボンを脱ぎだし、いきり立つそれをヒメコに挿入しよう  
としていた。  
『もう準備の方はボッスンがやってくれたから、あとは挿入れるだけだろう?』  
「お前……っ!! ずりーよ! いっつもおいしいトコ持っていきやがって!」  
『代わってくれるというから代わったんだ、俺は別に卑怯な事をしているわけで  
はない』  
「うわー! チクショウ!」  
 てっきりもう少し楽しむのかと思って代わったのに、そういう意味だったと  
は。しかし後悔してももう遅い。  
   
 スイッチの肉棒がヒメコの内部を侵していく。  
 
「ぅうっ……もう、ホンマに覚えときや……っ」  
 もう抵抗するのは諦めたようだ。その声に怒りはこもっていない。  
 
「くっ……」  
 言葉ではないが、珍しくスイッチが口から声を発した。  
 処女ではないが、行為は久し振りだったようで、少しキツく苦しかったらしい。  
 時間をかけて全部入れることができた。  
 そしてピストン運動を始めるとヒメコは少しずつ声をあげるようになった。  
「あああっ、ひっ、あぁぁっ!!!」  
 動きにあわせて彼女のたわわな乳房が小刻みに揺れる。  
 
 
「ちぇ、俺は仲間外れかよ……」  
 もう拘束の必要もない。完全に手持ち無沙汰だった。仕方ない、とボッスンは  
喘ぐだけのヒメコの顎を掴みその口に己の肉棒を含ませた。  
「うぶぅっ?!」  
 何が起こったか分からないという風に目を白黒させるヒメコ。  
 
「うぁ……すげ……」  
 普段の冷たそうな白い肌と対照的な桃色に染まった肌。その表面の体温よりも  
はるかに口の中は熱かった。  
 ぬめぬめとした感触がボッスンを震えさせる。  
「や、ヤバ……」  
 腰を動かさずとも、スイッチが動いているのでなにもせずにピストン運動に  
なっている。  
 今まで我慢していたものが速攻で弾けそうなほどの快感だった。  
   
   
「ひっ……ぐぅっ!!!」  
 ビクンと大きくヒメコがうねり、目を大きく開く。  
 スイッチが動きを止めて顔を伏せている。どうやら二人は先に同時にイったよ  
うだった。  
「う……あぁっ……!!」  
 そのあとすぐに、ボッスンも果てた。  
 ドクドクと音をたてるように尿道から勢いよく精液が飛び出し、ヒメコの口の  
中に注がれて行く。  
 
「あぅ……うえ……」  
 それをけ止めるヒメコ。彼女の感情は伺いしれず、ただ空中を見つめている  
だけだった。  
   
   
   
   
「ぜぇったい! 許さへん!」  
 ホッケースティックを持ち仁王立ちのヒメコ。正座する二人。  
 最初の展開とは正反対だ。  
   
「さて何してやろか? ん? 生爪剥いだろか? 目ん玉抜いたろか?」  
 ポンポンとスティックを叩きながら二人に顔を近づけ凄む。その迫力は本物の  
ヤクザのようだった。  
 
『…………』  
 そこへ、謝罪の言葉かスイッチは小さな音量でなにかパソコンに喋らせた。  
「ん? なんやぁ?」  
 聞き取ろうとヒメコは耳を近づけた。  
 と、素早い動きで彼の手が彼女の耳に触れた。  
「ひやぁぁぁぁぁぁ……っ」  
 とたんに間抜けな声を出しへたり込むヒメコ。  
 
『バカめ、こちらは弱点を握ったんだぞ。そう簡単に行くか』  
「なぁっ!!」  
『これを普段からお前に恨みがある連中にバラしたら……どうなるかな?』  
 ニヤリとムカつく笑いを浮かべるスイッチ。  
「っっ!!」  
 想像して顔を青ざめるヒメコだった。  
 
「まあ、お互い、あいこということで」  
 ボッスンが提案する。  
「なにがアイコや! バカ共!」  
『これから楽しくなりそう、だな』  
 スイッチの言葉の意味を悟り、ヒメコは今度は顔を真っ赤にさせた。  
「いややっちゅーねん!」  
『ほう? あんなに気持ちよさそうな顔をしていた者の発言とは思えないな?』  
「うう、うるさいっ!」  
 そうは言いつつも、まんざらでもなさそうな表情のヒメコだった。  
 
 
 
──スケット団の危機の事はすっかり忘れられていた……。  
 
 

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