その日、自習になった教室は騒がしかった。
それぞれの彼氏彼女自慢から始まり、いつしかお互いの赤裸々な体験談へとエスカレートしてきていた…
「あかん…ごっつ気分悪いわ」
ヒメコは少し赤面し、ため息をついた。ふいに携帯が震え『俺もだYO!ビキビキ』というスイッチからのメールが入る。思わず苦笑してヒメコは彼の席へ近付いた。
「なぁ、スイッチ。ボッスンと三人で部室に避難せぇへん?あのアホ、さっきから微動だにせぇへん…フリーズしてんちゃうか?」
『同感だ。ボッスンはこの類いの話には乙女以上に乙女だからな』
「せやな」
二人で苦笑して再び視線をボッスンへ戻すと、キャプテンとアイコンタクトをして然り気無く教室を出ていく愛すべきリーダーの背中が…
人気のない校舎裏。ここはよくキャプテンが投球練習をしている所だ。明らかにいつもと違い、熱っぽい視線を絡ませて寄り添い合う二人…
「どないなっとる…んがっ」
スネークしていたヒメコが思わず叫びそうになり、スイッチが口を押さえた。
「ボッスン…助けて…」
「あ…お…あびだだだ」
挙動不審ながらもカチャカチャとベルトを緩めるボッスン。
「先にこっち…」
「あば…んっ」
クチュクチュと卑猥に二人が舌を絡ませる音が聞こえ、ヒメコは思わず目を逸らした。
「あかん…何か知らんけどごっつ凹むわ…なんやろ、これ?」
『ボッスンもキャプテンも普段から性には無縁そうに見えるからな…orz』
物陰で鬱になるヒメコとスイッチをよそに盛り上がり続けるボッスンとキャプテン。
「き…キャプテンッ」
「ひゃ…」
キャプテンを押し倒したボッスンがベルトを緩めたズボンを下げる。うっとりと膨張した彼の股間を見るキャプテン。
「っ…ぉわっ」
「…ぇ?」
直後、暴発したボッスンがキャプテンのお腹に飛び散った。
「……わ…わり…おおうっ」
「ちゅ…クパ…れろれろ…ちゅぅうぅっ」
「お…お、おっ、オッ」
「あはっ。佑助、可愛いっ」
「き、キャプテ」
「千秋って言って」
「ち、千秋ぃ…また出ちゃ」
「いいよ…だひて…ん…ちゅぱ…ちゅ」
「は…はぁ…は…ぁうっ」
「ん♪えへへ。ちゅぅうぅっちゅぅうぅっちゅぅうぅっ」
「ち、ち、ちあっ、はひっ、はひっ」
「っ…けほっけほっ…佑助…元気すぎ」
「ち、ちあきぃ…い、いいい、入れた…入れたい」
「ぁん…ゆ、佑助、そこ違っ…あっ」
「こ…これ?」
「ちがう〜」
入れるのに戸惑うボッスンに業を煮やしたのか、キャプテンが上になり彼を導いていく。
「んっ…は…は〜…っ」
「お…おお…うっ」
「ゆーすけは…全然慣れないんだから」
「わ…わりぃ…」
「でもそこが好き。大好きっ」
「千秋っ千秋…ちあきっ」
「あん…ゆーすけ…ゆーすけ…おっきい」
グチュグチュグチュ…
一心不乱にキャプテンとボッスンは腰を振り続けた。
………
あかん。頭がボーッてする。アタシどないしたん?……スイッチ?
『大丈夫か?ヒメコ』
どこやろ、ここ…部室?
『いきなり倒れたから驚いたぞ。まぁ無理もないが(笑)』
「何や、そのドヤ顔。腹立つわ〜…あれっ?」
体に力が入らず、体勢を崩すヒメコをスイッチが支える。
『あまり無理をするな。風邪の初期症状だ』
「風邪?」
『昨日、ボッスンに花瓶の水をかけられたのが災いしたな』
「そっか…風邪ならしゃーないわ」
『今日は温かくして早めに寝る事を勧める』
「…スイッチ」
『何だ?』
「あっち向け」
『何故だ?』
「ええからこっち見んな!アホ」
『?』
震える手で袖を掴むヒメコをスイッチは気付かない振りをした。
後日、ヒメコの風邪がスイッチにも移されたのは、また別の話。
おしまい。