ふにゃ…となってしまっている彼女を抱え、寝室に運ぶ。  
ここ数日、かなり無理をさせたんだろうな。  
 
マネージャー代理も4日目。彼女の役目も今日で終わり。  
明日は社さんが復帰してくる。  
彼がゆっくり治療に専念できたのも彼女が頑張ってくれたからこそかもしれない。  
お礼をかねて食事に誘ったら、  
「病み上がりの食事は大切なんですよ!材料買って私が作ります。  
大丈夫。中華粥の美味しいのと薬膳料理作りますよ!  
今度はあのスタミナジュースみたいにまずくはないですから^^」  
といって、家で食事をすることになった。  
滋養強壮に満ちた料理は意外なほどうまかった。  
そうして食後のお茶くらい、俺がいれよう…と台所にたって戻ってくると、  
彼女はテーブルにふして眠っていたのだ。  
ふ…と思わず笑ってしまう。  
 
正直、風邪なんてひくのは初めてだから彼女がいてくれて助かった。  
ひとの暖かさを感じたのはどれだけぶりだろう。  
 
それにしてもなんだろう、この豊かな気持ちは。  
彼女の優しさが心から嬉しい。一晩中の看病も、仕事に対するフォローも。  
おかげで何一つ回りに迷惑かけることなくスケジュールは終了した。  
 
「敦賀さ…これ飲んで…むにゃ」  
 
ぷっ  
 
彼女はまだ夢の中でまで、マネージャー代理をしているのだろうか。  
 
額にかかった髪を、そ…っと指でかきあげると額に優しくくちづけた。  
「ありがとう…」  
 
このままここに寝かせておこう。  
俺は…そうだな、少し寝酒を飲んで、客間の方で寝るか。  
 
そうして立ち上がろうとした時  
「やだ…ん…いやぁ…」とキョーコがあえぐ声がした。  
 
キョーコはまゆを寄せ、苦しそうな顔をしたかと思うと涙を流しながら  
「ショー…イヤだ…もう…おねが…」  
といやいやをするように顔を振る。  
 
ショー…  
聞かなくてもわかる。たぶん不破のことだろう。  
胸がざわっと逆立つようになった。  
 
「ショーちゃ…んう…や・やああああっ!」  
キョーコはがばっと飛び起きた。  
 
汗びっしょりになって息が荒くなっている。  
キョーコは今、自分がどこにいるのかの把握ができなかった。  
広い大きなベッドの上、ラブミー部のユニフォーム。  
そして目の前には、怖い顔をした、敦賀連…。  
 
「あ…あ。……あの…私…」  
なんでここに…?  
見覚えがあるベッドルーム。ここは敦賀さんの家だ。看病した時に入ったあの寝室だ。  
 
「さっきまで俺にごちそうしてくれたでしょ?  
疲れてたんだろう、テーブルで寝ちゃったからここに連れてきたんだよ。」  
光り輝く極上スマイルで敦賀さんが答えた。  
 
………ヤバい!私また何かやったんだ!!  
この笑顔の時の敦賀さんは要注意なんだもの!!!  
 
ああ、それにしてもなんでこんな時にあいつの夢なんかみたんだろ。  
それも…あんな…  
悔しさに、目の前に敦賀さんがいるのも一瞬忘れ、唇を噛み締めると涙がぼろっとでてきた。  
一緒に暮らしていた時の夢。  
毎日ショータローに抱かれて、気持ちがいいと言うより、  
唯一ショータローが近くにいてくれることだけが嬉しかった頃の夢。  
 
「ショーちゃん」だけしか見えなくて、私の世界のすべてがショータローのためにあった。  
でもあいつは私を家政婦と、都合いい性欲のはけ口としか思ってなかった。  
そんなことに気付かず、ただただ「ショーちゃん」のプリンセスになれるのを夢見ていた私。  
愛されてると…思ってた私。  
…思い出すだけで反吐がでそうになる、昔の私。  
 
それなのに夢の中で、私はショータローにまた抱かれていたのだ。  
悔しい。  
ぼろぼろ涙がこぼれた。  
 
どんな夢を見ていたのか、何となく察しがついた。  
不破に家政婦がわりにされていたと言う彼女。およそ他のことも見当がつく。  
ざわっと背中にイヤなものが走る。  
なぜかな、彼女が不破の夢を見ていたと言うのが、ひどく気に入らない。  
そしてそのことで彼女が泣くのがもっと気に入らない。  
 
…彼女は、不破を憎いと言いながら、まだ心のどこかで不破を求めているんじゃないのか。  
スゥ…ッと残酷な思いが胸に宿る。  
 
「大丈夫?何か飲み物を持ってこよう。」  
「い・いえ!!いいんです。私帰りますから!!」  
「いいからそこにいなさい。」  
 
帰すものか。  
 
きつい目で押しとどめると台所にいき、冷蔵庫からチンザノを出す。  
オレンジジュースで割ると甘いジュースに微量の炭酸が入ってる、後口の軽い飲み物になる。  
それをベッドに持っていくとキョーコにすすめた。  
 
「スッキリするから。飲みなさい。」  
「は・い…」  
 
有無をいわさぬ敦賀さんの目に、なんでだろう、いつもと違う怖さを感じながらジュースに口をつけた。  
ウ。炭酸入りだ。でも飲まない訳には行かなそう…  
全部飲み干すと、なんだか本当に少しスッキリした。  
 
「今日はこのまま寝ていくといいよ。」  
「あ、いえ、ほんとに私、帰りますか…」  
ぐらっと頭がふらついた。  
 
?  
顔が熱い。これって、もしかして…  
 
「敦賀さ…さっきのジュース…もしかしてお酒入って…?」  
「そうだよ。未成年でも、たまにはいいでしょう。君、飲んだことないの?」  
 
ショータローに無理矢理ビール飲まされた時と同じだ。動悸が激しくなって、身体が火照る。  
 
「ひどい…ッ!犯罪ですよこれ…。敦賀さんはもっと良識あるひとかと…」  
「そうだね。今日の俺はどこかおかしい。」  
 
スウッと敦賀さんの目が座った。  
怖い。  
なんだろう、この怖さは。  
ああ、ドキドキが止まらない。これはお酒のせいなのか、この人に強い目で見据えられてるせいなのか。  
 
彼女の身体は大きく息をついていて、だんだん赤みを帯びてきてるのが服からのぞくうなじでわかる。  
「さ、横になって。」  
そういって押し倒すと、怖がっている目が俺を見た。  
赤みを帯びて潤んだ目。お酒はダメなんだな。  
別に意外ではなかった。  
たぶんそうじゃないかと思ったからこそ、お酒入りのジュースを飲ませたのだから。  
 
俺は卑怯ものだな。  
 
…彼女が不破の夢を…たぶん抱かれてた時の夢を見ていたと言うだけで、胸がざわつく。  
そんな夢を引きちぎりたい衝動にかられる。  
 
「敦賀さん…あの…」  
そう言った彼女の唇を指で押さえ  
「黙って…」  
そういってくちづけた。  
 
ゆっくり  
長く  
静かにくちづける。  
 
彼女は逃げない。はじめこそ目を見開いていたが次第に閉じてジッとしている。  
つい…と唇を離すと彼女は大きく息をついた。  
 
「敦賀さ…」  
それ以上は言わさずもう一度くちづける。  
言葉を発したことによって薄く開いた彼女の口を奥の方まで溶かすように舌を入れ、今度は深く、深く…………  
 
何がなんだかわからない。  
身体が熱い。  
これはさっきの夢の続き?  
でもショータローはこんなキスしなかった…  
こんな…こんなキスは生まれて初めて…身体がとろけそう…  
頭がもう、何も考えられなくなる…自分がドロドロに溶けていくみたい。  
敦賀さんの舌が私の中に入ってきて、私の舌をからめとる。  
さっきのお酒のなごりのオレンジの香りの中、私の舌はいいように蹂躙され、しだいに自分からも敦賀さんを求めていた。  
気がつくと私は自分から腕を敦賀さんの首にまわし、唇を舌を求めていた。  
綺麗な黒髪がさら…っと私の方にかかる…  
息が甘い…  
「…ん…」  
敦賀さんのものなのか、私のものなのか…わからないうめきが混じる…  
 
 
 
つぷ…と唇が離れ、お互いの舌が糸をひく。  
「は…あ…」思わず大きく息がもれる。  
黒くて深く…吸い込まれそうな瞳が、私を見てる…  
鼻で、すい、と鼻をすりあげ目に熱いキスが落ちた。  
敦賀さんの唇がうなじに移る。  
ゾクゾクっと背中がざわつく。  
敦賀さんの大きな手が私の胸を服の上からなぞった時、私ははっと正気に返った。  
 
「だ・だめです!!!敦賀さん!こんなことしちゃ…だめえええ!!」  
大きな胸を押し返し、私は必死に敦賀さんから逃げようとした。  
 
彼女が必死に逃げようとする。  
 
そうか、そう言えば彼女は俺を嫌いなんだっけ。  
でももう戻る気はなかった。  
 
性欲からと言うよりは…なんだろう。とにかく彼女を今、離す気はなかった。  
 
 
俺を見ろ。  
他のことは考えさせたくない。  
 
逃がさないよ。この腕からは。絶対に。  
 
ふわりと笑ってみせた。  
 
「だめ。」  
 
 
突然すごく優しい顔で笑う敦賀さんに力が抜ける。  
ドキドキが止まらない。  
もう一度キスされるともう何も考えられなくなった。  
 
気がつくとつなぎの前がはだけられていた。  
つなぎの中に入れられた手は、私の背中を撫で回る。  
「………んっ…くん…っ…ふ…」  
ゾクゾクする。体中がざわついて、私は声を押し殺すのに必死だった。  
敦賀さんの唇は私の目や耳や額や顎や、そしてうなじや鎖骨のあたりをヤワヤワと行き来する。  
すごく…ああ…すごく気持ちがいいの…  
胸やあそこじゃなくても、こんなに気持ちいいの?  
 
「…声だしてもいいよ…誰もいないから…」  
耳もとで囁かれ、響く低音で背中がビクっとする。  
豪華なマンションは防音設備も万全なのか…  
そんなことをおぼろげに思っていると、突然胸に鋭い快感が走った。  
 
「ひっあああっ…」  
いつのまにかホックをはずされたブラはずり上がり、  
敦賀さんの唇は軽く先端をはんでいた。  
 
胸はもともと感じやすい。  
身体をよじって思わず敦賀さんの頭をかき抱く。  
片方の胸は大きな手で包まれてヤワヤワともまれている。  
 
「あ…ああ…あぁん……ふっ…わぁん」  
あそこがジン…としてくるのがわかった。  
 
胸は感じやすいんだな。  
小ぶりの胸は張り詰めていて、横になってもカタチが変わらないんじゃないかと思うくらいだった。  
白の下着が彼女らしい。  
軽くもみさすりしながら、時々指で乳首を擦りあげると、面白いように反り返って啼く。  
しかし、彼女にはなんだか余裕がない。  
どうしたらいいんだろう?と言う感じの感じ方だ。  
もしかして経験が少ないのか?  
不破とずっと一緒に暮らしてきたと言うのに。セックスの経験は浅そうに見える。  
 
不破とずっと…  
 
そのことを考えたとたんに、また残酷な思いが胸をよぎる。  
思わず強く彼女の胸をもみしだき、乳首を思う様吸い上げた。  
 
「ひああああああああっっっっっ!!!!」  
ビクビクっと彼女が反り返る。俺の腕の中で泣きわめく。  
「やッ……ダメえ…強くしちゃ…ああああっ…ダメええ……!!」  
半泣きになって喘ぐ。  
 
もっと。  
もっと啼かしたい。  
 
彼女の着ているものを剥ぎ取った。  
いつもの自分じゃないのを感じる。  
もっと彼女が快感に狂う姿がみたい。  
 
俺は………今、どこか狂ってきてるのかもしれない。  
 
着ているものが剥がされ、一糸まとわぬ身体になっても、恥ずかしいとか、そんなこと思う余裕はなかった。  
私は自分に起こってることが信じられなかった。  
 
ショータローとのセックスはこんなんじゃなかった。  
レディコミでインプットした喘ぎ声を必死に出して、痛くてもなんでも「気持ちいいよぉ」と叫んだ。  
それがどうだろう。私は今、レディコミ真っ青なくらい狂乱している。  
 
ああ…あああ…ぁん……ああ  
すごく気持ちよくて…どこまでも落ちていっちゃいそうで…  
 
怖い。本気で怖い。  
身体の芯が熱い。ドロドロに溶けてきてるみたい。  
 
お酒のせい?  
ううん。お酒を飲まされて、ショータローとセックスしたことだって何度もある。  
確かに多少敏感になっていたけど、こんなんじゃなかった。  
 
敦賀さんは何度も何度もキスをする。そのたびその舌が甘くてとろけそうで  
私は自分から求めてしまう。  
首筋に、背中に、ウエストに唇が触れるたびに泣きたいくらいにゾクゾクするの。  
ああ…気持ちいいの…こんな…こんなのって…  
セックスは入れるだけじゃないの?唇が身体をはうだけでこんなに泣きそうになるの…  
 
どうしよう。私、どうなるんだろう。  
 
敦賀さんの手が私のあそこに到達する。  
ダメ。今触れられたら…  
 
さっきから気付いてるの。私の中からいっぱい溢れた蜜で濡れてるのを。  
いや。恥ずかしすぎる。  
 
「だめ…だめぇ…」  
これじゃあ、ただの淫乱じゃない。  
必死で足を閉じようとする。  
 
でも乳首を舌で転がされ、軽く甘噛されると、足の力なんて簡単に抜けてしまう。  
ついにあそこに敦賀さんの手が到達する。  
「………ああっ………」  
「濡れてるよ。いっぱい…」  
「いや…ぁ……敦賀さ…だめ…」  
 
くす。  
 
いつまでダメなんだか。  
こんなに感じているじゃない。  
指はもう、ぬめりの中を自由自在に動き回る。  
 
「あああんんっ…つ…ッ…敦賀さ…あああっ…ダメえええ…」  
 
彼女の中に入れて少し膨らんだ部分を軽く擦った。  
 
「ひ!ああああああっ…!!!!」  
びくびくっと彼女の身体が痙攣する。  
 
軽くいったかな。  
 
それにしてもなんて感じやすい身体だろう。  
感じやすいというか…初めてなのだろうか、これほど感じるのは。  
彼女のとまどったような表情が、快感と怯えの中をいったりきたりするのをさっきから感じていた。  
不破とのセックスで、もしかしたら彼女はまだ、オーガズムを知らないのかもしれない。  
 
ふ…  
なんだか楽しい気分だな。  
それならとことん、彼女を狂わせたい。  
 
少し脱力した彼女の足の間に身体を入れて、彼女の部分にくちづけた。  
 
「ひあああっ!!!ダメえ!敦賀さん!ダメえええ!!!」  
いやっ!!うそ!  
敦賀さんにあそこをなめられてるッ!  
 
「ダメええええ!!!汚いよぉ!お願いいい!!敦賀さんやめてえ!!」  
 
「だめ。」  
敦賀さんは私のあそこに息を吹きかけると、つい、と舌先で私の溢れてるものをなめとった。  
 
「ひああっ……ああんんッ…お願いで…ああッやめて…やめて下さ…」  
 
ぴちゃ、ぴちゃ…と子猫がミルクを飲むような音がするたび、  
快感がかけのぼる。  
だめ…だめよぉ…こんな……………  
ああ、でも…ああ…んッ……気持ちいい…ッ  
 
「だ…………め……あ…あ…あ…んん…んう…っ」  
ひっぺがそうと思ってつかんだ敦賀さんの髪だったが、ただつかんでいるだけの状態。  
足も閉じられない。  
…………恥ずかしい…でも…ああ…なんて…気持ちいいの…  
 
敦賀さんの舌が、私の敏感なところをくるりとなめた。  
「あああんんっ!!」  
ビリビリするような快感がかけのぼる。丁寧にねぶられる。  
「ああっあああんっ…いい…ああああっ…」  
 
腰が、私の腰が動いてしまう。敦賀さんの髪を押さえ、どん欲に快感をおっている。  
「いいっあああっ…いいよぅ…気持ちいい…ッ」  
もっと…もっと…あああ…ああ…ああ…ああ…  
 
敦賀さんが私の核を軽く吸い上げる。  
 
「ひ、あ、あ、あ、あああああああっ!!!」  
ビクビクビクビクッッッ…………  
頭が真っ白になって背中が反り返り、頭のてっぺんに快感が突き抜ける!  
身体から汗がどっと吹き出した。  
 
 
いっちゃったな。  
 
脱力している彼女の身体にのしかかり、腕の中にくみしいて、ぼうっとしている彼女にくちづける。  
口の中の小さく痙攣している舌をからめとる。  
 
ぴちゃぴちゃ…  
しだいに意識が戻ってきた彼女は少しずつ答えてくる。  
 
ほおを撫で、額に、目にくちづける。  
 
この気持ちはなんだろう。  
たまらなく、愛しい思いが込み上げる。  
彼女が欲しい。  
全部が欲しい。  
 
汗ばんだ身体を撫で回し、小降りの乳房にくちづけると、夢うつつの彼女は小さく「あ」と声を出した。  
彼女の目が見開かれる。  
 
「気持ちよくなってくれた?嬉しいよ。」  
真っ赤になった彼女は  
「い…いじわるですね、本当に、敦賀さん…」  
そういって目をそらした。  
 
愛しい。  
彼女をぎゅうっと抱き締めた。  
 
「欲しいんだ。」  
 
 
敦賀さんにぎゅうっと抱かれると、気を失いそうになる。  
私も欲しい。  
こんな気持ちになったのは初めて。  
だって、いつも痛いだけだったんだもの。  
入れてほしいなんて思ったことなかった。  
 
でも、でも、今はなんだか、奥に欲しい。  
敦賀さんを身体全部で感じたい。  
 
どこにあったのか敦賀さんはさりげなく避妊具をつけていた。  
「用意いいですね。」  
「…男の責任でしょ」  
「いつもこんなことしてるんじゃ…」  
 
そこまでいったところで抱きすくめられる。  
「いい?」  
 
そんなの今さら聞かないで。  
返事のかわりにくちづける。  
 
欲しい…の…  
 
あそこに熱いモノがあたったのを感じると、ゾクゾクしたものが背中を駆け上がる。  
ゆっくり、でも力強く、敦賀さんが私に入ってくる。  
 
「あ…あ…ああ……んんんっ」  
 
ああ、すごい。  
いっぱいになる。  
背中が震えて止まらない。  
 
全部私の中に入れて、敦賀さんはまた、長いキスをする。  
ふう…っと息をついて敦賀さんがせつない顔で少し笑う。  
 
「…キョーコ…」  
 
……………!  
名前を…  
 
そのとたん敦賀さんが動きだし、もう私は訳がわからなくなった。  
 
 
「ああっ…あああっ…いいっ…はっ…あっ」  
彼女が狂ったように髪を乱す。  
 
俺の動きに合わせて彼女の腰が動き、より深く俺を受け入れようとする。  
彼女の痴態を見下ろしながら愛しさと征服感でいっぱいになる。  
 
男なんて勝手なものだ。  
こうして自分の動きに合わせて彼女が感じて、狂乱している姿を見ると、  
彼女が自分のものになったという充実感でたまらなくなるのだ。  
ぐるりと腰をまわす。  
 
「うあああーーーーーっ…ああっ…敦賀さ…ああああんっ!や…もう…ああああっ」  
 
もっと…もっと啼いてくれ。  
俺を欲しがってくれ。  
もっと気持ちよくなれ。  
 
腰を動かしながら彼女の顔から目が離せない。  
胸も愛撫しながら乳首を吸うと「あ−ーーーーッッッ」と高い声で啼く。  
彼女の中はぎゅうっと締まり、俺も気が遠くなりそうになる。  
 
ふいに潤んだ目をあけてくちづけを欲しがる。  
「つ・敦…賀…さ…………」  
「キョーコ…」  
深く深くお互いのだ液をやり取りするキス。  
彼女の舌はもう、俺のそれと一緒にとろけて、どちらがどちらの舌かわからない。  
 
ああ…  
 
どうしたらいいんだろう。  
こんなに…愛しく思うなんて…  
 
 
ああ…ああ…ああ…ああ…  
身体がもうとろけちゃいそう…  
泣き出したいくらい気持ちよくて…もう…もう…ああ  
 
何かが背中からせり上がってくる。  
ふるえが止まらない…  
 
いいの…いいの…すごく…どうしよう…こんなの初めてなの…どうしたらいいのぉ…???  
身体の奥から溢れてくる快感と潤滑油で、もうグチャグチャになってる私。  
 
いいっ…あああああっ…  
 
敦賀さんのモノが私の中で暴れているの。  
すごく熱くて…  
奥の方が悲鳴をあげてる…もっと、もっと…あああ…もっと欲しいの…  
 
ふいに敦賀さんが私の胸をついばむ。  
電流が走ったみたいに頭のてっぺんから閃光が突き抜ける。  
「ひあああああああっあああああ!」  
 
ガクガクガクッッ!!!  
身体が痙攣して、真っ白な光を見る。  
もう何度こうなったろう。  
これがいくってことなんだろうか…  
 
「キョーコ…」敦賀さんが私の唇にキスして舌をからめる。  
せつない顔…私も欲しいの。  
もっともっと…  
 
敦賀さんがぎゅうっと抱き締めてくる。  
このまんま身体が溶けちゃえばいいのに…  
私も離すまじと下から抱きつく。  
敦賀さんの顔が苦し気に歪む。まゆを寄せたその顔は、今までのどの顔より綺麗だった…  
 
「……んっ…く…っ…」  
敦賀さんの動きが早くなる  
激しくなる。  
 
私も中の…奥の方で、何かが大きく膨らんで頂上を目指してるのがわかる…  
今まで感じたことのない大きな高まり…敦賀さんが動くたびたまらなくなる…  
 
ああ…もう…ああああああ…もう…ダメぇ…  
おかしくなるぅ…い・い…いくぅ………………  
 
「あああああああああーーーーーーーーっ!!!」  
今までで一番強い波が押し寄せて、身体ががくがくする。  
それとほぼ同時に、敦賀さんが私の身体を激しく揺さぶる。  
 
「…!キョ…コッ!」  
 
敦賀さんが奥の方で弾けた。  
びくびく身体の中で敦賀さんのモノが脈打ってる。  
 
「ひううううっ…」  
その感触で私はまた身体を震わせ…気が遠くなってしまった。  
 
 
 
彼女が気を失ってしまって、俺は少々やりすぎたことを後悔した。  
はじめはけっこう余裕だったのだが、途中からこっちが無我夢中になってしまった。  
 
ガキのころじゃないんだから…  
苦笑してしまう。  
 
さて………  
今後のスタンスはどうしたものかな。  
とりあえず、何もなかったことにはしたくはない。  
 
だがたぶん、彼女は…俺を好きで抱かれたんじゃないだろう。  
無理矢理にしたつもりはないが、あながち否定もできない。  
じゃあ、俺は…?俺は彼女を好きで抱いたんだろうか。  
 
愛しいと思った。  
あの男の夢を見る彼女がとてもイヤだった。  
 
………………好きなのかもしれないな。  
 
ふっと自虐的に笑って彼女の髪を撫でる。  
好きだから嫉妬して無理矢理抱いたのかも。  
 
まだまだガキだな、俺も。  
 
彼女の横に滑り込んで、髪を撫でながら眠りにつく。  
すやすや眠る彼女を見てたら、なんだかとても優しい気持ちになる。  
とりあえず、まあ、起きてからだ。  
彼女の反応を見てから決めよう。  
目を閉じると簡単に眠りがやってきた。  
 
本当にひさしぶりに安らいだ眠りに落ちていった。  
 
すっかり脱力して眠るキョーコ。  
だが前のようにショータローの夢でうなされることはこの先なかった。  
 
おわり。  
 
 

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