「良かったじゃないか…楽しかったみたいで………」  
 
凍り付くかと思った。  
物凄い目だった。  
 
あのバカの電話のことも、謝罪の留守電を入れたまま、  
何日も連絡がとれなくて…  
 
なんだか変だよね。  
敦賀さんならきっと  
 
『聞いたよメッセージ…俺は…別に怒ってないから…』  
 
そういってくれるに違いない。  
 
そう思っていたのに。  
 
マリアちゃんと一緒に偶然出会えた敦賀さんは  
私が予想していた通りのセリフを  
嘘んこスマイルをわざとらしいくらいチカラいっぱい光らせながら言い捨てた。  
 
「PVに出演したんだろう…?不破尚の」  
 
なんで???どうして…敦賀さんが…  
 
「電話で言ってただろ…?本人が。」  
 
必死で言い訳した。  
やましい最初の動機は私に敦賀さんの顔を正面から見ることはさせなかったけど、  
最初は…「演技」を復讐の武器にしようとしていたことだけは知られたくない!  
 
でも違うの。違ってた。  
 
それだけはわかってほしくて。  
役者として少し進歩した喜びが伝えられないのがもどかしくて…  
 
「復讐のために受けたわけじゃ…っ…」  
 
タノシソウナシゴトダトオモッテ  
 
そうして敦賀さんの目は氷の冷たさで私をみたのだ。  
 
突き放された気持ちで、背中にナイフを突き付けられているような寒さが私から離れない。  
 
気がつくと敦賀さんのマンションにきていた。  
どうしても許してもらえないんだろうか。  
あの目は……………本気…怒り…………  
 
なんで????どうして?????  
敦賀さんの納得してくれる理由だと思ったのに  
 
……………私は…もう…  
このマンションに何度来たかわからない。  
その度に敦賀さんは、あの優しい笑顔で迎えてくれて  
そして優しいキスから始まって………  
 
尊敬する、私が崇拝する先輩の敦賀さんが、最も私に近付いてくる瞬間。  
すごく幸せで…照れくさくて、可愛くて…愛しい…  
 
このドアを開ける時はどきどき嬉しい予感で一杯だった。  
 
でもさっき、ロビーからルームナンバーで呼び出したインターホンに出た敦賀さんは……  
 
『悪いね。今日は疲れているんだ。また今度ね。』  
 
と穏やかな拒否を伝えてきた。  
 
たまたまマンションに入る人にくっついて、セキュリティをパスしてドアまでこられたけど  
開けてくれないかもしれない…。  
 
泣きそうになってくる。  
 
あの胸を…私を抱くあの優しい人を失いたくない。  
何に怒っているのか、わからなければ謝罪もできないのだ。  
何が何でも許してもらわなきゃ。  
 
ポーーーーーーン  
 
少し低めのインターホンが鳴り、プツッとモニターが反応する。  
 
『…………また今度ねって…言わなかったっけ?』  
 
モニターで私の姿を見ているのだろう。  
敦賀さんの声は冷ややかに言い放つ。  
 
「…お願いです!話させて下さい…  
………お怒りになってるのはわかるんです。許してほしいんです。  
でも…何を謝ったらいいのか…わからないんです…!!!…」  
 
泣いちゃダメだ。  
涙で許してもらうなんてずるすぎる。  
 
『怒ってないよ?そう言ったはずだけど』  
 
違う。わかるもの。  
 
「…お願いです…教えて下さい…」  
 
………………返事はない。  
 
「お願いです…こんなのは嫌なんです…!  
何でも…何でもしますから!!!」  
 
 
 
 
 
 
『見せて。』  
 
…は…??  
 
『顔、よく見せて。』  
「は・はいっ!!」  
 
モニターのカメラは確かこの小さな穴のはず。  
キッとまっすぐ見つめる。  
 
『泣きそうになってる。』  
「…!泣きません…!ちゃんと謝りたいですから。」  
 
クスッ…ちょっと笑うような声が聞こえた。  
ああ、ちゃんと見てくれてる。  
 
『くちびる、見せて。』  
 
え…???  
 
『キスするようにカメラに近付けて見せて。』   
 
………………………!!!!!??????  
そ・そんな…っっここで?????  
ドアの前だよ??誰が通るかわからないのに…  
恥ずかしいよ…ッ  
 
『目を閉じて…近付けて…』  
 
でも…ああ…インターホンから聞こえる敦賀さんの声は…なんだか少し甘くて…  
耳もとでささやかれてるような気になってくる…  
 
私はうっすら目を閉じて、少しくちびるを突き出すように近付いていく…  
 
『ストップ』  
ビクッととまる。  
 
『指でくちびるなぞって見せて。いつも俺がくちびるで君のくちびるをなぞる時のように…』  
 
言われるがままに指で唇をなぞる。  
小さな電気が走るようで動悸が激しくなってくる  
息が苦しくなってくる……………  
 
はあ…ッと思わず大きく息をついてしまう  
薄く開いた唇の間に指を入れ  
だ液でくちびるを濡らす……  
舌が小刻みに動いてしまう  
敦賀さんのキスを思い出し、敦賀さんの舌が私の中でうごめくのを想像して…  
つい、追いかけてしまう………  
 
キスしたいよ  
 
敦賀さん…………  
 
『首筋をなぞって…そう…もっとゆっくり…』  
 
のどからうなじ…えりあしまで擦るようにゆっくり動かす  
息が荒くなる  
 
『ゆっくり…ほら…胸を触って…ボタン一つ…二つ…はずして』  
 
「…や…そんな…っ…」  
 
『イヤなら帰んなさい。君に無理強いはしてないよ。  
言ったろ?また今度ね』  
 
ひどい。  
ひどいよ敦賀さん…  
何をしても許してもらいたいのに…  
 
「いえっ!あの………続けさせて下さい…」  
 
 
ブラウスのボタンはひねるだけで簡単にはずれた  
ブラの上から擦るだけで、声がもれそうになる  
カップの中の膨らみの頂上はもうとっくに堅く  
存在をアピールして軽く触れてもびりびりする  
下半身は熱くなってきて太ももは知らず知らず擦り合わせていた。  
 
「………っ…ふ…っ…」  
 
『どう…?気持ちいい…?』  
「…っは……い……っ…」  
『いやらしいコだね。そこがどこか分かってるの?  
君は誰かがいつくるかもしれない廊下で気持ちよくなってるんだよ?』  
 
羞恥でカーッと顔が熱くなる  
ヤだ、こんな…でも…敦賀さんに許してもらいたいもの…  
 
「だって…敦賀さんが…………ッ…ん…ッ」  
 
…………ほんとにそれだけ……???  
恥ずかしいと思う気持ちとうらはら  
胸がドキドキする  
私………興奮してるの…??  
敦賀さんの言う通りだ…私…いやらしい…ッ…  
 
気がつけば何も言われないのにブラウスはとっくに前をはだけ  
ブラの下から手を入れてじかに自分の胸を愛撫していた  
 
「ん…あ…ぁん……っふ…っぅん…」  
 
とまらない  
 
自然に下に手がのびスカートの下からあそこをきゅうッと押さえた  
「…っ!!は…ぁんっ…」  
 
チーーーーン  
 
エレベーターの止まるチャイムがした。  
!!!!!人がくる!!  
 
ガチャッ  
勢いよくドアが開き手首が掴まれると  
そのまま部屋の中に引きずり込まれた。  
 
玄関ホールに転がった私の目に見下ろしてる冷ややかな敦賀さんの姿があった。  
 
 
 
スウッと薄い笑いを浮かべる敦賀さんの顔は、とても冷ややかで、  
けして心底笑っているようには見えない。  
前をはだけ、床に転がる私はとてもみじめなものだった。  
はだけた胸を押さえ、慌てて立ち上がると、敦賀さんがかがんで私の顔を覗き込む。  
 
「…………バカだな君は。」  
 
冷たい目に見据えられて動けない。  
 
「ひどいことはしたくないから…今日はダメだって言ったのに…  
俺はね、今、ひどく荒んだ気分なんだよ。」  
 
その原因は私なんだろうか…やはり…  
 
「だから君に優しくする余裕がないんだ…  
でも君は自分でここに来てしまったね?  
まったくしょうがないな…………」  
 
首を掴まれる…ギリギリと壁に押し付けられる。  
 
「…知らないから…」  
 
敦賀さんの目が………暗く光った…  
 
 
胸の奥で膨れ上がっていたどす黒いものが喉元まで溢れ出しそうだ。  
 
不破 尚  
 
たぶん彼女のことがなければ  
名前も覚えなかったかもしれない男  
 
彼女が…ずっとその存在で一杯にしていた男。  
 
幼い彼女の口からは  
好きで好きでたまらないというふうに出てきた王子様の名前。  
 
その関係が男と女のそれに移行した東京での暮らし。  
ただあの男を支えるためだけに生きてきた彼女。  
 
そんなものは全部知っている。  
復讐するためにこの世界に入ってきたのも。  
 
 
…俺は……  
それを許せないと思っていたんじゃないか?  
 
 
 
「怒ってないよ?そう言ったはずだけど」  
 
 
 
それなのにあの男のPVに出たといって、それが復讐のためじゃないと…  
彼女が言ったのがなぜこんなに気に入らないんだろう。  
 
『何でも…何でもしますから!!!』  
 
モニターに映る彼女はひどく必死に見える。  
一生懸命の彼女はとても好感が持てる。いつもそう思ってた。  
 
だけど、ひどく弱々しい懇願の様子は  
俺の中の暗い渦巻く闇を増長させるかのようだ。  
 
可愛いくちびる。  
それを必死に噛みしめ、うつむいて俺の言葉を待ってる。  
 
その唇を噛み切ってしまいたくなる。  
自分の中の残虐性に驚きながら、このままもっと…もっと痛めつけたい欲望が沸き上がる。  
 
ダメだ。ドアを開けたら…俺は今、何をするかわからない。  
 
なのにふっと口から出たのは、ただ欲望のままの言葉だった。  
 
「見せて」  
 
だんだん高ぶってくる彼女をぼんやり眺めながら  
かき抱いて彼女の体を今すぐ味わいたい気持ちと  
彼女を引き裂いてしまいたい気持ちがせめぎあう。  
 
時折せつなげにこちらを見る目にゾクゾクする…  
 
『ん…あ…ぁん……っふ…っぅん…』  
 
モニターからこぼれてくる声はだんだん艶を増してきていた。  
 
彼女は明らかに羞恥に体を熱くして  
すがりつくような目で助けを求める。  
 
胸の奥がちりちり音をたてて焦れるようだ。  
手がわななく。  
ドア一枚隔てたところに彼女はいるのだ。  
 
チーーーーーン  
 
エレベーターの音で我にかえった。  
こんな姿の彼女をさらすわけにかない  
考える間もなくドアへと走り彼女をひっつかんで中に引きずり入れる。  
 
 
ああ、もうだめだ。  
彼女の腕をとった時に確信した。  
 
 
 
このまま帰せるはずがない。  
 
 
おびえた顔で前をあわせる少女。  
愛しいのか憎いのか  
 
 
「…知らないから…」  
 
 
「ん……うぅ…ぐ…ぅん…っ…」  
 
引きずられるようにリビングに連れてこられて  
そのままカーペットの上に転がされ敦賀さんに押さえ込まれた。  
胸ははだけられたまま顎を押さえられ動けない。  
 
キス…と言うより、むさぼられているような激しさで私の唇を蹂躙する…  
頭を抱え込まれ、のどの奥深くまで差し入れられた舌はとどまることを知らず  
そのまま啜られて何もかも吸い出されそうだ。  
 
苦しい  
気が遠くなりそう…  
いつもの優しいくちづけをくれる敦賀さんと同じ人だなんて思えない。  
 
「ぐっ…ぅっ…うぅっ…ぐぅぅ」  
 
わけのわからない恐怖で涙ぐんでしまう。  
恐い。  
 
敦賀さんが恐い………ッ!!  
 
「か・はァッ」  
やっと唇を解放され私は大きく息を吸った。  
力が入らない。  
なんで…敦賀さん…どうしてこんな…………  
 
「つる…がさ………」  
 
敦賀さんの目は私をじいっと見下ろしている。  
怒ってる…と言う顔じゃない…  
むしろとてもさみしそうな…それでいてとても冷たくて…恐い  
 
ぶるッ…と体が震える。  
 
どうしてなんだろう。  
 
もしかして………  
 
私が最初ショータローのPV受けたのは、  
やはり演技で見返すためだったと言うことを  
どこかで悟られるような態度をとったんだろうか。  
 
そんなっ…そんな、そんなことはないよね??  
 
それとも…私の言葉は…それ程信じてもらえないの…  
 
…いいえ!誠意が足らなかったのかも。  
 
「あの…っ…わ・私…本当にショータローの復讐とか…ぁ・の…  
そんなつもりじゃなかったんです…」  
 
敦賀さんの表情はかわらない。  
 
わからない。  
このことで怒ってるんじゃないんだろうか。  
でも他に思い当たる節がない  
 
「敦賀さんが…何に怒ってるのか…わからないんです…  
お願いです…教えて下さい…」  
 
ゆっくり腕をとられ手首にキスされる…  
ふわりと優しく笑ったように見えたのですこしほっとした時  
手首に冷たい感触を感じた。  
 
え?  
 
いつの間にか両手を頭の上に持ち上げられて  
リビングのガラスのテーブルの足にからめられてる  
 
シュル  
 
敦賀さんのベルトがはずされ手首を締め付けられる…!  
私はバンザイをした姿勢のまま、テーブルの足に結わえ付けられたのだ。  
 
「………ッ!!!敦賀さ…」  
 
「君がいけないんだ。」  
 
「っやっ!!こんなっ!!!」  
 
おかしい、変だ。こんなの敦賀さんじゃない。  
 
「言ったじゃない。知らないよ?って…  
ひどいことしたくなかったのに………  
さっさと帰らなかった君がいけないんだよ。  
 
 
 
もう、遅い。」  
 
 
 
「やっ…やああっ!!はっ…ぁ…ああっ…うぅぁっ…や・いやあっ!!」  
 
いつもの彼女なら甘い声を出してるところだろうか。  
うなじから耳たぶを愛撫するようにくちづけながら彼女の表情を見ている。  
縛りつけられた腕は彼女を追い詰めているようで、喘ぎと恐怖の混ざった声がとめどなく上がってくる。  
 
体の中の獣が目をさますようだ。  
白い肌に赤い跡を散らしながら汚していく歪んだ快感でゾクゾクする。  
 
さっきのドアの前の痴態ですでに少しずれてしまってるブラを見てくすりと笑う。  
 
「いやらしいコだ…ドアの前で…どれだけ感じてたの?」  
 
ホックをはずし首元でたるませこぼれ出た乳房をぐいと掴む。  
 
「ひ」  
 
ふ  
彼女が跳ねる。  
羞恥で顔は真っ赤に染まる。  
 
「ここも…自分で虐めてたでしょ…」  
 
乳首を摘む。くちびる噛みしめて真っ赤になりながら彼女は仰け反る。  
 
「んんっ…!!!」  
いやいやをするように頭を降りながら俺の手から逃れようと体をくねらせてる。  
 
無駄な抵抗だよ。  
乳首を唇で含みねっとりと転がし甘噛みする。  
 
「ふっあっ…はっ!あぁんっ…やあん…はぁっ!」  
 
もう、この手に馴染んでいる彼女の乳房。  
触れれば愛撫するのが当たり前になっていて  
優しく愛おしむように触れるそれを………  
 
今日は無性に傷つけたくてたまらない。  
 
「ひ・ああああっ!!!い・いたあああいいいっ!」  
 
乳首の回りに歯形を残すと、彼女の体は痛々しく跳ねた。  
 
「…っ!つるがさ…も…もうゆるしてくだ…さ…」  
 
許す…???何を…  
 
君の体をいたぶること?  
縛りつけて君を犯そうとしてること?  
 
それとも…………あの男のことか…???  
 
 
「不破との仕事は楽しかったんだろう?」  
 
「…!?」  
 
俺は………何を聞いてるんだ????  
 
楽しかった?  
 
…………そう、楽しかった。  
ショータローは相変わらずでむかついたけど、演技することは本当に楽しかった。  
だからこそ、敦賀さんにしってほしくて電話したんだもん。  
 
でもそう答えたら、また敦賀さんは…  
何に怒ってるのかつかめない以上何も答えられない。  
 
それに………あの時無理矢理にでもショータローに犯されたことを万が一にも悟られたら…  
いや。絶対いや。  
 
敦賀さんにとっての私は…取り替えのきくただのSEXフレンドかもしれないけど  
私にとっての敦賀さんは……  
 
「ひああああっ!!」  
もう片方の乳房にも噛みつかれて私は悲鳴をあげた。  
痛い!なんでこんなこと…  
歯形がついたところがジンジン痛む。  
 
「やめてぇぇ!!お願いですぅぅ!!敦賀さ…お願いぃぃ!!」  
涙が出てくる。  
こんなのいや!  
 
「…答えなよ。  
不・破・尚…あいつと話したんだろう…  
……それとも………」  
 
耳もとで小さく囁かれた。  
 
「…もう一度…よりを戻せるようになったのかい…?」  
 
ちが…!!!  
 
「違います!!!ひどい!!そんなはずあるわけないじゃないですか!!」  
そう叫ぼうとした時キスで唇を塞がれた。  
一瞬いつもの優しいくちづけだったので言葉を忘れてしまった。  
 
でも幸せな気持ちで目を開けた私は事態が何も変わってないことを知った。  
 
荒々しくスカートをはがれ、下着は引き裂かれた。  
まるで…そう、獣に襲われているようで声が出ない。  
 
「や…や・・や・」  
やめて お願い こんなのはいや  
 
足を抱え上げられようとして思わず思いきり暴れたのに、何の苦労もなく押さえ込まれて…  
 
ドアの前の興奮とついさっきまでの行為で私の中は蜜が溢れていたのか  
それでも十分ではなかったようで  
こじ開けるように貫かれた瞬間異物感で悲鳴をあげた。  
 
「ひぃぃぃぃいいいいやあああああああっっ!!!」  
 
「やあああああっあああっあああーーーーっいやあああっ」  
彼女の叫ぶ声がする。  
 
がくがく揺さぶる度に悲鳴のような声が上がる。  
胸に食らいつくと堅くしこった乳首が舌を刺激するのでこねるようになめまわす。  
たまらず体を反り返し、自分の意志に反してうごめく体は  
もはや拒絶とは程遠い。  
最初はきつかった中はもう溢れ出る蜜でしとどに濡れている  
 
「やッ…あああっ…ひどい…ッひどいよぉ敦賀さ…ひあぁぁんっ」  
 
「何がひどいんだか。君の体はもう悦んでるみたいだよ。  
ほら…ほら…俺のに吸い付いてくる…」  
 
腰を押さえ込んでかき回すと面白いように嬌声が上がる。  
 
「ひあああっああんっいやああっいやあああっ…だめぇぇっ!!」  
 
手首のベルトとテーブルの足がぶつかってガチャガチャ言う。  
たぶん今この手をほどいても彼女は逃げないだろう。  
 
でもこうして縛めることで俺の中の獣が猛る。  
この華奢な体をめちゃめちゃにしたい。  
 
「ずいぶん淫乱になったんだね。無理矢理犯されてるのに感じちゃってるんだ…」  
 
「…やっ…はっ…いや・い・いやああ…そんなこと…あああんっあああっ!!」  
 
羞恥と理性と快感で彼女はもうぐちゃぐちゃだ。  
 
何も考えられなくて、思いきり突き上げをくり返し  
いっそこのままどろどろに溶けてしまえたら…  
 
「ああんっい・いいっ…いいっあああっ…だめぇ、こんなっ…い・いっちゃ…いっちゃうっ…やっはっ…」  
 
彼女がギリギリまで高まってるのがわかる。俺を締め付けるのがきつくなってきてる…  
 
俺はいじわるな気分でふいに動きをとめた。  
 
「!!????……っ…やっ…なんっで…っ??」  
 
もう少しでオーガズムだった彼女はすがるような目で俺を見た。  
 
……くす  
 
「まだ、だめ」  
 
だ…だめって…だめって…?????  
もう、もう少しでイケたのに。  
 
無理矢理犯されて、こんなのは本当にイヤだったけど  
体はもう敦賀さんを欲しがってるし、どんな抱かれ方をしても敦賀さんだから…  
でもこんなのひどいっ!  
それにこんなひどいやられ方で感じてる自分が情けなさ過ぎる。  
敦賀さんが私を抱いたことに小さな安堵の気持ちもあるけど  
だからといってこんなのは許せない!!  
 
でも…でもでもでもっ  
 
こんな…こんなのって  
生殺しよぉぉぉッ!!  
 
屈辱の気持ちと、快感を求める体の間で私はバラバラになりそうだ。  
まだ体の中にある敦賀さんのモノを感じながら  
自分で動こうとしても、腰が押さえつけられて動けない。  
 
「動いて欲しい?」  
 
欲しい。欲しいの…ッ!!  
もっと。  
 
イきたいの。  
 
いや。言いたくない。  
縛られて犯されてるのに…いや。  
 
言えない。  
でも…ああ、いや。どうしよう。もっともっと気持ちよくなりたいの。  
 
「言ってごらん…『動いて』って。『我慢できない。もっと突いて』って…」  
 
カアアアアアアアアッ!!!  
 
そ・そんなの、い・い・言えな……  
 
クスクス笑いながら、敦賀さんは私をジッと見下ろしてる。  
 
「そん…なの…言え……は・ああああんっ」  
 
軽くかき回されて訴えは退けられる  
でもすぐさまとめられて、私は半泣きになってくる。  
 
「ひっ…そんな…っ」  
 
「言って。『もっとちょうだい』って  
言って…『お願い、イかせて』って…」  
 
耳もとで囁かれて脳みそがとろけそう。  
こんな屈辱はないのに……  
 
「お……っ……おね…いやっ…ああっ……」  
 
ダメ!言っちゃダメよ!!私!!  
だめ、だめだめだめだめっ!!!  
負けるなキョーコ!!  
 
 
「…じゃ、ここまでだね」  
 
体を起こして  
ず、と敦賀さんが私から出ていこうとする。  
 
や!や・やっぱりだめぇ!!!!  
 
「や・やですっ!敦賀さん!!お願いッ!!」  
 
「お願い…?なに??」  
 
ああもう………  
死んじゃいたい。私のバカ。  
でも離したくない…  
 
「お願い…もうダメです………もっと…もっといっぱいしてっ」  
 
 
 
「いいコだ」  
 
 
 
「ふあああああんっ!ああっ…ひ・あんんっ…いいっ!!」  
 
再び啼きはじめた彼女を、強く、強く突き上げる。  
もう止まらない  
 
ただただ胸の奥に渦巻くものを吐き出したくて  
それだけのために  
 
「や・はッ…ダメ、ダメっこんなのっ…ああああっもっとっ…  
いいのッ…ダメぇぇぇッ!!いっちゃううう!…い・あああああんんんあああっっっ!!」  
 
すぐに達してしまう。  
 
初めてこんなに荒々しく彼女を抱いた。  
その激しさに翻弄され、昇りつめ泣きながら喘ぐ彼女。  
 
「いいッすごいのぉこんな…ッやあっ!…もっと…もっと強くしてぇぇッ!!」  
 
タガがはずれたように俺を求め、腰をくねらす。  
足を抱え上げ、奥の方にまで貫くと弓なりに背中をそらして泣き叫ぶ。  
 
「ひあああああんッッダメぇぇ!!!奥まで・奥まで来てるぅ!!死んじゃうううっ」  
 
足が絡み付く  
片足を高くあげてふくらはぎを噛んだ。  
ひときわ高い声が上がった。  
 
 
彼女が可愛い。  
彼女の体を離したくない。  
彼女のすべてを自分のものにしたい。  
 
この気持ちはなんだろう  
 
彼女を他の男にとられるなんて絶対にイヤだ。  
 
……あの男も…  
過去だったはずだ  
 
だから気にしないはずだったのに…  
 
君はあいつに会いたかったのか  
復讐じゃないなら  
まだあいつに未練があったのか  
まだ好きなのか  
 
 
 
またあいつに抱かれるのか。  
 
 
 
「あ・あ・あ・あ・ひッ…い・いっちゃ…ひああああッ…ア・ああんッふああアアッ!!」  
 
ガクガクガクッ  
弾ける体を力一杯抱き締める。  
 
ダメだ。逃がさない。  
まだだよ。まだ許さない…!  
 
 
彼女の内部が収縮して俺を締め上げる  
 
く 吸い込まれる。うっ……  
 
「………このまま…君と………」  
 
 
どろどろに溶けてしまえたら。  
 
「つる…がさ…ああん…や・ああ…いいの…ッすごく・ああっすごくいいっ…」  
 
また寄せてきた波にさらわれながら  
上気した顔、潤んだ目…  
 
ああ、もう…  
 
 
 
気が狂いそうだ。  
 
 
「キョーコ……キョーコ!」  
「ひぃあああああーーーーっっ!!!!」  
 
一気に昇りつめ、彼女の奥深くで爆発した。  
 
 
「つるが…さ…」  
 
はっ  
 
彼女の声で正気に帰った。  
力の抜けた彼女の体を抱いてそのままのしかかった姿勢のまま一瞬気を失ったみたいに。  
 
彼女はまだ少し荒い息で俺を見上げている。  
頭の上に組まれた腕はベルトで絞めた部分が赤く色が変わっている。  
首筋と言わず胸と言わず、ちりばめられた赤い痕。  
乳首を囲むようにしてついた歯形。  
 
今さらながら、自分のやった行為を思い知る。  
 
どうかしてた  
俺は…いったい…  
どうしたって言うんだ。  
 
慌ててベルトをはずしにかかる。  
きつく絞めたのでかたくて手間取る。  
はずしながら痛々しく跡のつく手首を見て後悔で一杯になる  
 
「…ごめ…ん………こんな…君を傷……」  
 
言葉がでてこない。  
なんといって詫びればいいのだ。  
 
獣のように抱いてしまった。  
女性にとっては屈辱の時間だろう。  
 
そっと彼女の顔を見ると伏し目がちに目をそむけられる。  
 
無理もない。  
 
ベルトをはずし、手が解放されると、のろのろと俺の下から這い出しにかかる。  
ずるりと俺のモノがはずれたところから白く濁った液体が少し流れ出た。  
 
 
俺は  
 
彼女の中で出したのか…???  
 
無我夢中で覚えていない。なんてことだ…  
 
「大丈夫です。……私今日は安全日なんです。」  
 
彼女は俺のそう言う表情を感じ取ったのか  
のろのろと服を身につけながら小さな声で言った。  
 
 
…そう、安全日。  
それに敦賀さんにたびたび抱かれるようになってから  
一応敦賀さんも避妊はしてくれるけど、そう言うこともあるかと思って、ピルも飲んでる。  
ショータローの時と同じ、この世界にいる人と関係をもつのに、  
避妊はきちんとしなくちゃいけないことは分かってるもの。  
 
でも、まさか、こういう形で必要になるとは思ってなかった。  
 
いつもの敦賀さんとのSEXはもっと幸せな気持ちになれた。  
 
今日のは…すごくイヤだったのに…でも…物凄くよくって………  
でも、こんな仕打ちをされて、いつもみたいに笑って顔は見られない。  
 
この間のショータローの時と同じ。  
私の体を使って欲望を吐き出されただけ。  
 
…………私の気持ちなんて…今日の敦賀さんにはどうでもいいことだった。  
 
私に対しての怒りは…感じてたけど。  
だからといってコレはその罰?  
 
そんなの………ひどい  
 
ただ、ショータローの時ほどの怒りがわかないのは  
どうしてなんだろう……  
 
あんなに荒っぽく抱かれたのに、ほっとしたり、嬉しかったりしたのはどうしてなんだろう  
 
 
…………敦賀さんだから………??  
私にとっての…敦賀さんは……………  
 
 
身支度を整えた彼女が立ち上がり去ろうとする。  
 
「…失礼します…」  
 
一度もこちらを振り向かない。  
 
「…!待って」  
 
手首を掴んで引き止めた瞬間、彼女は痛さで顔をしかめた。  
赤くなってる手首。ベルトの跡。  
 
「…いいんです、もう。気にしないで下さい。  
今日はもう帰ります。離して下さい。」  
 
俺の手をていねいに振りほどくと、深くおじぎをして言った。  
 
「お邪魔しました…失礼します!」  
 
くるりと背を向け走っていってしまった。  
 
 
 
俺は…………  
俺はいったいなんてことを………………  
 
 
 
足下に転がっていた布きれをひらう。  
彼女の下着………俺が引き裂いた………。  
下着つけずに帰ったのか…  
そんなことを思いながら、  
狂った自分が信じられなくて呆然としてる。  
 
なんで俺はあんなに彼女に執着するんだ。  
あの男の仕事に関わったからといってどうだって言うんだ。  
 
彼女自身のことだ。俺には何の関係もないじゃないか。  
 
彼女を独占したい………  
そう言う気持ちが日に日に強くなる気がする。  
大事にしたい。とても可愛い。  
その反面、めちゃくちゃにしたい気持ちもある。  
 
あんなにひどいことをしてまで……  
体に俺の印をつけることで満足していた  
 
 
どうしたって言うんだいったい。なんなんだこの気持ちは…  
 
 
 
 
 
自分がわからない。  
 
初めての自分自身の中に芽生えた疑問。未知の感情。  
 
それが何を指すのか蓮にはまだ知る由もなかった。  
 
 
 
 
FINE  
 
 

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